UEFA Champions League First knockout round 2ndLeg フィオレンティーナ対バイエルン

■ACF Fiorentina 3 – 2 FC Bayern Munchen
先日のブンデスリーガで出場したアラバがサイドバックに入った状態でバイエルンはスタートをしていました。それ以外の部分ではロッベンとリベリーも先発に復帰し、フォワードにはミュラーが起用されてマリオ・ゴメスとコンビを組んでいるぐらいでしょうか。

序盤は経験の浅いアラバの裏に何度もボールを出されて、ファーストレグでコンテントが不安定な動きをして狙われたようにこの試合でも左サイドバックの裏側を狙われていたんですが、強風が吹き浮き球の制度が整わない環境でピッチも滑りやすく球が止まらなかったこともあって助かっていました。ゴールラインを割って実際に利用される場面こそありませんでしたが、中へ絞り気味で外側にスペースがある、守備の出足が一歩遅い、チェックに意識がいってカバーは得意ではないかもしれない、と何度も利用されそうな気配はあったものの、あからさまには狙ってこなかったお陰で助かっているようでした。
アラバは確か本来は中盤の選手だったはずですから、守備面に難があってもタッチが非常に柔らかくボールコントロールに優れている。視野も広く落ち着いていましたから、攻撃面での貢献は期待できそうでした。

試合全体の流れでいえば、フィオレンティーナはオーバーペースであるかのように非常に早いプレッシングで主導権を握っていました。特にブンデスリーガであれば、リベリやロッベンの存在からフリーで利用させてもらえることが多いサイドバックへのマークも行われていて、ロッベンが下がってきたところへラームが上がっていこうとしても、すぐに寄せられて縦のコースを使えていませんでした。
バックパスやサイドチェンジは繋げているんですが、ウイングの二人には密着されていて、受けに戻っても背中から強烈に圧力を受けて前を振り向くどころではない。それ以外のところでもマークはポジションの変化が少ないこともあって密着した状態で掴まえられていて、前方向にショートパスで繋いで構築していくのが難しく、ロングボールを出すことが精一杯でした。それに競り合わせてなんとか前を向いてボールを得ようとしている部分がありましたが、風でフィードが押し流されていて、裏で受けたり、選手の受けやすい位置に狙えていないのもありました。きちんと体を寄せられていることからボールを落とす位置も正確ではありませんでしたし、ファウルになる回数も増えて、プレイが止まりがち。

どちらもが密着したマークをしていて相手を掴まえておける環境になっていました。攻撃しているサイドに守備側も攻撃側も人数を集めていましたから、片側で試合が進められていた。両者共にフィジカルコンタクトを避けていませんでしたから、繋ぎの正確さが出てこず、両者共にパスカットやパスミスも多かった。天候などの条件の難しさもあるんですが、フィードもショートパスも通りませんでした。

バイエルンはプレッシャーを多く受ける高い位置で組み立てられないので、セントラル・ミッドフィールダーの位置で組み立てられなかったんですが、そこでも時間をかけてボールを持たせてもらえていませんでした。縦へ入れてフォワードへ預けることも、ウイングの二人にボールを出してキープをして押し上げることも出来ず、むしろ狙い目とされているようでもありました。そのため自分たちが持つリズムよりも速いテンポでボールを離さなければならないことが多く、ミスが増える原因にもなっていましたし、マークに付かれている選手が多いことから足下で受けないように裏側へ出そうとしているんですが、受け手は足下で受けたがっているため、ギャップからミスになってしまうことが多かったですね。

バイエルンはアラバが集中的に狙われなかったとしても、サイドを中心に使われていることに変わりがなく、それを最後尾で抑えようとはせずに中盤で抑えようとしていた。選択はいいんですが、アラバが不用意に相手のサイドアタッカーにマークに出てしまって裏を取られていましたし、最初から裏を取られることを考慮してバドシュトゥバーが左に流れてケアする形を取っていました。これは中央の人数を犠牲にしているわけで、一枚がサイドに流れるとニアサイドへ大きなスペースが出来てしまうため、残ったヴァン・ブイテンが左のセンターバックの位置にまで来てラームが中へ絞っている。中盤の誰かがラインに吸収される形を取れれば高さのないラームを中に入れる危険な選択をしなくても済むんですが、シュバインシュタイガーとファン・ボメルには期待が出来ない。

先制点を奪われた時はラームが右サイドで行き交うボールの処理をするために前へ出ていたこともあって、ケアのためにセンターバックが右へスライドしていた。両チーム共に片側に全体が寄っていたので問題ない部分はありましたが、中盤の二枚共が右へいってしまっていた。センターバックも中盤もがラームの上がったスペースのケアのために寄ってしまっていて肝心の中央に人数がおらず、ミドルシュートを打たせるだけのスペースを大きく与えてしまっていた。そしてこぼれ球を鈍足のヴァン・ブイテンとバルガスの競争にさせてしまい、コースを消すところにも持っていけなかった。ゴールを決めたバルガスが素晴らしかったし、ブットが弾いた方向も不味かった。

アウェーゴールの差から得点が必須になってしまったバイエルンは何が何でも攻勢に出なければならなかったんですが、狭い地域でのパス回しをさせられていて、相手に追いかけ回されて急かされている状況は変わらず、自分たちのタイミングよりも早く回されポジションの修正やマークを外す動きが間に合っていない。相手を外せているのはリベリーやロッベンの横のドリブルやキープしてマイナス気味に横へ出すときぐらいで縦のコースは第一戦と同じく切られていました。特にペナルティエリアの横を使う機会を与えないようにされているようで、利用させてもらえるのは浅い位置ばかりでサイドの深い位置に進出することは非常に希でした。前半にペナルティエリア横を使えた、という印象を与えられたのはロスタイムの一回ぐらいでしょうか。

後半になると全体のバランスに多少の変化が現れてきていました。バイエルンは少しだけワイドに、相手サイドバックの裏を利用しようとする動きを見せ始めていましたし、フィオレンティーナの高いラインとセットになった中盤のプレッシング、相手を掴まえておくものが少し修正速度が遅くなりフリーの状況が作れたり、前を向けるようになってきていた。例えばロッベンが中央に流れてきて受けた場面では、誰もマークしておらずフリーの状態を作っていた。ラインを前に出して奪いに行くには一枚だけで厚みが無く、裏を取られかねない危険から下がり、綺麗に整っていたラインにはギャップが出来ていました。状況に応じて前後の位置で圧縮できていたバイタルエリアが開き始めた瞬間でした。

ただそこを突いて同点にするよりも先に二点目を決められてしまいました。サイドバックの外を一度利用されて、そこから中へグラウンダーの早いクロス。ジラルディーノはオフサイドのポジションのようでしたが、ヴァン・ブイテンの二つのハンドを(フィオレンティーナがアピールしていたけど)見逃してもらいPKを取られなかったのだから、これが見逃されても不満は言えませんね。問題は中央に厚みのない守備でファン・ボメルは何故全力で戻らずスペースを埋めようとしていないのか。自分が掴まえておくべき相手がいないように思っていたのかもしれませんが、ニアサイドのケアにバドシュトゥバーが引き出されているのは前半通り。そしてヴァン・ブイテンがジラルディーノについてニアへ動く。そうするとラームしかいなくなり、ヨヴェティッチをマークしておく選手がいない。もう一人バルガスまでフリーだったのだから、またキーパーが弾いて――ということすら考えられるのだから。

ただフィオレンティーナがラインを保ったり人を掴まえておく部分が少し緩くなったのは確かで、クローゼがセンターバックとサイドバックの間に入り込んで飛び出す動きをしても、動き始める以前から見ておらず、掴まえていませんでしたし、前半のオーバーペースによる疲労なのかは解りませんが、縦を利用できるようになっていました。
リベリーやロッベンにも前向きでドリブルさせてくれるようになり、深くまで進入させてもらえるようになっていました。リベリーが前向きでスピードに乗り、ペナルティエリア横にまで入り込めたことで、相手を引きつけてラインも下げさせ、中央にスペースを作った。ペナルティエリア横付近、サイドの深い位置を利用したからこそファン・ボメルが上がる位置にスペースが出来たわけですね。シュートも見事でした。

二試合合計で同点に追いついたことで精神的な余裕が出たのか、フィオレンティーナのプレスはまだ素早かったんですが、それでもバイエルンは自分たちのタイミングでパスを回せるようになっていました。サイドを縦に使える要素が出てきたお陰で中盤で密集地帯を作られにくくなったのもありますし、片側に寄ったあと逆サイドを利用できるようになっていた。

これならもう一点取って逆転することも可能だろうと思っていたんですが、カウンターで失点したのは非常に痛かった。これは相手が上手かったとしかいいようがなく、どこかで致命的なミスをしていたとは言い難く、ヨヴェティッチをシュバインシュタイガーとヴァン・ブイテンで挟み込んでいましたし、奪えていてもおかしくなかった。
勢いを削がれる一点になるかと思っていたんですが、直後にロッベンが素晴らしいゴールを決めて今度は二試合合計でリードを奪えたわけで、この時間帯の二得点はどちらのミスでもなく、ただただいいゴールだっただけ。

こうやってリード奪ってしまえば、今季のバイエルンは優位に試合を進めることが出来る。縦へ急がなくてもいいお陰で多く利用していたバックパスをそのまま利用できますし、フィジカルコンタクトを利用してファウルを貰うこともできる。守備に回ればクローゼも戻ってプレッシングをしてロッベンとリベリーの二枚を近い関係で残しておく。この二人のスピードとテクニックが相手に与える脅威は大きく、一方的に押し込み続ける試合展開にはさせませんし、キープ力もあるため高い位置にまで運んでくれて攻撃までできる。
理想的な展開を作りつつ、さらにバイエルンのプレッシングスピードが上がっていたかもしれません。時間を与えない片側に密集した守備や中盤とディフェンスラインの距離を縮めてバイタルエリアを利用させないものは、前半にフィオレンティーナがしていたものの裏返しのように機能していましたし、サイドからクロスを上げられる場面でも、センターバックがサイドのケアのために出て行っておらず、中央に十分な人数をおいて処理でき、安定して守れるようになっていました。

最後の集中力は流石としかいいようがありませんでしたが、バイエルンがペナルティエリア内にまで入ってシュートを打った場面はそれほどなく、そこまで崩しきったという印象を受ける場面も殆どありませんでした。

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