UEFA Champions League Semi final 2ndLeg バルセロナ対インテル

■FC Barcelona 1 – 0 Inter (agg-win)
バルセロナは第一戦の不安定な守備から失点したことを考慮してか、それともコンディションの問題か、左のサイドバックにガブリエル・ミリートを置いてのスタートになっていました。序盤はその形が明確ではなく、あるいはトゥーレ・ヤヤを右側に押し出して3バックになりケイタが左に張り出す形になるのかと思っていたんですが、ガブリエル・ミリートを左のサイドバックとして問題なさそうです。

ペドロは通常よりも左に大きく開いた状態でポジションを取ることが多く、これはサイドバックに攻撃力を求められないために、中に絞ってしまうと左をワイドに使う手段を失い、中を窮屈にさせかねないことからでしょう。メッシは右からスタートしているものの、いつものように自由にポジションを動かし、ダニエウ・アウベスが右を広く使い、両サイドに一応の起点を作れていましたし。第一戦とは違い、シャビが抑えられている場面は目立たず、前を塞がれて振り向けなかったり個人で持ち上がれはしませんでしたが、一度ボールをはたいた後に動き直すことは出来ていて、修正したポジションでもう一度受け直し徐々に前へポジションも移せるようになっていた。第一戦のように後方でボールを扱い続けなければならない、ということにはなっていないようです。

インテルはフィードを中心とした組み立て、というよりもバルサのディフェンスラインの裏側へロングボールを入れて後方へ走らせるのを目的としているようでした。ディエゴ・ミリートがボールを追いかけることでプレッシャーを与える。あるいは、クリアボールを拾える位置へと素早く動いて裏へ持ち込むドリブルを開始する。あまり大きな変化はないもののピケかトゥーレ・ヤヤが明確についておかなければならず、ディフェンスラインを高く保ち続けることが出来ず、ボールを奪われる度に下がって展開をしなければならない。攻守の切り替えによってフォアチェックをしてバルサも前から奪いに向かう姿勢は強く出していたんですが、ロングボールを蹴って逃げるだけで済ますことが出来るインテルは、それによってチェックの前に蹴って逃げることが出来、高い位置で奪わせてもらえなかった。それどころかセンターバックがその対応に下げられてしまうためにピボーテが受けるために下がらざるを得ず、全体を伸びさせて素早いパスワークをさせてもらえなかった。
インテルがまだ高いラインを保とうとしてくれていれば、押し下げられたとしても全体の距離を近づけてパスによってゾーンを動かすことが出来ていたのかもしれませんが、インテルの守備設定が低いために相手のエリアに大きく入り込めるものの、距離を伸ばされているために守備の陣形を整える時間を与えてしまっていましたし、パスを横に動かして相手のゾーンを動かそうとしても、最初から中央を固めておけばいいラインにまで下がってしまっているため、横パスで相手を動かすことはかないませんでした。

後方に人数を集められていることから中央を利用することは難しく、イブラヒモビッチは第一戦のように屈強なルシオとサムエルの二人にマークされないようにサイドバックとセンターバックの間にポジションを取る回数を増やし、ある程度ボールを受けられるようにはなっていましたが、前後左右にスペースが無く、連携を取るのも難しかった。本来居るべき中央にはケイタが後方から上がってはいる回数を増やしていたものの、ディフェンスラインの前に並べられた中盤の壁によって縦パスを利用することは難しく、バルサもロングボールで後方へ押し下げられるのを嫌がるかのようにチャレンジする回数を減らしてしまっていたために最後尾を相手に仕掛けることは出来ていませんでした。

状況がより決定的になったのはチアゴ・モッタが退場になってから。セルヒオ・ブスケツの演技ともいえる大げさな倒れ方の前に彼が退場になったことで、よりインテルは守りの姿勢を強くしてしまい、全員で引いて守りきる決意をさせてしまった。
バルサはディエゴ・ミリートの脅威から解放されたセンターバックまでもを上げて攻撃に加えることができるようになったものの、エトーがサイドの守備を担当し、より中央を固められてバイタルエリアを埋められてしまうことになってしまった。シャビのポジションも一段上げられるようになったものの、そのバイタルエリアを利用できないために、手前でパスを回すかダニエウ・アウベス、あるいはペドロのワイドな位置でしか展開を目指せず、相手中盤の背後でボールを受けられず、キーパーとの距離が近いディフェンスラインの裏を使うには距離が長く精度を出せず、相手にも予測をされて対応されてしまう。もっと多くドリブルを仕掛けて相手の注意を引きつけていられれば、そういった展開を狙えていたのかもしれませんが、メッシのドリブルは左足のコースを明確に切られて、中盤と最後尾の二つのラインで守られ、コースらしいコースを用意できていませんでした。他の選手に対しても縦のコースを緩く切り、それぞれの距離を縮めているために前へ向かってスピードに乗ることが難しく、サイドの選手にしてもそこで止められた後、足が止まってから利用するしか無く、停滞した状態からクロスや突破を求めても難しく、それをしたとしても中の変化が乏しく、掴まえられていて可能性を感じられませんでした。
後半に入ってからマクスウェルがガブリエル・ミリートに代わって投入されたことでペドロを中に入れられるようにはなりましたが、相手が最初から引いているために全体が前へ向かうスピードを持つことができず、大きな変化をもたらすことは出来ていませんでした。

相手の術中に嵌ったまま試合を進められ、裏へ出されるボールで後方へといったん下げられて連続して攻撃をさせてもらえなかったり、抜く意識を持たないドリブルで時間を稼がれファウルを犯してしまったり時間をインテルの思い通りに使われてしまうことで、より嫌がるようになり、なるべく確実にボールを失わず、自分たちの時間を保持しようとするかのように相手のバイタルエリアへ無理にでも入ってしまう動きはなく、センターバックとも戦わず、どこか、得点を何としても取る、という意識が足りないようにすら見えるほどでした。

唯一挙げられた得点は恐らくオフサイドだったでしょう。奥でムンタリがラインを崩しているために副審が旗を上げなかったんだとは思いますが、とりあえずオフサイドだとされてもおかしくなかった。だたそこが問題なのではなく、あの場面ではシャビとメッシが横パスを交換することで相手の中盤、バイタルエリアを埋めている三枚を上手く引き剥がしてしまうことが出来ていて、パスを出すときに存在するのはフラットなディフェンスラインだけになっていた。それまでは二つのラインを相手にパスを出さなければならずカットされていたのが、あの場面ではたった一つのラインを相手にするだけで済ませられていたからこそパスが通りチャンスになった。その少し前にあったボヤンの飛び出してのヘディングシュートも同じく、中盤を横に動かして前にいたのはディフェンスラインだけだった。
この形をあと何度か出来ていれば、もっと早い時間に出来ていれば、得点の可能性は広げられていたでしょうし、少なくともインテルのゴールを脅かす回数は大幅に増えていたでしょうね。
トゥーレ・ヤヤのハンドでボヤンのゴールが認められなかった場面も、審判が見ていた位置を考えると仕方が無く、二試合共に運がなかったというしかありませんね。

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