2009 年 10 月 のアーカイブ

UEFA Champions League -A- Matchday 3 ボルドー対バイエルン・ミュンヘン

2009 年 10 月 22 日 木曜日

■Bordeaux 2 – 1 FC Bayern Munchen
いくらプラニッチが信用を無くしているとはいえ、アルティントップを右サイドバックに持ってくるのは苦しいのでは。そう思える布陣でした。確かにアルティントップは以前からサイドバックをこなしていましたし、タッチライン際の処理が上手い選手でもありましたが、それは攻撃面だけであって守備面ではやはり裏のケアが全く出来ておらず、中盤の選手としての振るまい方に近いままサイドバックでもやってしまうので不安でしたね。
それ以外にもフライブルク戦でこそ上手くいきましたが、トニを中心とした先細りの攻撃陣とアーリークロスを中心としたサイドの深くまで入っていかない攻撃スタイルは不安に感じるには十分でメンバーには変更がなかった。

ティモシュチュクが中盤の最後尾を務め、安定してスペースを埋めている。ファン・ボメルが一列前に移りリーグとは逆の関係になっていましたが、ファン・ボメルはそれなりにボールを引き出す動きをしていましたね。それでもディフェンスラインでボールを回すことが多く、引き出しに戻れていないと言うよりも、中のスペースを消して受けづらい環境をボルドー上手くが作っている。受けてもすぐに前を向けず、いい守り方でした。

開始早々から手詰まりのように見えていたんですが、上手くセットプレイを得て、コーナーキックからシアニのオウンゴールで得点を取れたことで多少の改善が見られるようになりました。ディフェンスラインで横に回すのではなく、ヴァン・ブイテンがドリブルで持ち上がって、パスコースを塞がれているのを打開しながら縦パスをフォワードに収めるようになっていったんですが、それもすぐに戻ってしまい、サイドバックの危険な上がりを利用しなければならなくなった。中盤が積極的に動いて引き出す動きをしなければならないんですが、戻りきって前を向ける環境で受けられないので期待はできない。

それよりも気になったのはあまりにも多い自陣でのファウルでしょうか。いつものようにファン・ボメルの必要ないファウルもあるんですが、それだけではなく、必要に迫られてのものが多く感じられました。上がってくるスピードに捕まえきれなかったり、選手間に入り込まれて対応が一歩遅れているのが主な原因のようで、パスで上手く繋げなかったりキープできない影響から攻撃の立ち上がりの部分でカットされてカウンターもある。バイエルンはいつもよりもディフェンスラインと中盤の距離を近く保っており、バイタルエリアを利用させないような工夫を取っているようでしたが、フォワードとの距離はそれによって遠くなってしまい、奪った直後にフォワードに預けきれず、そこを抑えるように狙われてしまい、カットされ、カウンターになる。ずるずると下がらないのは評価できるものの、連続して攻撃されて対応を取る前に攻撃をされることもあり、それがまたファウルに繋がる。ゴール前であっても変わらずファウルをしてしまうためにフリーキックから危険な場面を作ってしまう。
この日の失敗は全てファウルに絡んだものと言ってもいいんじゃないでしょうか。

同点に追いつかれた場面もセットプレイからでした。得点自体はコーナーキックからのものであってもそのコーナーキックを得るきっかけになったのは、不用意に相手に釣られたバドシュトゥバーのケアのため遅れて当たりに行ったヴァン・ブイテンのファウルによるもので、フリーキックが壁に当たってコーナーキックになった。
逆転のゴールとなったプラニュスのゴールの前も、セットプレイの一連の流れで、ボールを無理に奪いに行かなくてもバイエルン側も人数は揃っていた。もちろんボルドーの側も選手が前線に残ったままでクロスを上げられないに越したことはないが、無理に奪う必要はなく精度を落としてやればいい。それを不用意に奪いに行ったがためにファウルになってしまった。もしあれで奪えたとしても攻撃に繋げられる状況ではありませんでしたから、本当にあのファウルは必要だったのか疑問ですね。

得点に絡んだその二つはもちろんのこと、ミュラーの退場も不必要なファウルの連続によるものでした。一つ目のカードの場面も自分たちの攻撃で失ったボールを取り戻そうとするものだった。けど、相手は既にクリアできる状態でしたし、プレッシャーを与えて精度を落としてやればいい。それ以前にあそこまで思いきりいったとしても後方や他の選手が連動してパスコースの先に入ってくれる守り方をしていないため意味は薄い。三枚でカウンターを行わなければならず、フライブルク戦のように自由に受けさせてもらない。厳しく当たられて奪われて思い通りにならない。その苛立ちがそうさせたのかもしれませんが、足を狙う意図が十分にあり、二枚目のカードは妥当。この戦い方をバイエルンがするのであれば、トニやクローゼのように体を張り続けることに淡々と耐えなければならなかった。

一人少なくなった影響で、フィードからトニが落としてボールが収まっても、トニとクローゼの二人が中央にいるだけで、サイドの高い位置に選手がいないため、ボールをもらった後の展開が乏しく、相手は中央を固めて待ちかまえればいいだけ。それだけで囲めるわけで、トニがいくらフィードで競り勝っても虚しいだけですね。

トニの浮き球を自分のものにしてしまう力だとか、アルティントップのタッチライン際で難しいながらも前進していく力とか、そういうものは素晴らしいんだけど、個人の頑張りであって組織としての頑張りではない。
追わなければならない立場のバイエルンが、ボルドーの後方で回すボールに対して追いかけ回すこともせず、組織的に繋ぐ位置を抑えて不安定なフィードをさせるでもなく、延々とタイミングを待たせてしまっているのも問題でしたし、どこかで変化を与えたかった。そういう意味では、ブンデスリーガでは上手くいったアーリークロスも対応をミスしてくれないボルドー相手では全く効果的ではなく、プラニッチを投入した後に多少高い位置を保ち、展開をワイドにするだけの効果が得られて、もしかすると改善するかもしれない、と期待を持てたのに、マリオ・ゴメスとオットルの投入で、一気にトニの高さとポストプレイを失ってワイドに展開する一歩目を失ってしまい、出始めていた勢いを削ぐ結果になってしまって決着がそこでついてしました。

アルティントップの守備時のポジションが高すぎて後方のカバーが必要な状態が続いていたり、それをヴァン・ブイテンやファン・ボメルがカバーしたり、時にはクローゼがアルティントップの外側にまで戻って処理しなければならなかったり、というのは些細な問題だったかもしれません。サイドバックの外側を利用されて安易にクロスを入れられてしまうのも、ファウルの多さに比べれば小さな事。相手がきちんと背中をディフェンダーに向けてキープできる体勢を取っているのに奪いに行っていることが問題で、正対していない、囲めていないんです。奪えるタイミングではないのに、一人で奪おうとしている。もちろん一対一で勝たなければいけないんですが――お粗末ですね。

バイエルンは、あのオウンゴール以外にどれだけ相手のゴールを脅かしたでしょうか?
退場者が出なかったとしても、あまり変わらなかったんじゃないかと思ってます。一本セットプレイから惜しかったものがありましたが、セットプレイを中心に攻めるのならファウルを得るための努力が必要なんですが。

直接得点に結びつかなかったとはいえ、ブットがバックパスの処理を誤りPKを与えてしまったり、ヴァン・ブイテンが裏に抜けられたシャマフを抱えて潰してPK、そして退場になるなど惨憺たる有様。PKストップには定評のある――を通り越して馬鹿みたいにPKに強いブットのお陰で傷口がこれ以上広がるのは何とか抑えられましたが、選手層の問題だとか、怪我人の問題を通り越しているような内容の悪さはどうにかならないんでしょうか。
試合後のインタビューでファン・ハールが語ったようにセットプレイに気をつけるように指示が出ていたのなら、あれだけのファウルを何故してしまったのか疑問ですし、後半になっても修正できなかったのは何故か。
バイエルンは、あのオウンゴール以外にどれだけ相手のゴールを脅かしたか。サイドアタックの重要性とサイドアタックを蔑ろにした場合にどうなるかを示した試合でしたね。

UEFA Champions League -F- Matchday 3 バルセロナ対ルビン・カザン

2009 年 10 月 21 日 水曜日

■FC Barcelona 1 – 2 Rubin Kazan
怪我人とバレンシア戦で見せた全体のコンディションの悪さが何処まで改善されているのか、あるいはプジョルを出場させず、鈍足のマルケスとピケを組ませたり、戦う選手の極端に少ない前線の構成でどこまで守備を固めることが予想される相手に戦えるのか、と多少の不安があったんですが、まさか負けてしまうほどになるとは思っていませんでした。

特に試合開始直後にラッキーパンチのようなロングシュートを決められたのは誤算でしたね。明確に崩されたわけでもなく、マルケスのトラップミスからたまたまそこにボールが行き、いい形で打たれてしまった。憤然の産物であるが故にディフェンスが寄せる暇もなければ、キーパーが止めるには難しい場所になってしまったわけで、不運としか言いようがないですね。その直前にイブラヒモビッチからイニエスタでシュートまで持っていけそうな形を作り、相手に精神的なプレッシャーをかけ、押し込んでいけるだけの印象を与えていただけに余計に苦しくなりそうでした。あるいはマルケスが精神的に落ち込んでしまいそうなも雰囲気もありましたしね。以前にはそういう形での不安定さも見られていましたから余計に不安でした。

それは杞憂だったようで、選手たちに動揺は殆ど見られず、すぐに攻撃で自分たちの形を作り出していました。イニエスタのスルーパスからイブラヒモビッチが抜け出し、コントロールシュートで反撃口火となる形を作り、そこまでに時間もかからなかったのはよかった。ただ、守備の部分では寄せ方が甘く簡単にかわされてしまったり、ファウルで止め無ければならない場面が見られたり、不用意さと不安定さも多少ありました。それと共にセカンドボールをルビン・カザンの選手に拾われると、先制点のイメージからか過剰に当たりに行ってしまうようにもなっていて、釣られて前に出てしまうことから裏のスペースが出来てしまい、利用されそうになってました。印象に残る一発をもらったのは大きかったようです。最後までシュートの本数を少なく抑えられたとはいえ、何度かディフェンダーを吊り出した裏を狙われていましたから、その部分が大事に至らなくてよかった。

失点の原因となる前、前半から守備の問題はトゥーレ・ヤヤが若干ポジションを上げすぎて後方のスペースを意識していないことでした。鈍足のセンターバック二枚と、アビダルが引き気味に位置して三枚で守ることが多いんですが、その一つ前を使われることもそれなりにあった。トゥーレ・ヤヤの後ろで、他の二人が本来なら出て行けないエリアですね。トゥーレ・ヤヤは攻撃に出なければならず、シャビやイニエスタ、中央に入ってきていたメッシを中心にマークにつかれて他が抑えられていたり、カットされた後のボールを拾って攻撃を継続しなければならない状況を考えれば前に出るのはいい判断かもしれないんですが、守備だけを考えると問題視してしまう。センターバックが上がった際にそこへはいる回数もシーズン開幕当初に比べれば減り、疲れもあるんでしょう。セルヒオ・ブスケツが昨季終盤のように安定していれば、彼をもっと休ませられるんだろうけど、今の状態では出てもらうしかないわけで辛いところですね。
それでも前半途中から後半にかけて後方への意識が十分に出てきてました。お陰でスピードのないセンターバックの裏へ抜けられそうなものにはカバーでケアし、ピンチを未然に防ぐプレイがありました。ただ最も肝心な二失点目の部分ではスライディングで奪うことを優先してカバーに戻らなかったことが仇になってしまいました。鈍足のディフェンダーを二枚揃えてしまったことの弱点が露呈してしまったわけで、この組み合わせしかなかったとはいえ勿体ない失点でした。

攻撃の部分では、メッシのコンディションは未だ戻らず、と大きく見えてしまっていましたね。元々ボールを受けるための動きに運動量を費やすタイプではないにしろ、マークに付かれたまま、パスコースも限定されていて出してもらいづらい環境にあってもポジションを取り直すこともあまりしませんでしたし、受けた後のドリブルでのスピード変化も少なかった。マンマーク気味に近くにいられることを嫌がって中央にいることも多く、それがイニエスタとシャビの位置を下げて持ち上がるスムーズさを与えていましたし、どちらかを前線に置いておくことも出来ていた。動けないことを自覚しているときのいつもの形とはいえ、この日は実りきらず。ポジションがイブラヒモビッチ、ペドロと近すぎる部分も見られましたし。

もう一つ気になったのはペドロですね。先制点を得たことから中央に人数をかけて守ることの多いルビン・カザンに対して右のピケから左のペドロへのフィードが通りやすく、ある程度フリーで受けられる回数も多かった。タッチライン際と呼べるほどではないにしろ開いたポジションを取っていてボールを引き出す役目にはなっていたものの、そこから縦の突破が見られたり、サイドバックとの連携から縦の崩しを狙うわけでもなく、キープもしない。窮屈になる前にクロスやパスを選択してしまうことが多いように見えて、中央を固めてくる相手にあまりにも単純に過ぎたのではないか、と思ってます。左がマクスウェルであればもっとオーバーラップを期待してそういった形を取ることもあったのかもしれませんが、後半になってからは全くと言っていいほどいい形が無く、右側のメッシとダニエウ・アウベスの様に、中へのカットインか、パスか、それとも縦へ連携するのか、そういった選択を相手に強いることが出来ないのは問題ですね。交代させられたのは納得ですが、だからといってボヤンが改善してくれるわけではないので、何かあったわけではないですが。

カンプ・ノウが大きく反応していたファウルの判断は、気にはなったものの大げさに騒ぎ立てるものではないでしょう。イニエスタやシャビに繰り返されたファウルに対してイエローカードが出づらく、イニエスタやダニエウ・アウベスには簡単に出される。選手や観客に不満が募るのも理解できますが、ルビン・カザンのぎりぎりの当たり方や防ぎ方が上手かった、リーグの違い、で済ませてしまえるものでもあるかもしれません。

試合全体を通して見るべき部分はルビン・カザンには少なく、個人の力で持っていけるところまで持っていく、縦への運動量と体を張ったキープを軸とした旧ソ連系のカウンターの見本のようだったことや、激しさはあってもサッカーの範囲内の激しさで、悪質に試合を壊そうとするものではないこと、前へ相手を引き出して、裏を狙う連動した動きなどでしょうか。あまりにも得点が早かったために攻めの形をあまり見せてくれなかったので書くことがないですね。

それにしてもこのグループはインテルも引き分けて、死のグループへ。現状で勝ち点が4、4、4、3という詰まり具合。見事に横一線で、これからの季節のアウェーでのウクライナ、ロシアの二つを残しているバルサはあまりにも厳しいんじゃないかと思ってしまいます。もちろんインテルも。

Bundesliga 9. Spieltag SCフライブルク対バイエルン・ミュンヘン

2009 年 10 月 19 日 月曜日

■SC Freiburg 1 – 2 FC Bayern Munchen
バイエルンも怪我人が多く、一週間ほど前にオリッチまで怪我をしてしまい苦しさはあるんですが、その中でトニとファン・ボメルが復帰をしてきたのは大きかったかもしれません。ファン・ボメルに関してはポジションの不安を感じていたんですが、起用されたのは案の定アンカー。ここの守備が不安定だったことから序盤に上手く機能しない試合が多かったように思っていたんですが、この日はティモシュチュクが半分ほど前に位置しているお陰で上手くバランスを取って負担を軽減してくれていましたね。

ティモシュチュクが一列前の右側でプレイしている影響はとても大きく、守備が軽く不安視しなければならなかったラームが上がったエリアや、そのサイドから攻めてこられた場合のカバーを安定して行ってくれる。それだけではなく、前へ向かう守備も、ファン・ボメルが一応後方に控えていることで躊躇なく行えていて、プレスのかかりはいいようでした。ただそれだけでカバーできるほど甘くはないわけで、ファン・ボメルは一枚でフィルターの役割をしたり、スペースを埋めたり、必要なポジションを取り直したりはしない。チームとしての動きがそれを目立たなく出来ているとはいえ動きはやっぱり前のままで、ミドルシュートを打たれた場面や、サイドから攻め込まれ、中へのパスを選択されたときに、歩いて戻るファン・ボメルが空けてしまっているスペースを上手く利用されてしまってました。

攻撃の部分でもセンターバックからボールを引き出す動きを積極的にしない部分は変わっていないものの、一通り安定したパスを受けられる環境にはいるようになってますが、距離が開いてしまっているために、他の選手からすると預けどころとするには安定しているようには見えないようで、いったんティモシュチュクやシュバインシュタイガーを経由することも多く、二度手間な印象もあります。
受ける動きこそ問題があるものの、パスの精度に関しては全く問題なく、トニが入ったこともあり安定して精度の高い縦パスを送り込んでましたね。単純なものではあるんですが、トニのポストに入る動きの上手さや単純なフィードを処理する能力の高さから、効果的でもあるわけでいい攻めでした。オリッチも不在になり、高い位置でサイドバックの裏側へ飛び出す選手もいなくなりましたし、ドリブルでそこへ進出できる選手もいない。高い位置からクロスを入れてトニの高さを利用しようとするとどうしても時間がかかってしまう選手構成でしたから、早いタイミングのフィードもアーリークロスもそれでよかったのかもしれません。
フライブルクがフォワードへの対応をセンターバックに任せていたことも早い段階のフィードやクロスでチャンスを作る助けにもなっていましたね。トニのヘディングに対応するのもディフェンスラインの選手なら、そのこぼれ球を拾って前へ向かうクローゼやミュラーを抑えにかかるのもディフェンスラインの選手。中盤のラインとそこの間が大きく空いてしまっていて、ロングボールを入れる余裕も十分にありましたしこぼれ球も殆どフリーで受けられた。バイエルンが三枚で攻める形になる事が多かったからこそあれだけのもので済みましたが、あそこまで自由に使えるスペースを用意してあげてしまっては早い勝負を許してしまうのは明らか。フライブルクの中盤の構成はミスでしょうね。ミュラーにもスペースで受けさせていましたし、フライブルクはセンターバックが前へ向かいながら守備をする以外は戻りながらの守備を強いられるわけで、それでは効果的ではない、と。

得点はアーリークロスからこぼれ球を押し込んだものだったんですが、波状攻撃だったお陰もありますが、前述のようにフォワードとミュラーに対応していたのはセンターバックで、中盤の選手が対応していなかった。それまでと同様の形をしたことで釣られてしまい、クローゼをフリーにしてしまった。それからこぼれ球に反応されてしまい、マークに前へ向かうのであれば最後まで徹底しなければならないのに、最後にはミュラーをもフリーにしていた。縦へのボールも全てフォワードの対応をセンターバックがやってしまい、中盤の選手が抑える一歩目をしなかったり挟み込む意識が低いのが失点の原因でしょう。マイナス方向のものにもバックラインの選手が向かっていってしまうため、裏にスペースが出来たり陣形が崩れる場面が多々あるわけで、徹底して繰り返されていればどれぐらいの得点を許してしまった事やら。

それにしてもチャ・ドゥリは何であんなオウンゴールをしてしまったんでしょう。焦る場面でも何でもなく、バイエルンの選手たちはコントロールミスをしてチャンスにならないと感じて全く動き出していなかった。もちろんそんな状況でバックパスをする必要もなく、クリアをするつもりなら枠を外すべき。見る限りではキーパーも相手も見ずに蹴っているようですね。他の選手からのコーチングが無かったのか、それともあっても理解できなかったか。あれがなければ追いつけたとか甘い考えは持ってませんが、見るなら面白い展開の方がいいわけでがっかりですねぇ。

バイエルンもアーリークロスとフィードで組み立てた試合でしたが、あれだけのスペースを与え、対応をミスしてくれたフライブルクだからこその戦い方であるように見えてしまうわけで、チャンピオンズリーグは大丈夫なのか少し不安になりました。

Liga Espanola Jornadas 7. レアル・マドリー対バジャドリー

2009 年 10 月 18 日 日曜日

■Real Madrid 4 – 2 Valladolid
レアル・マドリーはクリスチアーノ・ロナウドを代表戦の怪我で欠くことになってしましたが、カカも南米帰りのためかベンチスタートで、それ以外の怪我の選手も含めてスタメンには一時は戦力外通告をされたファン・デル・ファールト。ベンチメンバーにも不足はなく、やはりの層の厚さですね。

セビリア戦では、クリスチアーノ・ロナウドがいないことから、カウンターの形になってもサイドの高い位置に収められず、展開の一歩目が作れず苦戦していたんですが、この試合はファン・デル・ファールトが高い位置でボールを収める役割を担っていたお陰でスムーズに攻撃へと移行できていました。特に左側の高い位置で受けることも多く、積極的なオーバーラップをするマルセロと左へ流れるプレイを得意とするベンゼマを加えて、上手く連動していたように見えました。パスの交換から停滞してしまうのではなく、しっかりと追い越す動きと裏へ抜ける動きもあり、ファン・デル・ファールトタッチラインいっぱいにまで開いてワイドに使いながらもキープ出来るお陰で相手の幅も広げられていましたし、改善されているようでもありました。

それに対して右側は組み立てに苦慮しているようで、セルヒオ・ラモスがボールを持っても単独でドリブルを仕掛けて相手陣内深くまで攻め上がることはなく、パスで味方に預けてから自分が動き出していくため、その預け先を抑えることも多い。いくらセルヒオ・ラモスが受けて動き出しをしてもパスを出せる環境にないことが多いため効果的ではなく、組み立ての力が不足している現在では、相手に陣形を整える時間を与えないドリブルで持ち上がっていく左側の方がいくらか効果的に見えましたね。
ただ、先制点は右からで、左側で試合が進行していたところを一気に逆サイドへ持ってきての展開でしたから、左に人数がかかっていたからのゴールだと言えるかもしれませんね。もちろんグラネロの抜け出し方と体の使い方は非常に上手く、あとはラウールを誰も見ておらず、足が止まっていてボールを見るだけになっているディフェンダーの質の悪さでしょうか。深い位置に入られているにもかかわらずニアをケアしておらず、ゴールをしたラウールだけでなく、もう一人のベンゼマも全く捕まえられていない。それなら失点してしまうのは当たり前。

マドリーの守り方はあまり変わっているように見えず、センターバックの前のエリアには選手がいない。中盤を越えるパスが出されたときに対処をしなければならないのはセンターバックの二人だという部分も同じで、そのケアをするようにセルヒオ・ラモスが中に入っていものの、サイドバックが中に絞る守り方はサイドバックの外側を広げるもの。この試合の最中はバジャドリーの攻撃が拙かったこともあってマルセロは上がっていることも多かった。ここが大きく空いてしまうためアルビオルが開いて対処しているが、基本的な形になったときはやっぱりマルセロがいるわけで、サイドバックの対応にも彼が向かうことになる。でも左からの対応のためにセルヒオ・ラモスが中へ絞るだけではなく、バランスよく攻められたとしてもマルセロも中に絞ってブロックを形成しているため、一歩寄っていくのが遅い感じですね。ピボーテのケアもそれほど早くなく、サイドバックの横にあるスペースは相変わらず利用しやすい状態にあるものの、バジャドリーがスピードに乗ってカウンターを仕掛けられず、縦の勢いをサイドの部分では感じられなかった。もしこの部分が積極的に相手を押し込む意識を持っていれば、序盤にあれだけの回数をマルセロにオーバーラップさせなかったでしょうし、二点目のアシストのように効果的な攻めも減らせたかもしれませんね。

バジャドリーの切り替えはあまりよくなく、囲い込むことはあるものの奪い切れていない印象が前半は強くありました。それでも相手に考える時間とコントロールをさせないくらいのプレッシャーはラサナ・ディアラやセンターバックの部分には与えていて、お陰でラサナ・ディアラからセルヒオ・ラモスのパスとコントロールをミスさせ、ファウルを誘う事が出来た。まだまだ形としてはいまいちだったものの、二失点をして沈みかけていたバジャドリーが立ち直るための一点に繋がりました。バラバラだった全体をある程度まで連動させる効果を得られましたし、マドリーの散発的なプレスをいなすだけの余裕が後方の選手にも出来てきた。そしてボールを簡単犬場割れないことを理解してからは後方の押し上げも出来るようになり、ワイドに追い越して裏を狙えるようにもなってました。やっとの事でカウンターができるようになって、試合はそこから始まったようなものでしたね。
マドリーはそれらに苛立ったように後方からの押し上げていくパスが出来なくなって個人の力に頼るようになり、連動した部分が徐々に消えていったのは残念で、二点取った形はなりを潜めていってました。

ただ、前半ロスタイムのマルセロのゴールは大きな意味を持っていましたね。まさかのカットインから右足のミドルシュートでしたが、追い上げの意識を持ち、攻撃に出ることが出来るようになっていたバジャドリーの意志を見事に挫いたように見えていました。ただ、そこで突き放した後に完全な試合運びを出来ないのが今のマドリーで、後半にまたもつまらないバックパスのミスからバジャドリーが一点を返して息を吹き返す手助けをしてましたね。勢いのままに決められたことで再び連動性がバジャドリーに生まれてました。

守備においても、それまでは横パスへの反応であるとかプレスから囲い込むことで守備をしていたものが、縦パスへの反応と出足がよくなり、カットを狙えるようになった。守備ブロックを二つのラインで形成して中央に絞って固めることでバランスがよくなったようにも見えましたし、攻撃に移ったときにはラインを高く保ち、カウンターをされそうになったときには押し留めてオフサイドトラップを仕掛けてしまうことさえ出来るようになった。もちろんそれを助けたのはマドリーの単調な攻撃なんですけども。
ペナルティエリア付近でサイドに進出できる要素があるのにマドリーには裏へ飛び出す選手がいない。そのお陰で深い位置からクロスを上げられることは少なくなり、戻りながらの対応を迫られることもなく、マイナスの対応をしなければならない場面は少ない。加えてマドリーは相変わらずセンターバックや後方での不用意なパス回しが多く、バジャドリーが狙っているところへ出してしまったり、カットされてのカウンターを許してしまったり、可能性を感じる攻撃の少ないバジャドリーに効果的な攻撃の方法を与えてしまっている感じでした。守備の対応も軽く、囲い込むところまで入っても囲い込むばかりで奪うところまで行けず、チェック後のコースの限定されたところへ誰が向かうのかも、ドリブルに対して誰が向かい誰がカバーをするのか、そういったものも時間を追う毎にどんどんと不明確になってましたねぇ。

シャビ・アロンソの守備の失態を取り返す4点目のアシストでさすがに勝負はありましたが、カシージャスも抜かれてシュートを打たれた場面もそれ以後にあったり、まだまだですか。

Liga Espanola Jornadas 7. バレンシア対バルセロナ

2009 年 10 月 18 日 日曜日

■FC Barcelona 0 – 0 Valencia
バルサもバレンシアも万全の状態とは言えない環境での対戦で残念でした。
バレンシアはビジャが出場できるかもしれないと報道はありましたが、結局出場するには至らず、恐らくヨーロッパリーグを考えて無理をさせるわけにはいかなかった、というところでしょうか。ならジギッチが出場してくるかと思ったものの、それもなくマタをフォワードとして使う以前にも見たことのある形で、結局は効果的だったものの、効果的ではなかったわけで、成功かどうかは不明ですね。
バルサ側はメッシを早くスペインに戻したとはいえあまりにもコンディションの悪さが見え、イブラヒモビッチは出場せず、アンリは怪我のため欠場。それに加えて例の如く代表戦後には大きく試合内容を落とすバルセロナでしたから、どうなるかはある程度予想できるものでした。

試合直後からバレンシアはバルサに支配率を高めさせないように積極的にボールを奪いに来ていました。いくらピケにフィード能力があるとはいえ、プジョルと比べてもそれほどボールのコントロールが優れているわけでもなく、中盤の面々に比べれば展開力もアイデアで意表を突くこともない。そこへ焦点を絞って奪いに向かっていました。時間の余裕を与えず、戻って受けに来る選手に対してもきっちりと一人が付いていくため、シャビやイニエスタが戻ってきたとしても状態に大きな変化をもたらせなかったのは大きなものでした。ある程度の時間を稼ぐことが出来ていれば、いつものようにトゥーレ・ヤヤがディフェンスラインに吸収されてセンターバックをワイドに開かせて前を向いた展開を狙えていたのかもしれませんが、トゥーレ・ヤヤがそこに入ることをあまりしませんでしたし、時間も得られなかったために後方でキーパーを含めて慌てて回すだけで構築をさせてもらえていませんでした。
ボールと共に選手が選手が一人付いて動きチェックのスピードを早めて、前を向けるチャンスを減らしていく。もし向けてもなかなか安定してコントロールできない状態をつくって自分たちのペースへ引きずり込む事に成功していました。

それと共に狙っていたのは前へ当てるパスを戻す部分でしょう。後方にまで戻ってくる選手も含めて後方で安定して回せないため、フォワードにまで一気にパスを回し、それを落としたところを前を向きながら受け、展開を開始することもバルサはそれなりにある。ただで足の部分でそれを何度か落とすパスが合わずに相手に渡してしまうだけにもなっていましたし、それのカットを狙われていた部分もあった。奪われてすぐにショートカウンターをやられてしまって、ディフェンスラインを整えたり押し上げられない状態の所へ飛び出しから裏へ抜け出して一対一の環境を作る。その形だけではないにしろ、コーナーキックからカウンターを受けたり様々な状態でシュートを打たれたものの、この日のビクトル・バルデスは大当たりの日でしたね。もし彼が当たっていなければ前半のうちにバレンシアの思惑通りに勝負は決まっていたでしょうね。あるいはマタに決定力があるか、両足をバランスよく使えれば、というところでしょうか。
バレンシアはカウンターのスピードを落とさないように最後尾からパスを繋ぐことが出来ていて、一人が持ちすぎることなく、前への勢いを殺すことなく落とすパスを連動して行えていました。

両者とも前から相手を捉えようとする守備が多く、後方から追いかけなければならない守備は少なかった。ただ、バルサはカウンターでスピードに乗りながら攻められることが多く、チェックに向かってパスコースを限定する動きをフォワードがしていても二人目のチェックが間に合わず、限定したコースに出されても球離れが早く奪いきるところまで行かない。それに加えて散々ショートカウンターから裏を狙われてしまった影響からディフェンスラインが怖がって下がってしまうことも増えてしまい、ドリブルへチェックに向かうのが遅れてしまってずるずると下がってしまったり、ペナルティアリア内にまで簡単に入られてしまったり、ぎりぎりの守り方が続いていましたね。
主にトゥーレ・ヤヤの裏や左右といったアンカーがいるからこそ出来てしまうスペースを上手く利用されていましたし、バレンシアが前半は大きく上回っていたのは間違いないでしょう。バルサはフォワードにすらボールを収めることが殆ど出来ていませんでしたしね。

バルサとして問題があったのはイニエスタを中央に置いた部分でしょうか。彼が中央に入ることで単純なポストプレイも出来ましたし、シャビと近い関係を保ってパスからの連動も多少得ることができた。もちろん彼のボールコントロール一つで変化がつけられてファウルを貰うことも出来ていましたが、サイドに出ることになるペドロがミゲウに完全に抑え込まれてしまう結果になり、中で体を張れるわけでもないので多様性を多少失ってしまったかもしれません。
ペドロがもう少し縦の突破を狙い、ミゲウに抑えきられることなく深い位置にまで進出できたり、中への切り返しを読まれて防がれてしまわなかったり、あるいは突破ではなくキープをしてパスの収めどころや展開する第一歩として利用できればもう少し時間を得ることが出来たのかもしれません。
反対側に位置するメッシのコンディションがかなり悪くフリーでボールを収めてもドリブルを仕掛けられなかったり、タッチの細かさもなく、体が重いのが画面を通じてでも解るくらいにスピードの切り替えが無く、ディフェンダーに捕まえられてしまうくらいだったのも大きく影響していますね。いつもなら悪いなりにポジションの取り直しをしながら変化をつけて右を他の選手に利用させたり、パスの構築に参加できていたものがさっぱりなかった。
後半になってバレンシアが間延びした所へ前へ残っていたメッシが仕掛けていく部分もありましたが、最終的にはパスありきの動きをしていましたから相手に与える脅威は少なく、神西が他にいるのなら交代させたいところでもありましたね。イブラヒモビッチが出場しておらず、サイドを深くえぐっても中で勝負できる選手がおらず、どうしても攻撃が先細りになっていってしまうのが見えていたためにバレンシアは中央を固めてしまっていればいいわけで、一発のパスで裏を狙っても人数の問題から防がれてしまうため、飛び込む選手は躊躇して呼吸が合わなくなってましたね。ボヤンをサイドで起用したこともそれに拍車をかけたかもしれませんね。サイドから中への動きが得意な選手ではありますが、こういった試合では効果的ではないので、復帰は嬉しいものの試合の内容としては残念な限り。

あと書いておくべきなのはバレンシアの攻撃スタイルの見事さでしょうか。まずサイドバックを前へ引っ張り出しておいて、その裏側を使いセンターバックをサイドに張り出させる。そうして中の守備人数を減らしてから利用して得点機を伺う。中に脅威となる選手が足りていればこの試合もそれが成功する可能性は非常に高かったわけで、それと共に戻りながらの守備をよく頑張ったプジョルとピケ、決定機を防ぎまくったビクトル・バルデスのお陰というかなんというか。バルサとしては負け試合になるところを何とか踏みとどまった、拾った感じですねぇ。

Liga Espanola Jornadas 6. セビリア対レアル・マドリー

2009 年 10 月 5 日 月曜日

■Sevilla 2 – 1 Real Madrid
レアル・マドリーは内容はともかく、これまで得点を量産していたクリスチアーノ・ロナウドが怪我で欠場し、それ以外にもラサナ・ディアラという中盤の機動力を失ってどういう構成にするのかと期待をしていたんですが、マアマドゥ・ディアラとグティが入り、4-4-2に近い形といってもよかったかもしれません。カカが中央よりの右、グティが同左でしょうか。流動的に動く部分もありますので、こういった表記にはさほど意味はありませんね。

試合開始からマドリーのこれまでの課題通りにサイドバックの外側を破られる場面が二度ほどありました。サイドバックの外側をケアする選手が少なく、負担が全てサイドバックにかかる不安があり、セビリアはそこを自らの武器としているクラブでしたから余計に目立つのでは、と予測を立てることは容易でした。早い時間での二回のミスはサイドバックの外側にまで守りに入ったグティによるもので、あまりにも軽い守備から抜かれてしまいクロスを入れられたものでした。本来であればマルセロが出て対応している部分なのですが、それであっても脆いものを余計に慣れない守備をしているがために脆くしてしまっているような印象さえ受けました。
そのサイドの守備のまずさもあってマドリーのディフェンスラインは押し上げて、押し留めて耐えることが出来ず下がることを中心としなければならなくなった。双方が前からチェイスをして奪う意識を持っていたものの、マドリーは三人、あるいは四人がプレス向かっていましたが、連動したものではなく、ゾコラやアドリアーノが一人の直線的なチェックをかわしてしまうだけで破綻するお粗末なものでした。
そうなるとディフェンスラインがコースを限定できていない中、前へ出てカットを狙うことは出来ないので押し下げられてしまうのは仕方が無いところでしょう。

マドリーの攻撃はカウンターを中心としたものなんですが、クリスチアーノ・ロナウドがこれまで左サイドに張っていたお陰で、カウンター時にそこにボールを預けることが出来、そして相手のマークをサイドに振り分けてしまうこともできた。そうやって開かせた後の中央を利用することもあったんですが、この試合でその役割を担う選手がおらず、外側に収め所がなく、グティも始まりこそ左にポジションを取っていたものの、抜かれてピンチを演出して以降は中央にポジションを移し気味でした。カカ、ベンゼマらが下がってきてラウールに当てるプレイを中心に据えたような印象も受けましたが、一度スピードを落とされてしまうと後方からの押し上げが間に合わず、片側に思いっきり寄せた選手たちの数的有利で抜く以外に方法が見いだせませんでした。ラサナ・ディアラが運動量豊富な上下動で前後の動きを繋ぎつつ、パスを簡単に散らしていた役割を誰も出来なかったのも大きかったかもしれませんね。

セビリアは試合当初の勢いそのままに連動してパスを繋ぐ印象が強く、スペースへのパスはもちろんのこと、足下へのパスでもパススピードは比較的速く、ダイレクトでも出せるだけ各選手の意識がきっちりと繋がっているようでした。それをサイドで縦の関係を付くってドリブルをする、あるいはパスコースを切ることを中心としているマドリーの消極的な守備の隙間へ入り込んだり、連動もしていた。中心となったのはやはりサイドアタックで、マドリーの守備が引いて守りすぎているため、中盤で抑えに入らなければならないはずだったマアマドゥ・ディアラがディフェンスラインに吸収され、センターバックの間に殆ど入っていたのも印象的でした。それでも右サイドバックのセルヒオ・ラモスの所は彼一人が全ての対応をしなければならなくなっていた。ペロッティのドリブルに対応して中のコースを切っていけば、サイドバックの外側をあけてしまい、その部分をケアする中盤の選手もいなければ、ペペが外へ張り出して上がってくるアドリアーノ、途中からは交代で入ったフェルナンド・ナバーロを抑えるようなことをするでもなかったため、右側を守る負担が、全てセルヒオ・ラモスにかかってしまっているのは酷で可哀想でした。右側の縦の攻撃も彼にかかっていたわけですから、縦一列のエリア支配を求めるのであれば、守備のケアなり何なりをしてあげなければ。
実際に失点はその部分を破られてのものでした。直接関与したもう一つの要因として、マルセロがフェルナンド・ナバーロのクロスに対応すべきでした。後方から来るヘスス・ナバスに気付いていなかったとはいえ、棒立ちのままボールを待つほどディフェンダーとしての危機意識の無さが出ている場面はなく、これほどセビリアの気持ちの入り方を示している場面もありませんでしたね。

その後は前後半通じて弱点となっていたマルセロの部分が目立つばかり。サイドバックの外側とサポートが誰もいない環境で、サイド二枚で積極的に攻めてくるセビリアを相手にするのは非常に無理があるのは確かで、ディフェンダー最初に大きくリトリートしてしまうため、戻りきってしまった後足を止めてサイドの選手を見るだけで、入ってくる選手を見ていない、掴まえられないこともあるんですが、何よりもマルセロがドリブルへ粘り強く対応する意識が無く、奪う意識も見られなかった。食らいついていったり、何としても止める意識が無く、雑な表現をすればザルでした。いくつかマルセロの守備が良くなったのかと思う試合はあったものの、ここまでのサイドアタッカーがいるクラブを相手にするとボロが出ますね。ヘスス・ナバスには手も足も出ず、アドリアーノにも刃が立たなかった。彼がもし一つでもまともな働きをしていれば、セビリアはここまで簡単にサイドをぶち破り、中を自由に使えるなんて事にはならなかったはず。同じく守備がザルだと言われていたアドリアーノはきっちり守れるようになって、気持ちの面でも必死に食らいついていく意識が前面に出ていて、カカを相手にしても簡単には抜かれませんでした。防いだり奪ったりできなくとも、粘り強く対応して精度を落とさせるだけでも十分な効果があったはずなんですが、サポートを得てもあれではどうにもなりません。

後半になって多少試合展開は落ち着いた部分はありましたが、マドリーはまず足下に受けて、そこから展開が見られるばかりで、常に足下から裏へ、と言う意識があるため、カットを狙われていました。裏へのパスを狙っているのはグティぐらいでしょうか。でもそのグティもボールを受けるのはスペースではなく足下で、一発を狙いすぎるために持ちすぎている部分もありましたし、大きな改善、というのは見られませんでしたね。守備の部分でも中盤のプレスがないのは変わらず、ディアラはセンターバックの間に入ってスペースを埋め、グティは守備をせず、一度かわされてしまうと追うのを辞めてしまう。シャビ・アロンソは軽く戻るだけで奪いに来るわけではない。センターバックやバックラインに全ての責任がゆだねられ、サイドを突かれてしまい、そして裏を狙われるために対応しなければならない選択肢が多すぎる。ネグレドもルイス・ファビアーノもポストプレイがあるため余計にどうにもなりませんね。カシージャスが孤軍奮闘をしているだけで、彼がいなければこの試合はもっと一方的になっていてもおかしくないものでした。

イグアインが入ったことで多少の変化がありましたが、それはセビリアの攻め疲れもあってのことでしょう。彼がボールを引き出す動きをするようになり、ボールをまず納めておく場所が出来るようになった。それに対応しようと守備が動くことでスペースが出来、ようやくボールを受けられるようになったかようでした。セビリアの中盤の守備も緩くなり、ちょっと後方にラインが下がりすぎるようになった。そのためセビリアのサイドバックが上がりづらくなり、サイドを二枚で攻めらるのが難しくなったことと、サイドバックのケアのため、マドリーがセンターバックをサイドに押し出して対応してくるようになったため、隙をつけなくなってしまった。
それに加えて、ディエゴ・カペルがペロッティに代わって入ったのもあるでしょう。ペロッティが様々なパターンで動けるのと違い、彼は左足しか使えず、動き方も限られている。抜群のスピードはあるが、癖が解っていると止めるのは苦労しないわけで、一枚で止めなければならなかったセルヒオ・ラモスも多少楽になる。ディエゴ・カペルがもっと様々なパターンで攻めて、ドリブルも色々してパスも使えたり、クロスの精度が高くなったり、色んな意味での成長があればもっとセビリアは楽になるんだけど、この試合に関してはカウンターである程度走っていましたし、まだマシなほうでしたが、パスの判断も含めてもうちょっと期待できる選手になって欲しい。

セビリアの方がモチベーションで上回っていたとはいえ、内容的には大差が付いていた試合で、一部の選手がいなかったとはいえ、マドリーは酷かったですね。特にマルセロは誰の目にも明らかなほど抜かれまくっていたわけで、全ての責任を負うべきではないけど、彼自身も成長すべき。

Liga Espanola Jornadas 6. ビジャレアル対エスパニョール

2009 年 10 月 5 日 月曜日

■Villarreal 0 – 0 RCD Espanyol
ビジャレアルはヨーロッパリーグでもザルツブルクに負けるなどいいところ無しで、リーガでも未だ勝ち無し。まさかここまでの惨状になるとは思っておらず、意外な上に残念ですね。エスパニョールの方は、中村俊輔をサイドで使う限界を感じてくれたようで、中央にポジションを移していました。実際のポジションはピボーテなのか、それとも一枚のアンカーの前に二枚を並べるような形なのか明確な形を見極めるつもりもなかったので、それほど重要視してません。

自分が最後に書いた時に比べ、エスパニョールは積極的に高い位置から相手に向かっていく姿勢を持っていました。中村俊輔もその中で他の選手と同様にある程度前に向かうんですが、やっぱり体を相手にぶつけるような所までは行かず、追っかけているだけに近く見えました。ファウルで止めることもできず、他の選手に協力して二人で囲い込むこともできないほど、相手に近いポジションを取れておらず、ボールを見て選手を見ていないせいでマークを離している場面がいくつも見られていました。それでスペースが埋められているならともかく、そうでもないので、中央の低い位置で使うには苦しさが見えますね。

ビジャレアルは依然として大きな変化は見られず、ボールを追い抜いていく動きが方が少なく、特にサイドを追い越して飛び出していく動きに乏しいものでした。例えばサイドの位置でボールを持ったとしても、そこから縦への飛び出しが見えてこないため個人での打開を求められるか後方や中へ戻して停滞を呼び込むぐらいしかできない。中でボールをキープしている間に開いて高い位置を取ることはできるものの、開いた後の動きが少なく、縦への展開ではなく斜めのパスはパスコースが相手にとって予測しやすいもので、マークにこそ付かれていませんが、パスカットを簡単に狙われて奪われていました。足が止まった状態でパスが出てくるから仕方ないとはいえ、高い位置を保ち続けていることのマイナス要素ですね。
それに加え、多くの選手が最初のボールコントロールをミスすることが多く、ボールが流れてしまったり納めるまでに時間を要したり、テンポを早くやるようにできないのもパスカットを容易にするのに一役買ってしまっていました。

中村俊輔はマルコス・セナにマークされている場面が幾つかあったものの、彼もマルコス・セナのマークに付いているような場面もありました。パスコースを作るために中村は右往左往してポジションを取り直して簡単なパスコースを作っていたものの、パスが出てくる気配はなく、相手につかれると、どうにもならないと味方に判断されているようなものですね。実際にプレッシャーのある環境ではバックパスを選択していましたし、相手が体をぶつける前に逃げているような印象を受けるものですから、味方からしても心証はよくないのかもしれない。逆にマルコス・セナは、中村に引っ付かれていても味方からボールが出てきて簡単に扱えているのだから、その違いは顕著でしたね。
10分頃にあった、フリーで受けて前を狙えるプレイも、最初からパスしか頭にないため、前にいるディフェンダーが対応に困った様子はなく、ドリブルで突破してこないからチェックとカバーの考えを持つ必要もなく、ミドルシュートを防ぎに前に出てくる必要もなく、パスだけに絞ってリトリートすればいいだけ。

さらに言いがかりのようなことを書くとするなら、フォルリンが退場になった場面も中村俊輔がきっちりとプレイしていればそんなことにはならなかったかもしれませんね。カメニがキックミスから相手にボールを渡してしまったのがそもそもの始まりとはいえ、マルコス・セナにパスを出されたあと中村俊輔はぶつかりに行けるだけの位置にいましたから、スタートさえ遅れなければプレッシャーを与えることも出来た。激しく当たってファウルをしてパスの出しどころを潰していれば、中村俊輔がイエローカードをもらうことはあってもレッドカードで数的不利にはならなかっただろう。後ろから慌てて寄っていくばかりではどうにもならないですねぇ。

ビジャレアルは数的有利になってからもパスの精度が低く、エスパニョールにパスカットからショートカウンターを狙われていました。特にパススピードが遅く、素早くパスで揺さぶることが出来ない。加えてダイレクトでも出せず、トラップしてコントロールする時間が必要になっているのが殆ど。ダイレクトでパスを出していた選手はマルコス・セナやハビ・ベンタぐらいでしょうか。それも精度が完璧な訳ではありませんでしたし、他のパスも受け手も動いていませんから、出し手と受け手の意識のずれからきっちりと収まらないことも多く、その上、ボールを何故かパススピードが速くないのに、弾ませてしまったり、意図したコントロールが出来ないなど納められないことも影響して、全体をスピードアップできませんでした。パスに関するあまりのミスの多さはビジャレアルらしくないですねぇ。
本当にスペースへのパスが少なく、ダイレクトのパスが少ない。足下のボールを要求して、それをコントロールしてから、というのが大半で、変化が少ない、サポートも近くない、精度も高くない。ヨーロッパリーグも戦った後でエスパニョールとは違い、コンディション面の苦しさはあるにしろ、それでもあまりにも動けていません。

ただ、多少マシな部分としては最初の方からディフェンスラインの裏への狙いがあったことで、以前は相手のディフェンスラインの前でボールを延々と回し続けて、フォワードにボールを入れてそこから勝負が開始するものだったんですが、裏を多少狙えるようになったのは好材料に見えたんですが、その最後が上手くいかないところにクラブ全体の調子が悪いのが見て取れました。アイデアの欠乏もありますし、ベテランのピレスも大きな変化を与えることがなかなか出来ず、マルコス・セナも動かし切れない。カメニの踏ん張りもありましたが、決めきれませんでしたし、エスパニョールにも対応されてしまった。
数的不利もありましたが、ディフェンスラインを低くエスパニョールが保つことでビジャレアルにとって多少チャンス見えていた裏を狙う動きをさせてもらえなくなりましたし、そこへパスを出すための第一歩であるディフェンスラインの前のスペースも中盤を押し下げて潰されてしまった。前の方の動きが止まり、詰めて守るエスパニョールによって塞がれながら、運動量を増やしてサイドを徹底してえぐって相手を消耗させることも出来ず、揺さぶることもできていない。
スペースが無くサイドをこじ開けられていないのに、どんどんとフォワードを投入するばかりで余計に渋滞を作り出して攻撃を停滞させてしまう監督の采配も疑問で、ジョレンテを投入してロングボールをからチャンスを作ろうにも相手の方が人数も多く距離も近い。サポートの距離が遠いビジャレアルがそのパワープレイから裏を狙えるわけもなく、意図がはっきりしません。

エスパニョールは最後まで集中して守れた、という印象が強いものの、相手を消耗させて集中が途切れるほどの攻撃が出来なかったビジャレアル、というのも言えるわけで、サポーターからのブーイングも含めて、改善の要素が見えてこず、負の連鎖のように見えますねぇ。監督の交代で抜け出せるのなら、早めにそれをしておくべきかもしれません。