■FC Bayern Munchen 3 – 0 1.FSV Mainz 05
全体の意識としてのプレイスタイルは両者対照的でした。バイエルンは繋ぐことを重要視して展開しているのに対して、マインツは攻撃に移ったときにまずフォワード、特にボンセを見るようにしていカウンターを狙っていました。彼の高い身体能力を利用して裏へ走らせたり、高さを利用してボールを落とさせてそこから展開しようとするなど、まずはボンセの所へロングフィード、という形が多く、そこへ出されるフィードの多くは、中盤の底やセンターバックから中央を一気に省略されるものや、近い距離で出されるのではなく、サイドバックやサイドアタッカーが低い位置に下がってボールを受けたときなど、外側から中へと多少変化をつけたものでした。もう一人のフォワードであるシマクも近いポジションを取っていて、それらの二人とどちらかのサイドアタッカーが絡む形で、残りの選手たちは引いて守りを固めている。前後の役割を分担しているように見えました。
バイエルンは、まずマインツがサイドにボールを預けてからフィードするため、フォアチェックをして抑えようとしても先に蹴られてしまうため、連動したチェックはそれほど行っていませんでした。ただ一つ明確な狙いを持ってパスカットを狙っているのは、マインツが癖のようにしてセンターバックがチェックを受けるとサイドへボールを流す部分で、ここへ勢いを持ってパスカットを仕掛けることがあり、何度か奪うことで、マインツのフィードを定型化させなくしている部分がありました。
前後を分離させて守っている関係上、バイエルンがボールを保持して展開をしても、マインツ陣内には十分に守備の人数が揃っていて、いくらパスを繋いでも引き出したり動かしてスペースを作ることは難しいようでした。球際に厳しい守備をしていて積極的にチェックに来る部分はありますが、ゾーンを崩してまでもチェックに来るわけではないので、中央には人が残っている。バイエルンはその中央を利用する回数が極端に少ないまま前半はボールを動かしていて、主なプレイエリアは左右両サイドでした。
シュバインシュタイガーもファン・ボメルも高い位置を取りすぎず、右のロッベンと左のバドシュトゥバーにボールをはたくことを中心としていて、中央から組み立てる意識があまりなかった。強引にフォワードを縦に抜け出させてスルーパスも狙いませんでしたし、自身がドリブルで仕掛けていくことも殆どありませんでした。
左のバドシュトゥバーもある程度高い位置にいて、クロスを狙えるだけのポジションを取っているんですがが、本来その前の左にいるべきミュラーが左の高いポジションにおらず、彼だけが中央のバイタルエリアを利用しようと中へ入りたがっているように見えるのが残念でした。バイエルエリアにスペースは少なく、二人のフォワードがディフェンスラインの部分に位置しているため、よりスペースが無くなっていて、ボールを受けるのは難しい。それでいて、半分ほど下がった位置にいるため、左右から送り込まれるクロスに対してはあまり効果的であるとはいえず、ボールに絡む場面も多くなく、縦の突破を見せないミュラーに活躍の場があるように見えませんでした。
バイエルンはサイドを中心に攻めてクロスを数多く入れているものの、右サイドに左利き、左がアタッカーではなくサイドバックが上がってきているために深い位置にまで入り込んでクロスを上げることが出来ておらず、アーリークロスが中心となっていました。
浅い位置から上げられるクロスはディフェンダーとキーパーの間に入れきることが出来ておらず、相手の脅威になっていません。フォワードがディフェンスラインを押し下げているのもありますが、マインツの準備が整って前をきっちり向いた状態で処理できたり、キーパーが処理をするような形が多くなってしまい、いくら鋭くボールを入れたとしても準備の整っている相手をこじ開けるのは難しく感じました。
もっと深くまで縦への勢いを持って入り込んでクロスを上げることができれば、前を向いているディフェンダーたちの視線をサイドに動かしたり、戻りながらの処理をさせることで、背中部分に死角を作り後方から飛び込んで得点を狙う形を作れるはずなんですが、左のミュラーがサイドに流れてくる頃には、中にいたマーカーを引き連れてサイドに出てくる。そして縦への勢いを持たないまま出てくるのでそこにボールを預けられず縦の展開が出来ない。オリッチがカウンターになったときには左に流れてボールを引き出す動きをしてくれるおかげで、深い位置にまで入り込むことが出来るが、それ以外は早い段階でクロスであったりグラウンダーのパスで中を使おうとしている印象が強く、相手の視線の動きをもっとスムーズにさせて混乱させたいところでした。
ロッベンもキーパーへ向かっていくアーリークロスではなく、試合中幾つか見せていたような中へ入り込まない縦へのドリブルで、深い位置にまで入ってショートパスを選択した場面ではよりチャンスになっていて、得点の匂いがするプレイがありました。左からその形を作ることはなかなか出来ていませんでしたが、ロッベンを追い越していくラームへボールがでた場面でも同じようにチャンスになっていたように、戻りながらのプレイを強いられたときのマインツの脆さは明確に出ていたので繰り返してそれで攻めたかったんですが、最後まで徹底はされませんでしたね。
縦への勢いを持った状態でパスが出てこなかったり、奪われる危険があるとバックパスしてしまう。左右にもっとスピードを上げて動かせるのならそれでもいいんですが、中の二人を経由してしまうため大きく振ることも出来ず、振ったとしても高い位置でボールを受ける選手がいないため、マインツが守備陣形を整えると同じスピードでしか攻撃できていないために効果的ではなかった。途中から雪が強く降るようになり、視認性を高めるためにオレンジ色のボールが使われるようになってからは余計にボールにスピードがでなくなっていましたから、パスで相手を動かすのは難しいことでした。
やはりそういった条件でパスから相手を崩すことは難しく、ゴールを決めるきっかけになったのは、ロッベンがゴールライン際まで入り込んでのパスでしたね。それ自身は決めきれなかったためにゴールになりませんでしたが、戻りながらの守備を強いることが重要で、コーナーキックも得られた。そしてその一連の流れから先制点を奪うことができたわけですが、ゴール自体はマインツのキーパー、ハインツ・ミュラーがあまりにもお粗末なプレイをしたため。前半からミスのような形が多く、ろくにボールをキャッチできない、パンチングもきっちりとボールに当てられていなかったハインツ・ミュラーが、ヴァン・ブイテンのヘディングをキャッチしようとしてトンネル。自陣ゴールの中へ招き入れてしまったのが勝負を決定付けてしまいました。深く入り込まれてクロスを入れられる以外は、ミドルシュートも決定的な形で打たせず、集中して守り、バイエルンに決定的な場面を作らせなかったのに一つの凡ミスによって試合が決定付けられてしまったのは残念ですね。雪の影響もあったのかもしれませんが、手だけで取ろうとするのではなく、体で止めるぐらいの意識を持たなければならないのは当然でしょう。近い距離からのヘディングだったとはいえ、プロなのだから。その後、一本ほど危険なプレイを防いでいましたが、彼がキーパーらしい働きをしたのはそことPKを止めた場面だけだったかもしれませんね。PKを止めていた、というのは重要な事実ですが、あの凡ミスで帳消しどころか評価はマイナス。
バイエルンは得点を焦る必要が無くなったため、横へ揺さぶるパスを中心に、引いて守るマインツの手前で延々とボールを回してチャンスを伺うばかりになり、鋭いパスやドリブルはなかなか見られず、攻めなければならないマインツが、浮き球を中心として攻めてきたところのカウンターぐらいだったでしょうか。
二つほど相手を戻りながらの守備にさせつつクロスを入れられ、二つ目のラームのものが得点へと繋がり、やはりこの形でしたね。左から右へボールを流しつつ、ラームが縦へ駆け上がる勢いを殺さずにボールを受けられ、戻りながらのためにプルバックのボールに対応する選手に、ディフェンダーは見ていられず、死角に入り込まれてシュートをフリーで許した。
これで勝負ありで、ロッベンのフリーキックで三点目が決まる頃には見るべき部分はもう既に薄くなっていましたね。