■FC Barcelona 2 – 0 FC Dynamo Kyiv
バルセロナは先のマラガ戦で二人の負傷者を出し、それ以前からの負傷者も含めて出場できない選手が多い。それがフォワードとセンターバックに集中しているのも苦しいもので、イブラヒモビッチが無事に出場できているからいいものの、そうでなければボヤンもおらず純粋なストライカーを抜きにして戦わなければならなくなるところでした。センターバックもマルケスが本調子でない以上、この組み合わせしか無いようなものですしね。
ただ、ディナモ・キエフにも怪我人が多く、選手層の厚さからいえば、こちらの方が重症だとも言えるかもしれません。
アンリに変わって先発したのは、大方の予想通りペドロではなくイニエスタ。彼も怪我から復帰してそれほど時間は経っていないものの、監督曰くかなり回復しているそうで、出場することになったのでしょう。ディナモ・キエフにはシェフチェンコも出場している。以前に怪我の話を聞いていたので、どうなるものかと思っていたんですが、目に痣がありながらも出場していて一安心。バルサを応援している身としてはいない方が助かるんですが、見られる機会が少なくなってしまいましたから見られるときに見られた方がいいわけで、素直に喜んでます。
勝手に想像していたよりもディナモ・キエフは動いてきませんでした。シャビやメッシに後方からのボールがきっちりと収まるだけの余裕を与えてくれている。特にシャビは、ボールを受けるためにポジション修正を頻繁にして選手と選手の間に入り込むことをするんですが、リーガのクラブであればそれに対して引っ付いていく。でもディナモ・キエフはポジションの修正をしてコースを塞いだりマークを付けて距離を広げないようにすることもしない。さすがにボールを受けた後には当たりに来ますが、ボールを受けるまでは当たられないということでもあります。一部例外があって、メッシとイニエスタの二人にはきっちりと選手を付いて動かし、時に激しい守り方もする。この二人へ対してのみポジションの修正が他よりも多く見られ、あとはイブラヒモビッチへも少し多めでしょうか。押し込まれる時間帯を迎えてもこの二人ぐらいにしか激しく行かず、後方に自由に持たせてバルサのディフェンスラインを上げさせていましたね。
それでもただ引いて守るわけでもなく、ラインを統率して一定の位置より後方には下げないようにしていました。バルサはこの試合、プレッシャーが緩いということもあって、後方からボールを追い越していく選手が比較的多く、ディフェンスラインの裏側へ飛び出す選手も多かった。イブラヒモビッチだけではなく、メッシ、シャビ、ダニエウ・アウベスなどもしていましたし、ケイタやトゥーレ・ヤヤも高い位置でボールを追い越していく。それらは出足こそ悪くミスが多かったものの、徐々に安定していったキープよるものなんですが、実際に裏へ飛び出してチャンスになったものこそ多いものの、ディナモ・キエフのラインはそれへの対応もしていましたし、何とか守っていた。ボールを持った瞬間にディフェンスラインを踏みとどまらせるのではなく押し上げて、パスコースを消すようにし、一瞬でも躊躇があればオフサイドにしてしまうものでした。実際にはそこへパスを出せる環境にないことも多く、前から多くのプレッシャーを受けることで後ろに出さなければならない事も多くありました。もちろんそれをかいくぐっての得点機も多かったわけですが、前半に決まったのはショートカウンターからの一点のみ。
前述の通りメッシやイニエスタに関してはマークがついていて、引っ付いていく事も多いんですが、それをせずにパスを待っている事もそれなりにあったわけで、ボールを出させてカットを狙い、カウンターをすることもある。スピードのあるカウンターにはバルサの守備陣が手を焼き、ワイドに使われて危ない場面も作られましたから効果的でもあったんですが、先制点の場面はそれが裏目に出ましたね。メッシのボールを奪ったまではよかったものの、それをすぐに取り返されてしまい、裏へスペースが出来てしまった。それをパスとメッシのドリブルによって利用されてしまい、ニアサイドを割られてしまった。それより前にイブラヒモビッチがシュートを打たずにパスを選択した場面も、あれと同じようにニアへ強いシュートを狙ってくれていれば可能性はありましたね。このゴールとは状況がまるで違いましたが、キック力が大きく違うのだから、それでもいいと思えるんです。バルサに来てからのイブラヒモビッチは所々に消極的とさえ思えるほど、チームプレイを優先――というよりもパスを出して他の選手決めさせる、逃げのプレイを選択しているのが気になりますね。もっとエゴイスティックに振る舞ってもいいような気もしますね、66分頃にしたシュートのように。
前半はイニエスタが左に張らず、いつものように中に入って来ていました。その代わりとしてケイタがサイドへ進出することが多んですが、このイニエスタが中に入ってきてくれることで、メッシが中へ入ってきて組み立てに参加しなくても済み、シャビへの負担が軽減されているようですね。それが後半からペドロに代わり、左側をワイドに使えるようになりましたが、反対側はメッシがやはり中へ最初からポジションを取る頻度が増えてしまい、スペースが潰れ気味になってしまいました。ケイタがイニエスタがしていたように高い位置を取って飛び出しやシャビの一つ前のパスの収め所として様々な変化をつけようとしてくれていましたが、ここ最近のバランスを取るために奔走していたケイタからすると以前のケイタに戻ったような効果的な動きでしたね。ただ、ペドロに関しては相変わらず得点に直結する動きこそしているものの、サイドに開いているときはプレイに関与できておらず、開いているばかりで役に立てていない印象が強いですね。得点を取ってしまうから帳消しにされてしまいがちですが、成長しなければならない部分が多そうですねぇ。彼なら問題なくそういった部分を克服してくれるものと期待していますが。
後半になってくるとディナモ・キエフも多少当たりが激しくなりましたが、最初のポジショニングやマークの距離が近くなったわけではなく、カウンター合戦になっている際の広大なスペースをドリブルで持ち上がっている最中にファウルを受けるだけで、窮屈さはほとんどありませんでした。カウンターの応酬になっていたのは一時的なものでしたし、その後は前半までと同じようにバルサが殆どのボールを支配していました。マークの緩さやポジショニングの問題は、ディナモ・キエフが精神的に前へ向かう意識やボールを奪う意識を持ったことから目立たなくなりましたから、改善されたと言っても良いのかもしれない。
それでも支配しながら前半ほどの決定機を作れなかったのは、メッシが中に入りマークを中に引き連れてしまい、中央のスペースが消えて突破しづらくなったことと、ペドロでは相手のマークをワイドに開かせておく効果が薄いこと、それと中央のシャビの一つ前にボールを収める場所を用意できなかったことでしょうか。ケイタは後半の開始こそその役割をこなしていましたが、スピードのあるカウンターを抑える役割に専念しつつありましたし、セルヒオ・ブスケツもアンカーですからその役割は担えない。メッシではマークを引き連れてしまうわけで、この役割が出来る選手が限られているのが問題ですね。イニエスタの代わりがそう簡単に務まるわけはないので、成長に期待するしかありませんね。
しかしボールを奪ってからキエフの縦へ急ぐスピードはかなりのもので、個人にもスピードがあり、ドリブルも奪いきれない粘り強さがある。そしてワイドに使い、ボールを持っている選手を追い越していくだけの勢いも最後まで持続できる。コーナーキックからピンチを向かえた場面では、ディナモ・キエフの選手たちが持つキック力も混戦の中で武器になりそうでしたし、縦の突破からのクロスもディフェンダーを戻りながら不十分な体勢のまま対応させていましたし、フリーキックからオフサイドで取り消されたものも含めて、得点を取るだけの力は十二分に持ち合わせてますね。後半にも一つあった飛び出してキーパーと一対一になった場面も、審判の判断によってオフサイドになりましたが、リプレイにはオフサイドではないように見えましたし、全体の流れはともかく、得点は多少の運がバルサに味方しただけかもしれません。カンプ・ノウだからこそ余裕のある試合が出来たように見えますが、敵地ではどうなる事やら。