■Netherlands 3 – 0 Japan
自分がある意味で期待していた本田圭佑がベンチスタートだったのは、別のある意味では朗報でした。スターティングメンバーには中村俊輔の名前があり、事前の練習でも中村俊輔と本田の方向性の差異から確執があるかのように報じられていたり、別の部分でも代理戦争にも似たものが起こっていて、チーム自体がまとまりを欠くことになれば岡田監督がやっている方針ではうまくいかなくなるのは目に見えていましたから。
それと同時に、予想で書かれていたように本田圭佑と中村俊輔を左右に配してしまえば、両者の守備貢献の少なさとプレイスタイルの関係から、サイドの守備負担がサイドバックにのしかかり、センターバックのケアが必要になる。センターバックに入ることの出来るディフェンシブ・ミッドフィールダーがいるのならばサイドに吊り出されても中央のケアが出来るためリスクは少なくなりますが、そういった選手たちではないのだから、センターバックがサイドに吊り出されるのは危険な行為の一つだと思っていました。だからこそ同時期用ではなく、フォワードでありながら献身的に動ける岡崎が入ったのは、多少良いことでもありました。
ここからはいつもの繰り返しのようで、左右に利き足とは逆の選手を基本的に配置することで、サイドのスペースを効果的に縦へと使えない環境を作っている。となるとサイドバックの攻撃参加がどうしても必要になり、中盤の構成上センターバックがサイドへ吊り出されたくないのにサイドへ出て行かなければならない場面が増えてくる。まだそれを問題とせずに考えたとしても、サイドバックが縦への突破、あるいは飛び出しに成功したとしても、クロスを中へ入れたときに誰が中へ入り体を張るのか、という問題が残っているわけです。右からのクロスであればファーサイドへ岡崎が入るでしょう。でもファーサイドだけで勝負をしても読むのも準備をするのも簡単で、ニアで潰れる役目を担ったり、中央で犠牲になる選手がいてこそのファーサイド。そのどちらかに入るべきワントップが玉田ではそれを期待することは難しく、左からの時には右の体を張る選手が皆無ですからそれも駄目。身長が問題なのではなく、右と中央に戦う姿勢を持つ選手がいないのが問題だと思っています。
試合開始からそれほど時間が経たずに日本がチャンスを得たものがそれに近いかもしれない。左からのクロスに玉田が入ったもの。あれは玉田がディフェンダーと体をぶつけて戦う姿勢を見せていればもっと決定的な形に見えたでしょうし、その後のオランダに理的な影響を与えることが出来ていたかもしれません。あるいはもう一つでも危険なコースを用意できていれば。
試合序盤は中村俊輔はある程度戦う姿勢を見せていて、もしかすると最初にナイジェル・デ・ヨングに足を踏まれたお陰なのかもしれない。プレスを受けても簡単に後ろに下げず、サイドでコースを切られても得意のキックフェイントからクロスを狙っていく姿勢が見られたのは好材料でしたが、それはまだオランダが本調子ではなく、中村俊輔が後方に下げるパスを出すのをオランダのチェックの素早さが狙う意図を持っていたから、それを感じてのものかもしれません。どちらにしても両者共に高い位置からプレスをかけていることが影響していて密集した陣形だったわけで、バックパスを出せる安全な場所がなかったからこそバックパスを出さなかっただけなのかもしれませんね。そして時間の経過と共に前への意識が薄れていき、顔を出さなくなり後方でのプレイとパスに終始するようになったのはいつもの通りで、結局は大きな改善があるようには思えなくなりました。
日本代表の守備はディフェンスラインを高く保ち、相手の前を押さえる戦い方をしている。システムの関係上サイドバックの所を抑えるわけにはいかないが、高く保つことで構築をさせず、ドリブルもスピードに乗せない。中盤では長谷部の献身的な動きによって広範囲がカバーされ、遠藤が近い距離を保ちサポートをすることでいい位置で奪い、相手の陣内で奪っていました。突っつく技術は日本の選手たちのものでも通用することを示していましたし、人数を前からかけているからこそこぼれ球を拾える状況を作っていました。ですが、そこからの攻撃はお粗末で個人の力で打開することが出来ず、奪ったその段階からパスコースを探してスピードアップをすることが出来ない、奪ったその足でゴールに向かうことがないだけに相手に与える脅威は小さく、シュートコースがあっても打たないのだから言わずもがな。低い位置で奪った後は徹底してクリアしているかのようにフォワードへボールを収められる精度のクリアが無く、対するオランダは守勢に回った感がありながらもクリアはきっちりとフォワードに収めるだけの余裕を見せていました。
その後は見ての通り。
あまりにも異常なスピードでかけ続けられるプレッシングは常軌を逸しているように見え、前半でスタミナが尽きるのは目に見えていました。早い段階であのプレスから得点を奪い自分たちの形に持っていければ、という思惑があったとしてもそれが実現不可能だと悟った段階で方針を転換するべきでした。あのプレスは多くの選手が高い位置を保ち近い距離感を保つことで、一人では奪えない力の差を埋めるものでした。
ボールを突き、相手のコントロール下から離してしまうことは今の日本の選手たちでも通用する。だが奪いきることが難しい。なら近くにサポートを配置しておくことでコントロールから外れたものをその選手が奪ってしまえばいい。ただそれだけのことですが、それをするために費やす労力があまりにも大きすぎた。人間が際限なく走り続けられるならともかく、そうではないのだから徐々に選手の距離が開き、サポートが遅くなり、突くことができても、それを奪えなくなった。そしてディフェンスラインを高く保てていたものが、後方に戻る運動量が保てなくなったことから下がらざるを得なくなり、一度崩壊したものを取り戻すだけの要素を持ち合わせていなかったのも崩壊の原因でしょう。中村俊輔選手が試合後のインタビューで語ったように途中交代で入った選手が動かなかったからだけではないはず。
サイドバックに負担をかけまくり、選手の消耗を考えずにやったからこそ、失点をするまでの間をある程度抑えられたわけで、全く互角に戦えていたわけではない。なら何故岡田監督は日本の疲弊している部分を交代させずに、ある程度まだ動ける可能性を残している選手を交代させたのか。オランダはきっちりと問題のある部分を解消して活性化させるための手段を講じた。その結果、交代選手を投入したとしても日本は活性化せず、オランダは活性化した。投入された選手の数も問題で、親善試合なのだから二つで済ます必要など何処にもなく、もっと大量に入れてあの常軌を逸したプレスを継続することも可能だったはず。公式戦を意識したものだとしてもあと一つの交代枠があり、消耗していたサイドバックなり中盤なりを変えていくこともできたはず。試合後のインタビューを聞けば一目瞭然で、あれだけの状況にありながら、へばっているように見えていなかったのだから交代させなくて当然ですね。
守備に全力を傾ければなんとか一試合保ち引き分けに持ち込む可能性がある、というぐらいの戦い方をしておきながら、消耗した選手の所も全く交代させる気配もなく、それを見抜けない。あまつさえ三点目まで簡単に献上してしまうのだから、より公式戦を意識したとすれば、得失点差で敗退の致命的な要素になりかねないことをしたわけですね。
■オランダ戦後 岡田監督会見 / スポーツナビ
――(相手のボールホルダーに)近い選手からプレスをかけないとボールを詰め切れないということだが、玉田から本田に代わってああいった展開になったということか?
いや、本田だけの責任ではないです。今はまだ90分もたないかもしれないけど、でも来年(の本大会)までには90分間もたせないと勝ち目がない、とは選手には伝えています。そういうところで、だんだん(プレッシャーが)緩くなったということです。
(中略)
――前半かなり激しい勢いで相手を追っていたが、どれくらいペースがもつかについては想定内だったのか?
これはサッカーなので、その前にどこかで(先制点を)入れられていたらもっともたなかったと思いますし、コーナーキックのこぼれ球から点が入らなかったらもっともっていたかもしれないです。まあ、90分持たないということだけは、大体予想がついていました。
――あれくらい立ち上がりから飛ばすというのは、ペース配分に問題があるのではなく、あれを90分間続けないといけないということか?
そうです。逆に言うと、それ以外にわれわれが、目標を達成する道はないと。あれではもたないから、戦い方を変えるのではなくて、もつようにする、それだけです。
――ゴール前の課題だが、具体的にどう形を作っていくのか
これはメンバーの組み合わせによっても変わってきます。今日のメンバーではどうしても中央に寄ってしまう。中央からサイドの、大きく外に開くのではなくて、サイドの外と中の間くらいにスルーパス、つまり中から外へのスルーパス。今は外から中を狙っていますけど、そういうようなことを今日のメンバーではトライしていかないといけないと思っています。
結局この監督は、人間をマンガの登場人物かゲーム内部の駒か何かと勘違いをしているようで、あの常軌を逸したプレスを90分間選手にさせようというようです。それ以外に目標を達成する方法がないと思い込んでいるほど思考が凝り固まっていて、攻撃時に足が止まる現状を考えると運動量は二倍どころでは済まないそれをやらせようと言っているようです。
自分には岡田監督の言動に賛成することは到底不可能ですね。
言うのであれば、あのチェック、チェイスの質を上げて、あれほどのスタミナを消費する動きではなく、より効果的にプレスを実行して、90分持つ戦い方に変化していかないといけない、と言って欲しかった。なのに「90分あれを持たせる」というのは持論は間違っていないと言いたげ。
この試合も90分持たないことの予想がついていたのなら交代枠を使い切るぐらいのことはすべきでしたし、これをしないと勝ち目がないというのでは駄目で、幾つか強豪と戦うための戦術があり、これはその一つだ、と言えるほどであって欲しかったですね。自称戦術家なのなら。
二人の王様の共存にも失敗し、それぞれの間に大きな溝を作り、サイドの問題は就任当初から何一つ解決できないままここまで来てしまい、精神論でカバーするかのような無茶な戦い方を要求している。
これの後には何が残るんでしょうか。