2009 年 10 月 のアーカイブ

Liga Espanola Jornadas 6. バルセロナ対アルメリア

2009 年 10 月 4 日 日曜日

■FC Barcelona 1 – 0 Almeria
チャンピオンズリーグを間に挟んだために幾つかの選手を入れ替えての対戦となりました。
怪我から復帰したマルケスやイニエスタの先発と共にベンチへボヤンが戻ってきているなど、怪我人が出てしまっている中でも好材料も幾つかありますね。

開始からアルメリアのプレッシングは比較的素早く、緩く空けておくポジションはないくらいに守備を重視して集中したものでした。特にボールサイドへ人数をかけて早めのプレッシングで自由にさせないことを中心としているようで、多少の困惑こそバルサも持っていたものの、マルケスが先発をしているお陰で、センターバックの位置から左ウイングのペドロまで省略したロングフィード一発でサイドチェンジが出来、片側に寄せられた外に出せるため、それほど全体へのプレッシングに関しては影響を受けていないようでした。
ただ問題だったのは、メッシへのマークは他に比べれば厳しく、そこに至るパスコースを塞ぐのではなく、パスカットを狙うものだったことでパススピードが遅くなったものや単純に狙いがはっきりしていたものは狙われてカットされることも多かった。それ以外にもイニエスタへのマークを厳しくして、ボールを持たせず、前を向かせず、展開させず、と構築とリズムの変化を許しませんでしたし、誰の目にも明らかだったのはシャビへのマンマークでしょう。ゾーンの中でのマンマークではなく、どのポジションを取ったとしてもチコが引っ付いていく完全なるマンマークでした。センターバックのラインにまで戻ったとしても引っ付いて簡単には受けさせず、前へ出しづらくさせ、中盤では受けられても戻す、あるいは横に出す程度しかさせない。前へ飛び出そうものならセンターバックの位置にまで引っ付いていく。前後左右どのポジションであっても付いてきていたわけで、それを理解してからはシャビのポジションもかなり流動的にして、スペースを作ることを中心にしていましたね。
シャビがマークを引き連れて大きく下がることでアルメリアの中盤にはラインが出来ずに、イニエスタが引っ張っていることもあって大きなスペースが出来上がっていた。そこへメッシが右に張るのではなく中央に入ることでボールを受ける回数を増やし、ドリブルで仕掛ける回数を増やした。あるいは、シャビがセンターバックの位置に代わりにはいるくらいの様子になるとマルケスが大きく持ち上がり、他に割いているマークお陰でフリーのまま持ち上がることが出来、そこから展開する回数も増えた。カウンターになれば、シャビがまず収めてポストプレイをすることもあるわけで、最後までよく動き、よくスペースを作っていました。もう少しセルヒオ・ブスケツが大胆に攻め上がってメッシが中央にいるエリアを担当してワイドな展開を心がけたり、左右への揺さぶりを増やせればよかったんですが、少し消極的でしたね。

バルサの攻撃はいつになくパスがカットされ、ドリブルもカットされていたんですが、アルメリアが集中してパスコースを読んでそれをカットするための布陣を取っていたこともありましたし、ドリブルに関していえば中央の前にコースがあるだけで、そこから先にはディフェンダーが待っている。それでもマークを多くの選手が受けている中では、一人が一人ドリブルで抜くだけで数的有利を作れる可能性があるだけに、取られてもチャレンジしていくことはいいことだと思っています。パスをカットされる場面も単純に足下へ出すものが多くカットされたものもありますが、決定的なパスを狙うが故にカットされたものも少なからずありましたから、それも大きな問題ではないのかもしれません。少なくとも、相手のプレッシャーから逃げるために、延々とディフェンスラインでボールを回してボールの出しどころが見つからない、というような状況には陥らず、展開するスピードは落ちませんでしたから、それだけで十分でしょう。

もうちょっとペドロの位置でドリブルを仕掛けられれば、もっと変化をつけられたのかもしれません。前半は特にあのポジションが開いているためにマルケスからロングフィードを入れてドリブルで仕掛けるだけの環境を用意してもらっていた。その中で仕掛けても中の枚数が整っていなかったり、奪われてカウンターの起点となってしまう可能性がありましたが、停滞してバルサの攻め手の一つを潰してしまうよりは仕掛けて欲しい気持ちが強く、彼も消極的になっているように見えていたんですが、相変わらず貴重なゴールを決めてしまうところはさすが。振り向きながらのシュートで強引にも見えるものでした。最初のボールコントロールはミスをしたのかと思っていたら、とんでもないものでしたね。

アルメリアは失点をして、そして後半にもなってもマンマークを中心としたキーマンを抑え続けるだけの守備姿勢を崩そうとはせず、センターバックのマルケス、後に出場したピケに対してもプレッシャーを殆ど与えず、自由に展開させていました。特に書くシャビとイニエスタを消しておくことで何とか防いでいましたし、実際に効果が現れているようにも見えましたが、バルサの実際に攻撃の人数は三人、あるいは四人程度で無理は殆どしていませんでした。チャレンジをそれなりの回数しながら、カットもされることも多い。ドリブルにしてもパスにしても、アルメリアが守れている印象を受けながらも、きっちりセカンドボールはバルサが拾い続けて、前後のバランスを保ったまま試合を続けていることを示しているようでした。得点を取ることを焦っているわけでもなく、もちろん追加点は狙っているものの、試合の状況を読みながら、とでもいうんでしょう。
全体を通して攻めあぐねた印象が強いものの、アルメリアにあそこまでの覚悟をされてしまえば仕方ないと思うしかないですね。得点を取られても攻撃に出るのではなく抑えるばかりの意識が強く、鋭いもののカウンター一本とあの戻りの早さ。バルサも一点を取ってからというもの、イブラヒモビッチに取らせたい意識が強く、誰もが取りたいわけでもなく、誰かが取らなければならないわけでもなく、彼に取らせたい意識が強かったわけですし。

アルメリアのカウンターは素早く、攻守の切り替えから、前に凄い勢いで人数が増えていくいいものでした。きっちりと意図を持った動き方とそれぞれが動きを理解したパスをだし、裏へ狙うものを中心としている。本来ならオフサイドで防ぎたいものをかいくぐって裏へ抜けるだけの練習もしてきているようでしたし、ピアッティが入ってからはより攻撃に出てくるようになりましたし、人数をかけた攻撃の回数も増えましたね。
サイドをえぐってからのクロスでは、バルサの中の人数が揃っておらず、ニアサイドのヘディングでカットできていたからよかったものの、選手自体には誰も付けていない場面が何度もあり危険でしたし、緊張感のないままペナルティエリアに入り込まれたり、ビクトル・バルデスの注意力を欠いたようなボールコントロールからクリアがあったりとひやりとさせられる場面も幾つかありました。
特にプジョルのコントロールミスからピアッティが抜け出しそうになった場面は危険で、カバーと彼のスピードのどちらが早かったのかは解りませんが、あのプジョルのファウルはレッドカードで退場だったとしても不思議ではなかった。本当にイエローカードで助かりましたね。それまでの審判の判断や、その後の判断も含めて考えれば審判の基準は一定だったように見えるわけで――といいつつ助けられた印象の方が強いですねぇ。

シャビとイニエスタを抑えにかかる試合はやっぱり増えるんでしょうね。ボールそっちのけで追っかけ回している姿は大嫌いでなるべくなら見たくないんですが、防ぐ方法がそれしかないと考えられてしまうとああなるしかない、と。それを突き崩して何点か取れていれば、その方法をとろうとするクラブはなくなるかもしれませんが、なかなか難しいですよねぇ、あそこまでの覚悟を突き崩すための労力を考えると、それだけに集中していられませんし。

UEFA Champions League -A- Matchday 2 バイエルン・ミュンヘン対ユベントス

2009 年 10 月 1 日 木曜日

■FC Bayern Munchen 0 – 0 Juventus
以前から懸念していたプラニッチはやはりレギュラーから落ちたと考えてよさそうですね。先日のブンデスリーガで出場せず、この試合もブラーフハイトが先発していましたし、途中出場の機会も与えられなかった。他にもティモシュチュクが入らずオットルが中盤の底に入っていたのは意外でしたが、オットルもボールを引き出すのが上手くないので苦労することには変わりがないと思っていました。

実際にはユベントスの守備は、ディフェンスラインやオットルの部分には激しく当たらず、最初の構築のパスをさせないことを選択するよりも、リベリーやロッベンに仕事をさせないことを選んだようでした。中盤へのプレスもスイッチが入れば連動して粘り強く奪いに向かうものの、基本的にはディフェンスラインの前に中盤のラインを形成して非常に近い間隔を保っていました。ヂエゴが比較的前へポジションを取るため綺麗に二つのラインが形成されているとは言えませんが、非常に間隔を詰めて、俗にバイタルエリアと呼ばれているゾーンを利用させないことに重点を置いているように見えました。

お陰で、ブンデスリーガでは散々苦労していたディフェンスラインからボールが前へなかなか出てこない場面にはお目にかかれないず、延々と横に回すわけではなくきっちりと縦へとパスを出せていました。もちろんそのボールにはユベントスの守備がきっちりと対応するわけで安定して収められるわけではないにしろ、それでも縦へ入るだけでも改善されて見えましたね。
バイエルンのディフェンスラインはプレッシャーを受けていませんでしたが、それでも攻撃、守備問わずに低い位置を保っていて、全体を押し上げるつもりはないようでした。ユベントスの攻撃がフィードでも組み立てられるもので、高さとある程度のスピードを持たれていることから裏を狙われる怖さがあるのかもしれませんが、それがかえってユベントスのトレセゲとイアキンタに収めさせる要素にもなっていて、ヂエゴを含めたカウンターをさせていた嫌いがあります。バイエルンの守備は前線から行われるものではなく、中盤でフィルターが抑えるわけでもなく、殆どがセンターバックが最初から最後まで抑えるもの。サイドに出た場合はサイドバックと、どちらもディフェンスラインが最初から対応するために危険を冒して守備を出来ないことも影響を与えているのでしょう。バックパスにはもちろん中盤が対応するんですが、それ以外の前へ向かうものには、まずディフェンスラインの守備ありきになっている。だからこそ、ユベントスが素早く左右にボールを展開して揺さぶるとディフェンスラインの組織そのものが左右に揺さぶられてギャップが出来てミドルシュートを許してしまう。そんな環境ができているんでしょうね。

ユベントスの守備がバイエルンと大きく違うのは、守備で最初に対応するのが中盤の選手だということでしょう。リベリー、ロッベンに対しても殆どのものが、中盤の選手が後ろからであっても最初にチェックに向かい、プレイを限定をした上でディフェンスラインが対応する形を取っていること。もちろんスピードのある二人に対して後ろから向かうことでファウルで止めることも多くなりますが、二回のチャンスをもって防ごうとすることで全体のバランスを保ったまま人数を揃えて対処する。だから中央に入れられた際にも人数は十分で崩れない。ただ問題があるとすれば、ウイングを抑え込むためにその形を取っているためにサイドバックの上がりに対応する選手が乏しく、後方から単独でボールを持ち上がって勝負をかけることが出来れば、相手は人数をかけている選手への対応から切り替えるだけの時間が必要になり、チャンスになる。この試合ではブラーフハイトが前半に何度かチャレンジをし、上手く入り込めていましたし、あれを徹底して継続できていれば穴を作ることは出来ていたのかもしれませんね。

バイエルンにとって誤算だったのはロッベンの負傷退場でしょう。代わりに投入されたのはオリッチでそれまでと同じく左に回ってリベリーが右に来るならともかく、オリッチが得意としていない右側に入ったのはまずかったですね。バイエルンのディフェンスラインはその時点でも低いままで、守備に戻る関係からオリッチがボールを受ける位置も低い。ドリブラーではなく、低い位置で渡されることに戸惑ってしまって中へのパスやバックパスを選択することが多く自分で仕掛けられない。さらにコースを切られているように見えて辛いですね。徐々に高い位置でボールを裏へ出すように要求して、その通りの動き方をするようになったものの、ロッベンの時のようにスムーズには回らず、裏へ飛び出した後の処理が出来ないので右下欄おサイドバックの攻撃も期待できなくなってしまいました。

後半幾つかあったバイエルンのチャンスの場面は、ユベントスの守備が中盤で最初に行うものからディフェンスラインで行うようになったことに影響しているようでした。フェリペ・メロがきちんとフィルターの役割を果たしている間は大丈夫なんですが、処理をミスしたり、それを一歩抜かれてしまうと、ラインで対応しなければならなくなる。そうなるとスピードを恐れてチェックに向かわず、リトリートしてしまい、裏を狙われる。幸いにもフェリペ・メロがあっという間に修正してしまったために一時的なものでしたが、いいアンカーですねぇ。

後のハイライトはヂエゴに替えてポウルセンになったことでしょうか。フェリペ・メロがフィルターをやって、左右にボールを配球する仕事もこなしていたため、ヂエゴはカウンターの時以外は大きな存在感を示せなませんでしたが、実際にカウンターになると二人のフォワードを活かし、重要な役割を果たしたはず。そこへポウルセンを入れて消極的に守るのかと思いきや、ポウルセンに与えられた役割の一つは、オットルへの積極的なプレッシングでした。ボールの出所を潰す役割を与えられていて、それまでは自由にやらせて、後方で挟み込んで防ぐことに注力していたんですが、全体の意識を前への守備に切り替える意図を持たせていた様子。上手く前や逆サイドへ出すボールの精度を落とすことに成功しているようで、バックパスも多少増えて、非常に効果があったんじゃないと思ってます。

後は幾つかの交代で変化を図ったものの、どちらも突き崩すだけの力はありませんでした。ユベントスのフォワード二人には、ペナルティエリア内で一つのパスさえ与えられれば、ボールをコントロールしてからシュートまで強引に持っていくことが出来る自信があるのが恐ろしく、難しい体勢でもきっちり強いシュートを放ってました。数少ないパスをきっちりシュートに結びつけて強引にチャンスに結びつける力もさることながら、そこへボールを入れさせてしまう守備に問題があるように思えますね。
バイエルンのシュートの本数は多いものの、前半のセットプレイで稼いだものが多いんじゃないでしょうか。印象に残る場面はカウンターからミュラーがシュートを打たずにパスを選択した場面ぐらいですから。

バイエルンとしては、ユベントスに辛い判断をする審判で助かった部分がありましたね。終わり方こそ最高のカウンターを潰された形になりましたが、プレイを最後まで待つ必要など審判にはないので仕方がないわけで、むしろ流れの中で大きくアドバンテージがあったのだから、よしとすべきかもしれません。