2010 年 4 月 のアーカイブ

UEFA Champions League Semi final 2ndLeg バルセロナ対インテル

2010 年 4 月 29 日 木曜日

■FC Barcelona 1 – 0 Inter (agg-win)
バルセロナは第一戦の不安定な守備から失点したことを考慮してか、それともコンディションの問題か、左のサイドバックにガブリエル・ミリートを置いてのスタートになっていました。序盤はその形が明確ではなく、あるいはトゥーレ・ヤヤを右側に押し出して3バックになりケイタが左に張り出す形になるのかと思っていたんですが、ガブリエル・ミリートを左のサイドバックとして問題なさそうです。

ペドロは通常よりも左に大きく開いた状態でポジションを取ることが多く、これはサイドバックに攻撃力を求められないために、中に絞ってしまうと左をワイドに使う手段を失い、中を窮屈にさせかねないことからでしょう。メッシは右からスタートしているものの、いつものように自由にポジションを動かし、ダニエウ・アウベスが右を広く使い、両サイドに一応の起点を作れていましたし。第一戦とは違い、シャビが抑えられている場面は目立たず、前を塞がれて振り向けなかったり個人で持ち上がれはしませんでしたが、一度ボールをはたいた後に動き直すことは出来ていて、修正したポジションでもう一度受け直し徐々に前へポジションも移せるようになっていた。第一戦のように後方でボールを扱い続けなければならない、ということにはなっていないようです。

インテルはフィードを中心とした組み立て、というよりもバルサのディフェンスラインの裏側へロングボールを入れて後方へ走らせるのを目的としているようでした。ディエゴ・ミリートがボールを追いかけることでプレッシャーを与える。あるいは、クリアボールを拾える位置へと素早く動いて裏へ持ち込むドリブルを開始する。あまり大きな変化はないもののピケかトゥーレ・ヤヤが明確についておかなければならず、ディフェンスラインを高く保ち続けることが出来ず、ボールを奪われる度に下がって展開をしなければならない。攻守の切り替えによってフォアチェックをしてバルサも前から奪いに向かう姿勢は強く出していたんですが、ロングボールを蹴って逃げるだけで済ますことが出来るインテルは、それによってチェックの前に蹴って逃げることが出来、高い位置で奪わせてもらえなかった。それどころかセンターバックがその対応に下げられてしまうためにピボーテが受けるために下がらざるを得ず、全体を伸びさせて素早いパスワークをさせてもらえなかった。
インテルがまだ高いラインを保とうとしてくれていれば、押し下げられたとしても全体の距離を近づけてパスによってゾーンを動かすことが出来ていたのかもしれませんが、インテルの守備設定が低いために相手のエリアに大きく入り込めるものの、距離を伸ばされているために守備の陣形を整える時間を与えてしまっていましたし、パスを横に動かして相手のゾーンを動かそうとしても、最初から中央を固めておけばいいラインにまで下がってしまっているため、横パスで相手を動かすことはかないませんでした。

後方に人数を集められていることから中央を利用することは難しく、イブラヒモビッチは第一戦のように屈強なルシオとサムエルの二人にマークされないようにサイドバックとセンターバックの間にポジションを取る回数を増やし、ある程度ボールを受けられるようにはなっていましたが、前後左右にスペースが無く、連携を取るのも難しかった。本来居るべき中央にはケイタが後方から上がってはいる回数を増やしていたものの、ディフェンスラインの前に並べられた中盤の壁によって縦パスを利用することは難しく、バルサもロングボールで後方へ押し下げられるのを嫌がるかのようにチャレンジする回数を減らしてしまっていたために最後尾を相手に仕掛けることは出来ていませんでした。

状況がより決定的になったのはチアゴ・モッタが退場になってから。セルヒオ・ブスケツの演技ともいえる大げさな倒れ方の前に彼が退場になったことで、よりインテルは守りの姿勢を強くしてしまい、全員で引いて守りきる決意をさせてしまった。
バルサはディエゴ・ミリートの脅威から解放されたセンターバックまでもを上げて攻撃に加えることができるようになったものの、エトーがサイドの守備を担当し、より中央を固められてバイタルエリアを埋められてしまうことになってしまった。シャビのポジションも一段上げられるようになったものの、そのバイタルエリアを利用できないために、手前でパスを回すかダニエウ・アウベス、あるいはペドロのワイドな位置でしか展開を目指せず、相手中盤の背後でボールを受けられず、キーパーとの距離が近いディフェンスラインの裏を使うには距離が長く精度を出せず、相手にも予測をされて対応されてしまう。もっと多くドリブルを仕掛けて相手の注意を引きつけていられれば、そういった展開を狙えていたのかもしれませんが、メッシのドリブルは左足のコースを明確に切られて、中盤と最後尾の二つのラインで守られ、コースらしいコースを用意できていませんでした。他の選手に対しても縦のコースを緩く切り、それぞれの距離を縮めているために前へ向かってスピードに乗ることが難しく、サイドの選手にしてもそこで止められた後、足が止まってから利用するしか無く、停滞した状態からクロスや突破を求めても難しく、それをしたとしても中の変化が乏しく、掴まえられていて可能性を感じられませんでした。
後半に入ってからマクスウェルがガブリエル・ミリートに代わって投入されたことでペドロを中に入れられるようにはなりましたが、相手が最初から引いているために全体が前へ向かうスピードを持つことができず、大きな変化をもたらすことは出来ていませんでした。

相手の術中に嵌ったまま試合を進められ、裏へ出されるボールで後方へといったん下げられて連続して攻撃をさせてもらえなかったり、抜く意識を持たないドリブルで時間を稼がれファウルを犯してしまったり時間をインテルの思い通りに使われてしまうことで、より嫌がるようになり、なるべく確実にボールを失わず、自分たちの時間を保持しようとするかのように相手のバイタルエリアへ無理にでも入ってしまう動きはなく、センターバックとも戦わず、どこか、得点を何としても取る、という意識が足りないようにすら見えるほどでした。

唯一挙げられた得点は恐らくオフサイドだったでしょう。奥でムンタリがラインを崩しているために副審が旗を上げなかったんだとは思いますが、とりあえずオフサイドだとされてもおかしくなかった。だたそこが問題なのではなく、あの場面ではシャビとメッシが横パスを交換することで相手の中盤、バイタルエリアを埋めている三枚を上手く引き剥がしてしまうことが出来ていて、パスを出すときに存在するのはフラットなディフェンスラインだけになっていた。それまでは二つのラインを相手にパスを出さなければならずカットされていたのが、あの場面ではたった一つのラインを相手にするだけで済ませられていたからこそパスが通りチャンスになった。その少し前にあったボヤンの飛び出してのヘディングシュートも同じく、中盤を横に動かして前にいたのはディフェンスラインだけだった。
この形をあと何度か出来ていれば、もっと早い時間に出来ていれば、得点の可能性は広げられていたでしょうし、少なくともインテルのゴールを脅かす回数は大幅に増えていたでしょうね。
トゥーレ・ヤヤのハンドでボヤンのゴールが認められなかった場面も、審判が見ていた位置を考えると仕方が無く、二試合共に運がなかったというしかありませんね。

UEFA Champions League Semi final 2ndLeg リヨン対バイエルン・ミュンヘン

2010 年 4 月 28 日 水曜日

■Lyon 0 – 3 FC Bayern Munchen
怪我人などによってセンターバックに問題を抱えるバイエルン・ミュンヘンは、デミケリスはベンチからのスタートになったものの、先日のブンデスリーガで負傷退場したヴァン・ブイテンを出場せざるを得ず、バドシュトゥバーがセンターバック、同じくコンディションの不安視されていたコンテントが左サイドバックを務めることになるいくつかのハンデを背負っていました。加えてリベリーを第一戦の退場から欠くことになっていましたが、リヨンもトゥラランを欠いていることと、第一戦のような長距離のバス移動が存在しないことと勝利してこの試合を迎えられたことを考えればバイエルンは多少有利な状況だと言えるのかもしれません。

最初にチャンスを迎えたのはバイエルンで、クリスが処理ミスをしてオリッチが持ち味のプレッシングによって奪いつつ裏へ抜け、中で待っていたフリーのミュラーにパスを出し、絶好のチャンスを得たんですが、外してしまい、不安定な試合開始の状態で一気に大きなリードを手にすることは出来ませんでした。

リヨンはある程度の高さにディフェンスラインを保ち、コンパクトな守備の中で前からチェックに向かい、バイエルンのディフェンスラインに余裕を持たせないようにして、少しでもコントロールがルーズになれば奪ってしまおうという姿勢が見えていました。それぞれが相手を掴まえておくために運動量を豊富にしながら縦のコースを切り、ボールを受ける瞬間には強く寄せてボールを後ろに下げさせ、前へのドリブルの展開をさせず、前への意識を削るには十分な守備をしていました。
相手を掴まえるための運動量はそのまま攻撃に繋がり、サイドにボールを預けて展開することの多いバイエルンに対してリヨンもサイドを意識した守備をしていた。そこから攻撃に移るときにもサイドのバストスらを利用したものが多く、サイドバックの裏を狙ってフィードをして、そのこぼれ球をオーバーラップしてきたサイドバック、あるいは中央が広う形が多く見られました。デルガドもゴヴーもサイドでプレイでき、バイエルンの高さやハイボールに対する処理に難のあるサイドバックとフィードに競り合うことで中央でヴァン・ブイテン相手に空中戦を挑むより遙かに確率がよくボールを収められていました。さらにサイドから攻めることで、バイエルンの特徴でもあるセンターバックがサイドのケアに出てきてしまう部分を利用して、ヴァン・ブイテンやバドシュトゥバーを引き出し、さらに裏を使って薄くなった中央へクロスを入れてくるのが主な形のようでした。
流れてきて受けようとするリサンドロ・ロペスやバストスをバドシュトゥバーやコンテントは掴まえ切れておらず、フィードに対応させてしまっていて、またヴァン・ブイテンも右に流れてこられると対応しなければならない。その時にリヨンがしているように前を向かせないぐらいに密着していられれば問題ないんですが、バイエルンの守備はそれほど相手に密着できておらず、動かれた後に動き出し、後手を踏む形で相手にボールへ先に触れる環境を提供してしまっている部分がありました。

両者のサイドでの攻防が序盤の主な部分で、バイエルンの攻撃もサイドに人数を割いたものでした。アルティントップは右でプレイする時よりも大きくサイドを利用する意識が強く、タッチライン際を縦にドリブルで利用をしていましたし、ロッベンにはシッソコを中心としてマークをつけておく。両サイドにきっちりとした起点を作りながらもバイエルンには多少の焦りに似たプレ猪狩、ファン・ボメルやヴァン・ブイテンが積極的に縦パスをフォワードに出してボールを失ってしまっていた。両ウイングが相手を引きつけておけるお陰でリヨンの中央に守備の厚みが無くなり裏を狙いやすく見えることもありますし、カウンターになれば縦のコースを切れていたマークも付かないために早めに裏を狙って、というのも理解は出来ましたが、距離が長くカットされやすく、効果的だとは思えませんでした。
それでもバイエルンは先のブンデスリーガで見せたような先細りの展開ではなく、しっかりとワイドに使っていることは大きく、ロッベンが中へポジションを移せばラームが大きく空いたスペースへと上がり、左はアルティントップが使い、コンテントがサポートする。きっちりとペナルティエリア横までドリブルで持ち込んでいましたし、サイドバックとの連携もできている。あとは中へ勝負する姿勢が見られれば最高の状態だったんですが、それを見せるよりも早く得点をしたことでそれ以後はそこまでをする必要が無くなりましたし、試合の大きな流れを決めてしまっていました。

ロッベンが中に入った状態でスローインになり、そこからさらに左にまで進出したことでリヨンはそれぞれがマークする相手を失い、全体のゾーンに幅を持たせることも厚みを持たせることも出来ていませんでした。中盤の選手たちの足は止まっていて裏へ抜けるミュラーへ対応したのはディフェンスラインの選手たちだけ。他がただ足を止めて見ているだけでスペースを埋めようともカバーに向かおうともしていなかったことがオリッチのゴールを呼び込む結果になっていました。

この得点によって三点が必要になったリヨンは苦しく、それまでのようにマークの厳しさをもたらすことが出来なくなり、バイエルンの縦パスに対して予め寄せて前を向かせないようにしておくことが殆ど出来なくなってしまっていました。攻撃にしてもサイドでまず受けさせて裏へ抜ける一手間をかけることが少なくなり、中央に寄った位置で直接裏へ狙うことも多くなり、サイドで落とせていたからこそ利用できていたクロスも回数を減らしてしまい、きちんとした形を作ることができなくなってきていました。失点後のチャンスをバストスが決めていれば、まだ違った展開をもたらすことが出来ていたのかもしれませんが、それも外してしまったことで大勢は決まってしまってしまい、試合を落ち着かせてしまった。

バイエルンは守備に重点を置くだけで問題なく試合を運べるようになり、中盤のシュバインシュタイガーとファン・ボメルを攻撃のサポートのために前へ上げることなく、相手のカウンターとなる一歩目を押さえるため距離を縮めておけるようになり、前を向かせる回数も減り、後ろから追いかける形の守備も減り、安定をもたらしていました。攻撃は、リヨンが三点を必要としているために人数をかけていられなくなったことや、予め掴まえておけなくなったことで、カウンターを中心として少ない人数でも前へ勝負をすることが出来るようになり、ミュラーやオリッチが相手を引っ張りつつロッベンをフリーにさせてドリブルで仕掛ける。裏へボールを出して走らせる回数を増やし、リヨンのディフェンスラインを下げさせて運動量を増やす。距離を伸ばして精度の高い繋ぎをさせないようにしていき中盤の人数を減らして掴まえやすくする。

後半になってリヨンがフォワードの枚数を増やしたとしても、状況は大きな変化をもたらしませんでした。後半開始直後こそリヨンが多少の守備の復活を見せたものの、2トップにした効果が現れず、フィードにフォワードを競り合わせる回数は増えたものの、ゴミスはディフェンダーを背負ってのプレイが上手くなく、フィードへの対応もそれほど高い精度を持って出来ておらず、バドシュトゥバーにすら後方から抑え込まれてマイボールにする回数が増えたとは言えませんでした。前へ人数を送り込むことが出来た程度でしか無く、徐々に攻撃へと傾く意識が守備を疎かにさせて、バイエルンのカウンターをさせるようになってしまい、クリスの退場へと繋がっていく。

あのファウルの判断は仕方がないとしてもカードが出されるほどではありませんでした。深く入っていたもののスライディングはボールへと入っていて、イエローカードを提示するような悪質さはありませんでした。その後の審判を侮辱するような行為にカードが出されたことは仕方がないとしても、大きく試合を壊す判断だったのは間違いなく、ファウル自体の悪質さで言えばその後にあったマクーンとアルティントップとの接触の方が上でしょうし、そちらにこそカードが出来るべきでした。

これで数的有利にもなったバイエルンは、後方でボールを回しつつワイドに開いてカウンターのボールを引き出し、裏を狙って効率のいいサッカーを展開するようになり、無理をせずしてしたたかにオリッチの二点目を演出しました。リヨンはもう守備時にディフェンスライン一枚の人数しか揃えておけず、厚みを用意することは出来なくなっていましたから防げるものではなく、状況からも集中力を持続できているようにも思えず、さらにバイエルンの勝ち抜けを確実なものにし、より一層の意識を削られて、リヨンは組織としての攻撃は望めなくなってしまいました。こぼれ球を拾うための運動量も出せず、組織的な崩しも縦の連動も乏しく、オリッチのハットトリックを演出しただけ。

ここまでの余裕が出来てしまったバイエルンは、ブンデスリーガのために休ませる交代までもをしてこの試合を締めくくったものの、マッシモ・ブサッカ主審がもう少し違った判断をしたり、リヨンにいくつもあった決定機を枠に飛ばすことが出来ていれば十二分に解らない展開に持ち込めていた可能性があるわけですが、それでもいくつかの場面で見られたリヨンの徹底不足とオリッチのコンディションの良さを考えれば結果は変わらなかったかもしれません。

Bundesliga 32. Spieltag ボルシア・メンヘングラッドバッハ対バイエルン・ミュンヘン

2010 年 4 月 25 日 日曜日

■Borussia Monchengladbach 1 – 1 FC Bayern Munchen
バイエルン・ミュンヘンはチャンピオンズリーグの第二戦を控えているんですが、メンバーをローテーションさせる様子はなく、いつものメンバーにファン・ボメルが足りないだけでした。もっとブンデスリーガで抜け出せていればメンバーを落とすことも可能だったんでしょうが、そうではないためにこうせざるを得ない、ということでしょうか。

スタートからボルシア・メンヘングラッドバッハはゾーンで守り、予め選手を掴まえておくのではなく、ボールを持った選手に対してアプローチをするスタイルを取っていました。多くのクラブが、ロッベンやリベリーに対して事前に激しく当たりながら苛立たせようとしていることを考えればフェアなスタイルだといえるわけですが、相手を抑えることを考えるなら非常に緩やかで相手に自由を与えているとも受け取れるものでした。それら重要な二人だけではなく、それ以外の部分に対しても総じてマークは緩く、ポゼッションを高めやすい環境にしてもらっていました。バイエルンの選手たちはゾーンの隙間に入って、簡単に縦パスを受けて、振り向く時間をもらえていて、ドリブルで仕掛けることも出来る。縦のコースを切られている場面でも横パスで逃げることは十分に出来るわけで、左は消極的なバドシュトゥバーが担当しているためにあまり上がりを期待できませんでしたが、右はラームを押し上げてワイドに展開することも出来ていました。

多くの場面でリベリーにドリブルで中へ切れ込む隙を与えていることから縦のコースだけではなく中のコースを切らなければならなくなっているんですが、それをできておらず、中に入った後の縦を切るだけで精一杯になっていました。多くの選手がそれに注意を引きつけられてしまっていて、後方から上がってくるシュバインシュタイガーらを掴まえきれず、ディフェンスラインの前に大きなスペースを用意してしまって、ミドルシュートを打たれたり、再展開を許してしまう。いつもであれば、バイエルンがセンターバック間でボールを回すことも多いんですが、縦のパスコースもそれほど切られていないお陰で、センターバックから前へボールを配球するのにも困っていませんでした。

徐々にスローなスタートから変化をしてきたのは最初のロイスのチャンスからでしょうか。決定的な形を一本作ったことで精神的な余裕を持つことが出来たようで、それまでは緩やかなゾーンのマークに加え、チェックも緩く自由にさせていたものを、運動量を増やして縦のコースを防げるようになっていった。素早くポジションを修正するようにもなってきましたし、球際の激しさから接触プレイが増えてもいましたが、それらはバイエルンを抑えるためには必要なプレイで、まだゾーンで守り、相手を掴まえておけておらず、ボールが来たところを抑えようとする姿勢は変わりがないものの、試合が締まり始めたように見えていました。

グラッドバッハは繋ぐサッカーをせずにボバディージャを走らせることを中心としたサッカーをしていて、距離の長いボールを裏へ出させたり、フィードを体でキープさせたり、彼の働きによって押し込まれ続ける状況から逃れていました。全体を引いてペナルティエリア付近に集めているため、人数をかけた展開は出来ず、バイエルンの前からのプレッシングによって奪われてしまうリスクを考えて一歩目が遅くなっているのもボバディージャに頼らなければならなくしている様子でもありました。ただそのカウンターにはロイスや右からヘルマン(でカタカナ表記はいいのかな)が加わることで少ない人数ながら縦の勢いを出せていましたし、ある程度形が出来てフォアチェックを切り抜けられるとバイエルンのポジションを押し下げることにも成功するようになっていきました。
前線の選手たちが容易に失わずにカウンターを行うことで、バイエルンが高く保てていたラインを下げざるを得ず、前線のサポートを中心としていたシュバインシュタイガーやプラニッチもポジションを下げてしまう。そうなっていくとロッベンやリベリーをサポートする人数が減り、いくらスペースがあり、ドリブルをスピードにスピードに乗って行えていたとしても独力で攻めざるを得なくなり、複数人で受け止められてしまうようになる。前の人数が足りない状態でクロスを選択されても、ミュラーは不安定なポジションで得点を取れる場所におらず、オリッチには高さの恐怖は少ない。徐々に崩す形を作れなくなり、ペナルティエリアの外からシュートを打っているだけになってしまっていきました。

後半になって、デミケリスを下げてコンテントを投入したことで、グラッドバッハのサイドを大きく利用する意図が出始めていました。相変わらず緩いゾーンの中でプレイしていくことも難しくないんですが、バイエルンのシステムの関係上ウイングがボールを持っても中でサポートできる選手がおらず、中へ預けてもう一度動き直す選択ができない。さすがにリベリーやロッベンでも中のコースを切られ続けた状態でプレイするのは難しいため、両サイドバックがウイングとの連携をして追い越し、相手のマークを一枚引きつけておくようにする。それで減ったマークをかわして中へ切れ込む、という形を多く見せ、グラッドバッハが律儀にも毎回サイドバックのオーバーラップにつきあってくれているために、ある程度効果的でした。

グラッドバッハは低いラインで耐える時間が多くあったものの、クリアやフィードを焦ってフォワードを無駄走りさせていた印象は少なく、特にアランゴが自陣深い位置でキープをして、ボバディージャらに正確なフィードを出して預けられるのは、彼のプレイスタイルからすれば本来のものだとは思えませんが、非常に大きな貢献でした。

そこまで非常に頑張って攻撃を牽引して、バイエルンに一方的な攻撃をさせなかったボバディージャとロイスの二人によって先制点は得られたんですが、バイエルンのミスというよりも二人の動きが上回ったからこその得点だったのかもしれません。その少し前にヴァン・ブイテンが怪我をして全力で走れない状況だったことも影響をしていて、ロイスのポストプレイ後の動き直しに全くついて行けておらず、コンテントもそれを加味して絞れていなかった。そもそも負傷した段階で交代をし、ティモシュチュクをセンターバックへ入れるタイミングを早めることができていれば防げていた一点だとも言えるかもしれませんね。

バイエルンの攻撃は、先制点を取られたことから得点を急ぐばかりにウイングがサイドのスペースを利用しなくなり、相手サイドバックの外側にある、比較的自由に使えるスペースへ入り込まなくなってしまっていました。そこを使うのはサイドバックの役目と言わんばかりに中へと急ぐようになってしまったため、攻撃が中に寄ってしまって相手が守る範囲を中央に集めやすくしてしまっい、密集して蓋をされているところへ突っかかっていくだけで抜くことは難しく、形としては押し込んでいるため中央のプラニッチやシュバインシュタイガーも積極的に上がっていくことが出来ているんですが、前がふさがっているためにミドルシュートぐらいしか選択肢はなく、相手をワイドに広げる役割を担ってくれる人が欲しい状況でした。後半開始時にあれだけ律儀にサイドバックに釣られていたのを利用できていればよかったんですが、それは同点ゴールまで待たなければなりませんでした。

同点ゴールはラームのアーリークロスからだったんですが、ずっとフリーになれるスペースだったその相手サイドバックの外側を利用させてもらってのクロスでした。もっと深くまで入り込むことも可能だったんですが、相手の視線をサイドに向けさせておくことでクローゼにかかる集中を削いで効果的な動き出しをさせていました。
ただ、この得点以後にそのサイドを利用する形を継続することは出来ておらず、ウイングは中へと入りたがり、連動した縦の崩しは見られず、グラッドバッハもサイドに人数を割いて縦のコースを切るようになってしまった。そうなってからではさすがに同じようなプレイで崩すのは難しく、追加点は奪えず、逆転もできるようには思えませんでした。

Liga Espanola Jornadas 34. バルセロナ対ヘレス

2010 年 4 月 25 日 日曜日

■FC Barcelona 3 – 1 Xerez
チャンピオンズリーグの第二戦を控えていくつかの選手を休ませ、代わりに出場機会の少ないメンバーを出場させていました。メッシは久しぶりにベンチからのスタートになり、ウイングにはジェフレンとアンリの二人。センターバックにもダニエウ・アウベスが出場停止の関係から左にチグリンスキが入り、右にマルケス、サイドバックにはプジョルと、チャンピオンズリーグではピケとガブリエル・ミリートでコンビを組ませると予想できるような布陣でした。

序盤は全体の運動量に乏しく、組み立ての際にトゥーレ・ヤヤがセンターバックの間に入り、その三枚から出されるフィードを中心とした組み立てとなっていて、ショートパスで繋いで相手を揺さぶる様子は見られていませんでした。ヘレスは一定のラインを保っていたものの、バルサが慎重な立ち上がりをしてしまったことで全体が間延びをしてしまって前後の分離が目立ち、パスを繋ごうとしても距離があることからカットされやすく、選択しづらい状況にありました。トゥーレ・ヤヤが主に引き出す役割を担いながら、シャビがその先へボールを受けに戻ってくる。しかしスピードが物足りないこともありますし、きっちりと戻ってくるシャビにマークがつき、前を向かせてもらえないためにボールを出す場所として選択をするのは難しく、サイドバックは高く上がらずウイングもボールを受けるために必要な動きをしてくれない。そういった運動量が少ないところをヘレスはきっちりとマークについて掴まえようとしているために、後方から見るとパスを出しづらい環境になっている。特に縦のコースを抑えられているのは大きく、ボールを前に運べず、横もサポートが無くなかなかボールを入れていけない。ただ、ヘレスは引いて受けに来る中盤にもマークをつけたままであり、人数を多くしているディフェンスラインも後方に残したままで、ディフェンスラインの前に広大なスペースを用意してくれていました。問題なのはバルサがそこを利用しようとしておらず、利用できそうな選手も居なかったことでしょう。先制ゴールもそこを利用することなく、一足飛びに裏へ飛び出すジェフレンへとボールを出してのゴールでした。

バルサは先制点を取ったものの連動した攻撃は出来ておらず、散発的な動きから限られたチャンスを作り出すだけで、バイタルエリアに入り込めているのはケイタがドリブルで利用する程度でしょうか。人数をかけた攻めが出来ず、高い位置に人を送り込むことが出来ていないことから前での守備も機能せず、足が止まっている状態でパスを受けようとしていることがフォアチェックの出足の遅さにも繋がっていて、奪われた瞬間に前へ出て奪い返すいつもの形を作れず、サイドを使われてしまいバルサはラインを踏みとどまらせることが出来ず、ずるずると下がるきっかけを作ってしまい、ウイングを守備にも奔走させなければならなかった。アンリがマクスウェルの外側まで大きく戻って何度も守備をしていたのがその形で、あそこまで戻ってしまえば攻撃に回ったときの運動量も必要となるため、前へ人数を入れられない。ただ守備自体はファウルが多かったものの効果的で、マクスウェルの軽い守備からクロスを簡単に入れられなかったのはいいものでした。

守備時に全体を低く保ってしまうことからミスをしてしまえばそれがサポートできないほど致命的な場所でのミスになってしまい、失点をしてしまってもおかしくないものがいくつかありました。特にチグリンスキの二つのミスは致命的で、一つはビクトル・バルデスが好判断で防いだものの、二つ目は流石に防ぐための状況は作れなかった。マルケスがさらにカバーのために大きく下がってしまったことからあれだけの強烈なシュートを打つ余裕を与えてしまった部分もあり、失点の形とピンチを作った形は非常に良くないものでした。

失点をしてから多少はバルサが人数を高く置いておけるようになったもの、効果的なボール運びはまだ出来ていませんでした。バイタルエリアを大きく空けてくれていた部分にも人数が入ってしまうために利用できなくなり多少窮屈さを感じる部分も出てきましたが、相手を圧縮してしまえるようになったことで、ドリブルで仕掛ける空間が出来ましたし、裏へ飛び出すための環境を整えることが出来た。縦のコースを相変わらず着られているもののサイドバックの位置を高く上げられるようになり、バルサがディフェンスラインを上げてコンパクトに保てるようにもなった。そうなることでそれまで前からの守備が出来ずカウンターを受けて下がらなければならなかった場面でも、こぼれ球を拾えるようになって連続して攻めることで解消したり、守備を前から行えるようになり、相手の攻撃を減らし、よりサイドバックのオーバーラップをしやすい環境を作れるようになっていました。

徐々に改善の傾向は見られていたものの、ヘレスがコンセプト通りにバルサのピボーテの所を抑えてセンターバックをフリーにしているだけなのに、センターバックからのパスが安定して出せないまま、そこは改善の様子が見られませんでした。サイドバックが引き出しても縦のコースが無く、フォワードらは受けるために戻ってこず、ある程度の高さまで持ち上がったとしても、直接得点に繋がりそうな場面以外では足が止まっていてパスコースを作る動きも、スペースを作る動きもしない。個人がドリブルで打開するしか無く、パススピードも上がらず、考える時間も長い。

後半になると改善をするどころかより一層流れを失ってしまい、ミスも増えて同点にされそうにもなった。バックパスの窮屈さからビクトル・バルデスが蹴り損ねて相手へのパスにしてしまった。なんとか自分自身でシュートを防いだお陰で同点にはされずに済んだものの、あまりにもお粗末なミスで、その直後にも右サイドバックの裏を取られてクロスをヘディングシュートされてしまったり、跳ね返されたボールが直接裏にでてピンチになったものもあり、いつ失点してもおかしくないほどのミスが続いて、休ませるはずだったメッシとピケの投入を余儀なくされてしまいました。

それまで活発に動けていたのはトゥーレ・ヤヤが攻守両面において自分で持ち上がったりサポートをしたり幅広く顔を出していた程度で、ケイタはバランスを取っていたものの、それ以上の働きは出来ておらず、他も散々で明確な収め所すらも用意できていませんでした。メッシが入ったことで、スペースのある場所へとポジションを移しながらパスを収める役割を担ってくれ、そこから縦や左右の展開をすることができるようになった。彼がボールを持てばそう簡単には失わないことで全体が連動する手助けになっていましたし、注意を引きつけてくれるお陰で後方からのパスも安定して縦に収められるようにもなった。三点目が入ったことでヘレスのマークが緩くなり、それと同時にバルサが連動して動けるようになり運動量も増やしたことでマンマーク気味に抑えられていた選手たちもボールを前を向いて受けられるようになった。シャビも同じく前を向いて受けられるようになり、ポジションも一列前にいられるようになり、フォワードもボールを受けるための動きをするようになり、全体が活性化されたような印象を受けるほどにもなりました。

全体が連動して動くことができるようになったことで ボールを奪われた瞬間にも足が動いていることからフォアチェックもできるようになり、高い位置でボールを奪い返せるようにもなりましたし、センターバックが抑えておかなければならないエリアも狭まり、深く入り込まれる回数も大幅に減り、ラインコントロールも頻繁に行えるようになってコンパクトに保て、守備も安定できるようになっていった。

そのままで追われれば何も問題はなかったんですが、ヘレスの、悪質な、と表現してもいいような掴みかかる守備を多くされてしまい、バルサの選手も熱くなってしまいましたし、それ以上に苛立ちが前面に出たヘレスの選手たちによって危険なファウルも数多くされてしまうようになった。ボヤンに出された不可解なカードに代表されるように、主審が試合をコントロールし切れていなかったことがそれを助長してしまい、異常な状態を作ってしまっていました。メッシが相手をより苛立たせるようなボールキープをしたのもヘレスの守備に対する苛立ちからでしたし、両者共に良くない部分があったとしても、ヘレスの試合を壊すためのラフプレイは非常に良くないものでした。バルサもそれに付き合うことなくパスを安全な位置で回しておけばよかったんですが、そうしなかったためにより状況が悪化しましたね。大事な試合を控えているのだから怪我を避けるためのプレイを選択して欲しいところでした。

UEFA Champions League Semi final 1stLeg インテル対バルセロナ

2010 年 4 月 21 日 水曜日

■Inter 3 – 1 FC Barcelona
序盤からバルセロナは運動量が少なくポジションチェンジも多く行えていませんでした。パススピードも通常より遅く、相手に寄せられるだけの時間を作ってしまい、動き直しの少なさと判断にかかる時間からテンポよくボールを回していけず、さすがにバスでの長距離移動の影響が出ているように見られていました。
それでインテルの入り方のお陰でつけいる隙はあり、センターバックにまで強くプレッシャーを与えたり、受けに戻るシャビやセルヒオ・ブスケツにマンマーク気味について構築のリズムを与えないようにするものではなく、パスコースを切っておくことやスペースを埋めることを中心としていて、極端なまでのプレッシングをしてこなかったお陰で余裕を持ってパスを繋ぐことが出来る要素がありました。
ただイブラヒモビッチであったりメッシにはきっちりとセンターバックが受けに戻る動きにも対応してつくことで、縦パスを簡単に収めさせて起点とさせることは避けていましたし、バルセロナは待ち受けるそれらの守備の手前でパスを回すことが多く、フォワードとの距離を広げてしまっていて、振り向けないように縦を抑えられているとしても縦パスのコースをインテルが空けていることを利用し切れていませんでした。

インテルの攻撃は明確でバルセロナのディフェンスラインが押し込む形になっている以上、ハーフウェーライン付近にまで進出する回数が多かったんですが、その裏側を利用しようとするものでした。上がったサイドバックの裏にディエゴ・ミリートが飛び出す形を多く作り、比較的長距離からでも同じようにボールを出してバルサに後ろ向きの守備と運動量を強いていました。しかしインテルの狙い通りというよりは、序盤は特にバルサがそうさせている面がありました。中盤でのプレッシングと相手のバイタルエリアやディフェンスラインに攻撃の人数を入れられていないことから守勢に回った瞬間に中央に人数がいる。インテルはそこで繋ぐことが出来ず、サイドにボールを出していく回数を多くさせられ、中のコースを切られて複数人のチェックをバルサから受けていた。そうしてサイドに追いやられることで縦パスを利用するしかない環境を作れていたんですが、バルサはそれを徹底することが出来ず、最初のピンチの場面のように、外から中のコースを切って防ぐことが出来ない姿もいくつか見られていました。サイドへ押しだそうとしている以上、そこで受け止められなければ、中央の人数は少なく、ファーサイドには存在しない。センターバックが前と後ろの両方の対応をしなければならず、難しい対応を迫られることになる。同点に追いつかれた場面もそうでした。

この試合のメッシのポジションはいくつかの試合よりも不明確で、どの役割も担えていませんでした。序盤は相手のディフェンスラインを下げさせているイブラヒモビッチとの距離を広げ、インテルを間延びさせて手前で受ける役割を担っていた。シャビが下がってボールを受けることが多いためにフォワードとの中間に位置して収め所と慣れれば良かったんですが、いたずらにイブラヒモビッチとの距離を広げて孤立させてしまうばかりで、シャビと同列でプレイする回数も多くありませんでしたし、振り向いて左右へボールを散らすことも出来ていなかった。相手を引き出す役割は果たしていたんですが、それ以上の選択肢を与えることが出来ておらず、バルサが相手陣内に人数を入れられない要因の一つになってしまっているようでした。

メッシやイブラヒモビッチが受けに戻ることで、インテルのセンターバック、ルシオやサムエルを引き出してディフェンスラインに多くのギャップを生み出すことが出来ていたんですが、殆どの選手はそれを利用できるような位置におらず、動きもしていませんでした。ペドロが辛うじてそれをしようとしていましたが、他はポジションが低すぎることもありましたし、全体を押し上げる時間も得られておらず、サイドバックを大きく広げて相手を左右に揺さぶるようなプレイも選択していなかった。それより一つ前のケイタらのところで左右に動かそうとすることはありましたが、相手のマークが近い状態でそれをやってしまうためにボールを失う回数も多く、相手だけを疲れさせることも出来ていませんでした。

後半になるとインテルの守備には力強さが増して、ディフェンスラインや中盤への圧力をかけられるようになってきていました。シャビやセルヒオ・ブスケツにも安定して持つだけの時間が得られず、後方で時間を使わせてくれるのが減ってきていました。またカウンターから裏へ抜ける動きを直接するために、センターバックのピケやプジョルらにはディエゴ・ミリートやエトーらが張り付く形になっていることが多く、こぼれ球を拾って連続してバルサが展開し続けることができない一つの要因にもなっていました。

運が悪かったのは二点目の部分で、メッシのところでチアゴ・モッタのファウルを取ってもらえなかった。この試合多く見られたパターンでしたが、バルサの選手がアピールをしたり倒れてもファウルの笛を取ってもらえず、カウンターを受けることがあった。この失点もそうで、メッシのところでファウルを取ってもらえなかったことで相手の流れを止めることが出来ず、ディエゴ・ミリートがそれまでと同じようにサイドバックの裏側へと流れながらボールを引き出し、得点のお膳立てをした。

三点目を奪われた場面は一度はボールを奪いながらも不用意な繋ぎから失点の形を自ら作ってしまった。あの状態での対応は難しいものがありましたが、マクスウェルの対応はよくなかった。最初の失点の時にはエトーに近づかずクロスを簡単に上げさせたまずさもありましたし、二点目の時のポジショニングを迷った動きも、そしてこの三点目も相手のとの距離を広げすぎていたり中途半端であったり、アビダルの投入を後半開始時からでも良かったのでは、と思えるほどにいつも通りの守備の脆さを見せていました。

ただその失点の前にはバルサがダイレクトでボールを動かす回数が増えていましたし、ポジションの修正も多くなって相手を引き剥がす動きもある程度は出来ていようになっていました。まだ活発なポジションチェンジで相手に掴ませないようにしたり、一人が動いたギャップを連動した動き直しから利用できてはいませんでしたが、鋭さをもたらす要素はありました。イブラヒモビッチが孤立している場面は変わらず多かったんですが、それでもメッシのポジションを近づけて連動する兆しは見えていました。ルシオやサムエルに捕まれっぱなしで苛立っている様子は見られましたが、二点差となってフォワードを削る選択肢に使うのはどうだったんでしょう。コンディションの問題かもしれませんが、近くでプレイできる選手を追加することでより改善してチャンスを生み出せていたかもしれません。

形式上はメッシのワントップとなったことでイブラヒモビッチが相手を押し下げすぎて前後の分離の原因になっていたものがなくなり、全体を押し上げてコンパクトに保つこともできるようになりましたが、コンパクトに保てるようになれば右のダニエウ・アウベスを多く使えるようになり、クロスを多く入れられる。そうなったときに中に高さが無くなってしまうのでケイタが中央にポジションを取るのを待たなければなりませんし、ニアサイドで戦ってくれる選手が居ないために相手がそれに釣られてしまわず先制点のようなマイナスのクロスを選択できない。中央を利用してもバイタルエリアに入る選手が少なく、センターバックと戦う選手も居ない。多くが受けに戻ってきてしまい、インテルが押し込まれて厚みを失っていてもバルサの選手たちが受けに戻ってくれることで守備に厚みを取り戻すことは難しくなく、中央で誰も戦わなかったためにインテルは楽に守れていたでしょう。メッシのドリブルもスピードの変化に乏しく、相手の注意を引きつける効果も薄いものでしたし、他の選手にしても自分から仕掛けていく意識が低く、ボールを失ったときに切り替えて奪い返すことも難しい状態でした。

イブラヒモビッチを下げてしまったことで、ピケが上がってパワープレイのようにしなければ高さが足りず人数もたりなかった。ケイタとマクスウェルのバランス感覚で成り立つ状態というのは流石に無理があるわけで、ピケを上げるぐらいならフォワードを追加しておくべきでした。特に二度はあったゴール前のチャンスをピケの鈍重さから決めきれなかったのは大きく、他の選手であれば決めていたかもしれません。もちろん、他の選手であればチャンスにならなかった可能性も大きくあるわけですが、交代枠を一つしか使わなかったことに対する疑問にも繋がるわけで、非常に良くありませんでした。残り時間が少なくなるにつれて前線の足が止まってしまい、シャビがボールの出し所を失ってジェスチャーで受けに来る選手を要求するようになっていたこともありましたし、活性化する意味でも選手交代は必要でした。

これで後一点取れていれば可能性はあったのかもしれませんが、モウリーニョ・インテルを相手に一点も取られずに二点を取らなければならなくなったのはかなり難しい状況ですね。恐らく第二戦はバス移動をしなければならない状況にはないでしょうから、コンディション面でのアドバンテージも期待できない。そんなナンセンスな期待をしなければならない、と思うほどにバルサの状態は悪かったですね。審判の問題は通常の試合の範囲内だと思っているので、どちらに有利だった、とかは言いたくない。

Liga Espanola Jornadas 33. エスパニョール対バルセロナ

2010 年 4 月 18 日 日曜日

■RCD Espanyol 0 – 0 FC Barcelona
最初からリズムに乗れず、エスパニョールにある程度の主導権を握られてしまった原因は守備的な先発メンバーの影響だったのかもしれません。マクスウェルを一枚前に上げていましたが、それをウイングとして展開するには守備的な要素がついために実質的なフォワードは二枚でした。ペドロとメッシともに体を張ってプレッシングに耐えて味方の押し上げを狙うには非力でサポートを必要とするタイプでしょう。しかしながら中盤の構成がドブレ・ピボーテに近く形成されていて、二人に近く保てていたのはシャビくらいでしょうか。中央でサポートを行ったとしても相手がプレッシャーをかけるための人数を用意しやすく、この試合ではマーカーを中盤それぞれにつけられてしまっていたためにより悪い環境にありました。
これを解消するためには、これまで多くサイドチェンジをすることでゾーンをずらしてギャップを生み出してきたんですが、この試合ではプジョルが左サイドバックに入ったことから、サイドチェンジをスムーズに行うには利き足が違い、どうしてもテンポが一つ遅れる。タッチライン際でのボールの持ち方や、中へ戻すときにも利き足を意識させられてしまい、左から中への展開を難しくする要因でした。それに加えて、エスパニョールは縦のコースを切ると同時にサイドチェンジのコースへ入り、パスカットを多く狙っていました。
横に揺さぶるにはそれらの条件が邪魔をしてしまって、エスパニョールのマークを外すためには、相手が近い距離を保つことで消耗をしていく、それを待たなければならず、時間を多く必要としていました。

相手を広げてマークの距離をずらしてしまいたかったバルサですが、それができずにカウンターを受ける回数もそれなりに多くありました。ピボーテが二枚いることからサイドバックが中へ絞る必要はいつもよりも少なくても構わなかったはずなんですが、三枚がディフェンスラインの隙間に入り込もうとすることや、フォアチェックの勢いのまま前へ進出しようとしてくることからプジョルもダニエウ・アウベスも中へ絞り気味になってしまっていた。ボールを奪ったとしてもそれでは展開の幅が後方にもてず、ウイングらしいウイングを持たない状態では前に納めることも出来ず窮屈になり、パスミスを増やす原因になっていたように思えます。
また奪われる位置の悪さやカウンターで深く入られてしまうことから、バルサが攻撃に回っても始動位置が低く、エスパニョールのディフェンスラインが崩れた状況で仕掛けていけていませんでした。エスパニョールは攻撃を前方に任せてしまっているお陰で、最後尾の陣形を崩すことなく多くの時間を過ごせていましたし、バルサがそれにギャップを作らせるために裏へ飛び出させたり、それを意識させるパスも出せなかったのも安定して手前で処理させる要因になっていました。

後半になってようやくダニエウ・アウベスが相手のサイドバックが中へ絞った外側を利用して飛び出して相手を押し下げていく動きが増えていきました。フォワードは前半と同じくボールを足下で受ける動きが中心となってスペースでボールを受ける動きもなければ相手のラインを押し下げる効果ももたらせていませんでした。ただ中央に寄ることで右のスペースを空けることだけは出来ており、ディフェンスラインを押し下げてプレッシングを機能させないようにしていく手はずは整いつつありました。そこへアンリとケイタを投入することで、アンリが最前線で受ける動きを見せつつ裏を狙い、相手が手前で処理しようとしているものを裏へ引っ張ってしまえるようになった。動きの質はあまり高くなく、アンリ自体が得点を取れる匂いはそれほどありませんでしたが、相手を押し下げていけるのは全体がスペースを得られるようになり、崩していく可能性を増やしていけるものでしたし中央に意識を集めてサイドのスペースを増やし、ダニエウ・アウベスが利用しやすい環境をより多く作り出して縦の勢いをもたらすことに貢献をしていた。ケイタもウイングとの関係を近くしてサポートが出来る選手ですから、孤立気味だった部分をサポートできる可能性が増えていました。

しかしながら、その良くなったタイミングでダニエウ・アウベスが退場をしてしまったことでせっかく広げて利用できるようになった右サイドのスペースを利用できなくなり、プジョルが右に回ってもリスクマネージメントのために大きくポジションを上げることが出来ていませんでした。

全体のポジションを修正するために中央にいたアンリが左に回ってしまう回数が増え、中央で飛び出す動きをしながら相手を押し下げられていたものが、左に回って様子をうかがう回数が増えてしまい、ボールに触る回数こそ増えましたが、効果的な動きは減ってしまって全体のスペースを生み出せなくなってしまいました。

イブラヒモビッチを投入したとしても、近く保ち受ける動きと飛び出す動きを連動して行えていませんでしたし、サポートも近くで得られず、中央を固められてしまった。横に動かしながら縦を利用できる時間帯ではなく、人数も少ないために難しく、精度がないボールを納めようと動くことが殆どで、イブラヒモビッチらしさを周りが出させてあげることは出来ませんでした。

Liga Espanola Jornadas 32. バルセロナ対デポルティーボ・ラ・コルーニャ

2010 年 4 月 15 日 木曜日

■FC Barcelona 3 – 0 Deportivo La Coruna
イニエスタが怪我をしたほか、コンディションがここの所良くなかったプジョルや、出場機会が多く休めていなかったセルヒオ・ブスケツを休ませて、いくつかの選手を入れ替えて試合に挑んでいました。特に中盤の構成は通常のアンカースタイルからドブレ・ピボーテとしてトゥーレ・ヤヤとシャビを並べるスタイルへと変化をさせ、メッシをより中盤に近い位置でプレイをさせていました。中盤の底に二人を並べているとは言え、役割はシャビを攻撃的に高く押し上げつつトゥーレ・ヤヤが後方をケアするのがメインとなっていて、ディフェンスラインに入る動きもトゥーレ・ヤヤに任されていました。彼がボールを受けて前へ配給をしてセンターバックを大きく広げてサイドバックを押し上げさせる。序盤は特にマクスウェルを大きく上がらせてボールを受けさせる場面が目立ち、ダニエウ・アウベスがバランスを取っていることもありましたが、ピボーテが二枚いることのメリットを活かした戦い方であるように思えました。

デポルティボは全体を引いて守るように固め、ディフェンスラインはペナルティエリア前まで下がる。その手前に中盤のラインを形成して待ち受けておく。二つのラインはそれほど近く保たれているわけでもなく、むしろぽっかりとバイタルエリアを空けている印象すら与えるものでしたが、ボヤン一枚しかそこに入る選手はおらず、ボヤンはディフェンスラインを押し下げておく役割を担わなければならない。ジェフレンもペドロもそういったスペースへ入り込んで仕事をするタイプとは違うために、弱点として存在しているそこを利用することはなかなか出来ておらず、中盤のラインの前でボールを動かすことが多くありました。

デポルティボの狙いがはっきりとしていなかったためにそれでもプレイすることは可能でしたが、中盤を抑えるための布陣であることは確かなようで、シャビやメッシが手前でボールを受ければ、中盤のラインが押し上げられて人数をかけて奪いに来る。連動してそれが出来ているものの最後尾との連動は出来ておらず、前後の動きを連動させていればそれを囮として利用して裏を狙うことも可能だったのかもしれませんが、構成やスタイルとしてそれをバルサが狙っている様子はありませんでした。
それよりも、ディフェンスラインにはプレスもかけられておらず、どんどんとセンターバックをハーフウェーライン以上に押し上げることも出来ていましたし、楽に横に動かせてもいた。最初はマクスウェルがメインだったサイドバックを含めた攻撃も右のダニエウ・アウベスが高くポジションを取ってもフリーであるようになり、ワイドな展開を心がけるようになっているようでした。サイドバックをそうやって高い位置に広げてしまえるために、ウイングを広げて収め所とする必要が無く、中へ絞らせて中央に人数を揃える役割へと変化させることが出来るようになり、サイドバックを起点にピボーテが左右へ動かし、相手のゾーンを広げて動かし、崩した後に縦パスを利用できるようになっていました。

デポルティボの狙いが、バルサに横の揺さぶりを選択させて攻撃を遅らせようとしているのであればある程度成功していたのかもしれませんが、それを狙い通りとするにはあまりにサイドバックをフリーにしてしまい、高くポジションを取らせてしまっていた。縦のコースも塞げておらず、場合によっては深く入ることも許してしまっていましたし、それをさせなかったのはデポルティボが数少ない攻撃をした直後の切り替えでフォアチェックが出来ていたときだけでしょうか。
ただフォアチェックで防ごうとするあまり、すり抜けられてカウンターを招くきっかけにもなっていて、全体の連動と徹底具合は悪く、先制点のきっかけとなったコーナーキックを得た場面もそうでした。

デポルティボのカウンターは時折あるものの、要所要所でマルケスが体を張ってリキが収めようとするものへ当たり、深く入り込まれてしまえばマクスウェルがいつもなら緩い距離感からクロスを上げさせてしまっていたものが、厳しく奪いに行き、体に当ててクロスを上げさせず、きっちりとした守備をできていましたし、危険を感じる部分はコーナーキックのようなセットプレイか縦のフィードをリキとセンターバックのどちらかが競り合う場面ぐらいだったでしょうか。

一点を取ったことで、デポルティボが引いて守っていたものから少しの間フォアチェックを中心としたものに変化をして、ワイドに広がったセンターバックにまでボールを追いかけてチェックに来るようになったんですが、ジェフレンのシュートに代表されるようないくつかのチャンスをバルサが演出したことで、再び守備に引いて守るようになり、状況はさらに悪化したように思えいました。バルサがウイングを大きく中央に入れて利用しようとしているのに対して守備の改善は成されておらず、中央には行ってサイドバックを自由にさせてくれるまま。それで中央に厚みを作れているわけではなく、ただ狭められてしまって手前で自由に回されてしまうばかり。取りに向かうポイントをある程度定めてシャビやメッシに人数をかけて奪おうとしている印象を受けるものの連動は出来ておらず、カット出来たとしても全体を押し下げているために動き出しが鈍く、チャンスがあるようには思えませんでした。
バルサにも、トゥーレ・ヤヤとシャビのピボーテ二人が高くポジションを取っているため、センターバックの前に利用できる空間がぽっかりと空いてしまっているんですが、デポルティボがそこを利用できるための人数を入れることが出来ておらず、さすがにフォワード一人ではセンターバックを牽制しておくことしかできず、最低でももう一人が必要だった。それでもバルサは余裕の展開でありながらも切り替えとフォアチェックによって利用させない努力をしていましたし、実際に奪い連続した攻撃に繋げて、上がる意識を削っていました。

ただ前半の終盤から後半にかけて徐々にバルサの攻撃が上手く回らなくなってしまい、後方でボールを回すだけの時間が増えてしまっていました。それまではウイングをそれまで中に絞らせておくことでサイドバックが上がるスペースを空け、横にボールを動かす手助けとしていたんですが、ウイングを広げてボールを収めさせようとしたことでマーカーもセットで広げてしまい、相手にワイドに守られる状況を作ってしまった。これによってボールを回すときにサイドを利用するポイントが低くなり、横へ動かしても相手の陣形が崩れる量が少なくなってしまった。ピケやマルケスが中心となってボールを動かさなければならず、縦を利用するには距離が出来てしまい裏を狙えなくなった。カウンターでしか得点機を演出できなくなってしまい、後半はさらに運動量を落としてしまったために掴みやすさを相手に与えてしまったので、より前半ほどの得点の匂いを感じられなくなっていました。

足下で受けるボールも増え、マークがつかれたままでのプレイを強いられることになり、デポルティボが一時的に守備の感覚を取り戻すきっかけになり、距離を縮められてしまうきっかけになってしまった。そうなるとパスを出す側と受ける側の意識が合わず、さらに運動量がたりないために、スペースを自分たちで消すきっかけを作ってしまい、少しずつパスミスが増えていく。ミスが増えていくと動き出すタイミングを掴むのが難しく、より安全に、と意識が働くのか膠着していき、デポルティボにボールを持たれる時間も少しずつですが、増えていっていました。

停滞しているように思えた場面でも得点を決めてしまうのが今のバルセロナで、ダニエウ・アウベスが抜け出しは抜け目なく絶妙でしたし、ペドロのシュートも見事でした。
なんとか持ちこたえようとしていたデポルティボも二点差を追いつくには難しい試合内容で、必死に攻撃に出る姿勢はその後は大きく削られてしまい、トゥーレ・ヤヤが三点目を決める時間が早かったのも、よりその傾向を強くしていましたね。

バルサはアンリを投入して復調のきっかけとなるゴールを決めてもらいたいところでしたが、アンリの飛び出す動きはパスの出し手が出せないタイミングで裏へでようとしていたり、見ていないタイミングであったり、ボールが出てこない環境で動いていることが多く、加えてペドロの動き出しほど見てもらえていませんでした。アンリのオフサイドの解消が緩く、何度も連続して動き直してくれないことも出しづらさを感じさせる要因になっているのかもしれませんが、この日もゴールを決められる状況にはなく、追加点を得ることはありませんでした。