2009 年 9 月 のアーカイブ

UEFA Champions League -F- Matchday 2 バルセロナ対ディナモ・キエフ

2009 年 9 月 30 日 水曜日

■FC Barcelona 2 – 0 FC Dynamo Kyiv
バルセロナは先のマラガ戦で二人の負傷者を出し、それ以前からの負傷者も含めて出場できない選手が多い。それがフォワードとセンターバックに集中しているのも苦しいもので、イブラヒモビッチが無事に出場できているからいいものの、そうでなければボヤンもおらず純粋なストライカーを抜きにして戦わなければならなくなるところでした。センターバックもマルケスが本調子でない以上、この組み合わせしか無いようなものですしね。
ただ、ディナモ・キエフにも怪我人が多く、選手層の厚さからいえば、こちらの方が重症だとも言えるかもしれません。

アンリに変わって先発したのは、大方の予想通りペドロではなくイニエスタ。彼も怪我から復帰してそれほど時間は経っていないものの、監督曰くかなり回復しているそうで、出場することになったのでしょう。ディナモ・キエフにはシェフチェンコも出場している。以前に怪我の話を聞いていたので、どうなるものかと思っていたんですが、目に痣がありながらも出場していて一安心。バルサを応援している身としてはいない方が助かるんですが、見られる機会が少なくなってしまいましたから見られるときに見られた方がいいわけで、素直に喜んでます。

勝手に想像していたよりもディナモ・キエフは動いてきませんでした。シャビやメッシに後方からのボールがきっちりと収まるだけの余裕を与えてくれている。特にシャビは、ボールを受けるためにポジション修正を頻繁にして選手と選手の間に入り込むことをするんですが、リーガのクラブであればそれに対して引っ付いていく。でもディナモ・キエフはポジションの修正をしてコースを塞いだりマークを付けて距離を広げないようにすることもしない。さすがにボールを受けた後には当たりに来ますが、ボールを受けるまでは当たられないということでもあります。一部例外があって、メッシとイニエスタの二人にはきっちりと選手を付いて動かし、時に激しい守り方もする。この二人へ対してのみポジションの修正が他よりも多く見られ、あとはイブラヒモビッチへも少し多めでしょうか。押し込まれる時間帯を迎えてもこの二人ぐらいにしか激しく行かず、後方に自由に持たせてバルサのディフェンスラインを上げさせていましたね。

それでもただ引いて守るわけでもなく、ラインを統率して一定の位置より後方には下げないようにしていました。バルサはこの試合、プレッシャーが緩いということもあって、後方からボールを追い越していく選手が比較的多く、ディフェンスラインの裏側へ飛び出す選手も多かった。イブラヒモビッチだけではなく、メッシ、シャビ、ダニエウ・アウベスなどもしていましたし、ケイタやトゥーレ・ヤヤも高い位置でボールを追い越していく。それらは出足こそ悪くミスが多かったものの、徐々に安定していったキープよるものなんですが、実際に裏へ飛び出してチャンスになったものこそ多いものの、ディナモ・キエフのラインはそれへの対応もしていましたし、何とか守っていた。ボールを持った瞬間にディフェンスラインを踏みとどまらせるのではなく押し上げて、パスコースを消すようにし、一瞬でも躊躇があればオフサイドにしてしまうものでした。実際にはそこへパスを出せる環境にないことも多く、前から多くのプレッシャーを受けることで後ろに出さなければならない事も多くありました。もちろんそれをかいくぐっての得点機も多かったわけですが、前半に決まったのはショートカウンターからの一点のみ。

前述の通りメッシやイニエスタに関してはマークがついていて、引っ付いていく事も多いんですが、それをせずにパスを待っている事もそれなりにあったわけで、ボールを出させてカットを狙い、カウンターをすることもある。スピードのあるカウンターにはバルサの守備陣が手を焼き、ワイドに使われて危ない場面も作られましたから効果的でもあったんですが、先制点の場面はそれが裏目に出ましたね。メッシのボールを奪ったまではよかったものの、それをすぐに取り返されてしまい、裏へスペースが出来てしまった。それをパスとメッシのドリブルによって利用されてしまい、ニアサイドを割られてしまった。それより前にイブラヒモビッチがシュートを打たずにパスを選択した場面も、あれと同じようにニアへ強いシュートを狙ってくれていれば可能性はありましたね。このゴールとは状況がまるで違いましたが、キック力が大きく違うのだから、それでもいいと思えるんです。バルサに来てからのイブラヒモビッチは所々に消極的とさえ思えるほど、チームプレイを優先――というよりもパスを出して他の選手決めさせる、逃げのプレイを選択しているのが気になりますね。もっとエゴイスティックに振る舞ってもいいような気もしますね、66分頃にしたシュートのように。

前半はイニエスタが左に張らず、いつものように中に入って来ていました。その代わりとしてケイタがサイドへ進出することが多んですが、このイニエスタが中に入ってきてくれることで、メッシが中へ入ってきて組み立てに参加しなくても済み、シャビへの負担が軽減されているようですね。それが後半からペドロに代わり、左側をワイドに使えるようになりましたが、反対側はメッシがやはり中へ最初からポジションを取る頻度が増えてしまい、スペースが潰れ気味になってしまいました。ケイタがイニエスタがしていたように高い位置を取って飛び出しやシャビの一つ前のパスの収め所として様々な変化をつけようとしてくれていましたが、ここ最近のバランスを取るために奔走していたケイタからすると以前のケイタに戻ったような効果的な動きでしたね。ただ、ペドロに関しては相変わらず得点に直結する動きこそしているものの、サイドに開いているときはプレイに関与できておらず、開いているばかりで役に立てていない印象が強いですね。得点を取ってしまうから帳消しにされてしまいがちですが、成長しなければならない部分が多そうですねぇ。彼なら問題なくそういった部分を克服してくれるものと期待していますが。

後半になってくるとディナモ・キエフも多少当たりが激しくなりましたが、最初のポジショニングやマークの距離が近くなったわけではなく、カウンター合戦になっている際の広大なスペースをドリブルで持ち上がっている最中にファウルを受けるだけで、窮屈さはほとんどありませんでした。カウンターの応酬になっていたのは一時的なものでしたし、その後は前半までと同じようにバルサが殆どのボールを支配していました。マークの緩さやポジショニングの問題は、ディナモ・キエフが精神的に前へ向かう意識やボールを奪う意識を持ったことから目立たなくなりましたから、改善されたと言っても良いのかもしれない。
それでも支配しながら前半ほどの決定機を作れなかったのは、メッシが中に入りマークを中に引き連れてしまい、中央のスペースが消えて突破しづらくなったことと、ペドロでは相手のマークをワイドに開かせておく効果が薄いこと、それと中央のシャビの一つ前にボールを収める場所を用意できなかったことでしょうか。ケイタは後半の開始こそその役割をこなしていましたが、スピードのあるカウンターを抑える役割に専念しつつありましたし、セルヒオ・ブスケツもアンカーですからその役割は担えない。メッシではマークを引き連れてしまうわけで、この役割が出来る選手が限られているのが問題ですね。イニエスタの代わりがそう簡単に務まるわけはないので、成長に期待するしかありませんね。

しかしボールを奪ってからキエフの縦へ急ぐスピードはかなりのもので、個人にもスピードがあり、ドリブルも奪いきれない粘り強さがある。そしてワイドに使い、ボールを持っている選手を追い越していくだけの勢いも最後まで持続できる。コーナーキックからピンチを向かえた場面では、ディナモ・キエフの選手たちが持つキック力も混戦の中で武器になりそうでしたし、縦の突破からのクロスもディフェンダーを戻りながら不十分な体勢のまま対応させていましたし、フリーキックからオフサイドで取り消されたものも含めて、得点を取るだけの力は十二分に持ち合わせてますね。後半にも一つあった飛び出してキーパーと一対一になった場面も、審判の判断によってオフサイドになりましたが、リプレイにはオフサイドではないように見えましたし、全体の流れはともかく、得点は多少の運がバルサに味方しただけかもしれません。カンプ・ノウだからこそ余裕のある試合が出来たように見えますが、敵地ではどうなる事やら。

Liga Espanola Jornadas 5. マラガ対バルセロナ

2009 年 9 月 28 日 月曜日

■Malaga CF 0 – 2 FC Barcelona
またしてもWOWOWの犠牲になって放送を遅らされてしまったバルサ戦ですが、一日遅れは以前からWOWOWはやっていましたから、問題な部分ですがそれほど問題に感じなくなって来つつあるのは、WOWOWのやり方になれてしまった悪い影響でしょうね。今回もそれだけならわざわざ書かないんですが、その上に翌日の試合を一つ挟んでからようやく放送、というのが気に入らないんです。たかが日本人一人が移籍しただけでこんな扱いを受けるなんて酷いものです。

マラガが前から激しく当たりに来るディフェンスをしていた影響から、バルサは最初から最後まで苦しめられていました。主に中盤以降にされるものが殆どで、ディフェンスラインにはファウルのように激しく当たりに来るようなことはせず、最後尾にはフォワードの一枚がボールを持っている選手へとプレッシャーを与える程度に留め、もう一人のフォワードがトゥーレ・ヤヤへのコースをきっちり切っておく、という程度でした。
ただ、それでもこの試合の先発はチグリンスキとプジョルだったため、展開力が足りずにそのプレスをかいくぐりながら安定して前に預けることが出来ず、横パスが増えていました。危険なパス回しになっていることもあるんですが、トゥーレ・ヤヤがいつものようにバランスを取ってボールを受けに戻り、バックラインに入ってしまうことで何とか解消を目指しているようでした。それをする際にもセンターバックが持ったときにもサイドバックが持ったときにも明確なマークやチェック来ず、前を向くだけの余裕をもらえているんですが、それ以外の選手へきっちりとマークが付いていて、パスを出しづらい環境にしてありますね。受けることが出来たとしても振り向けないぐらいの環境、あるいはそれらでも十分に前を向ける環境であってmおセンターバック二枚では安定して出せないために躊躇して横の選択をしてしまうことが多い。トゥーレ・ヤヤも積極的にセンターバックのラインまで下がろうとせず、シャビも同じくあまり下がってこないために、組み立てに相当苦労していました。
どちらもリードするまでは思い切って上がっていこうとする姿勢も少ないものでしたし、後方の揺さぶりがないため前が動けず、マークを受けたままマラガのディフェンスラインを保つのを手助けしている印象でした。そして高く保たせているから攻守が入れ替わったときに深い位置にまで入り込まれ、センターバックが対応しなければならない多少ギャンブルな要素が増える。プレスがかからない位置から攻撃されるのにディフェンスラインを高く保たなければならず、裏を狙われるわけで、ラインコントロール云々よりも速いスピードを持つオビンナもいますから、苦しい守り方にしか見えませんでした。

中盤が受けられないためにメッシが中に入り、シャビの位置を下げたり、ケイタをサイドに出したりしているが、時間をかけて後方の押し上げを狙えず、パスコースの少なさから裏へも飛び出せず、パスもそこを狙うものは殆どできなかった。一つの要因に得意としない位置で、得意としないプレイを要求されているアンリがいる、というのもありましたね。窮屈なプレイを強いられて、早い段階でクリアを当てようとしても難しく、ボールを受けに戻ったとしても中盤の激しく来ているところへいってしまうために相手を動かすほどの動きではなく、押し下げる役割も踏みとどまらせる役割も担えず、移籍してきた当初の窮屈なプレイを思い出してしまいました。

ペドロがもっとサイドでボールを引き出す役割を担ってくれればいいんですが、ケイタがそれをやることはあっても、ペドロは中と外のポジションバランスがいまいちで低くサイドの開いた位置で引き出す動きは少なく、中、ですよね。メッシが低い位置に下がってドリブルをして変化をつけることで何とか一歩目を踏み出した感じになっていましたが、これまでの試合であれば、こうなった後はどれだけ安定してメッシにどれだけボールを渡せるかが重要になってくる。ドリブルで変化をつけて相手を押し下げて、中盤へ渡すのを楽にする必要があるんですが、ウェリグトンに故意に足を踏まれていたり、メッシにも苛立ちが見えるのは確かで、プレイ精度も落ちていっていましたし、それにも頼れなくて状況を打開する一つの手段を失った瞬間でした。

マラガの前へ向かうディフェンスが集中できていて、裏へボールを出せないのは痛く、それだけ中盤を抑えられているというのもある。アンリの怪我からイブラヒモビッチが出場して、それまでのプレイとはちょっと内容が変わったのは好材料でした。この時期に怪我をされてしまうのは非常に厳しいんですが、試合に限っては。
イブラヒモビッチが出場してくると、高い位置で受ける事が出来、戻ることなくポストプレイが出来るため、安定してボールを出せる環境が出来上がる。ディフェンスラインを押し下げる効果はなくとも、その場に押しとどめる効果はあるわけで、さらにマークに二人が付いているため、人数も減らすことが出来る。中盤としては彼がいてくれることで後方への意識を相手に持たせられることで、多少の余裕を与えてもらえるようなもので、さらに受けに戻ってこず、ディフェンスラインの場所に常にいてくれるお陰で裏側も狙える。得点自体はそうではなかったものの、裏への意識を持っていたからこそのものでした。それにしても、得点前にあった一本目の方が簡単に決められそうなのに、難しい方を決める当たりがやっぱりズラタン・イブラヒモビッチですねぇ。

後半は多少スピードが出てきて、センターバックから前へ出すまでに延々と横パスを繰り返すことも少なくなった。イブラヒモビッチが入ったために縦のフィードが選択肢にありますし、何より相手のマークが押し下げられて、中盤にボールを出すまでに、きっちりとポジションを取るのが間に合わなくなった。サイドバックに渡したりそこからドリブルで勝負するようになったお陰で、パスのコースを切られるだけでどうにもならない、ってのは無くなったんですが、その分仕掛けるためにボールを失いやすくなった。
失いながらも状況の変化から上手くいくかと思ったら、チグリンスキも怪我をしたようで、ピケが投入されて状態はまた変わってしまいましたね。でも最後尾から展開がようやくできるようになり、安定してボールが出来るようになるはずで、こちらもプラスの効果があるかと思いきや、それらの効果を出す前に先にセットプレイで結果を出してしまうんだから。

あとは前半から続いていたマラガの悪質なプレイとの戦いですね。体を張ることをいとわないし、怖がらないからこそできるものだとはいえ、メッシの足を踏みつけたり、股間を踏みつけたり、ウェリグトンはピケの頭を殴ったり、とにかく色々やらかしてファウルや相手を痛めつけて、サッカーを壊そうとしているかのようなものもいくつも見られ残念でした。前の方のプレッシングが的確で、バルサに形らしい形を作らせず、シュートの本数だって少ない。ペナルティエリア付近もディフェンスラインと中盤の隙間も利用させず、いいサッカーをしているのにそれを台無しにするようなものをやらかすのは良くないですね。
結局そういうのが功を奏したようで、メッシは怪我をしないように手を抜いて、走らないし、抜こうともしないし、ドリブルも仕掛けない。スピードに乗れる状態で受けていないのもあるけれど、全力でプレイしていなくなり、時々苛立ちからプレイすることはあっても、基本は抑えたまま。シャビもキープできず、パスもアイデアを欠いているわけで、見るべき部分は少ない試合でした。バルサがマラガに決定的な形は作らせなかったものの、バルサも自分たちの試合をしたわけでもなく、崩しきった回数も少ない。拾った試合、というほどではないけれど、勝ちきる試合ではなかったのかもしれない。

そこまで荒れた印象を持たなくとも十分に危険なプレイもありましたし、残念な部分も幾つかありましたねぇ。ただ、ルケのレッドカードはそうではないのでは? あれだけやられた後だからダニエウ・アウベスの癖だというのも含めて大げさに痛がるのも解りますが、この試合の基準でいえばイエローカードで十分だったはずで、アシスタントコーチの退席処分もいまいち不明確。

Bundesliga 7. Spieltag ハンブルガーSV対バイエルン・ミュンヘン

2009 年 9 月 27 日 日曜日

■Hamburger SV 1 – 0 FC Bayern Munchen
前節までさっぱり活躍できていなかったプラニッチはようやくベンチに入り、その影響から変則的なディフェンスラインになっていました。プラニッチが外されたのはもしかするとチャンピオンズリーグを睨んでのものかもしれませんが、前半のディフェンスラインはスリーバックに近い形を保っていって、右のラームが一列前にポジションを取り、ブレーノがバイエルンから見て右に流れる機会が多かったエリアを捕まえておく仕事を主にしていましたね。左側はバドシュトゥバーが開きつつ、シュバインシュタイガーもケアをする、という形でしょうか。その二人が左の低い位置を支えていたお陰で、リベリーが戻ってスペースを埋める仕事をせずに済んでいたわけですが、右のラームは諸々の事情により機能しているとは言い難かったですね。
ただ、プラニッチがいなくなった左サイドは、さすがにスピードの差から縦へのドリブルを制限することはできないものの、クロス自体はきちんとした形では上げさせておらず、毎回のように簡単にやらせていた時とは大きく違って中の対応は多少やりやすくなっているはず。

バイエルンの前半は相変わらず攻撃の形が掴めず、ティモシュチュクとセンターバック三枚のパス交換が非常に多く、無駄に時間を消費しているようにも見えました。一列前のラームまでなら何とかボールを渡せるし、引いて戻ってくる選手にも当てることは出来るが、リベリーとロッベン以外へ縦パスを入れた際には、それらの選手がキープできずに奪われてしまったり、キープできないと判断してボールはすぐに戻ってくる。主にボールを引き出して前へ運んでいるのはリベリーぐらいなもので、マークを受けていても振り向いて前へパスを出せる環境を作っていましたが、彼がそれをやってしまうと、前の人数が足りず、ポジションを固定されていないとはいえ、ロッベンが左や中央に流れてきてしまい、カウンターの形としてはスピードのある三人が同じサイドに固まっているために一気に加速できるものの、反対側へ相手を引っ張ってくれる選手がいないために守備も対応を集中させられるわけで微妙な状態でした。他のミュラーやシュバインシュタイガー、ラームらにボールを預けてリベリーが高い位置へ移動して構築し直せられればよかったんですが、徐々にその方法をとってもHSVの網に引っ掛かり、プレスを受け、ボールをロストしてしまうのが殆ど。特に後ろからの当たりが激しく、囲い込める距離感を保たれていたために、形が限定されてしまうのも仕方ない気もしますね。もっと動けば解消されそうですが、今のバイエルンにはそれを望むのは難しい。

HSVのエリアはよくボールに絡みつつ、フォワードの一人としてペトリッチの左右にポジションを取ってますね。ポストプレイもこなしつつ、スピードを活かしたドリブルでサイドの突破を狙ったりして、他にもトロホウスキだとかゼ・ロベルト、ヤロリームの展開力やキープ力が加わり、HSVの方がバリエーションは多いかもしれません。鋭いカウンターこそドリブラーの状態とマークの付き方に左右されますが、パスの構築に関してはきちんとバイエルンの各選手の間にポジションを取っていて、引き出す動きが少ないもののボールを受けられる位置はきっちりと取っている。簡単に渡せるようにはなっていないものの、一つ越せればフリーで受けられるぐらいのポジションを誰かが取っているので楽といえば楽ですね。ただ、それはバイエルンの守備がタイトに行われていない証明でもあるわけで、攻守両面で状態は対照的ですね、前半は。

後半からはラームは左のサイドバックの位置に移ったようで、右にブレーノがサイドバックのように張り出すことでスリーバックのように見えていた布陣が、4バックのようになりましたね。ラームが右にいた前半はロッベンが前にいて詰まっていて上がるスペースが無く、かといって後方にはブレーノがいて低い力ボールに触りながら上がっていくことが出来ず窮屈でした。それ以外の場面では反対サイドで事が進んでいるのでボールを触る回数も少なく、単純な言い方をすれば「消えていた」でしょうか。ラームが左に持ってくることでそれの解消と共に、リベリーとロッベンが同じサイドにいなければカウンターも立ち行かなかったものをどうにかしたかったのかもしれない。守備の面でもラームは左なら本来のポジションですから慣れた守備をしてくれて、ニアに絞ってパスコースの限定などもきっちりと安定して行ってくれる。

一部の流れは改善できたものの、全体の流れはHSVに傾いていて、ゼ・ロベルトとヤロリームがボールに多く触るようになったのが大きく影響しているようです。後方から二人のどちらかが受け、持ち上がる場面が多く、そこからパスの展開が狙えるようになった。スピードと浮き球で前へ出すのではなく、キープ力を行かしたものへ変化していました。二人のキープ力はバイエルンの選手が迂闊に飛び込めないほどのものですし、ファウルを貰える選手ですからね。その上、HSVは逆サイドも意識して見ているので、片側で詰まれば反対側へとボールを逃がすことが出来るのも流れを掴んだ要素ですね。バイエルンの緩い守備を上手く揺さぶっているように見えます。
守備も激しさを保ったままで、集中を切らす素振りはありませんでした。サイドバックになったブレーノと、左に回ったラームの上がりを加えたものに苦労しているものの、それぞれを捕まえられる位置には選手がおり、なんとか守りきれる要素はありました。ロッベン頼みのドリブルも、カードを出されながらもきっちりと寄せて防ぐことで、スタミナも削れましたし、ロッベンの活躍の場は時間と共にどんどんと減らしていけた。正対して抜きやすい環境を作らず、左足の方から寄せようにもしていましたしね。

流れの中からではなく、セットプレイから作り直したものでしたが、ゼ・ロベルトの左サイド突破からペトリッチがファーサイドで合わせて先制点。ペトリッチの特徴であるファーサイドのプレイがようやく活きましたね。再三にわたりファーにポジションを取っていたり動いていたものの、味方が使ってくれなかった。だけど、この場面ではゼ・ロベルトはしっかりと意識していましたし、バイエルンの選手たちは誰一人、彼の存在に注意を払っていなかった。非常に彼らしいプレイで満足。

ようやくその得点でバイエルンにも火がついて活性化の兆しが見えました。リベリーとラーム、シュバインシュタイガーという慣れた選手たちが左で連動して攻撃を作り始め、中央にはゴメスがいてどちらかに偏りがちだった攻撃のバランスがよくなったようにもありましたが、反面、カウンターは受けるようになってしまいました。それは仕方がないと言えるようなカウンターならよかったんですが、シュバインシュタイガーがミスをして奪われたものは最悪としか言いようが無く、ゼ・ロベルトに独走を許して後ろからファウルをして止めなければならなくなった。止めなければ一点は確実なぐらいにフォワードが左右に開いて中央を開け、選択肢はいっぱいあった。それだけにイエローで済んでしまったのはバイエルンからすれば幸運で、HSVから見れば不運どころではないものでした。症状は軽かったからよかったものの、負傷もしてしまったのだから。

それにしてもバイエルンはお粗末でしたねぇ。83分に得点のチャンスを得たものの、ヴァン・ブイテンの胸トラップ後にクローゼが触ってオフサイドでゴールならず。多少ずれていたもののトラップしてから足を振り抜ける位置にボールをコントロールできていたのに得点を焦るあまりにクローゼが邪魔をして同点にし損ねた。
こういう危険なプレイをこの時間で見せられるとHSVは無理な攻めはしなくなるのは当たり前で、時間をかけて攻め、時間をかけて守るようになるわけで、本当に勿体ない。

両キーパーの活躍によって締まった試合になりましたが、チーム状況は大きく差がありますね。まだHSVも完成されているようには見えませんが、比較対象がバイエルンではよく見えてしまう。特に前半のラームの扱いを巡る迷走とかは一体何だったんでしょう。

Liga Espanola Jornadas 5. レアル・マドリー対テネリフェ

2009 年 9 月 27 日 日曜日

■Real Madrid 3 – 0 Tenerife
前半だけのことをいえば、マドリーがするサッカーはメンバー表を眺めていた方が面白いと思えるくらいに退屈なものでした。テネリフェはプレイ精度こそ物足りないものの気持ちの面と動きでは十分すぎるほどに見る方を刺激してくれるので、そちらを目当てなら退屈はしないでしょう。

試合への入り方からテネリフェは思い切っていましたね。昇格クラブらしく引いて守るのではなく攻撃的な姿勢そのままに前から当たりに行くことが多く、それぞれが連動こそしていませんでしたが、きっちりと前へ向かう意識を削げていました。クリスチアーノ・ロナウドも囲い込むことでカウンターから突破を許してしまわないようにしていましたし、最初のファウルでクリスチアーノ・ロナウドが痛がる素振りをしたことに、それをやられたくない視が透けて見えるようでした。
思いっきり当たられる左側にポジションを取り続けることはそれほど無く、右や中央にポジションをある程度移してくれるお陰でベンゼマはこれまでの試合よりは多少動きやすそうでしたね。自分の得意な左に流れることが出来て、不慣れなゴール前に張り付かなくてもいい。ただ、マドリーの守備から攻撃へ移る動きが前半は最悪とも言っていい内容で、フォワードの三人が守備の際にチェイスをする出もなく戻ってプレスに参加するわけでもないから、ボールを奪ったとしても近い位置にパスコースが無く、テネリフェの守備と相まって長距離のパスを安定して狙えるほどの時間も得られなかった。カウンターに特化していれば、それでもなんとかやれるんでしょうが、そうではないベンゼマにロングボールを当てようとしたり、クリアで逃げるだけでは攻撃が立ち行かなくなるのは明らか。選手間が広く開いているため、攻撃に移ってしまえば後ろから上がってくる選手がおらず、長い距離のパスはカットされやすく、殆ど動きも見られなかった。

テネリフェはやはり力の差が見え、パスで崩して繋いでいけるだけの精度がないようにも見えました。高い位置でカウンター出来たり、精度を欠いたパスをカットしスピードに乗って攻められるようになってからは無理をしてでも中で繋ぐこともするようになり、それでリズムを作っていったようでした。連動性を持って攻撃を続けるだけの意識を持っていて、中盤も左サイドバックが動いているため、こぼれ球を拾う回数が多く、前半の主導権はテネリフェにあるようでした。もっと逆サイドを見る意識が徹底できていれば、片側に寄せて人数をかけて守るテネリフェとその状態から守備になるマドリーで渋滞しているサイドから逃れて幅広い攻撃が出来ていたかもしれません。それほど逆サイドへのスペースがあったんですが、パスの精度には乏しく、クロスのスピードも緩やかなものが殆どの状況ではチャンスにはなりきれなかったのかもしれませんが、果敢でいいですね。連動性もあり、サポートも出来ている。一人一人の間隔はいいものの、テクニックに問題があって、繋ぎきれないこともある。物足りない部分も多いものの、それを気持ちで補っているかのようなプレイの数々もいいですね。マドリーが全く駄目、と言うのもありますが、ミケル・アロンソは相変わらずさすがの働きでした。

クリスチアーノ・ロナウドはスペースが必要なプレイヤーで、中盤で形が作れず、良い形でボールをもらえない環境では苦しく、それが殆どの時間で続いていました。ボールを受けられないのであれば中に入って、得点を取ることに特化することができる選手でもあるんですが、形もなく前へ運ぶ選手が乏しい中ではそれをしてもどうにもならないわけで、彼がボールを受けなければならない場面は出てくる。ベンゼマの役割も似たようなものでドリブルで前へ運ぶ場面こそあっても他が動いていないからパスコースが無く自力でなんとかしなければならなくなる酷な環境でした。パスにしても動いてもらえない分、読まれてカットされやすく、ミスの印象を強く残してしまいますしね。
そんな中でも点が取れてしまうのがここ最近のマドリーで、例によってクリスチアーノ・ロナウドが横へスライドするドリブルからシュートまで持って行ったのはその典型的な形でしたね。それも決まらず、ラウールがこぼれ球に反応した彼らしいプレイも結局キーパーが防いだわけで、多少の活性化させる要素にはなったものの得点には至らず、ベンゼマはマークで動きを封じられ、クリスチアーノ・ロナウドの下がって受けようとしているが、他の動きが乏しいために精度が整わず、狙い所をはっきりとさせられている。ラサナ・ディアラもあまり動けず、前後のつなぎも出来ない。後半開始からカカとグティが入ったのも納得でしたね。

まだ交代から明確な形を作って流れを引き寄せる前に得点してしまうのが、最近のマドリーですね。個々の技術がしっかりしているからこそなんですが、テネリフェの頑張りとそれまでのさっぱりな流れを見る限りでは、この試合だけはこの形を見たくありませんでした。

先制点以後は、攻撃の繋ぎにカカが下がってくるようになり、最後尾からのパスを安定して預けられる場所が出来るようになった。クリアで単純に逃げるのではなく、繋げるようになったお陰でぶつ切りにならないまま攻撃へ出られるようになり、カカへ戻るのに合わせて相手を引き出しつつ繋ぎ、それがカカにまた戻されドリブルで上がっていける。一度預けているが故にスペースは十分に出来ており、それを上手く利用できるようになった。カカが下がって受けても、前の人数が減ったわけではなく、それが攻撃のスムーズさにも繋がっていましたね。交代したグラネロは下がっていたわけですし、同じく入ったグティは下がりきらないわけですから前に人数は増え、で、勿体ないミスから事故のような失点で二点差。
本来ならこれで勝負ありなんですが、テネリフェは最後までよく粘ってましたね。マドリーの攻撃にスピードが出てきて、全体が動くようにもなった。パスを繋いでいる間に後方から選手が上がってくるようになり、人数がかかるようになり、人が動いているからボールが動くようになる。テネリフェは人については守れていたものが、スペースを気にしなければならなくなり、スピードに乗ったドリブルも気にしなければならなくなって、攻撃に出られていたのが守備に忙殺されるようになり、スタミナも切れて前へ追い抜く動きは一時的に減って期待できなくなった。
気持ちはそれでも折れておらず、攻撃に出る姿勢をマドリーの攻撃を受けきった後から再び出すようになったのは驚きでしたね。十分に攻撃になっていてゴールを脅かすプレイも何度もあってカシージャスが連続してピンチを抑えきらなければ、どうなっていたことやら。もしくは、テネリフェにそれを決めきるだけの力があれば。
そこで決められなかったからこその三点目をカカに決められ、さすがに逆転は難しく同点も期待できなくなりましたが、諦めない姿勢はいいものですねぇ。

FIFA10(DEMO) – FIFA09に戻れません。

2009 年 9 月 25 日 金曜日

FIFA10のデモをプレイして以来、さすがに似たような感覚である程度プレイできるとはいえ、前作に戻ろうという気持ちにはなれないので、日本語の体験版へ変更して対戦してみました。その間にPES2010の体験版を自分自身はプレイしましたが、対戦で使うほどではないと判断しているため、そちらでの対戦予定はありません。
書き忘れましたが、対戦は全てleia v ショウ。また明るさの設定をし忘れたので見づらいままです。

■FC Barcelona 0 – 1 Chelsea
最初からスキルムーヴ前回で色々やられてなかなか奪えなくて困りました。早めにチェックして奪おうにも色々ボールを動かされるために飛び込めず、コースを切って塞ぐだけ、というのになってしまっていました。お陰で前半は押されっぱなし。クロスのコースに体を入れて防ぐようになったお陰で、自分の守りたいように守れるようになったのはいいんですが、相変わらずコーナーキックの守り方がいまいち解らない。ど真ん中をいつも開けてしまっているので、カーソルを切り替えている間に入られて終わり。後半も大して状況を変えることが出来ないまま。

■Bayern Munchen 3 – 1 Marseille
パワーの違いは如何ともしがたいようで、コントロールミスをしたところへ寄せて奪ってカウンターがこの試合の定番となりそうでした。ただ、前半の失点はゴールキーパーの資質による問題なのか、それともAIの致命的な欠陥なのかわかりませんが、唖然としたのは事実。何故あれを触ろうとしなかったのか不明です。そしてPK、レッドーカードの判断も釈然とせず、それまで流す判断が向上して信頼し始めた審判の機能に疑う余地が出てきた感じですねぇ。ただその後はそういったものも含めてサッカーですから、人数が足りないところをしっかり突いて得点をさせていただきました。

■Juventus 0 – 0 FC Barcelona
終始攻められっぱなし以外に書くことはありません。最後はきっちりとフェイントを入れられて失点したものの、終始攻められっぱなしだったわりによくこの一点だけで済んだものだと思えるぐらいに酷かったです。

■Chelsea 0 – 0 Bayern Munchen
サイドに進出してクロスを上げても、どうにもこうにもランパードの所に飛んでしまって得点チャンスにはいたらず。
以前の試合で審判への不信感を持っていたんですが、この試合は十分なジャッジをしてくれて満足。関係のない選手へスライディングをしたら、きっちりイエローカードをもらいましたし、先にあったファウルを流してプレイが続いていたんですが、そこにもきっちりとカードを出してくれました。先の試合での判断が異常だっただけで、改善はされているんですね。

Liga Espanola Jornadas 4. ビジャレアル対レアル・マドリー

2009 年 9 月 24 日 木曜日

■Villareal 0 – 2 Real Madrid
これまでこれまで強豪らしい強豪と対戦していないマドリーが大勝を繰り返しても、本当は何処までの試合が出来るのか気になっていたんですが、その相手がペジェグリーニの前の指揮クラブというのはなんとも。ビジャレアルはマルコス・セナもピレスもスタメンに名前が無く、マドリーはラウールとベンゼマがベンチ。個人的には前の試合でベンゼマと「他の選手」の共存は難しそうだと思っていたのでこれでいいのかもしれません。

ビジャレアルは試合開始当初から、高い位置の守備を目指してディフェンスラインを高く保ち、攻撃においてもショートパスを繋ぎ崩していくスタイルを継続しているようで、前任者からの大きな変化は見られませんでした。守備では厳しく当たりつつ、ボールを受ける動きをする選手にはきっちりとマーカーが付ききり、簡単に収めさせず、収めさせても簡単に展開させないことを目指しているようでした。そのやり方はマドリーの攻撃が個人技に頼っている現状ではうまくいくかのように思えたんですが、個人技に頼っている状態だからこそやられてしまいました。
マドリーはクリスチアーノ・ロナウドでカウンターを狙えるわけで、受けに戻れば選手が引っ付いてくる。それをフェイントなり何なりで抜いてしまえば広大なスペースが出来上がる。それでスピードに乗れば迂闊に飛び込めない状況が出来上がり、簡単には止められない。その間にミドルシュートというデジャヴのようなゴールでしたね。昨季後半にマドリーがしていたカウンターサッカーがクリスチアーノ・ロナウドとカカといったカウンターに特化することの出来る存在によって極まってきた感がありますね。さらにこの試合はイグアインもいましたから、時間のかかるプレイをする選手がおらず、よりカウンターに特化しているようにも見えます。

これまでの対戦相手はマドリー相手に戦力とスタイルの関係上前から来ることが少なかったので、その傾向が強く表れていなかっただけかもしれません。監督の発言から見れば、ビジャレアル時代のようなサッカーをしないというのは明確で、だとすればこうなるんでしょうね。ビジャレアルのスタイルはカウンターを狙ってみるには格好のテスト材料で、パスを繋ぎ、人数をかけて連動を目指している。守備も前から積極的に奪いに来て、リトリートして後方のスペースを埋めようとするものではない。そういう戦い方をすればどうなるか、というのを見事に示されましたね。その後のペースダウンや明確なチャンスを自分たち主導で殆ど作れなかったことからもそう考えて良さそうです。

ビジャレアルは得点を取られて以降も攻撃を緩めたり精神的に落ち込んでしまうわけではなく、高い集中力を持っていました。選手をワイドに配置してカニとサンティ・カソルラの二人が開き、ボールを受けて縦にコースを目指す。サイドバックも上がりを選択して相手をワイドに開かせ、そこから中へのパスを選択することが多いんですが、最終的にはニウマールとロッシが相手のディフェンスライン前でプレイすることがメインとなっているのが前任者の時と変わらず、嵌ってしまうと形すら作れないままシュートの本数も増えない状況のまま改善されてません。
ポストプレイや受けてからワンツーを目指したり、ワイドに開かせておいて中で勝負するにしても、結局はフォワードの二人がディフェンスラインの前でプレイするだけに留まるため、相手の裏を取るための飛び出しを繰り返したり、しないためにディフェンダーの集中は前に向けておけばいい。裏を狙われない対応のしやすさからパスコースを読まれてしまったり、囲まれてしまうことばかり。あとはボールを収めたとしても、受けて振り向くとか、横にパスを出して斜めから中へのシュートを狙う動きをするのは分かりきっていて、変化の少ないものでした。ピレスがいれば近い位置から裏を狙ってくれることもあるでしょうし、キープ力から変化をつけるだけの時間を得ることが出来るのかもしれませんが、この日のピボーテ二人らにはその期待は出来ません。マルコス・セナがいればミドルレンジの展開もあるんでしょうけどね。
右のサンティ・カソルラが中に入ってパスを出しに来ることで変化をつけようとしている部分があるんですが、あまりにもサポートが多すぎるのも問題なようです。特に前方の選手が戻ってくるサポートが多く、後方からサポートに上がってくるのではないのが問題で、前へ向かい、繋ぐプレイを多用していながらボールを追い越していく選手は少ない。むしろ、前の選手がボールを欲しがって戻ってくることが多く、距離が近くパスを細かく繋げる環境になるけれど、近すぎてマークを引き寄せてしまったり、前の人数が減って出し所を限定されていまったり、抑えられたりと、やろうとしているプレイスタイル故に自分たちで自分たちの首を絞めているかのような気もしますね。時間の経過と共にそれは改善の兆しは見えましたが、根本的な改善は出来ないわけで望み薄でした。
あとは左側をサイドバックとして出場していたラサナ・ディアラに縦のコースを切られるのを徹底されているため突破できず、右から縦へ進ませてくれるマルセロの所を利用してクロスを上げられるものの、そこの縦へのコースを開けたり、カバーに来られないだけの崩しをするのには時間がかかって、テクニックがあるとは言えないアンヘルが入れるようになっていたのが残念ですね。

マドリーのカウンターになったときに一度減速させてしまえば、拙い連携に早変わりして、これまでの対戦相手との試合同様にスムーズさが無く、どこから裏へ出るのか、誰がサポートするのか明確ではないものになっていましたね。それぞれのアイデアが遺憾なく発揮されればそれだけで繋がり得点のチャンスになってしまうこともありますが。多くのサポートの距離が遠く、特に半分より後ろで持ったときに動き出す選手が少なく、ミドルレンジのパスは狙えず、繋いで構築の一歩目がないために連動性など期待できない。それどころかマークを受けている選手がボールを逃がすところさえ作れていないのだから、それが徹底されているビジャレアルと見比べると違いがよく解りますね。

ゴンサロ・ロドリゲスの退場も、それまでにも審判への判断への不信感がありましたが、仕方ない判断でしょう。試合を決定づけるかと思われたその退場があってもマドリーの攻撃がスムーズさを欠いたままで数的有利な状況を全く活かせず、それまでと変わらないようにビジャレアルが主導権を持ちつつ攻撃をしていたのには驚きました。
それでもビジャレアルの両フォワードの動きは捕まれているのは変わらないわけで、チャンスにはなりきれません。変化が多いわけでも、個人技や強烈な身体能力があるわけでもない。周りが追い越したり飛び出したりしながらマークを剥がす努力をしてくれるわけでもない。となるとマーカーは比較的楽で、ロッシはマークに付かれたままシュートを狙う場面が殆どで、シュートはそれなり打ちましたが、チャンスらしいチャンスは一度くらいでしょうか。

マドリーはアンヘルの二度目の失敗からペナルティキックを得て追加点を決めたわけですが、基本的な攻撃は数的有利を活かせず、相手のマークを受けずにプレイしても崩しきれる何かが足りない。ビジャレアルがミスをした所を突いて裏へパスを出すことが出来る程度で、自分たちが先に動いて崩したのではなく、相手が動くのを待ってやっているだけに過ぎない。後出しじゃんけんのような確実さを求めているだけ。右サイドバックのアンヘルが、普段は熱くなって精度を落としていく側のクリスチアーノ・ロナウドに逆にやられて熱くなって精度を落としていく程度でしたし、状況判断もキックの精度もいまいち。左サイドバックのカプデビラが素晴らしい判断力と状況認識を持っているだけに、余計に右の対応の悪さは状況判断のズレが気になりますね。ハビ・ベンタが出られるだけの状況なら彼の方を出しておきたいところでした。結果から判断すると、というせこい意見ですが。

Liga Espanola Jornadas 4. ラシン・サンタンデール対バルセロナ

2009 年 9 月 23 日 水曜日

■Racing Santander 1 – 4 FC Barcelona
ラシンとは相性が悪いので戦前は危惧していたものの、殆ど問題はなく、スコアも大差で安心しました。ある程度チームとしてのコンディションも上向いてきたような印象も受けますし、他のクラブが成熟し切れていない段階でこれだけできれば心配することはなさそうです。

ラシンは序盤引いて守り、ペナルティエリア内ぎりぎりにまで下がって守っていて全体が下がってバルサの攻撃を迎え入れようとしているように見えましたが、一人一人にマークが密着して付いて抑え切れておらず、緩いゾーンが形成されているだけでそれぞれの間隔も広く隙間が大きくあるように見えました。ディフェンスラインだけではなく、中盤からその傾向が強く、バルサが一つ突破することが出来れば安定して前を向くことが出来ていました。広く開いているためにボールを収めてから次の動作に移るまでに余裕があり、次のスペースにも余裕がある。パスで構築したりワンツーはある程度出来るため、ディフェンスラインは当たれない環境で前へ出てくることが出来ずに低くあって前を向かせてくれるだけ。ボールを前を向いて受けることが出来れば、引いて守る相手に対してミドルシュートを打つことは難しくなかったので開始早々には多く打っていましたね。
守備が前から来ないので基本的には後方から当たってくるだけなんですが、それではドリブルを止めることも難しいわけで、メッシのドリブルは囲まれて止められているものの、それは密集に突っ込んでいるせいでしょう。

ただ、バルサの攻撃はシャビの長短のパスや組み立てるボールによってシュートまでいっているのではありません。攻撃を高い位置まで繋ぐのはシャビやケイタだったんですが、実際にシュートまで持って行ける環境を作っていたのは、アンリとメッシのアイデアだけでフォワード三人のアイデアと技術によって何とかしているだけで、実際に崩している雰囲気は薄いものでした。相手の守備の悪さにつけ込んでいたからこそできることで、これが出来る選手たちだから攻めているように見られた。
それが改善されたのは得点一歩前のピケが負傷してピッチの外に出ていた時間でしょうか。セルヒオ・ブスケツがセンターバックに入り、ケイタとシャビの二人がピボーテの位置に下がってプレイしておくことで、ボールをスムーズに中盤に吸い上げることが出来るようになりましたし、前を向いて常にボールを扱えるようになった。それが得点に繋がるファウルを呼び込む結果になったのでは、と思っています。

実際の得点はメッシとイブラヒモビッチの素晴らしさによるものですが、その得点以後からフォワード三人による攻撃だったものが、徐々にシャビを含めた攻撃に変わっていった。ラシンのプレスが中盤にもあまりかからなくなってきて、シャビとケイタが縦関係ではなく横へのパスを繋げるようにもなっていましたし、メッシが低い位置に戻ってきてそれぞれと近い位置になって、パスを交換しながらドリブルを使っていけるようにもなりました。それまで高い位置の人が詰まっていたところへ突っ込んでいっていたドリブルとは違い、パスの交換から相手を引き出して、引きはがしながら突破を狙っていたために無謀な突破だとは思わなくなりましたね。
ラシンは中盤で守備が出来ず上手く機能しないため、バルサの中盤から前を連動させてしまっていました。その原因の多くはピボーテがきっちりプレスをかけていかなければならないのに連動したチェックが出来ず、センターバックと中盤も連動できずに押し上げてスペースを消していくことが出来なかった。メッシとシャビ、ケイタを近い位置でプレイできないように引きはがしていかなければならないんですが、きっちり引っ付くわけでも激しく当たるわけでもないため、それぞれがポジションを変えながらパス交換をしていくのを許していました。
上手くメッシがポジションを下げていて、マークが緩くバルサの構築が出来る中盤に入り込む。メッシとシャビとケイタが同列のようにして振る舞う時間帯が多く、それがフォワードの距離感を保つ役に立っていましたから、それぞれがボールを持っている最中に当たられてもすぐにパスでかわすことが出来、二人三人と連動して奪いにくることが出来ていないため、楽に攻撃をさせてもらっていましたね。

ラシンはカウンターを基本にしていて、スピードのあるヘイホが前に走り、その後方からムニティスが追い越していく形が基本で、それを囮にムニティスがキープをしてサイドバックが上がったところやピケのスピードのないところへ出すことを狙っている雰囲気がありました。ブスケツも中盤でムニティスに入ったときにマークに付く役割を担っていましたが、クイックネスでは大きく負けていて、掴まえるのに苦労していて危険な要素を含んでいたものの、結局はパス自体が数多く繋がらないため、個人の力に頼るところが多く、横に人数をかけられないため、ムニティスのキープ力だけでしたね。

バルサは後半になって、アトレチコ戦ほどではないものの集中が切れている部分が見受けられるようになりました。特にディフェンスラインとキーパーとのやりとりが不明確になっている事が多く、相手が得点を取りたくて前から向かってくる部分に対応せず、繋ごうとしてミスを作り、ピンチになってしまうことが少なからずありました。低い位置で囲まれるようにもなりましたし、パスミスから失点しそうにもなった。クリアをしなければならない場面でもクリアをせず繋ぐのもバルサの姿勢なんですが、あまりにも状況が悪い中で繋ぎ、不用意な方向やタイミングで蹴っているのは気になります。アトレチコ戦一試合だけならいざ知らず、二試合連続でやってしまうのは駄目です。

その守備のミスもありつつ、徐々にラシンにサイドから攻めてこられるようになってしまいました。サイドバックの裏側を突いてくる頻度が上がり、ピボーテの守備がある程度運動量を増してくるようになり、まだディフェンスラインの押し上げが不十分であるものの、選手交代によって活性化された雰囲気は十分にありましたね。ただそれが災いして、四点目となるメッシのゴールを呼び込んでしまっていましたが。サイドからの攻撃、とりわけダニエウ・アウベスの裏を狙い飛び出しを続けた結果、カウンターから早い段階でメッシにボールを渡せてしまえば、対応する選手がサイドバックの一枚だけになり、二人で囲い込むのではなく、一人でコースを限定しなければならなくなってしまっていました。お陰で中へのカットインが出来てしまい、あの誰も限定が出来ていない状態でディフェンスラインを上げるのは難しく、不用意なものになりかねないために仕方がありませんでしたね。

勝負が決まってその後はバルサがさらに緩めてしまったために、試合の流れは変わってしまっていました。ラシンがバルサのディフェンスラインが持っているときに前へボールが出てこないようにプレスをかけたりパスコースを切ったりしているのも、中盤が受けに戻らないからこそ効果的に効いているようでしたし、前へボールが出たとしてもイニエスタの投入からフォワードの状態が変わってしまっていたためにフォワードが孤立していてディフェンスラインを上げやすくなり、ラシンは中盤の守備の密度をある程度上げられていました。

フォワードに入ったイニエスタですが、下がってくることが多く左右関係なくポジションチェンジをする。それは状況によっては非常に良いことなんですが、この状況ではそれをやってしまうとペドロも含めて中盤に下がってしまい、代わりに上がっていくメッシもいない。中盤の高い位置でフォワードと近い関係を保ち、その二枚ないし三枚で崩せるだけの距離感ではなくなってしまっていました。その影響からボールを保持する位置が下がってしまい、高い位置をワイドに使い切って組み立て直したり、相手へ脅威を与えつつ押し込んでいく事が出来なくなっていました。高い位置でキープをし続けられなくなると、ただでさえ省エネの中では高い位置から奪うことが出来ず、裏へ出すボールも、フォワード同士ののアイデアで何とかできていた時間帯では近い距離からだったものが遠くなり、よほどの精度とスピードがないかぎり通らなく、成功しなくなった。高い位置で回せないから、ラシンも中盤とサイドバックが下がり切らなくなり、攻撃に枚数をかけてこられるようになり、ラシンにディフェンスラインを高く保つ勇気も与えるようになってしまった。

大差で勝つのもいいんですが、苦しい試合の時にこの後半途中からのようなプレイが影響しないことを願いたいものです。