■FC Barcelona 4 – 0 Sevilla
国王杯で対戦から連続してセビリアと対戦をすることで、カンプ・ノウの観客の反応が気になっていたんですが、どうやらチームに対する批判めいたものはないようで一安心をしました。代わりに止めに止めまくったパロップへのブーイングは凄まじいものがありました。
バルサの出足は慎重なものでコパ・デル・レイのピントがよくする方法と同じように、キーパーがゴールキックやバックパスの処理をそのままフィードせず、センターバックを開かせてショートパスで繋ぐ姿勢を多く見せていました。それでもセビリアのフォワード、アルナ・コネやホセ・カルロスは深い位置にまでチェックに向かってきていました。これをしてしまうと連動したものとは言い難いほどに全体が伸びきってしまうわけですが、ヘスス・ナバスもしっかりとアンカーや受けに戻ってくるシャビらを抑えておくことで、前後の分離を最小限に留めておく努力をしているようでした。
他にも後方から前へ収めるボールに対しては、国王杯同様に前へ向かった守備をしていて、全体が前へ向かいながら連動したチェックとスペースを相手に与えない方法を選んでいるようでした。
預けるパスへパスカットを多く狙ってくるため、バルサは近い距離でもダイレクトでボールを回すことが出来ず、特にセビリアが中央に人数を多くかける布陣を選んでいたこともあって、繋ぐパスよりも裏へ何度もボールを出すことを中心としていました。消極的に考えれば、中央のパス回しにはマークの距離を狭められ、きっちりと抑えられているとも受け取れるんですが、国王杯でそうだったように、パスカットを狙うかのように前へ出てくる守備をしてくるために裏へスペースが大きくできる。それはセンターバックの裏側だけではなくて中盤の裏側、ディフェンスラインの前にもスペースが出来る。その部分を利用すればイブラヒモビッチがボールをマークを受けずに扱うことも出来るわけで、ここの所多く対戦をしているだけあって、バルサの方がよりセビリアの戦い方を理解しているようにも見えました。
何度かバルサがセビリアの前へ向かう守備の逆手を取って裏を使い、パロップを脅かしてから、セビリアは前へ向かう積極的な姿勢を見せづらくなった。パスカットを狙うために守備の陣形を崩しつつプレイするのではなく、裏を狙われないようにしっかりと相手を掴まえておくことを重視し始めているようでした。
ただし、それをしてしまえば、メッシのドリブルを中盤のロロらが掴まえて危険なエリアで開始させないようにすることはできるものの、中央に人数をかけて守らなければならなくなるためにダニエウ・アウベスやアビダルに高いポジションを取ることを許してしまう。ただでさえ、サイドアタッカーと呼べる存在を配していなかったセビリアにあって、この二人のサイドバックを自由にしてしまうことは大きく、活発に動かれるようになったことでいくつものピンチを呼び込む結果になってしまっていました。
中ではシャビとイニエスタの相手を外す動きが活発になってきていて、パスで構築するためのポジションの取り直しが秀逸で、そこからボールをキープして、ドリブルで抜いていく姿勢も見せられるようになってきた。前へ向かう守備をされないためにボールを受けてから一定の余裕が出来たおかげですね。そのため、イニエスタがドリブルの回数を増やし、相手はそれを警戒するために余計に近づけず、チェックも容易にはいけず、ドリブルを警戒するあまりスペースを用意してしまい、スルーパスも狙える状況を作ってしまう。スタンケヴィチウスが流動的に流れて、特にイニエスタを抑えるためにサイドへ進出することも多かったんですが、全体が中央を固めていることには変わりがなく、縦へのコースを切れていないため、クロスを多く許していた。
サイドバックが高くポジションを保てることで、ワイドに使用して相手を広げるための動きをアンリやメッシがしなくてもよくなり、中央に人数をかけることは難しくなくなっていた。ペナルティエリアに近い位置で彼らがプレイを出来ることで、サイドを縦に使えることと相まってディフェンスラインを大きく下げる効果もありました。攻め続けてラインを押し下げさせ、裏へボールを多く出して前へ向かうチェックも減らし、バルサのペースは作り上げられていました。
ただ一つ危険なことがあるとすれば、サイドバックを含めたバルサの攻撃が延々と続いているため、カウンターになったときにアルナ・コネが納めてから展開するのが常なんですが、問題はそれよりもさらに進出をしてサイドの高い位置で起点を作られた場合ですね。ダニエウ・アウベスも高い位置を取り続けているためにそのスペースが大きく空いてしまい、センターバックがカバーをしなければならなかった。特に右側を利用されるためにピケがピケが抑えにかからなければならなかったものの、速い動きに対応するのが苦手な選手ですから迂闊に飛び込むことは出来ず、セビリアが中に人数をそろえる時間を許してしまうことが幾つかありました。その間にバルサも人数をそろえられれば問題なかったんですが、上がる速度の方が早いのが常で、中に数的不利を作られてしまい、サイドからクロスを上げられるのではなく、繋ぐパスを選択されていくつかのピンチを作られてしまいましたね。
後半になってからは、セルヒオ・ブスケツがサイドバックの上がったスペースを埋める動きを正確にしているお陰で、カウンター気味になったとしてもサイドバックの部分に穴が出来づらくなり、ピンチに陥る場面は減りましたね。
ディエゴ・カペルの縦の動きは、左にいるときは左足しか使えないため怖くはなく読みやすく、対応もしやすかった。右に回られて対応に困る部分はあったんですが、この日は非常にアビダルが安定をしていて抑えていました。スピードを抑えられないような場面ではパスカットを狙ったり、足を出すフェイクを入れて相手にボールを大きく出させておいてからカットするなど、守り方においても多彩な動きをしてくれていましたし、直接ディエゴ・カペルからボールを奪い、攻撃に参加することでディエゴ・カペルを守備に下げさせてしまう効果もあったおかげで、安定した攻守を支えていたのはアビダルだったのかもしれません。
セビリアは前半のような積極的な守備を見せられないまま中央を固めるのみでした。いくつか選手交代によってサイドの主導権を握ろうとしている部分が見られましたが、中央を三枚できっちりと固められて守ろうとする反対の動きを同時にしたり、パスカットを狙い、前へ向かう勢いを守備時から見せることも出来ず、裏を狙われる恐怖からディフェンスラインも高く保てていなかった。ピッチの状態がよくない中でバルサの攻撃を受け続けているために、消耗をしてチェックの速度も落ちていましたし、ポジションの修正が遅く、バルサの選手たちがボールを受けやすい環境を作ってしまっていましたね。
一時的に前へ向く意識を強く持ちすぎたメッシ、シャビ、イニエスタらの部分でボールを奪えてカウンターができていたものの、後方が連動できなかったために一時的なもので終わってしまい、バルサに脅威を与えるほどではありませんでした。むしろ弱点の部分を大きく広げる結果になってしまい、バイタルエリアを大きく空けてしまった。結局そこからフリーの状態でパスを出されるようになり、ペドロのゴールを生む一連の流れに繋がりましたね。
ある意味、あのゴールで全てが決まったようなもので、一気にこれによってセビリアはしぼんでしまって、チェックが無くなり、中央のポジションも停滞するようになった。ディフェンスラインも整わなくなりギャップが出来て、バルサが裏を単調に狙い続ける気があれば、いくつでも使えるだけのスペースがありましたが、そういう戦い方をしないため、別の形で崩されてしまいました。
パロップは試合全体を通してよく防いでいたものの、あれだけの本数を打たせてしまう守備全体の問題の方が大きく、いくら彼が孤軍奮闘をしてもゼロや一点のみで抑えておくことは難しい試合でした。