■Real Madrid 1 – 1 Lyon
第一戦で先勝したリヨンが優位な環境で試合がスタートしたんですが、開始早々のカカのシュートに代表されるように、マドリーが先のセビリア戦の勢いそのままに挑んできたことが大きく試合を動かしていました。
奇襲のような部分こそシュートにまで持っていけましたが、それ以外ではマドリーは低い位置で横に動かすことが多くありました。クリスチアーノ・ロナウドも下がって受けて横に動く。ですが、それはある程度リヨンの思っている守り方であって、低く陣形を整えて待ち構えるブロック形勢をしてしまえば、そう簡単には左右に揺さぶられない。クリスチアーノ・ロナウドが下がって受けるように高い位置に起点が無く、相手の前で受けるばかりで、リヨンのブロック形勢によって殆どの選手が動かずに掴まえられている。サイドの高い位置に起点が作れていないから左右へ寄せる効果が薄く中央に集まっているわけで、リヨンが人数をかけて守れる位置に入っていき、ファウルで止められても怖くない位置で受けている状態が続くかと思っていました。
先制点はそういった部分を払拭するプレイで、それまで手前で受けていたものから一転して相手のサイドバックの裏側へ出てボールを受けることで、守備ブロックの外に出てしまった。先手を取られた上で競争になってしまえば、明確に体を寄せることすら難しくこの得点はグティとクリスチアーノ・ロナウド二人の素晴らしいプレイによるものでした。
このイメージがしばらくリヨンに残っていたようで、それまでサイドに起点を見いだせなかったマドリーはクリスチアーノ・ロナウドを多く流れさせるようにしたことで、先制点のイメージから相手をサイドへと引っ張り出しておけるようになっていました。タッチライン際を深くえぐるドリブルに飛び込んで奪う素振りも見せられず、併走するばかりでスピードも落とせず中のコースを切るので精一杯。そうやって深く入られていくうちにラインを下げさせられて、ブロック構築を意味のないものにされていました。
中盤のプレスの部分でも、グティが球離れを早くして寄せられるよりも早くパスを出してしまう。加えてポジションの修正を頻繁にして、いつでも受けられる位置に存在して安定して預けられる存在になる。近い距離のパスであってもそうやってマークを外す動きを連続することで相手の徹底したプレッシング意識を削っていき、前を向けるようにしていました。
そうやっていくつかの修正が積み重なっていくことで、サイドから逆サイドへボールを動かせるほどになり、ワイドに使うことで相手のラインを押し下げていけるようになり、深くに相手を押し込めるようになってきていました。支配率を高めていくことは出来ていたんですが、それがマドリーの形だとはいえず、ある程度の起点を作れてはいたんですが、サイドからサイドへのものであって、相手のマークをずらしたりプレッシングの意識を削ぐ役に立つかもしれないんですが、中央を縦に利用することは殆どありません。ひやりとさせるようなプレイをゴールの近い位置ですることが難しく、崩しきる形を用意できていませんでした。
ただそれでもリヨンが戻らなければならない距離を大きくする分には役立っているわけで、カウンターの距離を長くしてリサンドロ・ロペスを孤立させることには成功していた。縦の運動量を増加させておくことでダイアゴナルな動きをしづらくさせていましたし、カウンターに人数をかけられず、まずリサンドロ・ロペスへと預けてからの展開をしなければならず、マドリーは抑える一点を見つけるのは容易い。
マドリーの守備もきちんと戦う姿勢を見せていて、相手の人数が少なく、動きも直線的。それを利用してきっちり掴まえておけていましたし、激しく当たってコントロールさせず、カウンターに上がってくるのを躊躇させてもいました。
前半は完全にマドリーペースになっていたんですが、徐々に使えていなかった縦を利用できるようになってきことで、リヨンのセンターバックに窮屈なプレイを強いることも出来るようになっていましたが、サイドに起点が作れていたことから相手を押し込めていたのに、縦が利用できるようになってからフォワード二人が中央に集まってしまうことが多く、フォワード二人が固まらなくてもそれ以外の選手が中央に集まってしまい、人数が増えた。中央を利用する回数が増えすぎてワイドに展開しなくなり、相手をペナルティエリア内に閉じ込めておくことが出来ず、一定のラインを保つところまで持ち直す要因になっていました。いってのラインまで押し上げられてしまうと今度は効率のいい裏へ飛び出す動きばかりを選択しがちで、繋いで崩そうとしていない。深くまで入らずアーリークロスも増えてしまいましたし、陣形を整えさせる手助けをしているようにしか見えなくなってきていました。
後半の修正はリヨンの方が大きく、マドリーは若干スローダウンした印象でした。
前半はリサンドロ・ロペスへ預けることでしか展開できないほど前後が分離してしまっていたリヨンですが、ラインの高さを保つようにしたことと中盤を下がりすぎないように留めておくようになったことで、彼を裏へ飛び出させてそこへボールを出すことが出来るようになっていた。長い距離のパスで裏を狙うのではなく比較的高い位置から出せていたのは、修正が出来ていた証拠でしょう。
ラインをある程度高く保つためにも、クリスチアーノ・ロナウドがサイドに流れたところで自由にさせていた部分が前半はあったんですが、それをフリーにしておかず掴まえておくようになっていました。なるべく前を向きながら受けることをさせず、ディフェンダーの前で受けさせて、それからアクションを起こさせるようにしている。
他にも低い位置でボールを持たれているときにプレスがかかっていなかったのを、中盤が高く保てるようになったためにプレスが出来るようになり、マドリーのセンターバック、ガライとアルビオルが時間をたっぷり使って狙いを絞ってから出せる環境を減らした。それによってフィードの精度を落とさせ、ディフェンスラインで処理できるようにした。
それらによってカウンターに距離を必要としなくなり攻撃に厚みは出たものの、その分守備の厚みが無くなり対応に難しさができていましたが、要所を押さえておくことで何とか処理できる範囲で収めていました。
マドリーは攻撃を受けることでずるずると下がり、バイタルエリアが出来てそこを利用され始めていました。カウンターを警戒することからラインが下がったのもありますし、間延びし始めた。中盤の後方がボールを持つと、パスでこれまでは展開できていたものが、距離が長くスペースが空いているようになってしまったために、パスをカットされる可能性やコースを消されているためにドリブルで前へ持ち上がることが増えた。その分時間的な余裕を相手に与え、展開の幅を作れないでいる。
支配率こそマドリーが大きく上回っていたかもしれませんが、ペースはリヨンの方に傾いていました。それを取り戻すためか、グラネロに代えてファン・デル・ファールトを投入してより攻撃的な姿勢を見せようとしていました。ただ状況はセビリア戦のように一方的に押し続けられるような要素が無く、相手にはスピードがあり、カウンターの脅威があり、人数をかけられ、中盤の底に展開する力もあった。
一時的にリヨンを押し込む効果は得られたましたが、得点の可能性は高くともまた戦う姿勢があるようには見えない、ショートパスによるクロスを選択するようになった。
得点を取りたい焦りからか、フィジカルコンタクトから逃げてはいないものの、体をぶつけられることに苛立っている場面が目立ったり、上手く相手にやられている場面が目立つようになっていました。ファウルを要求する倒れ方を連続してするようになり、スタジアムもそれに乗っかって騒ぐ。どこか冷静さを欠いているような部分があり、その時間帯は選手の距離が近すぎて前を向けるスペースを自分たちで潰していました。
そして得点はリヨンへ。
マドリーが攻勢に出ても、リヨンは前半のように下がり、後方に守備ブロックを形成しようとはしませんでした。バイタルエリアを空けてしまう危険を冒しながらも人数を高く置いておく。フィードを裏へ出してそれを競らせ、こぼれ球に対応できる人数を十分に揃えていた。マドリーにも十分に人数はいたんですが、この試合にはシャビ・アロンソのようにディフェンスラインの前を埋める仕事する選手がおらず、グラネロを下げたことで、ラサナ・ディアラ一枚が担当しているようなものでした。ファン・デル・ファールトは一応戻ってはいましたが、それでもラサナ・ディアラがボールサイドへ流れてしまったために中央へスペースを作る要因になっていた。あとはリサンドロ・ロペスの非常に上手いプレイと、ピアニッチの素晴らしいゴールですね。
二試合通じてのリードを得たことで引いて守るようになったリヨン相手にキープすることは容易くなっていました。中盤の手前で横に動かして陣形を崩そうとしても、チャレンジするポイントがなく崩れていかない。パスを縦に出しても、受けに戻ってくる選手へ出しているだけで、裏へ出すパスもなければ、裏へ動き出す選手もいない。足が止まってボールが来るのを待つか、ゴールから遠ざかりながら受ける動きをするだけで、相手へ窮屈な対応をさせていたのはラウールぐらい。
そんな状況になってアルベロアに代えてマアマドゥ・ディアラを投入したとしても効果が得られるはずがなく、もしかすると順序が逆だったかもしれない。彼のようにきちんとディフェンスラインの手前を抑えられる選手を用意してからであれば、セビリアと戦ったときのように攻撃偏重の交代をしてもきっちりと縦の厚みを用意して守れていたかもしれない。
焦るマドリーはフォワードの位置に四枚が並んでしまって攻撃にも厚みを失ってしまって、パワープレイのようにアーリークロスを連続して入れるばかり。あるいはこれだけの人数を入れながら、味方に渡る可能性が高いショートパスを利用して得点を取ろうとする。人数を入れているのだから、守備も人数が多く入り渋滞をしているのに確率を考えて安全なものを選択していては可能性は高くなっていきません。セビリア戦で逆転できたのは安全なものを選ばず戦うプレイを選択したからこそ、でしたから。