■Real Madrid 0 – 2 FC Barcelona
バルセロナの変則的な先発メンバー表は怪我でアビダルとイブラヒモビッチを欠くことになったことや、アンリの状態があまり良くなくボヤンはチャンピオンズリーグで酷使したことなど様々な要因があってのことでしょうが、ダニエウ・アウベスが右ウイングというのは意表を突く起用でした。ただダニエウ・アウベスのこのポジションでの起用はセビリア時代にもヘスス・ナバスの怪我からプレイしていたのを見ていますが、機能していることは非常に希でした。ウイングやサイドアタッカーがボールを持ち、それを追い越す形を取ることでマークを受けず、スピードに載ったままプレイできることで持ち味を発揮してきた選手ですから、立ち止まってボールを受けてキープも要求され、マークを受けて窮屈なプレイを強いられては持ち味を発揮できない。ただ守勢に回ったときに、サイドに流れて来ることが多いフォワードと一つ前に起用されたマルセロの縦の連動を防ぐ意図があったのかもしれません。
立ち上がりのいくつかの時間で、バルサの右サイドに流れてボールを多く受けて、裏を伺う動きを見せたクリスチアーノ・ロナウドをプジョルと共に挟み込むように守備をしていましたし、マルセロに対しても対応していましたし、そういった傾向が確かにあったのかもしれません。
バルサは前からプレッシングに向かっているものの、イグアインとクリスチアーノ・ロナウドに最初からセンターバックが密着したマークをしておらず、ラインも必要以上に上げず、フォアチェックとは分離する形になっていました。二人のフォワードを自分たちの手前に置いておくには適当で、裏を狙われてしまうとスピードの差によって追いつけないでしょうから、先手を取られないためには必要な措置でしたが、自分たちの手前で簡単にボールを受けさせてしまっていました。まるでアーセナルがバルサと対して失敗をした守備のようでしたが、ピケもガブリエル・ミリートも不用意に飛び込まなかったことでその同じ轍は踏みませんでした。リトリートをしながら他の選手たちの戻りを待つ。フォワード同士で横のパスを選択されたり、そこにファン・デル・ファールトがからんできたり、ドリブルで仕掛けられることはありましたが、自分たちの前でプレイさせておくことに大方成功していました。
慎重に入ったバルセロナは、立ち上がりからボールを繋ぐことが難しく、サイドに展開をしていましたが、リトリートに合わせて戻らなければならないために、起点となるべきケイタとダニエウ・アウベスのところへサポートをする選手がおらず、孤立しやすく、受けてもすぐに失ってしまい、追い越す動きでそれらにかかるマークを軽減させてあげることも難しい。マドリーもプレッシングを行っていたものの、そういったサイドの起点になる部分やチャビ、セルヒオ・ブスケツのような起点となる選手たちにはコンパクトに保って出来ていましたが、ディフェンスラインにまでは何故か向かってこず、余裕を与えてもらえていたことで、連続した攻撃や高いポゼッションを発揮することは出来ませんでしたが、危険な失い方もそれほどありませんでしたし、改善のきっかけも与えてもらえた。
特にチャビにはファン・デル・ファールトが中心となって引っ付き、受けられない環境を作っていましたが、センターバックが自由に持てるお陰で、ボールを動かしている間にポジションを取り直してマークをずれさせることができていた。徐々にその修正からチャビがボールを触る機会が増えていくと、サイドバックを含めた横への展開を多く作れるようになり、展開の幅が広がり、コンパクトに保たれていて前へ運べなかった部分の間隔を広げていくように出来ていきました。
横への展開はそれで改善したんですが、いくらゾーンを広げさせて隙間を作っても、バイタルエリアはきっちりと閉じられていて、ペドロとメッシが体を張って受けられるスペースが存在しなかった。そのために縦の選択肢が無くなってしまうことで横のパスもコースを切られてカットされやすく、カットされないために出すパスは精度を欠いてラインを割ってしまうことも多い。
メッシが下がってボールを受けることでそのケア衣装を目指していましたが、マドリーはコンパクトに保ってバイタルエリアを消している関係から、バルサ同様に自分たちの手前に置いておく事には成功してドリブルをするスペースは得られなかった。サイドをゆったりと使うことで、マドリーはディフェンスラインへピボーテの二人が吸収されてしまう場面も目立ち、厚みを失い、裏へ飛び出そうとする選手の動きを助けていました。序盤はまだパスの出し手を抑えられていましたから、実際に得点の形を作ることは殆どありませんでした。
バルサは徐々にバイタルエリアでフォワードをフリーにしてしまっていた守備の修正を図るようになり、ファン・デル・ファールトにはセルヒオ・ブスケツがきっちりとつき、センターバックもある程度フォワードとの間隔を詰めておくようになった。その分プジョルの裏側を利用されたときにピケがスピードで抜かれてしまわないように対応する苦しさが見られましたが、一人で止めきろうとせず遅らせてプジョルと挟み込むように意図した守り方をしているために大きな問題にはならず防げていましたし、中央を利用されなくなったことで得点に直結する形は作られていませんでした。問題はドリブルで突っかけられる回数の多さと、人数をかけて守るスタイルからバルサが後方に溜まってしまい、セカンドボールを多く拾われてしまったことでしょう。
バルサはフォワードに潰れ役がおらず、高さもクロスに対応する選手も殆ど居ませんでした。ケイタが何度か触りつつフォワードの位置に入るのを待つ程度でしか無く、サイドを使ってもクロスの選択を効果的に使えませんでしたし、縦も利用できないまま。得点を取るまでの時間は、カウンター気味にメッシがドリブルで仕掛け、それができる人数しか相手がいないときしかチャンスらしいものはありませんでした。
得点はメッシへのファウルからクイックリスタートをして、チャビからのスルーパスをメッシが抜け出してゴール。これまでファウルの判断で揉めることが多く、抗議も多かった。ファウルであれば流れが止まることも多く、選手たちの油断がそこにあったようです。メッシがクイックリスタートをしたり要求して早く始めるのは珍しいことではないために、マドリーの選手たちが熱くなりすぎて集中を欠いていたとしか言えず、きっかけとなったファウルへの不満もあったんでしょうが、足を止めさせていましたし、慌てさせたことで集中がチャビへと向かって全体が中央に集まってしまいました。ゴール自体はそれでも難しく、胸トラップ一つで抜いて決めるなんて芸当はメッシだからこそ。
マドリーは先制点を取られたことから、攻撃に出たいという意識が強くなり始め、コンパクトに保てていたバイタルエリアの部分を少し広げていくようになりました。ピボーテの横にもスペースができはじめ、チャビについていたマークもさらに緩くなり、より多くを楽な環境で触らせてくれるようになりましたが、前半はそれ以上の変化を与えることなく終わり、残りの変化は後半になってからでした。
選手交代はなかったものの、それまで右のウイングとして全く機能していなかったダニエウ・アウベスを本来の場所へと戻してプジョルを左サイドバックへ、マクスウェルを一枚上げることで以前に大きな働きをしたポジションへと移していました。チャビもピボーテに近くなってしまっていた前半とは違い、一枚前へ上げている印象が強く、左にマクスウェルが起点となることでケイタをバランサーとして下げているようでもありました。
メッシには下がりすぎないようにさせ、チャビも高く保つことで縦の選択肢を利用できるようになり、カウンターのボールを失って連続して攻撃を受ける回数が多かったものを、まず減らせていました。左のマクスウェルもケイタと比べるとキープ力があるために左の起点としてきっちりと収められるようになり、右サイドバックのダニエウ・アウベスと共にサイドをワイドに展開して相手のゾーンを前半よりも効果的に広げられるようになっていました。メッシらがバイタルエリアにも入れるようになっていき、マドリーのプレッシャーから抜け出す形がそこで作れるようになっていました。
二点目は高い位置に存在するチャビへとプレッシャーをかけてこられずに自由に持たせてもらえた。それが完璧なスルーパスを相手の裏へ出す手助けになり、ペドロの動き直しと駆け引きの時間を作ってもらえた。あれだけ自由に持たせてもらえれば得点の形は作れますね。
マドリーはそれまで前半と同じく中央を利用できておらず、サイドバックの裏側を相変わらず利用する程度でしかありませんでした。クリスチアーノ・ロナウドが流れてイグアインが中に待つ形が多く、そこへクロスを入れるぐらいしか攻撃の選択肢がありませんでした。クロスはアーリークロスだけではなく、深く入り込んで出せていましたが、ニアで戦ったり潰れ役になる選手が何処にもおらずファーサイドへ流れて受けようとするばかりで、一山越えるのを待たなければならなかった。流れてきたとしても精度を欠いたボールばかりで直接シュートに持っていくには難しく、形らしい形が作れたのは、グティ投入後のファン・デル・ファールトの抜け出しからシュートを放った場面ぐらいでしょうか。
二点差をつけられてから少しずつマドリーはクロスに対して中に人数が増えていき、一枚しか対応できていなかったのが二枚、三枚と増えていくようになっていました。後方のスペースを埋める役割を担っていた選手も高く保つようになり、前へ人数がたまり、連続して攻撃が出来るようになったこと、前の人数の増加からクロスへ対応する人数が増えて、ファーサイド一辺倒だったクロスにも種類が増えたので脅威が増えていました。
サイドで脅威を作られるとそちらへ集中がいってしまい、ペナルティエリア前でフリーキックを二度蹴らせた場面が流れを失う可能性を強く持っていた場面でした。それが決まらなかったことで大きくバルサは助かりましたし、イニエスタが投入されたことも非常に大きな役割を果たしていました。
これまでボールを収めても奪われてしまうほどの圧力を受けていた左側に、イニエスタが入ったことで、クリアを収めてキープをして、味方が陣形を整える時間を得られるようにもなりましたし、攻撃に移ることも出来るようになっていました。複数に囲まれても奪われない彼の存在は大きく、そしてバランスも取ってくれるために、プジョルが多くオーバーラップをして、さらに幅だけではなく、縦のスピードをもたらすことでより一方的に押し込まれてしまわない環境を作れていました。
バルサはきっちりとプレッシングをしながら、自分たちの前でプレイさせておくことに成功をしていて、戻りながら対応することをあまりさせていない。押し込まれていることと守り抜くために攻撃に人数かけて出来なくなっているものの、ボールを横へ動かしながら相手のゾーンを動かして、飛び出しを狙うチャンスをつくることも二点目と同じく出来ていました。チャビへのマンマークが無くなって、自由に持たせられるだけ横に動かしていられることもありましたから。
終了間際になってもプレッシングは見事なまでに継続できていましたし、マドリーが前方に人数をかけていたこともあって、それらのプレッシングがパスコースを大きく削る役割を果たして、ロングボールを蹴らしたり、ミスキックを誘うことも出来ていました。多少危険だったのは、そのプレッシングによって前後の分離が出来てしまっていることでしたが、マドリーが強く点を取ることを意識しているために、中央にばかり集まってしまって前を押さえられたときにサイドへ展開し直して組み立て直す作業が出来なくなっていたのには大きく助けられていました。
バルサは時間を消費していく戦い方へと変化しいていき、メッシだけは得点を取りたそうな素振りをしていることもありましたが、勝つためのスタイルに徹した印象があり、見事なまでにそれを実行して完封にも成功をしました。リーガ・エスパニョーラが当該チーム同士の対戦成績を重視していることから、この一勝は二試合分の価値があるといっても過言ではないわけで、最高の結果でした。