FIFAクラブワールドカップ アトランテ対バルセロナ

■Atlante 1 – 3 FC Barcelona
日程が厳しく直前の数試合で内容が悪かったために心配をしていたんですが、先制点を取られたところまでは心配をしていたとおりでした。同点以後は何も問題なく、大きな余裕さえ見えましたね。

序盤は特にチェックに苦しんでボールを失うことも多かった。アンカーとセンターバックでボールを回す姿を久しぶりに見るほどにアトランテの前から来る守備に苦慮していて、ボールを前へ引き出すためイニエスタ、シャビ、セルヒオ・ブスケツが戻ってきたとしてもぴったりとマークに付かれていて、アンカーも前を向かせてもらえる場面は少なかった。そうなると球離れをよくしてダイレクトで戻しつつ、マルケスがフィードを出せる環境を作り、それに頼らなければならず、トゥーレ・ヤヤが若干下がり気味に位置してセンターバックと近い関係を保って二人のセンターバックはワイドに開いてボールを処理するようになった。
ただ、それをしたとしても、押し上げておくダニエウ・アウベスに預けても縦のコースを切られてしまい、スピードに乗れる場面は少ない。それ以外の選手にしても同じ事でボールを預ける以上後ろ向きにボールを受ける回数が多く、前を振り向かせない守り方をされてしまえば、バックパスをするしかない。縦のコースを切る守備と共に、高くチェックするために出来やすい中盤とディフェンスラインの間のスペースに、アトランテはしっかりとアンカーを配置してバイタルエリアを消す守り方をしていて、そこを利用して前を向くことも難しかった。きっちりとマンマークで振り向かせない守備をされるということは、運動量が少なく、ポジション修正を頻繁に行っていないことでもあり、バルサ側に多少の問題がありましたね。

ボール支配率を高く保てていましたが、それは主導権を持ったものではなく、相手に良さを消されて持たされているものでした。ペースを掴めない時間帯にロングボールで処理をミスして失点をしたのは非常に悪いことですね。あの場面でビクトル・バルデスが出て処理しようとする動きは仕方が無く、それ以上に二人のフォワードが共に裏を狙っていたのに、抑えていたのは右サイドバックと右のセンターバックだったのが問題でしょう。スピードのないマルケスが対応していてプジョルがおらず、裏側のサポートを行う選手が誰もいなかった。あの位置からのフィードに対してアンカーが対応をするのは難しいために仕方ないんですが、両センターバックが掴まえてサイドバックが中へ絞ってケアをする、その形が作れていれば失点をしたとしても、相手が上回っただけと諦めがつくんですが、裏へ抜けられてしまう事への意識が薄く、対応する選手のミスマッチもあって、これはミスですね。

バルサは前を向けず、中央にはアンカーが存在してポストプレイをするのが難しかったために、イブラヒモビッチが右に流れて起点になろうとしていたんですが、効果的ではありませんでした。ボールを前へ引き出せないときにサイドで起点になる動きがあるのはとてもいいことなんですが、それが出来るのはイブラヒモビッチでだけで、ペドロでは駄目でイニエスタは中に入りがちでワイドに使えていなかった。シャビやセルヒオ・ブスケツも中盤のポジションの修正が活発化して前を向ける環境が多少作れるようになっていたんですが、彼がボールを収められれば奪うことが困難なことを理解して奪いに来ずにコースを切ることに徹するようになっていた。リトリートしてスペースを消しにかかることが多く、ディフェンスラインの部分へ入り込む選手が足りなく、イブラヒモビッチがサイドに流れてしまえばより顕著になって勝負をするパスを出す場所が存在しなくなってしまう。
ただ、全体が引き気味だということもあって、セカンドボールは拾い続けることができていましたが、押し込んでいけばいくほど裏へ抜ける動きが無くなり、中の人数もイブラヒモビッチだけになった。相手の手前でボールを回すだけで、効果的な崩しをしておらず、回す動きと裏へ抜ける動きがバラバラで、ドリブルで抜けようとする姿勢こそあるものの、人数が入り込んでいるところへ突っ込むばかりで可能性はありませんでしたね。

その時点までで目立ったのはイニエスタの彼らしくない不用意なミスとダニエウ・アウベスが奪う守備をし過ぎて裏を使われていること、マルケスがケアをしようとして簡単にかわされてしまうことでしょうか。
それもこれもコーナーキックからセルヒオ・ブスケツがゴールを決めたことで一気に突き抜けてしまうわけですが。

シャビらがポジションの修正をして前を向けるようになっていたのは少し前からでしたが、それよりも得点以後はポジションの流動性が出てきていました。ケイタが出場していれば全体のバランスを見て流れてくれることやフォワードの位置にまで進出してくれることもあったんですが、それまではセルヒオ・ブスケツは自重して後方に位置するばかりで効果的な動きを見せていなかったんですが、イニエスタが下がったときにはフォワードのポジションにまで上がることもするようになりましたし、ペドロとアビダルの連携も見られ、クロスに対して中の人数がそれまで一枚、もしくはゼロだったのが二人入り込めた。イブラヒモビッチが右に流れるようになっても中に選手と高さが存在するようになりましたし、守備に回っても、トゥーレ・ヤヤがダニエウ・アウベスが上がった後のスペースをケアできるようになり安定した守備も出来るようになっていました。マルケスだけは相変わらず味方の守備を利用して自分がボールを奪うのが得意な選手であるにもかかわらず、単独でボールを奪いにいってかわされる姿は悲惨なほどでした。

後半になればアトランテにサイドから攻められる回数が減ったためにサイドバックの裏側は目立たなくなりましたが、その分中央の裏を使われる回数はそれなりにあった。その部分の修正は問題なく、裏へ抜ける動きにプジョルが対応をしていましたし、ピケが投入されたこともあって問題は少なくなって安定したケアをするようになっていました。

ピケと同時に投入されたメッシがすぐに逆転ゴールを決めたおかげで勝負はついてしまいましたね。フォワードが引いてキープをする動きと裏へ抜ける動きの連動性を持たせてプレイをする。それまではどちらか一歩というよりも受ける一辺倒だったものを組み合わせて行ったのが得点の要因でしょうね。それによってギャップが出来て、メッシが抜けるだけのスペースが出来た。シャビとイニエスタが中盤で連動して動けるようになり、イブラヒモビッチと近い関係を保てるようになっていたのも大きく、その後もその形が継続できるようになり、孤立していた前半が嘘のように近い関係を保てるようになりました。そこへ後方からセルヒオ・ブスケツがトゥーレ・ヤヤよりも安定して前のサポートをする形になり、高い位置でのプレイが多くなっていました。全体がきっちりと選手の間隔を詰めてサポートをする。パススピードこそピッチの関係からか上がってきませんでしたが、ボールを持つ主導権がバルサに完全に移行したのは確かでした。

ワイドに開いたメッシはボールの収め所となり、それまでイブラヒモビッチがやらなければならなかった役割を一つ減らし、キープ力を活かして全体を押し上げて、相手を広げておく動きをするようになりました。フィードに頼らなければならなかった場面で、メッシが受けられる状況を作ってくれるため、不安定なフィードに頼ることなく安定した繋ぎが出来るようになる。アトランテはメッシに対して密着してマークについて一瞬でかわされるのが怖いのか、少し距離をもってマークに付いてくれていたのが特に好材料でした。
こうなると前半当初の勢いをアトランテが取り戻すことは難しく、よく見たバルサのペースに持っていかれる展開であり、イニエスタからペドロへ渡り三点目が決まったことで、その後の試合内容は余分なものになりました。その余分であっても手を抜かなかったことが次の試合に対する姿勢だと思えるわけで、今度こそ、と期待をしておきます。

それにそてもペドロはまた新しい大会でゴールを決めましたね。いい活躍は多くなかったんですが、本当にペドロです。

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