2010 年 1 月 のアーカイブ

Liga Espanola Jornadas 18. バルセロナ対セビリア

2010 年 1 月 17 日 日曜日

■FC Barcelona 4 – 0 Sevilla
国王杯で対戦から連続してセビリアと対戦をすることで、カンプ・ノウの観客の反応が気になっていたんですが、どうやらチームに対する批判めいたものはないようで一安心をしました。代わりに止めに止めまくったパロップへのブーイングは凄まじいものがありました。

バルサの出足は慎重なものでコパ・デル・レイのピントがよくする方法と同じように、キーパーがゴールキックやバックパスの処理をそのままフィードせず、センターバックを開かせてショートパスで繋ぐ姿勢を多く見せていました。それでもセビリアのフォワード、アルナ・コネやホセ・カルロスは深い位置にまでチェックに向かってきていました。これをしてしまうと連動したものとは言い難いほどに全体が伸びきってしまうわけですが、ヘスス・ナバスもしっかりとアンカーや受けに戻ってくるシャビらを抑えておくことで、前後の分離を最小限に留めておく努力をしているようでした。
他にも後方から前へ収めるボールに対しては、国王杯同様に前へ向かった守備をしていて、全体が前へ向かいながら連動したチェックとスペースを相手に与えない方法を選んでいるようでした。
預けるパスへパスカットを多く狙ってくるため、バルサは近い距離でもダイレクトでボールを回すことが出来ず、特にセビリアが中央に人数を多くかける布陣を選んでいたこともあって、繋ぐパスよりも裏へ何度もボールを出すことを中心としていました。消極的に考えれば、中央のパス回しにはマークの距離を狭められ、きっちりと抑えられているとも受け取れるんですが、国王杯でそうだったように、パスカットを狙うかのように前へ出てくる守備をしてくるために裏へスペースが大きくできる。それはセンターバックの裏側だけではなくて中盤の裏側、ディフェンスラインの前にもスペースが出来る。その部分を利用すればイブラヒモビッチがボールをマークを受けずに扱うことも出来るわけで、ここの所多く対戦をしているだけあって、バルサの方がよりセビリアの戦い方を理解しているようにも見えました。

何度かバルサがセビリアの前へ向かう守備の逆手を取って裏を使い、パロップを脅かしてから、セビリアは前へ向かう積極的な姿勢を見せづらくなった。パスカットを狙うために守備の陣形を崩しつつプレイするのではなく、裏を狙われないようにしっかりと相手を掴まえておくことを重視し始めているようでした。
ただし、それをしてしまえば、メッシのドリブルを中盤のロロらが掴まえて危険なエリアで開始させないようにすることはできるものの、中央に人数をかけて守らなければならなくなるためにダニエウ・アウベスやアビダルに高いポジションを取ることを許してしまう。ただでさえ、サイドアタッカーと呼べる存在を配していなかったセビリアにあって、この二人のサイドバックを自由にしてしまうことは大きく、活発に動かれるようになったことでいくつものピンチを呼び込む結果になってしまっていました。

中ではシャビとイニエスタの相手を外す動きが活発になってきていて、パスで構築するためのポジションの取り直しが秀逸で、そこからボールをキープして、ドリブルで抜いていく姿勢も見せられるようになってきた。前へ向かう守備をされないためにボールを受けてから一定の余裕が出来たおかげですね。そのため、イニエスタがドリブルの回数を増やし、相手はそれを警戒するために余計に近づけず、チェックも容易にはいけず、ドリブルを警戒するあまりスペースを用意してしまい、スルーパスも狙える状況を作ってしまう。スタンケヴィチウスが流動的に流れて、特にイニエスタを抑えるためにサイドへ進出することも多かったんですが、全体が中央を固めていることには変わりがなく、縦へのコースを切れていないため、クロスを多く許していた。

サイドバックが高くポジションを保てることで、ワイドに使用して相手を広げるための動きをアンリやメッシがしなくてもよくなり、中央に人数をかけることは難しくなくなっていた。ペナルティエリアに近い位置で彼らがプレイを出来ることで、サイドを縦に使えることと相まってディフェンスラインを大きく下げる効果もありました。攻め続けてラインを押し下げさせ、裏へボールを多く出して前へ向かうチェックも減らし、バルサのペースは作り上げられていました。

ただ一つ危険なことがあるとすれば、サイドバックを含めたバルサの攻撃が延々と続いているため、カウンターになったときにアルナ・コネが納めてから展開するのが常なんですが、問題はそれよりもさらに進出をしてサイドの高い位置で起点を作られた場合ですね。ダニエウ・アウベスも高い位置を取り続けているためにそのスペースが大きく空いてしまい、センターバックがカバーをしなければならなかった。特に右側を利用されるためにピケがピケが抑えにかからなければならなかったものの、速い動きに対応するのが苦手な選手ですから迂闊に飛び込むことは出来ず、セビリアが中に人数をそろえる時間を許してしまうことが幾つかありました。その間にバルサも人数をそろえられれば問題なかったんですが、上がる速度の方が早いのが常で、中に数的不利を作られてしまい、サイドからクロスを上げられるのではなく、繋ぐパスを選択されていくつかのピンチを作られてしまいましたね。
後半になってからは、セルヒオ・ブスケツがサイドバックの上がったスペースを埋める動きを正確にしているお陰で、カウンター気味になったとしてもサイドバックの部分に穴が出来づらくなり、ピンチに陥る場面は減りましたね。
ディエゴ・カペルの縦の動きは、左にいるときは左足しか使えないため怖くはなく読みやすく、対応もしやすかった。右に回られて対応に困る部分はあったんですが、この日は非常にアビダルが安定をしていて抑えていました。スピードを抑えられないような場面ではパスカットを狙ったり、足を出すフェイクを入れて相手にボールを大きく出させておいてからカットするなど、守り方においても多彩な動きをしてくれていましたし、直接ディエゴ・カペルからボールを奪い、攻撃に参加することでディエゴ・カペルを守備に下げさせてしまう効果もあったおかげで、安定した攻守を支えていたのはアビダルだったのかもしれません。

セビリアは前半のような積極的な守備を見せられないまま中央を固めるのみでした。いくつか選手交代によってサイドの主導権を握ろうとしている部分が見られましたが、中央を三枚できっちりと固められて守ろうとする反対の動きを同時にしたり、パスカットを狙い、前へ向かう勢いを守備時から見せることも出来ず、裏を狙われる恐怖からディフェンスラインも高く保てていなかった。ピッチの状態がよくない中でバルサの攻撃を受け続けているために、消耗をしてチェックの速度も落ちていましたし、ポジションの修正が遅く、バルサの選手たちがボールを受けやすい環境を作ってしまっていましたね。
一時的に前へ向く意識を強く持ちすぎたメッシ、シャビ、イニエスタらの部分でボールを奪えてカウンターができていたものの、後方が連動できなかったために一時的なもので終わってしまい、バルサに脅威を与えるほどではありませんでした。むしろ弱点の部分を大きく広げる結果になってしまい、バイタルエリアを大きく空けてしまった。結局そこからフリーの状態でパスを出されるようになり、ペドロのゴールを生む一連の流れに繋がりましたね。

ある意味、あのゴールで全てが決まったようなもので、一気にこれによってセビリアはしぼんでしまって、チェックが無くなり、中央のポジションも停滞するようになった。ディフェンスラインも整わなくなりギャップが出来て、バルサが裏を単調に狙い続ける気があれば、いくつでも使えるだけのスペースがありましたが、そういう戦い方をしないため、別の形で崩されてしまいました。
パロップは試合全体を通してよく防いでいたものの、あれだけの本数を打たせてしまう守備全体の問題の方が大きく、いくら彼が孤軍奮闘をしてもゼロや一点のみで抑えておくことは難しい試合でした。

Bundesliga 18. Spieltag バイエルン・ミュンヘン対ホッフェンハイム

2010 年 1 月 16 日 土曜日

■FC Bayern Munchen 2 – 0 TSG 1899 Hoffenheim
冬の移籍マーケットで選手の放出こそあっても補強の姿勢が見えないバイエルンは、この試合も代わり映えのしないいつもの布陣でした。
出場機会のない幾つかの選手に関してはレンタル移籍をすることは本人のためだとはいえ、プレシーズンでも一定の評価の出来る動きを見せていたバウムヨハンをもう完全移籍させてしまうなど疑問に思う部分があるのも確か。二月から再開されるチャンピオンズリーグやDFBポカルのことを考えれば、怪我がちな選手を多く抱えるバイエルンは残しておくべきだったのではないかと思ってしまいますね。多くはファン・ハールの好みではなかったというだけなんでしょうが。

4-4-2に近いシステムで、基本形として左にミュラー、右にロッベン、中央にシュバインシュタイガーとファン・ボメルという形でした。ホッフェンハイムが奪い所として定めているのは、ミュラーやシュバインシュタイガーの部分のようでした。ファン・ボメルは高く上がってチェックを受ける段階ではプレイしたがりませんし、ロッベンは簡単にボールを失わないとなると、ここの部分を抑えにかかるのは当然なのかもしれません。
強く当たられる事も多く、他に比べてしっかりとマークに付かれている印象が強く、ボールを失ってしまう回数も序盤は特に多かった。後方にバランスを取れる選手であったり、カバーリングに優れている選手が残っているなら、それでも大きな問題にはなりにくいんですが、実際にその形を作られてしまうと、後方に残るのはセンターバックだけ、という場合が殆ど。
ファン・ボメルはポジションを取って待ちかまえることはできているものの、ボールを見てポジションを取ることは出来ても、自分の背後の何処に選手がいるのかに気を配っていないため、中盤、特にミュラーやシュバインシュタイガーのところでボールを奪われてしまうと、裏を使われて勢いに乗って展開されるきっかけになっていました。守備意識には問題はないようで、きちんと追いかけることは出来ているんですが、前への守備しかできていないために後手に回ってしまい、追いかけながらファウルや危険な止め方をせざるを得ず、この試合を通じていくつものダーティなプレイがありました。カードも出ませんでしたし、怪我をさせなくて済んだものの、その危険は十分にあると思えるほどでした。ブンデスリーガの笛の基準からいえばおかしくはないものでしたが。

守勢に回った瞬間にシュバインシュタイガーはしっかりと寄せてプレッシャーをかけるが、守備の明確な形はそれしかないため、サイドに展開されると、アーリークロスや突破から中に展開されたり、抜けられるのを考えなければならず、一人がカバーのためにラインを大きく崩して下がっているケースが見られました。そのため中央に人数が集まってしまい、崩れたラインの裏を使われないように反対側のセンターバックやサイドバックが寄せて、ファーサイドに大きなスペースを作ってしまいがちでしたが、ホッフェンハイムがそれを利用できていなかったために大事には至りませんでした。
それ以外にも中央の一人であるシュバインシュタイガーが攻撃に参加したり、サイドに流れたり、多くの役割をするため、中央に陣取っているのはファン・ボメルだけになりやすい。それでもセンターバックが前への意識を強く持って、高めを維持してしまってバイタルエリアを多く空けているファン・ボメルの裏側をケアしているおかげでなんとかなっていましたが、役割をこなすシュバインシュタイガーがこの日は特にボールロストが多く、ミスも多かった。そのために余計に守備の部分が目立ちましたし、度々ラインを崩したり前へチェックに出なければならないために、裏へ直接出されると苦しいものがありましたね。

構築の部分は偶然に支えられている要素が強く得点もそれに近いものでした。
明確な形は、ポストプレイをするオリッチにいったんボールを当てた後、サイドに位置するミュラーやロッベンへ出し、そこから上がってきたシュバインシュタイガーなりファン・ボメルに渡して、ワンツーなどからサイドを深くえぐる。そこから対峙しながら中へパスを出していき、シュートチャンスを伺うもので、中の位置次第で戻し気味にしたり、入り込む形になったりはするものの、サイドに起点を設けて、中へショートパスというスタイルは変わりません。クロスを使っていくこともなく、縦への勢いを利用したまま、ディフェンダーとキーパーの間にボールを送り込むこともほとんどありませんでした。縦への勢いを持っているときがあるとすれば、オリッチがサイドバックの裏を狙ってボールを引き出しに動いたときぐらいで、その時はフォワードとして彼が全体を引っ張るから、前へ勢いを持ったままクロスを入れることもありますが、早い攻撃には数が整わずチャンスにはなりにくい。右に流れて引き出した場合には逆足ためにスムーズなクロスが出来ず、ロッベンにしても対峙する形を取ってしまえば左足からしかクロスが上がらないために、特に右からはラームかファン・ボメルを待たなければクロスをすぐに上げられず、持ち替えなければならないため、スピードが遅いものでした。
あるいは、フォワードがファン・ボメルまで戻して左右に展開するぐらいでしょうか。中央からワイドに開くパスも、足下へ出されるものなら、コースにしっかり入られてしまえば、浮き球であってもサイドバックが前でカットできてしまうために効果的であるとは言えず、いい形の攻撃はあまりありませんでした。

後方でもイビセビッチとデンバ・バがバイエルンのセンターバックにチェックを少しかけているとはいえ、連動したものではないので構築に苦労するようなチェックではなく、ダイレクトで動かせる状態でもあるはず。それがまったくできずに、自分自身でチェックをかわして危険を冒して前への意識を出さなければならないのは、ホッフェンハイムがきっちりとマークをして相手を抑えているというよりも、ボールを引き出す動きが足りないからでしょうね。
ホッフェンハイムも似たような所があり、ボールの扱いに長けたヒルデブラントが後方に控えていることで、プレッシャーを受けてしまうとキーパーに戻す場面が少なからずあるわけで、そこからの展開が考えられておらず、ヒルデブラントがボールを前へ持ちだして、大きく蹴るぐらいしかパターンがない。戻した後、如何に前へ繋ぐか、が存在しないのなら、わざわざ後方に戻さずに大きくクリアをしてしまっても変わらないんじゃないかと思えてしまいますね。

得点以後はロッベンがスペースの用意された部分をドリブルで駆け上がってカットインしたり、カウンターのボールを一気に前へ運んだり、ホッフェンハイムが攻勢に出ているためスピードのある展開もあったんですが、それぐらいですね。
両キーパーが引き締めていたからこそ見られた試合だったと思っています。さすがのヒルデブラントも先制点のようなこぼれ球への対応や、二点目のようなシムニッチの不用意さが生んでしまったようなものに対しては防ぎようがないわけで、崩されたという印象よりも、ただ単に失点した、という印象の方が強いですねぇ。

Copa del Rey Cuartos de Final 2nd セビリア対バルセロナ

2010 年 1 月 14 日 木曜日

■Sevilla 0 – 1 FC Barcelona
バルサは二点差以上を突けての勝利か、あるいは三点以上を取っての勝利が必要なため、国王杯で主に出場する選手たちを殆ど起用していませんでした。起用されていたのはキーパーのピントだけ。セビリアにしても同じく全力のメンバーを持ってきて、最初から逃げ切るためのメンバー構成にはしていませんでした。

試合開始時は芝の状態があまりよくなく、ピッチが水を含んでいるためにボールが走らず、スピードが落ちるだけではなく、ボールが止まってしまうほどぬかるんでいる場所も見られました。ボールの処理に苦労する部分があったなかで、セビリアは最初から前へ向かう意識を強く持ってプレイし、守備にも攻撃にも前がかりな印象を受けるほどでした。
バルサはシャビやイニエスタの位置を下げ、アンリも引き気味に位置してディフェンスライン前のスペースをケアすることに重点を置きながら、イブラヒモビッチを裏へ走らせて、一本のパスで得点を狙っていました。形としては、第一戦でマルケスのフィードによって得点したものを狙っているようですね。

試合開始直後の攻撃を受ける際には全体を引き気味にしていたものの、時間が少し経過するにつれて、バルサはシャビやイニエスタ、セルヒオ・ブスケツも少しポジションを上げて、ディフェンスラインの位置も上げて全体をコンパクトに保とうと修正をし始めていました。問題は、セビリアも高いラインを設定し、フォアチェックによってプジョルやアビダル、ピント、セルヒオ・ブスケツがボールを持てば奪うために連動性を持って囲い込みに来ていたことでしょう。それぞれの選手だけを囲い込むのではなく、パスコースの先も抑えて、出せない環境を作りつつ寄せてくる、非常に積極的なものでした。後方のボール回しを容易にさせず、バックパスが出れば、それを延々と追い続け、運動量を惜しまず前へ戻させない。
その奪う姿勢や、雨の影響からボールのスピードが殺されてしまうため、本来であれば通るようなパスもスピードが落ち、尚かつ守備の積極性からフォアチェックをされパスコースを限定された上でパスカットをも狙われている。得意な形で持たせてもらえず、近い距離でのパスであってもカットされてしまう。リズムを掴むのは非常に難しく、両者がラインを高くしているため、圧縮されている環境ではスペースが見つからないようにも見えました。

セビリアの前への積極性を持った守備は攻撃にも繋がっており、ヘスス・ナバスが右、アドリアーノが左に開いて、チェックからの流れでワイドに使ってくる。そこへサイドバッkやピボーテの選手も絡んできて、サイドに数的有利を作る。ある程度低い位置からのカウンターにしてもそれぞれの縦のスピードで一気にサイドを使われてしまうため、バルサは目一杯ワイドに開いた守りをしなければならなくなる。両サイドに対応しなければならない選手を置きながら、中央にネグレドやレナトがおり、サイド攻防にセンターバックがカバーへいってしまうと、残った二人が逆サイドとフォワードの二人に対応しなければならず、あと一人に入られれば、数的不利になりかねない危うさがある状態が続いていました。アンカーがディフェンスラインに入ったとしても、四枚の前のスペースを埋めることは難しく、ラインの中に入り裏をも狙ってくる相手を掴まえるのも難しい。危険な状態でした。

相手の勢い呑まれているような状態の中で、バックパスを選択しなければならない場面も多く、より前へ向かう守備をされていましたし、それがピンチにも繋がっていました。ある程度ラインを高く設定しているがために、ピントにまでボールを戻すとすれば長距離のパスを出さざるを得ず、リターンのパスをもらうために大きく戻らなければならない。そのためにキーパーがボールを持っている時間が長くなり、プレッシャーを受けやすくなる。ピントは状況が整っていない中での足下のプレイが上手い選手ではありませんから、ミスも重なって審判に助けられていなければ失点をしてしまっていたような場面を向かえることになった。非常に心証のよくないもので、審判に助けられた、という表現以外に何もないものでした。ファーストレグがどうであれ。

ただセビリアの前へ向かう圧力にもリスクは存在して、全体が前がかりにチェックに向かってしまうため、特にアンカーのセルヒオ・ブスケツの所を抑えにかかったときなどには、後方に控えるディフェンスラインと中盤のチェックに向かう選手たちの間に大きなスペースが出来てしまい、利用されてしまえば、フリーのまま広大なスペース利用できる状態になってしまう。何度バルサもそこを利用使用していた様子もありましたが、途中までセビリアの戻るスピードの方が圧倒的に早く、後方からのプレッシャーによって容易に展開をさせてもらえませんでした。
徐々にセビリアも前へ向かうがむしゃらなチェックとアンカーへのプレッシングを減らし始め、それらの修正を図っているようでもありました。中盤の五枚が連動して行っていたものは、ハーフウェーライン付近まではそのまま行われていますが、安定して前を向かれ、そこよりも少し奥に入られてしまえば、そのラインを一斉に下がらせて、ディフェンスラインの一つ前に綺麗なラインをもう一つ形成して、スペースを圧縮する守り方へと変化するようになりました。

修正された点でいえば、バルサも守備時にはイニエスタがセルヒオ・ブスケツと同列を保ち、人数をかけてくる相手に対してスペースを埋めるようにしていました。明確なアンカーをなくしてしまい、ピボーテを二枚にして守備の人数を増やすと同時に、攻撃に移ったときには多くプレッシャーを受ける環境でのボール回しをスムーズにして、安心して回りの選手が前へ上がっていけるようにする効果もありましたし、ピントへの危ないバックパスの回数を減らす効果もありました。
バルサはチェックに苦しみながらも、徐々にシャビやイニエスタが相手をいなすドリブルをしてマークを外す努力をして、前へ向かわせておいて後方の人数を減らしてスペースを作ろうとしていましたが、ボールを保持している時間が長くなってしまい、球離れの悪さから動いてパス、そしてまた動く、という一連の流れが出来ず、ドリブルなどによる個人の打開が中心になり、密集地帯へその状態では入っていけず、イブラヒモビッチと近い関係を保つ選手がいなくなり、彼を利用した打開は期待できなくなっていきました。イブラヒモビッチが受けた瞬間にはパスコースが無く、展開できず、一つコントロールをして待つ時間が必要になる。その間に囲い込まれて、守備が中央を固められて人数が増える。仕方なくアンリへ渡して、縦からクロスを連続して入れてもらうぐらいしかパターンは用意できませんでした。
メッシにしてもドリブルで多少勝負を仕掛けていましたが、ピッチの状態が悪い影響でスピードに乗れず、一人をかわした後にスピードアップできず、カバーに入った選手に寄せられてしまいシュートに持っていけていませんでした。しかも悪いことに勝負が出来ているのは、相手の中盤の位置であって、最後尾を相手にしているのではなく、一人を抜いただけではチャンスにならず、二人三人と抜かなければチャンスにならない位置でしたから、得点の匂いは殆どありませんでしたね。

前半の終了間際になって、イニエスタがようやく相手のディフェンスラインとフォアチェックに来る中盤との相手に入り込むようになったおかげで、幾つかの可能性が見えるようになりましたが、スペースでフリーのままボールを受けてもパスの展開をしてしまうため、得点のチャンスとするには後半開始まで待たなければなりませんでした。

後半開始時には前半から利用すべきだったスペースをチーム全体が利用するように動き始めていました。最初にイブラヒモビッチがメッシへ落としたボールもそうでしたし、そのあとにシャビが利用したエリアもそうでした。全体が相手の中盤と戦うのではなく、最後尾を相手に戦う回数が増えて、得点を得られる可能性も高くなってきていました。
メッシがボールを受ける位置も、中盤を相手する位置ではなく、フェルナンド・ナバーロと主に対峙するような位置で、一つ抜いてしまえそのままシュートにまで持っている形でドリブルを出来るようになった。そうなってしまうと、ディフェンスライン選手が容易にメッシのボールを奪いに飛び込むことは出来ず、下がっていく。高い位置を保てていたラインを押し下げる効果にもなり、ポゼッションをする上でも非常に効果のあるものでした。おかげでサイドバックの位置を高く保てるようになりましたし、バイタルエリアも使えるようになった。少し芝の状態が改善されているようにも見えましたし、慣れたのかパススピードをある程度保てるようになったのも大きいのかもしれませんね。

セビリアもディフェンスライン前のスペースを使われているのを理解するようになり、あるいは消耗したからか無理に前から奪いには来なくなっていきました。引いて守り、チェックのスイッチになっていたプジョルがボールを持っても、プレッシャーを与えに来ず、引いて守り、イブラヒモビッチへのポストプレイのパスを出させてくれるようにもなりました。そういう切り替え所を失ったことが引いて守ることに繋がり、バルサのセンターバックの押し上げを許してしまい、結果的に得点に繋がりましたね。あの場面では、シャビの素晴らしいミドルシュートが決まったとはいえ、ピケが上がっていたことや、ペナルティエリアに入った人数の多さも関係していたわけで、セビリアがある部分でプレスに行かなかったからこそ、ですね。

ただ、もう少し早かったり前半のうちに得点を奪えていれば変わったのかもしれませんが、残り時間の関係からバルサが焦りを感じ始めてしまい、せっかく使えるようになっていたバイタルエリアも利用できなくなってしまった。アンリが中に入り、いいポジションを取っていたイニエスタが左に出た影響もありますし、その影響からシャビの位置も下がり、イブラヒモビッチと近い関係も保てなくなって、スペースへ飛び出して、ボールを受けて、近い状態からいくらかの展開をしなければならないのに、無駄にワイドに使うようになってしまったり、中央に集まってしまってセカンドボールを拾っても、ワイドに開く選手がいないために、何もできないまま中央の密集したところへ送り込まざるを得ない、というのも増えてしまっていました。

全体的に足も止まり始めて連動性が無く、セビリアは数人でカウンターのみ。バルサもポジションの修正や、追い越していく動きや飛び出しが減って、使わなければならないスペースへ入り込む動きが減り、足下へボールを要求することも増えて、パスミスも増え、スピードアップが出来なくなった。
パロップが大当たりしていた部分もありますが、一点は取れても二点は取れない戦い方でしたね。

Liga Espanola Jornadas 17. テネリフェ対バルセロナ

2010 年 1 月 11 日 月曜日

■Tenerife 0 – 5 FC Barcelona
バルサは試合への入り方が非常に悪く、序盤はいつ失点をしてもおかしくないほどのピンチを向かえていました。
テネリフェは裏を直接狙うパスが多く、構築をしてバルサの守備を動かしていくことは狙わずシンプルなものでしたが、フォワードだけに任せるのではなく、二列目やそれよりも後ろから飛び出してくることもあって、組織的にバルサの裏を狙う意識を持って統一されていることが一目で解るほどでした。
裏を狙うためにまずシャビの所へマークをつけて、構築の納め所を抑えておくことは多くのクラブが実践していることで、それ以外にもプレッシャーを与えて、センターバックやサイドバックに大きなクリアボールを蹴らせているのも多くあることでしょう。それでもあそこまでバルサが攻め込まれた原因は、あまりにも運動量が足りず、判断の一つ一つが遅く、プレッシャーに気圧されてしまっては奪われていたことにあるのかもしれません。カウンターから一気に裏へボールを出されてしまい、チェックで出所を抑えることすら出来ず、足の遅いマルケスの裏や、センターバック同士の隙間狙われてしまう。ならフォワードを抑えておけば、としても、ボールホルダーを追い越していく動きが多くの選手に見られ、裏へ出すパスを印象づけておいて、ロングボールをその前で受けて落とす芸当もあるわけで、手玉に取られている印象すらありました。

バルサはボールをキープしていても、ボールを回せていませんでした。ボールが動かないのは人が動いていないからで、そのため高い位置で裏を狙う選手へとマルケスがロングフィードからどうにかしよう少ない本数でチャンスに繋げようとしたり、中央で収めてしまおうとメッシが下がって起点となろうとしているものの、高い位置に起点がないために全体を押し上げて相手を下げさせ、カウンター時にボールを追い越していけないほどの距離を作ることが出来ず、効果的ではありませんでした。特にメッシが中央へ入ってしまうと、アンリがサイドを抜け出したときには中央で体を張ってニアに入り込む選手がおらず、ニアで潰れないためにファーサイドも効果的ではなくなる。そのためにウイングが中央に寄らざるを得なくなり、よりサイドの高い位置で起点が作れず、奪われやすい環境でプレイしなければならなくなる。

攻撃の不調は守備から始まっている部分多少あり、例えば左サイドを崩されたときには、プジョルがサイドバックのケアのために左へ流れたスペースに入り込まれ、数的な不利が出来てしまっていた。後方から飛び出してくる選手に対してはアンカーがしっかりと付いてスペースを埋めに戻らなければならないんですが、セルヒオ・ブスケツがきちんと戻らなかったためにマルケスがスライドせざるを得ず、ファーサイドが空いてしまうことが多い。アンカーは後方に人数をかける助けにならなければならにんですが、それができていないために、シャビのポジションを下げざるを得ず、そうあんると前方を繋ぐためにメッシがやはり中央に入ってしまうため、攻撃は上手くいかなくなる。

シャビがボールを引き出すために下がって、イニエスタも低めのポジションを取る。後方からそこまではスムーズにボールが渡ったとして、テネリフェのラインが高く保たれている裏を利用しようとしても、距離が長すぎるために精度のあるパスを出し続けることは非常に難しく、パスカットの狙いを持つ相手の術中に嵌ったまま。相手の思惑通りに前へ向かう守備をさせてしまっていて、ダニエウ・アウベスがサイドバックの裏へ飛び出す動きをしたとしても、その手前でカットされてしまう。もっとディフェンスラインを上げられればそれも多少改善されていたはずですが、特にマルケスが足の速さで負けて、高いラインを保つのを嫌がっているため難しく、それと共にミスが多く、危険な位置で奪われているため、迂闊にラインを上げてしまうと一気に裏を取られかねないため難しいものでした。

ただ、少しずつ時間の経過と共にテネリフェのパスカットを狙う動きが減ってきていた。消耗もあるでしょうし、バルサのエンジンがようやくかかってきたようで、選手の距離感がよくなってきていた。パスを受けるためのポジション修正が出来るようになってきていて、少なくとも、距離が長すぎて目標地点に届かずにカットされてしまうことや、距離が遠いためにパスを出すのを躊躇する場面は減ってきていた。おかげで中央に入っていたメッシが右のポジションへ戻ることができており、全体が中央を固めておく守備をさせなくしていた。ワイドに開いたからこそ、シャビが飛び出すことが出来ていたし、先制点にも繋がっていたのかもしれません。先制点があったから修正できたのではなく、その少し前から修正されていた、という印象ですね。

守備の修正は得点以後でしたが、守備への積極性が増して、前の方から相手の組み立てを防ぎ始めていた。早い段階で裏へ出されるのを防げるようにチェックをし、コースを限定できるようになると、パスの行方を予測できるようになり、後方でも立ち止まっている選手が少なくなる。細かくラインを上げ下げできるようになり、オフサイドを狙って調節することも出来るようになりますし、全体の距離感を適切に保つ役にも立つようになる。セルヒオ・ブスケツのミスの多さから引いている時間の多かったイニエスタも、左へワイドに開いて納め所になろうとしたり、タッチライン際でボールを受ける選手が増えたのも守備の安定によるものでしょう。

後半になってもテネリフェはやはり前へ出てくる守備から飛び出す動きをしていましたが、序盤は徹底できていなかったセルヒオ・ブスケツが抜ける選手へ付いていく動きも、十分二列目の選手へとマークに付いて戻れるようになり、チャンスを作られる回数も減った。
バルサの方が後半は、ボールを納めようとする選手に対して、ディフェンダーと中盤の選手、あるいはサイドバックらで囲い込めるようになり、奪えるようにもなった。安定して囲い込んで奪えるようになると、ボールを前に預けて信頼して追い越していく動きがテネリフェから見えなくなっていき、バルサのサイドで起点を作る動きからテネリフェのサイドのオーバーラップの開始位置も低くなり、ワイドにも使われなくなりました。

バルサはイニエスタが相変わらず左に開いて、タッチライン際で起点となってワイドに開かせることに成功している。ダニエウ・アウベスも上がって右も大きく利用するため、両サイドに引っ張られた中へシャビがフリーで選手間に入り込んで、ボールを受けて展開、と形が作れている。
ただ少し、ボールを引き出す動きを点差からサボるようになってしまった時間帯が少しあり、プレッシャーを受けているプジョルが前へ出せないでいるのに、誰一人受けに戻ろうとしない部分があり、多少の不満はありましたが、シャビが一時的にポジションを戻すことで解消していましたし、彼がいてこその試合中の修正でした。

リードを多く奪ったあと、アンカーにチグリンスキが入りましたが、右センターバックとしてどうにもならなかったものの、一列前ならどうか、というテストのようなものでしたね。足下のテクニックは元々問題を感じないほどあったはずですから、やれるのかもしれませんし、センターバックの時に大きく感じたのは利き足の問題による不用意さぐらいなものでしたから、ミスが多少許される一枚前であれば、まだマシかもしれない。時間が少なく多くは見られなかったので判断はできませんが。

この試合は出足の非常に悪い環境から、ハーフタイムを向かえる前に修正できたこと、無失点で追われたことは非常に大きな要素でした。ここのところずっと失点していましたから、これは大きなものですが、失点に関しては、シュートの本数を多く打たれていて、ディフェンダーたちはあまり完璧とは言えないんですが、ビクトル・バルデスがよく集中して防いでくれていました。国王杯第二戦でビクトル・バルデスが出場するかどうかは解りませんが、チームとして無失点で抑えられたのは好材料として期待しておくことにしておきます。

FIFA10 – 再開する――かもしれない

2010 年 1 月 11 日 月曜日

以前のマネージャーモードのエントリで、これ以後プレイすることはないかも、と書きましたが、これ以外のゲームで幾つか本体へ負荷をかけてみたものの同じような症状は現れず安定していたので、不具合以後初めて対戦のために起動してみました。結果は何も問題なくプレイすることが出来たので、その日に偶然起こっただけか、症状が未だ明確に出ていないだけかもしれませんが、とりあえずあまり気にしないようにして対戦は続行していきたいと思います。
オンラインは、未だ修正パッチが出ませんし、クラブはあまり募集しているところも見かけないし、自分で作っても維持管理ができそうにないので、まだプレイする予定は無し。

■FC Barcelona 2 – 1 Catania
先制点は珍しくフリーキックから直接ゴールしたもので、ラウンジモードを使用した対戦では初めてでした。マネージャーモードやバーチャルプロを育成する段階で何度かチャレンジをアンロックするために決めていたので、練習の効果が少し現れた、って所でしょうか。バッジを獲得できたのにセーブし忘れてリセットされてしまいましたが。

得点は他にも動いていますが、実際にプレイしていた感触では、直前にしたウォーミングアップの試合の方が余裕を持ってプレイできていたためにスキルムーヴとか多く使えていましたし、よかったんじゃないかと思ってます。それでもこの後の試合よりはよく使えていたんですけどね。

■Villarreal 0 – 2 AS Roma
いつもならローマを相手にすると中盤が詰まって大変なんですが、この組み合わせではそうならないようで、ローマのディフェンスラインが大きく下がってしまって近い関係を保てずにパスの出し所探しにに四苦八苦。それで保持している時間が長くなると寄せられてあっさりと奪われる。どうにも対戦相手としてもプレイするクラブとしてもビジャレアルとは相性が悪いようで――と以前にも書いた気がするなぁ。
途中で気が付いても戦術の変更では対処できないわけで、システムを修正したい。でもFIFA10からはそういった修正をさせてくれない訳で、選手交代などで改善しようとしても大きな変化は望めないわけで、シュートは結局最後まで打っていなかったはず。

■Leverkusen 2 – 0 Grenoble
試合を重ねる毎にどんどん内容が酷くなっていく自分が情けないですね。一試合か二試合ぐらいしか集中が持たないらしく、試合序盤に連続してシュートを受けて主導権握られまくり。カウンターからチャンスを作った以後は両者の決定力の低さが目立つばかり。

■Liverpool 3 – 1 Arsenal
何度も裏へ抜け出しておきながら、ここぞという場面で一切決められない。それがフェルナンド・トーレスを使っておいてそれなんで、言い訳のしようがありません。決めて当たり前の場面で、コースをずらすのか、コントロールするのか、それともループシュートで頭上なのか、駄目なときほど考えてしまうようで、判断が本当に遅れてます。遅れたからこその得点が先制点で、弾丸シュートにしたのも特に考えがあってのことではなく、イメージ通りにいかなかったから仕方なく。二点目はまぁまぁでしたが、まだまだですね。

Copa del Rey Cuartos de Final 1st バルセロナ対セビリア

2010 年 1 月 6 日 水曜日

■FC Barcelona 1 – 2 Sevilla
バルセロナは例の如く、コパ・デル・レイのファーストレグをベンチメンバーを中心に構成していました。怪我で長期離脱していたガブリエル・ミリートですが、幾つかの試合でベンチ入りは果たしていたものの、公式戦ではこれが復帰戦ですね。左利き同士のチグリンスキとセンターバックのコンビを組み、マルケスが右を務めずライカールト政権時にプレイしていたアンカーのポジションへと一つ前に移動した他、リーガに間に合わなかったメッシやマクスウェルも出場しています。

序盤のつまづきは、相手に良さを消されているのではなく、自らが良さを消してしまっている印象が強く残りました。
マルケスがフォアリベロ(あるいはフォアスイーパー)のような形となって、スリーバックに近い形を取りつつ、攻撃的な両サイドバックのポジションを押し上げていくものだと想像していたのですが、実際にはマルケスはセルヒオ・ブスケツのようにある程度高い位置を保ちつつ、後方からくるボールを待ち受ける形を取っていました。ボールを受けるために戻る動きは少なく、マークを外す動きも少ないため、後方からアンカーへボールを預けることが出来ず苦労していました。
センターバックの二人にはフィード力はそれほど無く、特に右に入ったチグリンスキには左からボールとチェックを受けるために右足で扱わなければならない場面を多々作られてしまい、精度の高いボールを前へ送れない。バックパスをしてキーパーとの連動を図ったとしても、結局は右足でパスを出さざるを得ず、スムーズに前へ展開することはかないませんでした。

もし、サイドバックがボールを持ったときにスムーズに前へ展開する環境が整えられていれば、センターバックとアンカーを抑えられたとしても、タッチライン際の縦の突破を中心として、相手を押し下げていくことも出来ていたんでしょうが、ウイングに入ったメッシもペドロも引き出す動きをしませんでしたし、マークに付かれていてキープすることが難しかった。もちろん縦のコースも切られていて、サイドバックからもセンターバックへボールが戻される。パススピードが高ければ、それでもなんとかなったのかもしれませんが、利き足の関係や試合勘と技術の関係からそれは難しく、ピントも前線の高さ不足からフィードで蹴るわけにも行かず、余計にリズムを掴めないままでした。

引いて受けに戻ることが少なく、力を発揮する回数が少なかったマルケスですが、前方からのバックパスを受けたときの展開力はさすがですね。前を向いてマークを受けずにプレイできれば、視野の広さと展開力を発揮でき、パススピードも十二分に早く、サイドへ散らすパスは相手を揺さぶるいいパスだったようにも見えました。もっとアンカーとしての動きを取り戻してくれば、十分にアンカーとして計算できるかもしれませんね。
守備の面でも状況に応じて高く保たれるディフェンスラインの前に存在したり、カウンターの一歩目を持ち前の読みの鋭さで抑えたり、引いてしまえば、ディフェンスラインに入り込んで五枚が並ぶ形にも出来る。後方のケア、という意味では凄くいいんですが、全体のバランスを考えたときに、少し前後の分離を生んでいたかもしれません。

全体が縦に伸びてしまっている場面は少なかったんですが、アンカーの位置がディフェンスラインに近いために、マルケスを含めた後方とイニエスタを含めた前方が分離してしまい、コンパクトに保てているわりに、いざ後方からボールを運ぼうとした際に、距離があってパスカットを狙われてしまう、あるいは精度の面からミスになってしまう。本来はシャビがその両者を繋ぐ役割をしていることで目立たないスペースがぽっかりと口を開けてしまい、代わりに入っているチアゴ・アルカンタラがどちらにも属さない不安定なポジションにいて、どちらの助けにもなっていませんでした。マルケスの近くにいることで展開を助けられればいいんですが、近くにいてもそれに参加するわけではなく、守備に積極的に向かってコースを限定する仕事もしない。前の繋ぎにも積極的に参加するわけではなく、得点に直結する飛び出しなどは行っているが、構築に関しては不十分ですね。ボールを持ったときのテクニックは見るべきものがあるんですが、動きの面ではまだまだ。ボールを持っても、右足に強い拘りがあるようで、左のタッチと蹴る場面が少なく、勿体ないと感じる場面も多いですね。

時間が経つにつれて、バルサの攻撃はメッシの閃きとドリブル、イニエスタの動きが動かすようになっていきましたが、全体としては物足りないまま。左側に人数をかけて、ボヤン、ペドロ、イニエスタ、マクスウェルらが連動したときはいい形になりつつあったんですが、全体を左に寄せすぎてセビリアに片側へ寄せて守る思い切りを与えてしまっているのが難点ですね。
左で集めてから右に開いている幾つかの選手へサイドチェンジをして、ゾーンとマークを動かせればいいんですが、それに絡むには難しい状況が幾つかありました。例えばペドロとボヤンが最前線でボールを保持していて、そこへマクスウェルが上がってくる。が、縦のコースを抑えられて、突破も飛び出しも難しい、となったときに、少し後ろでケアをしているイニエスタへ戻して逆サイドへ――と思っても、一発でダニエウ・アウベスらにまで出せるはずが無く、どこかで中継する必要がある。その時にメッシなり、チアゴ・アルカンタラなりが中継の役割を担って、中央の選択肢と右の選択肢を相手に考えさせなければ行けないんですが、ポジションが遠すぎたり、相手の隙間に入り込めていないため、結局躊躇したあげくにバックパスを選択してしまう場面もあり、スムーズさを欠く象徴のようでした。

後半からイブラヒモビッチを投入して、彼がサイドに流れてボールを収める役割を果たしたり起点になる動きをして、前半出来なかった、サイドを起点とした攻撃を始めているようでした。中央を経由したサイドチェンジも出来るようになっていましたし、ゾーンを広げてから縦の突破を狙うなど、修正も十分に出来ているようでした。

前後の分離に関しても、イニエスタが縦の運動量を増やして、守備時に特にマルケスに近いポジションを取り、サポートするようにして、そこから前へ移動することで、何とか修正しようとしていました。イニエスタが下がった分、メッシが前半途中からポジションを下げていたままに、フォワードの下に付く形にして、前後は多少人数を入れて分離しなくなった。けど、先のサイドをワイドに使う修正とは真逆の処理になってしまい、この形になってしまうと、ワイドに使えず、相手に中央を固められて突破が難しくなる。

そういった修正を幾つかバルサがしている間に、先制点を取られてしまった。この失点は明らかにペナルティエリアに入られる前から、マークが緩いままでした。ロマリッチを掴まえておけず、ダニエウ・アウベスもコースを切っているだけで奪いに行けなかった。センターバックの二人も中の選手を掴まえておらず、フォワードとの間に余裕があった。結果的にそれが、ボールをファーサイドまで流れさせてしまう要素になり、ディエゴ・カペルの得点になったわけで、前半は問題の無かった守備が破綻したことで苦しくなりましたね。

失点から早い段階で、セルヒオ・ブスケツを投入して、マルケスを一列下げて、チグリンスキも左に移ったことで安定してボールを扱えるようになったのは大きな修正でした。メッシが中に入って空いている右サイドへ走り込むダニエウ・アウベスへ、センターバックから直接フィードでボールを渡せるようになりましたし、セルヒオ・ブスケツのポジションが高いおかげで前後の分離がなくなり、イニエスタとメッシのポジションを後方から押し上げていく結果にもなりました。
それに加えて、シャビを投入したことで、より有機的にチームが動くようになった。シャビが後方に下がってボールを引き出し、前方へ自分が動きながらボールを出し、その勢いを持って前へ向かう。シャビの一連の動きがいい流れになって、得た最初のチャンスで同点にできたはずだったんですが、何故か取り消され、がっかり。主審のジャッジが不安定だったためにバルサの面々が苛立っていたところにこのゴールの取り消しで余計に試合をよくない方向に向かわせてしまいましたね。

それにめげずに同点ゴールを決められたのはよかったんですが、喜びはつかの間。チグリンスキがディエゴ・カペルのスピードに付いていけずにPKを与えてしまい、再びリードを許してしまい勢いは削がれてしまいました。あれは明らかにディエゴ・カペルの支配下にボールがあり、チグリンスキが付いていけず、ユニフォームを掴んでいたために仕方のないものでした。残念なことに、チグリンスキがディエゴ・カペルに慣れていれば、あんなファウルはしなかったでしょう。左足しかなく、自分で持ち込んだときには消極的なプレイを多く選択する。中に守備の人数も足りていましたし、ネグレドしか相手は居なかった。それらを考えれば、危険ではあっても、PKを与えていいほど決定的ではなかったはず。リプレイの最中で明確に見えませんでしたが。

89分にあったダニエウ・アウベスのゴールはオフサイドでしたから取り消されても当たり前だったんですが、全体的にカードの出る基準にしても笛を吹くプレイにしても一定ではなく、どちらに有利不利ではなく、観客や選手が不満を表していくのは当然でしたね。

Liga Espanola Jornadas 16. オサスナ対レアル・マドリー

2010 年 1 月 4 日 月曜日

■Osasuna 0 – 0 Real Madrid
試合への入り方は前日の試合同様にスムーズなものではなく、休暇の影響が色濃くでっているような印象でした。積極的に奪いに向かう意識こそあっても、いざボールを持てば正確な繋ぎが出来ないままでミスが多く、キーパーまで戻さなければならなくなってしまったり、奪われるのを嫌って一発で相手の裏を狙うパスを出してみるなど、戦術的な要素は少ない立ち上がりでした。

両者共に浮き球が多く、そこかしこでフィジカルコンタクトが発生している状況もそうですね。それだけオサスナが相手を掴まえられる位置にいるということでもあり、マドリーが運動量を持ってチェックているということでもある。特にオサスナは相手をきっちり掴まえて、近い位置に選手が常に存在して後方からの構築を容易にさせていない守備構築をしていました。前から中盤にかけての相手を掴まえておくポジショニングは見事でしたが、その分後方には人数が足りていないこともありました。ディフェンスラインの前を埋める人数が足りず、ピボーテが少し高い位置を取りすぎていましたが、それも相手を掴まえておくためだから仕方のないことかもしれませんが、危険な要素でもありました。

センターバックが直接クリスチアーノ・ロナウドとイグアインの二人に対応するために、両者をマークしておくことは出来ても、どちらかのカバーは出来ない。序盤は特にマルセロらから裏を狙うパスが直接出てきていたため、スピードの問題からきちんとクリアすることも難しく、キーパーに頼らざるを得なく、危険プレイになることもありましたし、二人に集中するためにサイドが空いてしまい、センターバックがサイドに流れてケアできないためにそのスペースを使われることもありました。

加えてファン・デル・ファールトがピボーテとの間に入ってくるため、センターバックが状況によっては三枚を見なければならなくなっていました。数的な問題でいえば、オサスナがきちんと抑えていた時間にこそ危険な要素があったんですが、マドリー全体がファン・デル・ファールトの位置を見ておらず、上手く使えていなかったために難を逃れた印象ですね。引いて受けに戻る動きの場合は使ってもらえていましたが、そこから先に預けても裏を狙う意識が強く、前方との距離が広がったまま。距離が長くなれば、近くにポジションを取られているため、前へパスが出せず、出せたとしてもカットされやすくなり、後方でパスを回す回数も増える。ボールを引き出すためのポジション修正が少なく、マークに付かれているのを外す効果が薄いまま、裏を狙うパスを中盤の選手たちが出し続け、フォワードはそれに合わせた動きをするばかり。パスの出し手が主動で動かしているため相手を外してシュートまでは持っていけませんでしたね。

ウインターブレイク前の、カウンターから得点するスタイルはフォワードが動き出しを遅くしているためになりを潜め、どこかキープをして主導権を握ってしまおうとする意識が強すぎて、攻撃が単調になっている嫌いがありますね。特に、裏を狙うパスを中心にするあまり、クリスチアーノ・ロナウドとイグアインが交互にサイドに流れてサイドの高い位置で起点を作り、後方からの押し上げを誘発したり、ドリブルから相手のディフェンスラインの押し下げをしたり、二人が縦関係を作ってパスコースを産み出すこともなく、全体のバランスが非常に悪くなってます。

後半になってもあまりサイドの部分を効果的に使えていないまま多くの時間を浪費していました。ただ中央でも勝負を出来るフォワードの二人ですから、人数がかかればチャンスにもなりますが、サイドを上手く利用できていないためにクロスを上手く入れることが出来ず、入れられたとしても相手を広げる効果が無く、中央に人数がいて得点の可能性は乏しいものになってます。
それも徐々にマドリーがボールをキープしようとする意識が見え始めたことで少しずつ改善は見られるようになってきていました。マドリーの運動量が多少増えたことと同時に、オサスナが相手を掴まえておくための近いポジションを取れなくなってきたこともあり、サイドの高い位置で少し時間をかけてプレイすることが増えて、サイドバックの押し上げを少し利用できるようになった。おかげで中の人数を活かす場面を見られるようになり、チャンスになる回数やシュートになる回数が増えつつ、ペナルティエリアに入る人数も増えた。

ベンゼマが入ることで、彼がワイドに開いて中央にそれまでの二人が残る形になり、フォワード二人のどちらかが流れてワイドに出来ないのなら、人数を入れて最初から開かせてしまおうとするようになり、若干機能するかに見えたんですが、実際にワイドに使えたのは最初の数回だけで、マルセロを含めて、中へ入って点を取ろうとする意識が強すぎるために、全体を広げる効果を生み出すことは出来ませんでした。
前半の時間帯のように、オサスナが相手を掴まえておく距離が近い守備を継続できていれば、ペナルティエリアにはいることも難しく、シュートもあまり打つことは出来なかったかもしれませんが、スタミナが切れ始めていて相手を掴まえ切れておらず、ドリブルを前を向いてさせてしまうようになっていたおかげで、改善されたように見えましたが、実際は殆ど変化を与えられていませんでしたね。

ラウールが入ってからはフォワードと中盤を繋ぐ選手になってくれたおかげで、引いて受けて、ドリブルで前へ進出する一連の流れをやりやすくなりましたし、ベンゼマとクリスチアーノ・ロナウドがサイドと中央に別れ始めて、前後左右のバランスは良くなったかもしれません。でも選手が被ってしまったり、効果的ではない動きも多く、シュート自体もミドルシュートが多く崩した印象はほとんど無く、決定的なものはイグアインが相手が足を滑らせたために出来たチャンスをものにできなかった一回ぐらい。