国際親善試合 ガーナ対日本

■Ghana 3 – 4 Japan
始まりはオランダ戦とは比べものにならないぐらいにふわりとしたもので、親善試合特有の空気が漂ってましたね。特にガーナの方には立ち上がりから連動性や一歩ずつの精度が公式戦には遠く及ばないもので、パスにしろ動きにしろミスが多く、よく殆どのメンバーが移動などでコンディションが整わない中で出場してくれたと思えるほどでした。

日本は2トップにしてフォワードの枚数を増やした以外の変化には乏しく、キーパーと右サイドバックぐらいでしょうか。序盤のシステムは基本的にボックス型と言われるタイプの中盤の構成に近く、右に中村俊輔が入り、左に中村憲剛。フォワードのどちらかがサイドに流れたところにまずボールを渡して構築を目指すことを基本としているようでしたが、フォワード、左右のミッドフィールダー、サイドバックと近い関係を保ちすぎたために渋滞を起こしてしまうことが多く、それは長続きしませんでした。ですがそのまま、フォワードが左右に流れて起点になる動きをしておくか、ミッドフィールダーがサイドの高い位置をキープして後方からのボールを収めるようになっていればよかったものの、中盤もフォワードも似たようなタイミングで中央でのプレイに切り帰ってしまったために、これまで同様にサイドからの攻撃に全く厚みが無くなり、中央でキープしてサイドバックの上がりを待つだけ。守勢に回るとそれがサイドバックとセンターバックに全てのしわ寄せが来てしまうため危険なエリアになりやすかったんですが、この日のガーナが本調子ではなかったお陰で弱点を鋭くついてこず、助かった印象が強かった。

日本もそれに当てられたようにプレッシングは少なく、フォワードの二枚がきっちりと2トップの形をしているために岡崎が守備に引っ張られる要素が少ないのも影響しているようです。岡崎の位置が高いことでボールを後方から追いかける形になりやすく、相手に前を向かせない守備はなかなか出来ない。相手を抑えても圧倒的なフィジカルの差と懐の深さで前を強引に向かれてしまう事も多く、複数で囲い込む形は殆ど見られませんでした。見られたのは各選手に一人ずつが引っ付くもので、突っついてコントロールが乱れたところを近いサポートがボールを拾う形でもありません。そのため一度前を向かれてしまえば圧倒的な存在感の相手を一人で抑えなければならず、リーチの差もあって抜かれてはファル出止める場面も見られ、前からの守備は簡単に破綻していました。
前から押さえられなくなると相手のスピードを警戒するあまりディフェンスラインが必要以上に下がってしまい、中盤も押し下げて後方に人数を溜めて守備をしなければならなくなる。となると、カウンターに向かってもフォワードが孤立してしまい、三角形のように先細りの攻撃を抑えるのはディフェンスにとってやりやすく、前半は徐々にチャンスの数を減らす結果にも繋がっていました。

前半の攻撃は特に前田のポストプレイに頼りすぎている部分もあり、それを利用した岡崎の飛び出しもありましたが、手数をかけずに一発を狙う意識が強すぎるものばかりでした。縦のラインで攻めることが多く、序盤こそサイドで展開していたものの中央にポジションを移した中村によって縦の関係を意識せざるを得なくなった、というのも大きいようです。片方のサイドから展開をしても逆サイドのスペースには選手の姿はなく、サイドバックが上がって来るまではオープンスペースであっても利用できない環境ですから、選手たちはそちらの方を大きく見ることをしなくなりましたし、相手に逆サイドの攻撃を意識させることが出来ないため、守備の間隔を広げることが出来ず、裏へ抜け出したとしてもサポートを容易にさせてしまっているようにも見えました。
日本の守備がガーナの選手たちに前を向かせてしまっているように、ガーナの守備も日本の選手たちに前を向かせて攻撃をさせてくれている。緩いプレスで自由を与えてもらって、前を向く精神的な余裕が日本にはあるんですが、中村俊輔も中央に入り、遠藤も中村憲剛も高い位置を取って中央に寄りがち。サイドバックは相変わらず前を向かせてもらっていましたし、パサーの多くが前を向けるだけにフォワードが飛び出すタイミングが早く、それを狙う一発で勝負を決めようとするスルーパスがあまりにも多いものでした。個人の問題ではなくチーム全体として縦に急ぎすぎていた感は否めませんが、中央のスペースが潰れて、サイドには選手がおらず、となればそうなっても仕方がないのかもしれません。
ポストプレイでは戦える選手がフォワードにいることでディフェンダーと戦ってボールをキープしようとする動きが見えるんですが、最後の部分で戦おうとするのが見えてこない。クロスを入れる方にも問題があり、勝てないことを前提に直接入れないのだから体を張る場面はない。だから相手に対して心理的な影響は少なく、シュート自体もミドルシュートを無理に狙う選手がいましたから、あまり戦っている感じはしませんでしたね。得点機はあったんですが。

後半に入ってもその傾向は変わらず、前へ前へとパスを出し続け、簡単にクロス、簡単にスルーパスを出すだけ。ペナルティエリア内に形が整っていなくとも、人数を入れられてなく、まだ変化が何もつけられていなくても、ボールを入れる。まだ余裕があって変化をつけて回せるだけの要素があるのに、それを連続してやってしまったからこその二失点目でしたね。前半の修正のつもりのようで、前からプレスに行き主導権を握ろうとしての行為だとは思いますが、キーパーがボールをキャッチした後も戻る選手が少なくそれぞれ自分のマークに注意を払っているだけ。だからロングキックに対応できず、センターバックが下がらなかった。そうであればキーパーはもっと前に出てカバーをしっかりとすべきでしたが、それが全く出来ておらず、三点目を献上したものも、キーパーの躊躇に大きな原因があるようでした。もちろんスピードが違ったとはいえ、センターバックも簡単に裏へ抜けられてはいけないわけで、キーパーとの連携や、リスタートのポジショニングで思いっきり下げてしまうことも必要でした。相手のフィジカルと圧倒的に差があるのは前から解っていることですから。それの修正は結局選手交代で流れが変わるまで出来ずに、ガーナに徹底的につけ込まれてしまって不安材料。

その後の一気に変わった流れはガーナのコンディション不良も一役買っているはず。オランダの時はあれだけ中盤の活性化が出来なかった岡田監督ですが、この試合ではそれが出来ていたようです。中村俊輔と本田を共存させようとしなかったこともプラスに働きましたね。
本田は殆どボールにからめていませんでしたが、前半から全く日本が意識していなかった逆サイドにある広大なスペースにポジションを取ることが多く、中央の渋滞解消に目立たないながらも役に立っていました。結局最後までチームが求めるポジションとは違う動きだったために効果的なパスや、繋ぎの部分でもずれが生じるなどいい働きとは言えませんでしたが、まだマシだった。
高い位置のサイドで起点が作れず先細りになっていた攻撃を、玉田が左に多く流れることで起点となり、ボールを収めて連動性を生み出せていました。中村憲剛は近い距離を保ちつつスペースを潰さないようなポジションを取っていましたし、長友はその時間帯であっても連動できるだけのスタミナを残していた。中央で渋滞しなくなったことでディフェンスの選手間にも少しずつスペースが空いていましたし、サイドを突破した後のサポートの遅れも出てくるようになった。そうなると、それまでは潰れていた中央のスペースを後方から上がってくる選手が利用するのは容易くなり、縦に急ぎすぎる選手もいなくなって、胃自分たちが攻撃していても急ぎすぎるあまり自分たちの流れとは言えなかった前半とは違い、自分たちの流れで攻められるようになった。そのお陰でキープもある程度出来るようになり、急ぎすぎることなく、自分たちのペースで勝負を仕掛けるようになった。

後半にガーナの日程上の問題が顔を出したとはいえ、中央を停滞させずサイドを活性化させなければならない場面は出てくる。その時に中央に固執せず、一発のパスを狙いすぎず、状況に柔軟に対応できていれば、三失点をする必要もなく、前半から一点ぐらいは取れていたかもしれない。

ともあれ、あの常軌を逸したプレッシングをしなかったことは個人的に嬉しく、ガーナのあの落ち込みを突けたのもそのお陰かもしれません。ですが、あの異常に縦へ急ぎすぎるのは誰の指示によるものなのかわかってますが、よくないですねぇ。途中で修正が効かなかったのも問題ですし、サイドの問題は相変わらずとして、センターバックのスピードとかキーパーとか色々と問題が見えた試合でしたから、その辺が今度こそ修正されることを願ってます。

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