2010 年 3 月 のアーカイブ

UEFA Champions League Quarter final 1stLeg バイエルン・ミュンヘン対マンチェスター・ユナイテッド

2010 年 3 月 31 日 水曜日

■FC Bayern Munchen 2 – 1 Manchester United
ここの所、DFB Pokalでは勝ち上がれたもののブンデスリーガでは二連敗中のバイエルン・ミュンヘンはシュバインシュタイガーが出場停止、ロッベンを怪我で欠く苦しい布陣で、その代役としてプラニッチとアルティントップが出場をしていました。

試合が動いたのはキックオフ直後の最初のプレイでした。フィードに対してこぼれたボールをデミケリスがケア。スピードで負けてファウルにしてしまったのがきっかけでした。失点自体は壁に入ったファン・ボメルがそらしてしまう形になった不運なもので、ルーニーのマークをデミケリスが外してしまっていましたが、あの状態では仕方のないものでした。むしろ、あれにきっちりと反応できたルーニーが素晴らしいだけで、最初のファウルさえなければ誰の責任も問えないものでしょう。

マンチェスター・ユナイテッドはこれによって急がなくてもよくなり、バックパスを利用してキーパーまで戻しつつ、バイエルンが前からがむしゃらに向かってチェイシングをしようとしているのをいなしてしまっていました。あるいはダイレクトで繋ぎ、ボールを先に動かして人をかわしてしまう。守勢でボールを持っている際は逃げのプレイが多いわけですが、守備に回ってしまえば積極的なプレッシングからバイエルンが苦手とする素早いボール回しをさせて時間を持ってキープできない環境を作り、パスコースを増やせないようにしてミスを誘う。サイドバックのみフリーにさせていましたが、そこに明確な攻撃参加のパターンが出来ていませんでしたから、ユナイテッドにとっては大きな問題にはなっていませんでした。

ユナイテッドの攻撃は、サイドを早い段階で使いウイングのナニやパク・チソンを前へ走らせて飛び出させるロングボールが多く、バイエルンはそれに対して、これまでのブンデスリーガらの試合同様にセンターバックがケアに出なければならない状態になっていました。その状態が続けば、薄くなった中を虎視眈々と狙っているルーニーに利用されかねないものでしたが、徐々に修正が出来るようになり、特に左サイドバックのバドシュトゥバーは、ナニが少し中にポジションを動かした時間帯から明確に掴まえておけるようになり、ロングボールを安定して受けさせないようにしましたし、センターバックがケアしに出てくる回数を減らすことも出来るようになっていました。これによってカウンターを中心にして攻めることしかしないユナイテッドの攻撃の大部分は封じることができたようなもので、あとは足の遅いセンターバックの裏へ飛び出されることがあるルーニーへの対処ぐらい。ここへフィードを出すことが唯一の方法のようでルーニーが収めてそのまま自分で向かう、あるいはサイドへ流してファーサイドへとクロスをさせてセンターバックの頭を越える位置にポジションを取る。効率のいい戦い方ではありますが、パターン化したものでした。

守備は改善されてもバイエルンの攻撃は手詰まりで、前で抑えられてしまう。フォワードの位置ではユナイテッドの組織的なチェックによって受けることがままならず、それ以前にパスカットを多くされてしまう。そのため受けるために戻ってくる選手が多く、高い位置に人数を保てず、パスコースも維持できていませんでした。後方へポストプレイで戻されても出し所が無く、再三にわたりヴァン・ブイテンが持ち上がらなければならない状態になってしまって、彼から精度のないクロスが多く入れられる結果になりました。それ以外にもアルティントップやラームにしても、アーリークロスばかりを多用して、深く入り込んでクロスが出来いませんでした。まるで調子が悪かったシーズン当初のような状態になってしまっているようでした。
サイドバックとアタッカーの連携が殆ど無く、ワイドな展開から縦の突破を狙い、そしてクロスを入れる。そういった意識が無く、得点を急いでいるのか、中へ中へとドリブルも切れ込んでしまい、相手のゾーンへと入ってしまう。試合のテンポ同様に急ぎすぎているようでした。このテンポに入り切れていないいくつかの選手はバックパスを多用したり、前へ出せずにうろうろとしてしまう。あるいはマークされてしまったミュラーはボールを触れず試合から消えている。状況は思わしくありませんでした。

状況が改善されたのは前半27分頃にリベリーがギャリー・ネヴィルをかわして深くまで入り込んでクロスを入れられた辺りからでしょうか。それまで速いテンポの中でパスを中心として構築するばかりで、ドリブルを使ったりチャレンジをする場面が殆ど見られなかったのが、それを洗濯する回数が少しずつ増えていっていました。まだ後方から押し上げる形が多いままでしたが、それでもスピードに載ったドリブルをユナイテッドの中盤は奪いに向かわず、踏みとどまらず、一緒に下がってしまい、シュートやラストパスを選択させてくれることで、よりチャレンジしやすい環境を作ってくれたのかもしれません。
ただ、明確に仕掛ける姿勢を出していくには時間が必要で、前半は多くの回数、安全な位置にポジションを取り直しているファン・ボメルへ何度も戻して、パスで組み立て直そうとしているものが多く見られました。

後半最初のチャンスでドリブルを再び止めようとされなかったのは非常に大きく、そこから裏も使えてシュートまで持っていけたのは大きな収穫でした。リベリーはドリブルでサイドを駆け上がる回数が増え、バドシュトゥバーとの連携が出来ないことは仕方が無いとしても、独力で二枚を相手に中のコースを切られても縦へと突破できていけるようになり、相手の注意を左サイドに向けて、中央を固めていたゾーンを緩めてしまえるようになっていました。前半は中央にスペースが無く受けられずカットされるばかりだったミュラーがボールを受けられるだけのスペースが出来ましたし、徐々にボールに触れるようになり、試合の流れの中に顔を出せるようになったのもリベリーが奮闘した効果でしょう。

オリッチを中心としてがむしゃらに追いかけ回すバイエルンに、ユナイテッドはどのポジションでもボールを収めることが難しく、ルーニーを裏へ走らせられなくなっていっていました。前半はキーパーまで戻してしまえばチェイシングを辞めていたものが、後半はそこにも継続して行うことで精神的な余裕を奪えていましたし、前方へのフィードの精度を落とせていた。精度を落とすことが出来れば、ナニはバドシュトゥバーがきっちりと見ていて競り合いでは勝てますし、ルーニーを走らせてもセンターバックの守備範囲の中で収められるようにもなる。特にオリッチのチェイシングは効果的で何度も奪い返していました。

途中からラームがサイドバックより一枚高くポジションを取るようになって、左に偏りがちだった攻撃に右側の選択肢を作るようにしていましたが、オーバーラップのタイミングも縦の連動もない中である程度の動きは出来ていましたが、多くのパスはエヴラにやられてカットされてしまっていたし、ドリブルのチャレンジも出来ないままでした。

中盤にもスペースができはじめていましたが、まだユナイテッドの守備には集中力があり、フォワードはきっちり掴まえられていて背中から当たられるために収めることが困難でした。それはマリオ・ゴメスが投入されても大きな変化を得ることが出来ず、苦しい状態は続いていたんですが、ギャリー・ネヴィルの不用意なハンドによって得たフリーキックからによって同点ゴールを得られて状況はさらにバイエルンに有利なように変化していっていました。

同点になってもユナイテッドにはカウンターしか無く、ルーニーをセンターバックの裏へ走らせるだけ。ウイングにボールを出してもサイドバックが抑えているし、裏へ抜けられてもデミケリスがカバーリングをできる範囲で収めていて、ぶつかるの必要がある場合はヴァン・ブイテンが役割を果たし、それぞれのバイエルンが決めた役割の中でしか攻撃を出来ていませんでした。唯一の可能性はセットプレイだったかもしれませんが、その回数もそれほど得られなかった。

バイエルンが攻めていても、深くサイドを使えないのはそれほど多くの改善が見られず、使えたとしても縦の勢いがなかったり、クロスがあまりにも精度を欠いたものであったり、チャンスとするには遠いものでしたが、ドリブルで仕掛ける姿勢を多く出せるようになってからゴールを脅かすシュートは増えていました。アルティントップもマリオ・ゴメスもオリッチも枠の中に飛ばしていましたが、最後の砦のファン・デル・サールが防ぎ続け、こじ開けられないかと思っていました。
最後の最後でそれをこじ開けたのはオリッチで、試合中ずっと諦めずチェイシングをし続け、驚異的な運動量で追いかけ回してチームを活性化していた彼が、最後にボールを奪い、ゴールを呼び込んでくれました。直前の部分でマリオ・ゴメスがドリブルで仕掛けていたからこそ奪われてもチャンスになったわけで、あれがもしパスで逃げていたものならこんなものは生まれなかったでしょうね。

Liga Espanola Jornadas 29. レアル・マドリー対アトレティコ・マドリー

2010 年 3 月 29 日 月曜日

■Real Madrid 3 – 2 Atletico Madrid
アトレチコはこれまでのように過度に熱く試合に入ってしまい、球際の激しさを前面に出しすぎていなされて失点してしまういつもの形ではなく、集中して要所々々で体をぶつけることはあっても、がむしゃらに発揮しているわけではなく、相手を目の前に捉えて対処するいい入り方でした。問題はシャビ・アロンソやガゴが高い位置を保てるほど、アトレチコの全体が下がってしまい、守りを固める姿勢を見せてしまっていたことでしょう。パスの出し手が高い位置を保てることでクリスチアーノ・ロナウドやイグアインにへのパスを収めやすくさせてしまい、その二人を抑えなければならなくなってしまっており、距離が近いことで裏を狙われる危険もあり、余計にケアをしなければならなくなる。そちらに気を遣うばかりにクリスチアーノ・ロナウドがボールを受けに下がってポストプレイをする際にも誰もマークにつけず自由にさせてしまったり、前を向かせてミドルシュートを打たせたり、ドリブルやパスで組み立てることもさせてしまっていました。イグアインにも同様のことを許してしまっており、試合開始当初のバランスとしては中盤への圧力があまりありませんでした。

アトレチコはアグエロやフォルランにボールを収められず、縦のパスで構築することも難しい状態でした。フォワードの二枚にはセンターバックとピボーテが接近してスペースを与えてもらっておらず、コントロールミスを誘われてしまって、カウンターの起点となることも難しい状態でした。ただそんな中でもスローインから得点することはできてしまうわけで、最後のレジェスはコントロールミスをしながらも綺麗に決めて先制。

状況はアトレチコの先制ゴールによって多少変化して、レアル・マドリーのプレイが単調になってしまっていました。クリスチアーノ・ロナウドはそれまでと同じように下がってボールを受ける頻度を多くしていましたが、好調時であればサイドに流れてボールを引き出し、サイドの高い所に起点を置き、相手を広げる役割になっていたのを中央に集めることにしてしまい、窮屈さを生みだしてしまっていました。サイドからの攻撃はフォワードがサイドに流れないことからサイドバックの上がりに頼らなければならないことが多く、右がセルヒオ・ラモスではなくアルベロアだということもあって、タイミングが遅くフォワードと同列にまで並べず、中央を使わざるを得ない状況になっていました。それらを作り出していたのはシモンやレジェスの積極的な守備によってスペースが消されていたこともありますし、ドリブルに対しての対応をメインにされてしまってボールを持っても仕掛けられなかったのもあります。

アトレチコは守備面でこそいい形を作り出して、シュートの本数は多かったもののディフェンスラインの手前からシュートを打たせることが殆どで、裏に抜け出されたり間に入り込まれる回数は少なかった。目の前でシュートを打たれるだけなら体を張って止められていましたし、中央に寄っていく部分で人数をかけられていた。
それが攻撃面になると、全体が下がり気味のためにカウンターに人数が足りておらず、フォワードの二人は掴まえられがちで収めづらい。ウイングの二人は上下動をしているものの、それぐらいしか明確な参加が期待できず、あとはチアゴがバランスを取ったり、キープ力を発揮してパスを上手く繋ぐぐらいでしょうか。フォルランのボールを受けるための動き直しを利用できるほどの正確な繋ぎも期待できず、アトレチコに得点の匂いはありませんでした。

レアル・マドリーは前半の残りの時間で変化を与えることが出来ず、サイドバックの外側も裏側もあまり利用できていませんでしたが、徐々にアトレチコの守り方の特徴には気が付いてきているようでした。サイドから攻撃を開始したときにサイドバックの処理がドリブルで中に入る動きを警戒したりサイドバックとの連携を気にする守り方をするばかりで、クロスに対して上げさせないために間合いを詰めて体を張ることをせず、あくまで中のコースを切るばかりで簡単にクロスを入れさせてくれる。徐々にその形をレアル・マドリーは作るようになってサイドからのクロスの回数を増やし、中央で苦しいクリアを迫れるようになり、コーナーキックも増えていました。イグアインが決定的な形を作ったように、実際にチャンスにもなりましたし、ペレアが出場してからは、中に入る傾向が強く、クロスを上げられていなかったマルセロの部分にしても、裏を多少狙えるようになりましたし、クロスも出来るようになってきていました。

後半になるとアトレチコはよりラインを下げてしまい、中盤にプレッシャーがかからなくなり、最後尾にかかる負担が増えていってしまっていました。中盤にはスペースが出来、ドリブルで進出されてしまう。始めこそ冷静に受け止められていましたし、遅らせることにも成功していましたが、すぐにドリブルにスピードが出てしまい、戻りながらの処理をさせられるようになり、踏みとどまって処理をすることが出来ずずるずると下がるようになってしまった。プレッシャーもかけられず一緒の速度で下がってしまってスペースをプレゼントしながら後手々々の守り方をするばかり。
そして前半から問題があったコーナーの処理からシャビ・アロンソが決めて同点にされてしまう。

この頃からアトレチコには攻撃に糸口が見えなくなり、フォルランもアグエロもボールを収められず、状況が見えず自分で仕掛ける姿勢もあまり見られませんでした。前でボールが収められないことと、後方からの正確なボールが出てこなかったのも大きかった。下がりすぎて相手の猛攻を受け続け、クリアを外に蹴り出すだけで精一杯になってしまってフォワードの位置へと蹴れなくなってしまって、流れは切れているものの波状攻撃のように連続して攻撃を受け続け、状況の改善が望めなくなってしまっていました。

そういった中でディフェンスライン外側の裏をアルベロアに抜け出されて逆転を許してしまうと、三点目はアトレチコのお得意なパスミスを最後尾でしてしまい、相手に得点を献上して流れを決してしまいました。その後にシャビ・アロンソのハンドからPKを得て一点差に迫りましたが、レアル・マドリーが多少守備時の積極性を失い、囲い込んだり激しいプレッシャーによって前へ運ばせない部分が減りましたが、アトレチコの勢いが復活することはなく、足が止まり始めて試合全体が停滞をしてきていました。

アトレチコにはバルサと戦ったときのような激しさや勢いを期待していたんですが、まるで別のチームであるかのように覇気が無く激しさもありませんでした。日程的な疲労があるのかもしれませんが、アグエロとフォルランのフォワードの動きも物足りなく、仕掛ける姿勢もなく、残念でした。

Liga Espanola Jornadas 29. マジョルカ対バルセロナ

2010 年 3 月 28 日 日曜日

■RCD Mallorca 0 – 1 FC Barcelona
最初にチャンスを作ったのは好調のマジョルカで、ファーサイドに選手が余っていたこともあってアーリークロスによって送り込まれたボールに対して、バルサが外に気を取られてマークを外してしまい、シュートを打てるだけのスペースを与えてしまった。運がよかったのはポストに当たってそのボールが弾かれ、直後の強烈なシュートもビクトル・バルデスが防げたこと。
クロスに対応する人数の少なさから最初のピンチを迎えることになってしまったんですが、その後の修正は問題ありませんでした。トゥーレ・ヤヤがディフェンスラインにボールを有卦には入ると同時に守備時でもそのスペースをケアすることでクロスに対応できる環境を作る。サイドバックの位置を高く保つことの多かったバルサはその部分を利用されることになっていくんですが、サイドから攻撃を受ければトゥーレ・ヤヤがサイドに流れて対応をする。ケイタがいない間はこれをしてしまうと中央に戻る選手の少なさから守備の厚みを失って、クロスをはじき返したとしても二次攻撃を受けてしまうことも多かったんですが、ケイタがきっちりとバランスを取ってスペースを埋めていましたから、それ以後には相手フリーにして問題を作る場面は多くありませんでした。

ただバルサはディフェンスラインをある程度の位置にまで高くして攻撃の一歩目としようとしても、マジョルカのゾーン構築と相まって効果的にボールを前へ配球できていませんでした。中盤の選手が掴まえられていて、センターバックからボールを出せず、トゥーレ・ヤヤがそこに参加をしたとしても前線との距離を広げてしまうだけで、ショートパスで繋げる間隔に味方がいない。裏へ出したりロングボールで何とか活路を見いだしていきたくそれをしていましたが、マジョルカがバイタルエリアをきっちりと縮めていて、そこにイニエスタもケイタも入り込めておらず、ターゲットとなるのはイブラヒモビッチぐらい。これでは収めるのは難しく、チャンスにはなりませんでした。

グラウンダーのパスをウイングの二人が収めたとしても、それほどキープ力があるわけではなく、この日の激しい当たりをするマジョルカのディフェンスを相手にしてコントロールミスをせずにいることは難しく、それらもパスの展開を難しくしている要素でした。
ただジェフレンもペドロも、ウイングの位置にいてボールを受けて起点になろうとするだけではなく、横の動きを使って他との連携は取れていました。効果的に中へとポジションを動かし、ポストプレイのようにボールを落として相手のマークを引きつけ、本来のポジションにスペースを作り、サイドバックの上がりを誘発する。縦パスも収めやすくなっていましたしイブラヒモビッチとの関係も近くなる。上手く連動できていたんですが、マクスウェルの上がりを十分に誘えなかった場面では中に集まるばかりでより窮屈な状態を作ってしまうなどマイナスもありましたが、全体を通してみればそれほど悪い動きではありませんでした。

そういった動きによって支配率は高めることができていたんですが、最後尾から前へ繋ぐ方法は確立できていませんでした。イニエスタには厳しいマークが付き前を向けさせてもらえず、ケイタも同様にマークを受けていて横にパスを展開することすら難しく、中盤の選手たちが相手を引きつけておいて、センターバックがドリブルで持ち上がったり決定的なパスを出さなければならなくなっていました。

イブラヒモビッチは前後半共によく動き、スペースを作ったりボールを収められるように積極的にボールを受けて納めようとしていたんですが、マジョルカの中盤と最後尾の距離を近くしてスペースを与えない守り方に苦労をしていました。その上激しく当たってこられることとファウルの判断による難しさもありましたし、他の選手もマジョルカの中盤に阻まれてディフェンスラインには入れず、バイタルエリアの手前でプレイするしかなかった。それより進んでしまうと相手の網にかかって奪われてしまうわけで、手前で前を向いた効果的な受け方が出来ないために、裏へ抜け出してパスを誘う動きが殆ど無くなってしまっていました。

メッシがイニエスタと交代で投入されると、一気にドリブルで仕掛けることでスピードアップすることが出来ていました。彼が仕掛けることで中央に人が集まり、視線もそこへ集まる。イブラヒモビッチに集中してポストプレイをさせなかったマークを減らす効果もありましたし、ウイングの位置にいる選手たちを中に集める効果もあり、ウイングやサイドバックの上がりに対応するようにきっちりと埋められていたスペースを再び空けることが出来ていました。ボールを持っていなくともポジションを固定されていない動きで相手の注意を引き、それまで密着していたマークを一歩遅らせていましたが、体を思い切りぶつけられて動きを止められてしまい、一時的なものでそれも終わってしまってしまいました。

ただ幸運だったのはコーナーキックからゴールによって先制できたことでしょう。選手交代をして攻撃的に出た流れの中でなかったのは残念でしたが、この得点は大きく、それまで守勢に回りサイドバックの上がりすら抑えるほどに守りを固めていたマジョルカの姿勢を変えることが出来ていました。ただ、そこから追加点を狙えるほどの余力がバルサにも無かったために追加点を得られそうな明確な場面はそれほど多くありませんでしたが。

マジョルカが攻撃に出てきてしまうと、サイドバックもオーバーラップをしてくるようになる。バルサはアンカーの位置を交代によって犠牲にしているために、それまで上手くいっていたディフェンスラインの前を埋める動きが弱く、ドリブルで攻め込まれてしまうと、バイタルエリアが空いて自由に使われ、裏へ抜けるタイミングを計られやすくなると同時に、その部分でチェックができないためにラインを押し留めていられなくなってしまっていました。
そうなってしまうと最後尾を上げられないんですが、無理にそれを上げようとせず、裏を使われないよう相手を手前で抑えておく守り方へと変えていました。後方に走らされる回数を減らし、マジョルカのフォワードへ収めるためのロングボールを手前でカット出来るようにする。バルサのチェックはそれなりにまだ動けていましたし、低い位置から前へ運ぶ段階になっても、シャビとメッシが近く存在することで奪われない環境を作れていましたし、リードによって無理に前へ運ばなくてもよくなっているため焦る必要が無くバックパスも多く利用できるようになっていた。ただそういう傾向があっただけで、多くの時間は人数をかけるマジョルカの勢いによってクリアを強いられていましたし、疲れから攻められなくなり、長い距離を走れていなかったり、走れたとしてもその後の精度を保てず継続できませんでした。

何とか拾った一点を守りきることには成功しましたし、ある程度メンバーが怪我によって落ちていることを考えれば、仕方ない内容ですが結果は十分でしょうね。内容はともあれ難しい試合を勝てたことを喜ぶべき。

Liga Espanola Jornadas 28. バルセロナ対オサスナ

2010 年 3 月 26 日 金曜日

■FC Barcelona 2 – 0 Osasuna
苦しめられることの多いカマーチョ率いるオサスナとの対戦でしたが、この試合も多くの時間帯でバルサのペースに引き込むのは難しい試合でした。オサスナは以前の対戦と同じように全体をコンパクトに保つためにディフェンスラインを高く設定し、センターバックにまでプレッシングをして時間的な余裕を持ってボールをコントロールさせてくれませんでした。それでもマルケスやピケらのようなテクニックに特徴のある選手がセンターバックを務めていればかいくぐることも難しくなかったのかもしれませんが、プジョルとガブリエル・ミリートではそれらを簡単にかわすことは非常に困難でした。
時間を大きくかけさせられることでオサスナのプレッシングの陣形を整えるための手助けをしてしまっていましたし、サイドに流れたりサイドバックに渡して展開をしようとしてもボールサイドへと圧縮して守られてしまうために余計にスペースを失ってボールを出す先を見つけることが困難でした。
時折それらの前へ向かう守備によってバルサのディフェンスラインの位置を上げられず、低い場所でのボール回しになってしまう。それによってオサスナが中盤と最後尾の間にスペースを作ってしまい、そこを利用することでバルサの攻撃に繋げることが出来ていましたが、パスミスが多く、安定してそこを利用して自分たちのペースにしてしまうことが出来ていませんでした。パスカットをされてしまうと、オサスナが間隔を狭めて守備をしている関係から攻撃に回っても距離が近くサポートも近い距離で行える。片側で少ないタッチのままボールを回してバルサの切り替えをしのぐことが出来ますし、片側に寄せた外側へ一気にサイドチェンジを意識して行うことで、バルサの守備の外側へ出してしまう。そうやって致命的な場面を一度作られてしまいましたが、ビクトル・バルデスのお陰で失点にまでは至りませんでした。

バルサが相手のプレッシングの裏を使えなかった一つの要因にはイニエスタが多くボールを受けに下がってきてしまっていた事があるのかもしれません。彼が引き出しに戻ることで、トゥーレ・ヤヤやセルヒオ・ブスケツの二人で動きよりも大きくポジションを動かしマークを引き剥がす効果がある。キープ力もあるからサイドバックを押し上げる効果もありますし、動き自体は問題なかったんですが、全体との距離をその動きのために広げてしまってパスミスも増えましたし、パスが届かず手前でカットされる場面も目立っていました。イブラヒモビッチとの距離も遠くなってしまい、そこにボールを収めるためにアンリがバランスを取ってポジションを動かし、2トップのように振る舞わなければならなくなっていました。

ただイニエスタが上下動をしてプレッシングをかいくぐっていくことによって、徐々にバルサがフォワードにボールを収められるようになり、オサスナを押し下げる事に成功をしていき、バルサのディフェンスラインを上げられるようになったのはいいことでした。ゴール前でメッシがファウルを貰えたときには、相手のバイタルエリアでボールを受けられていましたし、ディフェンスラインはハーフウェーラインまで上がれていました。ここまで出来るようになってしまえば、試合開始直後のようなプレッシングを受ける回数は減り、ディフェンスラインでセルヒオ・ブスケツが安定してボールを持てるようになり、センターバックの二人も余裕を持ってボールを持たせてもらう回数が増えていました。

問題は裏へ出されるパス。プジョルやガブリエル・ミリートの裏を狙われていて、kまかいつなぎの部分で足を止められている間に裏へ出されることもありました。競争になれば、状況から追いつくことは難しく、対応が後手に回らざるを得なくなる。足を止めてオフサイドを取れている場面はあっても、明確に取れる場面で取っているわけではなく危うさも含んでいるので、いくつも危険な攻撃をされていました。オサスナのプレッシャーをかける人数がそのまま攻撃の人数になるため、引いて守り、カウンターをするのとは違い、数的にも脅威になって厄介でしたが、精度がそれほど高くなく、スピードを特徴としている選手がそれほど多くないこともあって助かっている部分はありました。

まだ一人一人がボールを持っている時間が長いものの、相手を押し下げていくことでバルサの保持しておく時間を増やせていましたし、オサスナの前にかかる人数を減らせていた。ラインが低くなってもオサスナは中盤と連動させつつ、ラインコントロールもして一定以上に下がらないようにしていましたが、それでも広報からのパスは距離が長くなったことで、バルサがパスカットを狙えるようになりましたし、狭い距離で少ないタッチのまま繋がせる回数も減り、ミスも増やせて、試合のバランスはバルサへと傾いていました。

後半にアンリが退くと、イニエスタが左に入り多く起点を作り始めていました。イブラヒモビッチが相手を下げさせたところへ、それによって出来たギャップを利用して飛び出す形が増えていきました。イブラヒモビッチの近くにサポートを出来る選手が増えたからこそ出、前半の距離が開いていた時間帯では見られないプレイでした。
ただ全体を通してみれば、バイタルエリアでボールを受ける回数が少なく、裏への動きが得点に直結する形で利用できる回数は少なかった。イブラヒモビッチがスペースメイキングをしてメッシが使うことで、何とかバイタルエリアを利用できていましたが、それも回数は多くなく、中央に固められた守備の外側を利用してパスを回していることが殆どで、危険なパスを通すことや、中央を一回利用してから裏へ出す、というのは少ない。イニエスタがサイドの起点になっていましたが、中央の起点を一つ失うことにもなっているので、どうしてもそうなってしまうようです。
きっちりと押し込んでいるんですが、キーパーに防がれている、というような決定機を作り出しておらず、印象ほど得点のチャンスが多かったわけではありませんでした。

守備面は殆ど問題はなくなり、クロスを入れられたときに鋭くファーサイドを狙われるものに人数を整えきれていない部分はありましたが、それぐらいなもので、裏へ出されるパスには鋭さと精度がなくなり、距離もそれほど近く保てていおらず、飛び出しに慣れたビクトル・バルデスがディフェンスラインの裏を飛び出して処理できるようになっていました。

先制点を挙げた場面は、中央でファウルまがいのプレイで潰されそうになったとはいえ、中央から左、そしてオーバーラップするマクスウェルへと全体が縦の勢いを維持したままボールが動き、それまでのように足が止まりつつも前へ向かっていた部分が少なく、球離れも比較的早かった。全体の縦へ向かう動きが連動をして、オサスナ守備陣にイブラヒモビッチを掴まえておくための余裕を与えていなかったことが、あのゴールを生んだのかもしれませんね。もちろんマクスウェルがいいボールを入れたからこそ、なんですが。

先制点以後バルサはかさにかかったように前に人数を入れてプレッシングを継続していき、押し込んでいたんですが、直後は非常に危険なほど簡単に奪いにいきすぎてかわされてしまい、カウンターの危険があるほどでしたが、なんとかそれで失点せずに済んだために流れを確固たるものに出来ていました。

ただ審判への不満は大きく、苛立ちが観客を含めて前面へと出始めていて、無駄なカードをもらうことになってしまったのは非常に残念でした。それでも、不満は集中力や勢いを生むようで、終盤になっても運動量は落ちませんでしたし、もっと前への勢いが出たようでもありました。前へ向かうスピードも増えましたしパスミスも減った。フィジカルコンタクトをいとわない戦うプレイをするようにもなっていましたし、追加点を決める意識を持てた。実際に追加点を決められたことで勝利をより確実に出来ましたし、ボヤンのゴールは彼の復調にも繋がるでしょうからいいこと。

Liga Espanola Jornadas 27. レアル・サラゴサ対バルセロナ

2010 年 3 月 22 日 月曜日

■Real Zaragoza 2 – 4 FC Barcelona
この試合のスタート時のメンバーはローテーションをさせる意味合いを多少感じさせるものでした。コンディションの悪いプジョルの他、シャビが怪我で離脱している中生命線となるはずのイニエスタや復調してきたアンリを休ませて、怪我から復帰したケイタを先発させていました。
中盤の構成はセルヒオ・ブスケツをアンカーにおいて、右にトゥーレ・ヤヤ、左にケイタとバルサにとっては重量級でしたが、サラゴサの戦い方に合わせなければならないことを考えると、この組み合わせは非常によかったのかもしれません。試合開始から非常激しい体のぶつかり合いがあり、サラゴサの意気込みが強く出ていました。それぞれの選手を掴まえて、時に危険なタックルをしながらも戦う守備をしていた。ラインの設定が高く中盤を圧縮しているからこそ出来ることでしたが、そこでもしバルサの腰が引けてしまっていれば一気に主導権を握られてしまっていたかもしれませんが、そういったフィジカルコンタクトをを苦にしない選手たちだったお陰で、その時間を乗り切れたのかもしれません。

先制点を得た時間は早く、ディオゴの安易なミスからのものでした。それまでの間、メッシは久しぶりに右サイドへきっちりと張っている時間が多く、左にもペドロが大きく開いてワイドに使う姿勢を明確にしていた。縦を塞がれるようにマーカーがいて、ボールを後ろ向きに受けなければならない環境を作られ、厳しいチェックも受けていたために、そこからチャンスを作るに至っていませんでしたから、あの得点によって助けられた部分は大きかったようです。

サイドの展開ではいつもより左サイドは活発に動いていました。ペドロの突破力は心許なく、マクスウェルはリスクとバランスを考えてオーバーラップを控えたり中へと入ってしまう傾向が強くある。それらをケイタが左でバランスを取る動きをすることで、サイドバックの後ろをケアしてマクスウェルが上がりやすい環境を整えていたり中へ預けられるポイントにもなる。純粋にペドロとの縦の連携を促す役割を果たしていましたし、右のメッシとダニエウ・アウベスの連携と同じように左を使える環境を整えていたのはケイタがいてこそでしょう。

両サイドが機能することで、ラインを高く保てていた部分を少し押し下げることが出来、片側に人数もかけられず全体を分散させることが出来た。それが中盤にスペースを生むきっかけになりましたし、体をぶつけられる回数を減らすことにも繋がった。センターバックから縦へパスを出す部分では苦労していましたが、それより前でフォワードにまで縦のボールを出しやすくなっていましたし、メッシが右でマークを引きつけているためにイブラヒモビッチがボールを直接触れる回数もいつもの試合より多かったかもしれません。

バルサは高い位置に人数をかけて攻めていられたことや、中盤の構成からプレッシングが序盤は機能していました。相手をまずトゥーレ・ヤヤやケイタが抑えて振り向かせず、その間にフォワードが囲い込む形を作る。相手が前を向いているときに向かっていくのではなく、前を向く前の段階から守備ができているのは、ここのところの運動量の低下やプレッシングの質の低下の改善に繋がりそうでしたが、最後までの継続は難しかった。
サラゴサの攻め方がサイドでボールを持ってから中央へと出す。そのパスがディフェンスラインの裏側へ誰かを走らせる意図のあるものや、裏を意識させた上でピボーテの裏側へと出される。フォワードのスアソ一枚にその役割を担わせるのではなく、エリゼウやアリスメンディらも比較的近く、同じような意図を持たせているために抑えなければならないポイントを増加させていました。そういったパスを何度か出されてしまうことで、バルサのディフェンスラインは後方を意識して下がらざるを得ませんでしたし、戻りながらプレイする回数も多く、ピボーテとの距離が開いてしまうためにそれらを下げる必要もあった。
ソアソにはピケがきっちりと付いていることが多かったんですが、その受ける動きと連動して裏へ抜ける動きをやられてしまうため、センターバックが引き出された裏を狙われがちになってしまう。サイドバックが絞って対処しなければならないので、攻撃にサイドバックが連動していく回数を減らされてしまっていました。

後半になるとさらにサラゴサは前へ向かう勢いと共に人数を増やしていました。それまではある程度繋ぎながらパスの距離を縮めていたんですが、それを思い切って長くしてしまう。前の人数を多くしたことでバルサの4バック、それぞれのディフェンダーの間に三人が入り込む。間に入られてしまっていることもあって、相互のカバーリングも難しく、掴まえようとしてしまえば陣形が崩れて利用されるスペースを増やしてしまう。フォワードにボールが入ったときに掴まえておけなくなることが多く、チェックから遅らせたり、スピードを落とすことが出来ず裏へ走らされる回数が増えていました。前半よりもさらに中央に集まらざるを得ず、ワイドな位置にスペースが出来る。戻らされるためにラインが低くなり、中盤が前への参加が出来くなるのは前半よりも顕著に表れていました。その結果、キーパーを含めた後方で繋いで攻撃のスタートをすることになり、ケイタのスムーズなスペース作りも影を潜めるようになりましたし、イブラヒモビッチにボールが収まったときに人数を絡めてサポートできていたのが、それが遠くなり孤立するようになっていました。

バルサの攻撃が停滞し始めてボールを失う回数が増え、メッシが右で張ってボールをワイドに展開させる役割から、中央に移動するようになった。ボールを納めて全体を押し上げる役割を担おうとしているようでしたが、彼が外側に引きつけていたマークまで中央に集中させてしまうので、人数がいるところで受けようとすることになり、がつんと当たられてしまう。イブラヒモビッチが必要とするスペースも消すようになってしまい、なかなか効果的な受け方をさせられなくなり、パスコースも用意できず、イブラヒモビッチの飛び出しに合わせてパスが出せずにオフサイドのポジションになるばかり。

全体の流れとしては悪かったんですが、メッシのドリブルがそういった停滞した空気を吹き飛ばして個人で得点を決めてしまって一気にそういった部分を問題としない状態を作ってしまいました。その後両センターバックを代えてシステムも4-4-2に非常に近い形を取るようになった。サラゴサが中央に分厚く守っているところへ中央に人数をかけているためにあまり効果的に機能しているとは言い難く、ワイドに使うには時間が必要でサイドバックの上がりを待たなければならない。しかしながら相手の攻め方もありますし、シャビがおらず時間をかけて支配率を上げていくための戦い方を選択していませんでしたから、主にカウンターからのチャンスがその後は多く、中心となっていました。
バルサらしい崩しこそあまりありませんでしたが、その中でイブラヒモビッチはゴールのチャンスにも恵まれていましたが、不調でなければ決めていたであろう場面も決めきれず、一方でメッシがあっさりとハットトリックとなるゴールを決めてしまったために余計に対照的に見えましたね。三つ目はイニエスタがメッシがシュートを打ちやすい位置へ完璧なパスを出したからこそではありますが。

問題はこの後の二つの失点でしょうか。最後尾からの一発のフィードで裏を取られてしまっての失点。両センターバックを代えてしまった難しさがあるとはいえ、これまではある程度低く下げておくことで裏を取られないような工夫をしていましたが、ラインを高くしてしまっていた。そして足の遅いマルケスの裏側を取られてしまっては競争で勝てるはずもなく失点。
もう一つの失点はクイックリスタートから裏へまた一発で出されてのものでしたが、こちらもまた多少の油断があったのかもしれませんが、出来ることならこういった失点をせずに終わりたかった。特に攻撃面であまり全体の連動で形を作り続けたわけでもなく、支配率を高く保っていたわけでもない。試合を振り返ったときの印象として、後味の悪さがあるわけで、もう一点を取られてしまってもおかしくないだけの時間も残っていましたから、危険を感じるものでもありました。
結局はメッシがまた超人的なドリブルを披露してくれてPKを得たお陰でその危険を取り去ることが出来たわけですが、よりメッシ頼みを顕著にしてしまっただけではないでしょうか。PKのお陰でイブラヒモビッチは多少救われた感がありましたが、それ以外の部分で決められる場面が多かっただけに、どこかで決めて欲しかったですね。

Liga Espanola Jornadas 27. レアル・マドリー対スポルティング・ヒホン

2010 年 3 月 21 日 日曜日

■Real Madrid 3 – 1 Sporting de Gijon
スタート時からスポルティング・ヒホンは攻守両面に渡って積極的に動いていましたし、組織として構築された動きでしたが、守備においては局面を抑えるために複数人でスペースを埋めてブロックを形成して守るのではなく、一人が相手一人をきっちりと掴まえて対処することを中心としているようでした。二人で前後や縦と横を塞ぐのではなく、それぞれが対応する。それらはクリスチアーノ・ロナウドやイグアインのようなスピードのある選手たちにとっても同じことで、ボールを受ける動きにも裏へ抜け出す動きにも囲い込んでいない。マンマークではなくゾーンにいる選手が掴まえておくように見えましたが、そういったことができたのもラインを一定の高さに保って全体をコンパクトに保てていたからでしょう。
ですが、ラインを高く保つ裏側を狙われる回数は非常に多く、マドリーもそれを中心としているようでもありました。クリスチアーノ・ロナウドやイグアインらを中心として裏へ飛び出させ、そこへ単純にボールを入れていく。スピードの差があるために高いラインの裏側に出されると競争になって際どい位置でしか防ぐことが出来ない。ミスをすればゴールへと直結するわけで、危険でした。そういったことを繰り返していく内に、ヒホンは徐々に掴まえられなくなり、選手を掴まえられていた部分が付いていけなくなり、ボールを見てしまって出遅れてしまう回数が増えていました。運良くオフサイドになっていたり、センターバックがその部分で集中をしてカバーリングをしていたために何とか失点こそしませんでしたが、この試合通じて失点の危険性が一番高かったのはここでした。

徐々にマドリーのボール支配率が上がっていっていましたが、クリスチアーノ・ロナウドが裏に抜ける動きを中心とせずに下がって受ける動きをしていたからこその要素が強くあり、激しく当たられることを嫌がって下がっている節がありました。ボールを保持しておくことはヒホンの高いラインを下げさせ中盤のプレッシングを減らす役割があり、効果はあったんですが、クリスチアーノ・ロナウドが高い位置をプレイしないことで、ゴールの近くでファウルを貰う回数が少なく、前節のようにファウルを貰ってフリーキックをもらい、それだけで形が作れていなくても得点が取れる、そのチャンスを失うことにも繋がっていました。きっちりとディフェンスラインの前でプレイすることもありましたが、球離れが早く、トリッキーなプレイで空けたスペースに味方を入らせる役割を担って、こちらも体を張らなかった。もちろんそれでチャンスが増えていたのでチームとしてはいいことなのかもしれませんが、失敗してボールを失った後のあのやる気のない姿はいいものではありませんでしたね。

スコアが動くまでは戦えないマドリーに戻っていて、徐々にヒホンは自分たちのスタイルを取り戻していっていました。ある程度のプレッシングできるように戻りましたし、パスを繋いで攻撃にも出られるようになった。サイドバックを高い位置にまで上げることは、あまり出来ていませんでしたが、攻撃に人数をかけることも出来ていた。マドリーが守備時に体を預けて安定して展開させないように出来ていませんでしたから、チャンスになりそうな場面を数多く得られていたんですが、縦へ向かうスピードが足りずにディフェンダーを振り切るまでにはなかなか持っていけず、得点へと直結しそうなパスの段階でのミスがあまりにも多く、チャンスをチャンスとして活かせず、自滅の要素が強くありました。
先制した場面にしてもディフェンスラインの裏側に飛び出したもののスピードに乗れずコースを限定されてしまっていました。最後の最後で素晴らしいシュートを決められたからよかったものの、得点力の無さを伺わせる場面でもありました。

ヒホンはその得点以前、後半開始時から人を掴まえておく守り方を止めて、中央を固めてスペースを消すようになっていました。一人で相手を掴まえ、抑えておく部分が減ったのは、攻撃にかける人数を増やそうとしている影響でしょう。サイドバックを上げて攻撃時にある程度の縦の連携が出来るようになった。守備時にはその影響が出てしまって、マドリーに両サイドバックの外側を利用できるようにさせてしまい、危険なクロスを入れられるようにしてしまったのが大きなマイナスでした。
サイドを深く使われる危険性が出てしまったためにラインを高く保てなくなってしまい、中盤にスペースが出来はじめる。となるとクリスチアーノ・ロナウドが窮屈なプレイを選択しなくてもよくなり、いくつかのプレイの後にボールを受けても前を向けるだけのスペースを得て、振り向いて前を向いてシュートを打ててしまいましたし、ドリブルを出来るチャンスを得られるようにもなってしまう。それが彼一人だけに与えてしまっているならまだ問題は少ないんですが、全体に対しても同じ事なので、これまでゴールの近い位置でファウルをしてこず、マドリーが一本のフリーキックで試合を動かすいつもの形を作らせていなかった。それをさせるきっかけを作っていました。

先制点の直後にファウルを与え、フリーキックのこぼれ球を押し込まれたのはこの影響でしょう。いくつかこの予兆があったとはいえ、何度も崩されていたわけではありませんでしたし、得点を取るための形をマドリーが見つけられていたようには思えませんでした。毎度のこととはいえ、そういった状況の中で得られた得点によってマドリーは状況を突き抜けてしまうことが多く、この試合でも同点ゴールの直後にまたセットプレイからもう一点を追加して逆転。ヒホンはこれによって攻めなければならない環境を作られてしまい、スペースがどうしても出来やすい環境になってしまった。

ヒホンにとっても、マドリーの中盤の底が途中交代によってシャビ・アロンソ一枚しかおらず、その左右を利用しやすい環境が出来上がっていて、追い越す動きがもっと活発でスピードを持ったものであればもう一点決められる可能性があったんですが、この状況で得点をしてしまえるのは個人の力があるマドリーの方で、イグアインがゴールを決めて勝負あり。

UEFA Champions League First knockout round 2ndLeg バルセロナ対シュツットガルト

2010 年 3 月 18 日 木曜日

■FC Barcelona 4 – 0 VfB Stuttgart
シャビが練習中に怪我をしたことから出場できず、そのポジションにはトゥーレ・ヤヤが先発をし、フォワードには先のバレンシア戦でいい働きからチームを活性化させたアンリが先発をしてイブラヒモビッチはベンチスタートでした。

シュツットガルトの守り方は第一戦とそれほど変わる部分はなく、高いラインをコントロールしながら保ち、バルサの生命線である中盤の選手たちをきっちりと掴まえておき、ボールを受けさせない、センターバックにも一定の直に上は与えず、安定したフィードを出させないことを主にしているようでした。しかしながらバルサのシステムは以前とは変化をしていて、シャビが中盤にいないために明確に経由するポイントをシュツットガルトが定めることは難しく、第一戦のようには抑えられていませんでした。

バルサは4-2-3-1に近く形成しつつ、セルヒオ・ブスケツがセンターバックの間に入るほどまで戻り、ボールを前に配球する回数も多かった。一つ前にトゥーレ・ヤヤがポジションを取っているものの近くにパスコースがあるとは言えず、距離がどうしても長くなりがちでした。
アンリが精力的に横の動きと裏へ飛び出す動きをして全体を活発化させていくことをこの試合も目指しているようでした。当初は特にディフェンダーの間に入り、裏へ飛び出す動きを多くしていました。単純な縦の動きではなく、中央ばかりではない。コントロールされたラインの裏へ隙間から飛び出すためにシュツットガルトの陣形を崩す効果もありましたし、メッシもアンリが流れて作ったスペース、ペドロとアンリの間に入って飛び出すことも誘っていました。イニエスタとペドロがタッチライン際をワイドに使って逆サイドを意識した攻撃をしていましたが、縦を利用するには二枚でマークされている状態は厳しく、アンリの裏への動きも含めて、高い位置に固まってしまっているために、後方からのボールが安定して届く距離ではありませんでしたし、シュツットガルトのコントロールされたラインを押し下げていく効果は薄かった。
シュツットガルトはディフェンスラインの前に中盤の選手たちを集めて、バイタルエリアを空けておかない。メッシは多くそのディフェンシブ・ミッドフィールダーの裏側へ入ってボールを受けようとしていましたが、なかなかさせてもらえないほどスペースはありませんでしたが、イニエスタは上手くバランスを取って中と左のポジションを行き来して相手のマークを引きつけていました。これまではマクスウェルがオーバーラップするタイミングを掴めずウイングの位置にまで追い越せていませんでしたが、何度もその形を作ってくれたお陰で、バルサが左を使えるために展開を狭めて相手のマークを集中させてしまうこともなかった。
ただカウンターを受けてしまえば、マクスウェルの裏側を使われることにもなるわけで、守備を考えれば不安な部分でもありましたし、バルサが先制するきっかけとなったカウンターの場面でも利用されいた。短いクロスだったために数的に問題があった中を利用されることがありませんでしたが、多少危険を感じる部分でした。直後にメッシが先制点を決めてしまったことで連続して使われませんでしたし、危険だったことすら目立たなくなってしまいましたが。

先制点は、カウンターとはいえメッシに安定して前を向くスペースを大きく与えたのがそもそもの原因。ラインを整えておくことやワイドに開いたペドロに意識がいったことで受けに戻ったメッシに対して誰も付いていきませんでしたし、アンリのダイアゴナルな動きによって左足のコースにいた人数を減らされてしまったのもありますが、常に左足のコースを開け続けたシュツットガルトにもミスは多い失点でしょう。ゴール自体はメッシが素晴らしかったとしかいいようがありませんがその前に止める選択肢もいくつかあったはず。

バルサにとって難しい守備をしなければならなかったのはピボーテの裏側へ一気にボールを出されてしまうこと。ピボーテが二枚いて待ち構えていても、その裏へフィードをされてしまえばセンターバックが処理をしなければならなくなる。裏へ出されれば戻りながらの処理になるし、短ければ前へ吊り出される形になってギャップが出来る。フィードに対して競り勝てたとしても切り替えの素早さからプレスを受けて余裕のないクリアがいくつかしなければならない。
グラウンダーで繋ぐパスもセンターバックと中盤でシュツットガルトの一歩目、フォワードに収めるところを挟み込めているんですが、ここでもセンターバックのギャップが出来てしまい、裏を狙われてさらに戻される場面がいくつかありました。ただ直接上がったセンターバックの裏を狙われるのではなく、隣のサイドバックの裏を狙われているために危険は少なく対処することが容易かったのが幸いでした。
あとはプレスをいなされるように出されるダイレクトパスでしょうか。連続してはたかれてしまうことでバルサのプレスが機能せず、寄せていった部分にスペースができてしまい、さらに連続してパスを出されるきっかけになる。精度を維持するのが難しいため、どこかでミスをしてくれて助かっているんですが、吊り出されている部分は少し不安に感じました。

シュツットガルトのコンパクトな守備は継続され、第一戦でも同じようにやられ、封じ込められてしまっていましたが、この試合ではイブラヒモビッチの高さがないためにスピードを利用した裏への動きを多く見せた。相手の前で受けたり競り合って窮屈なプレイを選択しなかったことで相手に強く裏側への動きを意識づけられていた。それによってディフェンダーを待ち構えさせず、相手の前でボールを受けやすくしていました。高い位置で前を向いてボールを受けられれば継続して裏へ飛び出す姿勢を見せておく。最後尾と中盤とで二つのラインが出来た時はアンリがディフェンスラインの前で受ける動きをしてポストプレイをして左右へ配球する。二点目はそれを何度か見せておいたことで、より効果的に同じ形で来ると相手に思わせられたようです。ディフェンスラインの前でボールを受けに少し戻り、それに相手の二枚がポストプレイをさせまいと釣られた。前へ出てきたディフェンダーの裏側へトゥーレ・ヤヤが飛び出し、完璧にディフェンスラインのギャップを突いた。動きから最後はペドロ。

二点を取った後バルサの攻撃は多少鋭さを失い、裏への動きが減っていました。主にアンリの裏へ飛び出す動きが減り、シュツットガルトのコントロールされたラインの裏に置いて行かれる姿も見られるようになっていました。ただ彼が引っ張っていかなければ行けない状態を脱したからで、全体がよく動くことでサイドのエリアへ進出する必要がなくなり横の動きが減ったわけですし、メッシが受ける動きをしているために同じような動きをする必要がない。アンリはバランスよくウイングの近い位置でポストプレイをして左右の高い位置へ配球するようになっていましたから、若干の停滞がある瞬間ではバルサの形は4-2-4のようですらあります。前に溜まってしまうと相手も同じように待ち構えてしまうため、それまではパスカットからカウンターを受ける機会がそれなりにありましたが、この形になったときには、ドリブルやキープの部分を奪われる回数が増えていました。

バルサの守備面での不安はセンターバック前のエリアを利用されてしまう回数の多さだったんですが、ピボーテが二枚になったことでそのスペースを消せていましたし、サイドをえぐられたとしてもケアにサイドへ進出してももう一枚が中央に残ることができる。あるいはセンターバックの間に入って処理も出来るし、状態が整っていればセンターバックのへと存在して厚みを作り、クリアのこぼれ球も拾えている。シャビがいなかったことでむしろこの部分の形が明確にな有り、状態の改善としてはいい関係にありましたね。
モリナーロにサイドを多く使われたとしても中のコースを切れてゴールから遠い位置、危険ではないエリアでプレイさせることで危険は感じませんでしたし、明確にピンチだと思える形を作られなかったのはここの安定があったからこそかもしれません。

三点目を決めた後にセルヒオ・ブスケツが怪我から交代したことで、その守備の部分がどう変化するか不安だったんですが、ガブリエル・ミリートが投入されるまではイニエスタが中央に入り、通常の4-3-3に近い形になっていた。ガブリエル・ミリートが投入されてからはピケがピボーテの位置に入り、トゥーレ・ヤヤと再び二枚で中盤を形成するようになっていました。ピケが高さを活かしてクリアなどのポイントを掴まえて防ぐ。センターバックならフィードに直接対応してしまうとギャップが出来るために危険なプレイなんですが、一枚前でそれができれば、後方に二枚いる事からより安定して高さに対応できるようになる。トゥーレ・ヤヤやセルヒオ・ブスケツよりも後方との距離も近いために間に落とされる心配もありませんでしたから、あの時間帯ではむしろ効果的だった。サイドバックの裏を取られても、センターバックの位置へスムーズには入れるお陰でクロスへの対応にも人数が揃いますし、プジョルやガブリエル・ミリートがサイドへケアするために出てもスムーズにポジションを埋められる。今後の可能性としても十分にいいものかもしれません。

途中から出場したイブラヒモビッチは彼自身がボールを触る機会や得点にからめる形は少なかったんですが、効果的にスペースを作り出す動きをしていました。これまでの不調の期間のように中央に張りて相手を背負い続けるのではなく、左右への動きをして相手を引きつけスペースを作る。そこへメッシがすかさず入り込んでこれまでのような不安定な距離感ではなく、上手く両方が作るスペースを利用しているようでした。
クロスにしてもシュツットガルトがイブラヒモビッチの高さを警戒している外を意図して狙っていましたし、狙った位置に他の選手がきっちりと入り込んでいた。通常の構築の時も、そこへ収めるだろうと思われている所へ出さず、裏を使ったり、彼を中心に中央へ集めてサイドを利用したり、上手くイブラヒモビッチの動きを利用できているようでした。あとは判定に泣かされていましたが、彼が何度か裏を狙っているタイミングでボールも出ていましたし、チームの内容が改善されてきたこともあって、彼の活躍も近いうちに見られるかもしれません。

最後はイブラヒモビッチのアシストからボヤンのゴール。レーマンがあまりにも不用意にエリア外まで飛び出してしまった判断ミスがありましたが、いいゴールでした。これもボヤンの復調のきっかけになれば。