2009 年 12 月 のアーカイブ

Liga Espanola Jornadas 13. デポルティボ・ラ・コルーニャ対バルセロナ

2009 年 12 月 6 日 日曜日

■Deportivo La Coruna 1 – 3 FC Barcelona
少し前にガブリエル・ミリートが復帰と噂されていた試合でしたが、結局招集メンバーにすら入りませんでしたね。マルケスのコンディションが今ひとつ上がってきていないので、この過密した日程の中で復帰してくれたら心強かったんですが、さすがに怪我から復帰したばかりの選手を使うのは難しいようですね。
スターティングメンバーには出場機会の減少から揉めていたような印象のあったトゥーレ・ヤヤではなくセルヒオ・ブスケツ、ケイタが相当に久しぶりのベンチスタートだったことや、アンリ、イブラヒモビッチ、メッシの三人が揃ったことなど珍しい試合でもありました。

ここの所気になっていたメッシの運動量が少ないことや意欲の少なさは、この試合の出足の部分からは感じられませんでした。ドリブルで仕掛けていき、ファーストシュートを打った場面に代表されるような意欲もありましたし、マークを受けながらもそれを外せる瞬間的なキレもある。ボールを持たない段階で裏を狙う動きを見せていることもありましたし、久しぶりにコンディションは良さそうに見えましたね。
ただ、チーム全体としてはボールはよく回して、デポルティボの連動したチェックがしっかりきているんですが、それをかいくぐるパスは出せていた。でもリスクを負うパスではなく、相手の前で回してチャレンジしている印象はそれほど強くないものでした。所々でーフティなだけにならないように場所へパスを繋ぐこともしていますが、個人の力で繋ぐパスですから崩しきることは出来ていない。しかも厳しい場所を狙うため、奪われることもありました。そういったミスからのピンチは防げていましたし、メッシが大きく戻って相手を送らせたり、デポルティボのカウンターにかかった際の人数のかけ方が中央に寄ったものではなく、サイドから始まり中央の選手がサイドに流れて受けようとしたり、ゴールに直結する動きや縦のスピードを見せてこなかったこともピンチを広げなかった一つの要因でしょうね。その段階でのバルサの守備には中央に厚みが無く、サイドを使われた後に中央へ戻されるとディフェンスラインの前に広大なスペースが出来てしまっていたんですが、使われることが非常に少なかったために安心していられました。縦に人数を置いて裏へ急がれて、鋭いカウンターになっていればいくつかシュートを打たれていた可能性はありますが、それもなかった。

何度かカウンターが上手く実らなかったのを繰り返した後は、デポルティボは引いて守るようになった。イニエスタとシャビにきっちりと人をつけて、メッシが入るスペースを消しておく。ディフェンスラインを一定の位置にまで下げながら、ピボーテをしっかりと中央の低い位置に設定しておき、近づきすぎず、遠すぎないように配置してスペースを消す。中央のイブラヒモビッチなどにも注意を払ってマークに付き、ボールを受けさせる余裕を与えず、ポストプレイが出来るほどのスペースを与えず裏を狙わせる。サイドを空けておいて、その裏は利用させているが低いライン設定のためにスペースは少なく、固めている中央はあまり戻りながらの対応をしなくてもいいようになっている。
ボールの展開が遅くなれば中央のブロック構築が出来て守られてしまう。アンカーの位置はフリーでボールを扱わせてもらえるが、ディフェンスラインの手前から勝負する選手が殆どで、裏で勝負できる選手はアンリぐらいしかいなかった。それでもラインが低く設定されているためにスルーパスでチャンスを作るには余程の精度がなければ難しく、ディフェンスラインの手前でパスを回して勝負を仕掛けようとしても、スペースを潰されているために技術と動きを発揮する場面はない。二つのラインが近く保たれているために中へ入っていくことができず、その手前側でボールを回す時間が多くありました。

ただそうした攻めあぐねているように一件見えてしまう場面でも、押し込み続けていることでデポルティボは攻撃の機会を失い、サイドを利用したカウンターもなくなり、バルサの守備陣を脅かしてこなくなった。守備が続くことで痺れを切らせて前へ向かおうする意識が出始め、集中も続かなくなっていくようで、徐々に寄せが甘くなり、スペースが出来てきて、ピボーテの裏でボールを受けるなど多少狙えるようになった。そのため、前へ突っかけつつ、裏へ出されたり、裏へ抜ける動きに引っ張られてしまいシュートコースへ寄せられなかったりするようになり、メッシのゴールを生むきっかけになった。
一度失点してしまうと、デポルティボはバイタルエリアを大きく開けるようになって、そこへ比較的自由に利用させてくれるようになった。ドリブルもできるだけのスペースを与えてくれるようになりましたし、ディフェンスラインと中盤との関係も悪くしてでも攻撃に人数をかけるようになった。
こうなるとバルサの攻撃陣にとっては好材料だったんですが、守備陣は問題を抱えたままでしたから、少し危険なプレイもあった。前からのプレッシングはきっちりとできているんですが、引いて守るほどになってしまうと、中央に厚みのある守備が出来ていないため、セカンドボールを拾う力になっていない。それぞれの守備間隔は問題ないですし、セルヒオ・ブスケツの後方への意識は問題ないんですが、距離が若干近すぎるようでした。そのため、バックパスからミドルは狙われることもありましたし、失点もここの関係が近すぎたことが影響しているかもしれません。最初のフィードをセンターバックが対応しなかったのはセオリー通りで十分だったんですが、あまりに距離が近すぎたために、ボールがディフェンスラインの裏へと出てしまい、戻りながらの難しい処理をしなければならなくなった。一番の問題はビクトル・バルデスのミスで、せっかくの得点と、継続して崩していく形が作れていたにもかかわらず、デポルティボに本来のプランを復活させてしまい、またバイタルエリアを固められてしまった。最初からまたワイドに展開してクロスすることから始めなければならなくなりましたし、相手にサイドの意識を持たせてから中央を利用しなければならなくなった。

後半になると、前半の守備プランから変えてきたようで、シャビとイニエスタがある程度引いてもきっちりと寄せてマークに付くようになった。そのためバイタルエリアは、前半よりもスペースが出てきて、デポルティボがボールを奪いにくる意識も出てきてかわすことが出来ればスペースも利用できるようになった。もちろん油断をして奪われることもありますが、ガチガチに固められるよりは多少マシな状況でした。
バルサは奪われないようにボールを安定して回すために、相手の裏側へ出て行く選手の数が減り、手前側でボールを回し、前へ預けてすぐ戻す回数も多くなってしまっていた。ダニエウ・アウベスを大きく上がらせておくことでワイドに相手を広げても、出来たスペースへ入り込む選手が足りず、追い越していく動きも少なく、ドリブルを仕掛ける回数も減って変化がなくなっていた。単調になって守りやすくさせているようでもありましたし、その影響からペドロが投入されるまでの間は膠着してしまっていました。

ペドロが投入されたことで、メッシが中央に入り、中へ入る人数の少なさを多少カバーできるようになった。中央に人数がかかるようになり、右にペドロ、左にイニエスタが流れながらケアするようになり、ディフェンスラインの前で受けられるようにして、裏を狙う。メッシがボール引き出す動きをしてシャビとの関係を近くしながら、縦の動きでイブラヒモビッチとも近くする。それらのお陰で、中央の手前でボールを回して相手を引き出してワイドに使っていたものが、効果的に機能するようになり、開かせて中央にスペースを空け、そして開かせたところへ中に入っていく。連動して相手を動かして統率されてた守備のバランスを崩してしまう。二点目がその形でした。
三点目は得点を取りに出たデポルティボがボティポを投入してバランスを崩したからこそ。難しい場所で素早く動かしていいゴールでした。

Liga Espanola Jornadas 15. ヘレス対バルセロナ

2009 年 12 月 3 日 木曜日

■Xerez 0 – 2 FC Barcelona
クラブ・ワールドカップのために変則開催となった試合で、第13節よりも先に第15節のこの試合が行われました。日程的には非常に厳しい二つの試合を戦った直後であるだけに不安な部分もありましたが、この後にも厳しい戦いが待っていることを考えると最下位相手に勝ちきっておきたい試合でもありました。バルサは選手をローテーションで大幅に変更させ、最後尾はダニエウ・アウベス以外を変更し、フォワードもアンリのみ出場しているだけで、久しぶりにボヤンが先発ですね。

ヘレスの成績は芳しくないんですが、この日の立ち上がりからの内容はとてもよく、集中し統一されたものでした。ディフェンスラインを高く保ち、高い位置からプレッシングをして、特にアンカーとシャビの部分に安定してボールを覚めさせず、バルサのディフェンスラインを前へ上げさせないような工夫がなされていました。それによってロングフィードで構築したがる癖が出てしまい安定した繋ぎから全体を連動させて崩していくいつものスタイルをさせてもらえませんでしたね。
もちろんヘレスの戦術面の勝利と頑張りがそれら全てを生んだわけではなく、雨によって濡れた芝と、長めの芝が影響していた事も大きく影響していたでしょう。パススピードが全く出ず、中盤より後ろで回すボールもゆったりとしたものになってしまい、いつもであればパスを交換していく間に相手をずらしてパスコースを作れていたんですが、パスの速度が遅いために相手に修正する時間を与えてしまい、寄せる時間もマークに付く時間も与えてしまう。前半のうちはローテーションで選手が出ているために運動量に関しては特別大きな問題はなかったものの、ペースを掴めないままパスミスからピンチを招いたこともしばしば。
パスが雨で走らないのならば、ドリブルで持ち上がってしまえばよかったんですが、芝に足を取られる場面が目立ち、ボールコントロールにも苦労していました。特にサイドバックの部分が顕著に表れていて、マクスウェルもダニエウ・アウベスもパスで繋げないためにドリブルで前へ進出しようとしても、コントロールを大きくしなければスピードに乗れず、そうしてしまうと集中して前方を塞いでいるヘレスのサイドの選手に縦方向を切られていて奪われてしまう。その蓋をされている位置が早い事もあって、ドリブルを諦めざるを得ない場面が多く、バックパスがさらに増えていました。
バルサがバックパスをすれば、それに合わせてラインの押し上げをきっちりとヘレスはやってきていて、全体をコンパクトに保たれているため、シャビらが受けに戻ってボールを引き出して繋いでいくわけにもいかない。下げたボールに対してもプレッシングを連続してやってくるため、どんどんと押し下げられていきましたし、アンカーの所へきっちりと人をかけられているのもある。

そういったヘレスの守備とピッチの関係上バルサはロングボールが増えていきました。特にセンターバックからのものが多く、ボヤンは受けに戻って前線で収め所となってキープをして、全体を押し上げて下がってしまっているバックラインを押し上げてコンパクトに保とうとする意識が無く、裏へと抜ける動きを繰り返すばかり。ディフェンスラインが高く保たれているために広大なスペースがあるのは確かですが、しっかりと統率されてコントロールされたものに対して、長く溜の長いパスはオフサイドの餌食になりやすく、視界もあまりよくないため、ボヤンが抜け出す動きにきちんと合わせられない。フィードの精度も悪く、ディフェンスラインの背後を狙うもの一本しか選択肢がないため、対応は易しかったかもしれません。

ロングボールが増えても形を作れず、前でキープが出来ず押し上げも期待できない。パススピードが遅く、ドリブルもスピードに乗れない。全体がゆっくりとしたリズムの中で、選手同士の接触が出来る機会が増えて、ヘレスの当たりに悩まされつつ、バルサの選手もファウルが増えていました。囲い込むことが出来ず、がつんと当たるばかりでいつものような守備も見られませんでした。攻守の切り替えやプレッシングは悪くないんですが、ヘレスはなかなかそれに引っかかって奪われたり、ミスをしたりもない。きっちりとヘレスは守備に人数をかけていて、カウンターになったとしても最後尾から人数をかけないため、きっちりとパスコースを見つけることができる。途中でパスを奪われてカウンターになっても人数が残っているから、大事には至らない。

もし高い位置でボールを裏へ出す機会を多く得られていれば、ラインをコントロールする余裕を与えず、裏を狙え、シュートも多く狙えていたかもしれません。後半の出足はその部分の改善がされたようで、ケイタが左に流れて受け、サイドバックがこれまで上がれていなかったのが、マクスウェルがケイタと非常に近い関係を保っていて、裏を狙うパスが極めて近い距離から出せた。前半の長い裏へのパスではなかく、高い位置で近い距離のまま崩すパスを出せたことがチャンスになった要因でしょうね。あとは少しの運で得点が決まった感じでした。

でもこの試合ではそれを継続していくことは全く出来ておらず、得点したときこそきっちりとサイドバックとウイングの関係を近く保てていましたが、それらは前半同様に姿を消していった。運動量も得点を取ったことから減少していきましたし、繋いで前で納めることも難しく後方でボールを失いピンチを作ることも多いまま。メッシが入っても、あまり変わることなく、高い位置でボールが収まらず、距離もまた開いていました。
メッシが中央にポジションを移して、後方からのボールを引き出す動きをしたことで、多少、縦とシャビとの関係を近づけて、納め所となり、全体を押し上げてそれぞれの関係を近づける状況を多少得られるようになった。もちろん、前半のハイペースが祟ったヘレスの運動量が落ちて、プレスの一歩目が遅くなり、当たられる回数が減ってボールを回す時間が得られるようになったのもありますね。

そこへイブラヒモビッチが入ることで、前に納め所が出来た。フィードを徹底して裏へ狙わなければならなかった前半などとは違い、高さを活かしてディフェンダーの手前で受けられるようになった。キープから押し上げていけるようにもなりますし、高い位置から展開がスタートするため、裏を狙うパスにしても精度を維持できますし、狙い所も幾つか用意できる。さらにヘレスも前へ出てくる意識を少し出していたため、スペースがあり、カウンターからボールを前へドリブルで運べるようになっていました。高い位置に起点があるため、そこにボールを預けて押し下げ、ボールを回すような一時的な押し込みはありましたが、守備においてはラインを高く保てるようになったのが災いをして、足が遅い二人の裏を狙われ、整っていないラインの裏側を突かれて幾つかピンチを迎えたり、連続したコーナーキックとクロスから失点しそうになるなどいまいち。

終了間際のいくつかのチャンスを決めきれないところがさらに状況を難しくしていましたが、最後の最後でイブラヒモビッチがきっちりと決めてくれて勝負あり。あれだけ前へ向かいながらパスを出せる環境があり、近い環境でパスが出せれば、裏を突くことが出来る。前半からああいったプレイが出来ていればよかったんですが、この試合にそれを望むのは難しい。勝ちで十分、としておくべき試合でしょうね。