Liga Espanola Jornadas 38. バルセロナ対バジャドリー

■FC Barcelona 4 – 0 Valladolid
シャビやイニエスタを欠いて試合に臨まなければならず、組み立てに関しては不安を感じる中盤構成でスタートせざるを得ませんでした。セルヒオ・ブスケツがアンカーを務め、ケイタとトゥーレ・ヤヤが一枚前に近い役割を担う。守備時にはそれらがフラットになるほど下がってしまうことも試合開始当初は見られ、前後の分離のようにも見えましたし、それぞれがボールを持ち上がって前線へと顔を出しても、使われる側のプレイをするためにラストパスを出せる存在がおらず、カットされてカウンターを受けてしまう、という場面も見られました。

そういった上手く攻撃を終われていない中で、早々に大きなミスがあったのは全体の流れを考えれば大きなマイナスになるところでした。ピケから出されたバックパスをビクトル・バルデスがコントロールミスから大きな失点の危機を迎えたものの、プジョルのお陰で失点には至らなかった。シュートコースに入った奇跡的なブロックがもしなければ、相当なプレッシャーを抱えた中で組み立てを改善していかなければならず、最低でも二点が必要という状況に焦りを募らせて、拙攻からカウンターを何度も喰らう結果になっていたかもしれません。

最初のピンチ以後もカウンターから裏へ抜けられて不安定なプレイを強いられてしまう回数もそれなりにありましたし、攻撃もまだ上手くいっていませんでした。左側はケイタが左に流れて納める動きは上手くいっていましたし、アビダルのオーバーラップを含めて三枚で左の主導権を握れる状態にあるものの、中央で受けるべき選手がおらず、メッシが下がって受けようとしても中央でセンターバックを引きつけておくべき選手を失ってしまうため、パスカットを狙われやすい環境になってしまう。そのことからサイドから中央への展開が選択できず、左からそのまま窮屈なプレイを強いられていました。
右サイドも順調であるとは言えず、ダニエウ・アウベスが中に入って縦に動くことが多く、その分ペドロが開いて起点になろうとしているものの、パスだけではなくランニングでも横の動きが少なく、縦の展開をダニエウ・アウベスが急いでしまう。中央の上がりを待つ時間も得られないままに縦パスを選択してしまっていることから、バジャドリーの守備にカットされやすく、それがカウンターを生んで上がった右サイドのスペースを突かれてしまう原因になっていました。
サイドに流れながらバジャドリーは前のジエゴ・コスタがボールを納めておくことで流れを持ったまま攻撃へと移ることが出来ていました。あるいはマヌーショがフィードに対応して収める。そのどちらにしてもバルサが動いた後のスペースを利用しているために、二人はバルサのセンターバックが対応に来る手前でボールを受けられていましたし、アンカーに挟み込まれることなくボールを収め、それからバルサのチェックを受ける。後手を踏むバルサにとってはファウルを貰われることを嫌ってか強く当たらないためにスピードを殺せていませんでした。もっとも、それによって流れを切らなかったことが、バジャドリーがセットプレイを繰り返して自分たちの流れに引き込もうとしているのを邪魔し、その後の展開を助ける結果になっていました。

徐々に中盤のポジションは修正をされていき、左に張ってサイドで窮屈にプレイしていたケイタが中央へと流れる回数を増やし、サイドから中へ展開するポイントとなったり、後方のケアのために下がり気味だったトゥーレ・ヤヤがトップ下のように高く上がることでフィジカルを活かした収め所にもなった。二人共が中央に入ることで強烈なミドルシュートを打てましたし、それが流れを変えるきっかけにもなっていました。
特に右サイドのダニエウ・アウベスが縦に急ぎすぎている状態から中へ収める先を見つけたことと、自身が突っ込んでいくスペースを失ったことでいったん預けて再展開の動きを狙うようになりましたし、それを利用してメッシやペドロも動けるようになったのは全体にとって大きなプラスでした。それまでメッシの周囲にサポートを得られず、ボールを受ける瞬間に素早いプレスを受けて前を向くことすらままならなかった状況の改善に大きく役立っていましたし、それがドリブルからシュートまで持っていく流れを作り、縦の展開を急ぎすぎず自分たちのリズムで行えるようになり、縦の突破をフェイントに使い、横の展開で揺さぶれるようになっていった。シャビがいる時のように中央を経由しながら何度も相手を動かして隙間を見つけるようなことはできませんが、中央からサイドへ、そしてファーサイドまで大きな展開を高い位置で送り込む、大きな一つの動きで相手の振れ幅を大きくしていました。

先制点はオウンゴールによるもので、得点の匂いのする状況ではない部分で得点を取れたのは非常に幸運なものでしたが、流れの改善を見る限りではそれが無くてもそのうち得点は取れていたでしょう。それでも先制点を得たことでバルサは落ち着きと活気を得たのは間違いなく、より左右のバランスと縦へ急ぐ意識の改善がされていきました。横への意識の増加はポジションの修正や選手の距離感を保つ役割を果たし、パスの選択肢の多さからパススピードが早くなり、判断も速くなった。判断が速くなれば、寄せられるよりも早く展開が出来るようになり、主導権を守備に取られなくなる。
二点目はメッシのキープ力とドリブルがあってこそでしたが、トゥーレ・ヤヤが中央の高い位置のスペースに入り込み、それ以前にはダニエウ・アウベスとの関係も良くなっていた。それらで相手を引きつける効果が得られたからこそ。だからこそあのドリブルが出来、そしてメッシに注目が集まったからこそのペドロのゴールでした。

攻撃の改善は守備にも効果をもたらしていて、バジャドリーにカウンターに移るきっかけを失わせていました。それまではジエゴ・コスタがボールをセンターバックの手前で受けて再展開をすることでスピードアップを図っていたのが、セルヒオ・ブスケツが上手く挟み込む形を取り、彼の手前でパスカットを狙えるようになった。ファウルをしないように慎重に後方から抑え込む必要が無く、サイドに押しながらずるずると下がっていく必要がない。ただ後半になるとアンカーが掴まえておけなくなり、バジャドリーが再びその部分、ジエゴ・コスタにボールを収められるようになって展開するきっかけを得るようになっていましたが、その頃にはバルサが相手を押し込み、縦を急いでパスカットされてからのカウンターではなく、シュートで終わっていたり、スローインやゴールキックなどプレイを切った後の切り替えであるためにバジャドリーが後方から押し上げる勢いを出せず、問題のないものになっていました。

前半の終了間際にはバルサのセンターバックがボールを持った後の展開に、中盤がやサイドバックがマークに付かれていても動き直してボールを引き出そうとしなかったり、足を止めて待つ場面が多く見られていましたが、後半はそういったものがありませんでした。バジャドリーがプレッシングを強めてもそれらからパスコースを作るために各ポジションが動いていましたし、パスを出すのに困るような場面は見られませんでした。
三点目を得た後にはバジャドリーが攻勢に出るために一枚ミッドフィールダーを増やした事もあって、中盤が圧縮されてファルが増えたりばたつく場面がいくつかありましたが、それでも前半終了間際のように集中を切らして足を止めてしまうようなことはなく、ボールを引き出すための動き直しと奪われないための動き直しは集中して続けられていて、四点目を決めたことが最も重要でした。

その後も全体に油断はなく見え、ビクトル・バルデスも試合開始のミスを払拭するようなセーブを見せましたし、ジエゴ・コスタに対するボールに対してもセンターバックに下がったトゥーレ・ヤヤがパスカットを狙って前で押さえるように対応の変化をして成功していましたし、試合終了の笛が吹かれるまで優勝に相応しい試合運びでした。

コメント / トラックバック 2 件

  1. イニエスタ より:

    こんにちは!

    やりましたね!首都方面からの再三の圧力に負けず、デルビー以降の試合を1ポイントも落とさず乗り切った精神力の強さは本当に凄いですね。

    今まではスペクタクルなサッカーをしつつ、どこか勝負弱いところが垣間見えるのがバルサというチームでしたが、今季に関しては一度もそういった場面がなかったですね。まぁ勝負弱かった昔のバルサも、それはそれでまた違った意味で楽しめましたけど(笑)

    結局、ラストスパートはカンテラトリオで乗り切りましたが、イブラは来年どうなるんでしょうか。現地ではビジャの獲得が既成事実のように報道されていますが、さすがにビジャ、イブラ、メッシの3トップはリスクが高すぎる気がしますが…。その辺りも含めて来年も楽しみですね。

    1年間、お疲れさまでした。

  2. leia より:

    >イニエスタさん
    本当に選手たちにはお疲れ様といわなければなりませんね。

    本当に様々な形でプレッシャーを与えられて揺さぶられ、それでも崩れなかった選手たちも監督も素晴らしかったですし、それをシーズンの殆どで通してこられたのも流石としかいいようがありません。最終節に関してはサポーターにすら気を緩ませないように釘を刺す姿勢もさすがでしたし、あの勝負弱かったバルサはどこへいったのやら。先制点を取るまでは昔のバルサのようになってしまうんじゃないか、とひやりとさせられる場面もありましたが(w

    イブラヒモビッチに関しては個人的にはカンテラトリオよりもビジャのような存在がいた方が、近くでプレイしてくれて孤立しない、スペースを作ってくれる、スペースを利用してくれる、とメリットは多いんでしょうが、イニエスタさんの仰るとおりリスクは高いですよね。メッシをより自由にして2トップを基本形とすればありなんでしょうけど、自分はビジャを獲得せずにイブラヒモビッチと今のメンバーを合わせられるようにしていく過程の方が、今後のクラブにとってプレイスタイルの幅を広げる意味で有益なんじゃないかと思ってます。

    オフシーズンなりの楽しみ方で来季をあれこれ想像するのもいいですねぇ。