■Real Madrid 3 – 2 Deportivo de La Coruna
マドリーの攻撃が公式戦でどれほどのものか、というのに注目が集まっていたと思うんですが、開始早々から機会はありました。いきなりのチャンスをラサナ・ディアラが演出したましたが、そこはギャンブルでもありましたね。ホイッスルが鳴ってしばらくの間のデポルティボは前からプレスにきていて、マドリーのセンターバックはプレスの勢いに負けてペナルティエリア前まで下がっていった。出所を抑えに来ている最中に安易にラサナ・ディアラにボールを出したものの、彼は囲まれていたわけで、一歩間違えばそこで奪われショートカウンターから大きなピンチを招いたかもしれない。ピンチの方が先に訪れていれば流れを掴むこと無くやられていたかもしれない、と思うほど危うい気がしました。辛うじてそこを個人技で前を向けたから良かったものの、状況としては詰まっていて危険でしたが、だからこそ裏がぽっかりと空いていたわけで、チャンスを作れたのもそのお陰。これを開始早々に見せられたため、デポルティボは受け身に回り、その後の流れが決定づけられてしまったんですが、デポルティボの出方としてはよかったんじゃないかと思ってます。
攻撃の面で最初から見せ場を作ったものの、マドリーの守備はいまいち。守備に回ったときに存在する人数が、センターバックの四人と中盤底の二人が戻ってきて守るのみで、それより前の選手が後方に下がってスペースを埋める場面は少なかった。その4+2の人数しかいない所にサイドへ入り込まれれば、きっちりと整えられたラインを崩して移動することは出来ず、サイドバックの所に人数がかかってくれば二人で守らなければならなくなる。となると前から下がってくる選手のカバーが期待できないだけに、中の人数を犠牲にしなければならない。センターバックが対応のために出てしまえば、中盤の二枚がバランスを取ろうとするもののの、それぐらいなもので、特に逆サイドへ展開されると、片側に寄せて対応する中盤が逆サイドへ移動するまでには時間がかかり、ディフェンスラインも片側に寄せなければ守れない人数なのでフリーになりやすくなる。
もし前線からのプレスがあれば後方が限定してカットを狙うことが出来るんでしょうが、それを行うのはラウールぐらいしか期待が出来ず、ラサナ・ディアラが高い位置を取ったときには彼と二人で行う程度。だから最後尾でボールを奪えても戻って守備をしないせいで距離が開きすぎてディフェンスラインからパスで繋ぐことは難しく、クリアになりがち。フィード能力に優れた選手がいますから、その選手に任せれば、というのもありますが、奪った瞬間に出し所が少ない、限定されるのは大きいですね。
マドリーの攻撃はワイドに使うものが中心で、中央もカカを中心に使っていましたが、主なエリアはサイド。サイドバックを高い位置に上げさせて最もワイドに開かせることができているのは、圧倒的な攻撃陣に釣られて守備陣が中に入っている影響もありますが、デポルティボがそれでいいとしているから、というのもあるでしょうね。中央に人数をかけて縦の突破をさせず、ドリブルでスピードに乗らせない。パスの展開をさせてスピードを落として深い位置にまで入り込ませてしまえば、クリスチアーノ・ロナウドの持ち味のドリブルも、止まった状態やゆっくりとしたものであれば二人でコースを切ってしまえばなんてこと無く防げるわけで、あのフェイントも効果はさっぱり無い。
仮にスピードに乗った状態でサイドへ出されたボールにクリスチアーノ・ロナウドが対応し、スピードに乗ったままドリブルできたとしても中に入り込む余地が無く、精度のないクロスを上げるばかりで封じ方としては上手いものでした。カカのドリブルにしてもスピードとスペースが必要ですし、ベンゼマにしても同じ。如何にそのスペースを消してしまうかと考えて、中央を潰し、サイドを開けておいたのはそういうことなんじゃないかと思ってます。
中央の高い位置を抑えられたことで、マドリーの後方には試合開始時にかかったようなプレスは一切かからなくなり、低い位置から上がってくるラサナ・ディアラが配球の役割を担うことが殆どでした。昨季もそのような形になる事が多かったので違和感はありませんが、そのころは一応弱点でした。よくボールを奪い、よくボールに絡むお陰で、そのポイントを抑えてしまえば奪われた瞬間にプレスをかけて奪い直してカウンターが出来た。だけどこの試合のこの状況では、そのポイントに人数をかけられないために自由にボールを出せる環境が出来上がっていました。パスセンスもあり、視野も広い。それでもキープ力に難があるというか、プレスへの対応力には難があったわけで、デポルティボはここを安全な選手として自由にさせすぎましたね。狙い所だったのに。
ラサナ・ディアラは得点も決めましたし、パスの面でも大きく貢献した。けれど彼のパスは、サイドバックなり何なりを動かすだけのパスを出しているわけではなく、動きに対応するパスや、フリーの選手へ出されるパスであって、彼がゲームをコントロールできるわけではない。前へ向かう選手の勢いを殺してしまうパスも何度かあったことですし、この位置で本来ならもっと攻撃に力のある選手が持てばいいんですが、それも難しい。途中交代でラサナ・ディアラが高い位置に上がったあとの攻撃のリズムが掴めずキープも出来づらくなったことでプレスのある位置に来ればラサナ・ディアラが安定した配球を出来ないことを示したようなもので、攻撃の選手、例えばグティがあの位置に入ってしまえば、相手も脅威に感じてフリーにしてくれないことで自由に扱えないわけで、出所の不安はまだまだありそうですね。
三点目を取ってようやくグラネロを入れ、4+3を基本とした守備に変換して、それまでの失点の原因を修正、守備固めをしようとしていましたが、その頃にはデポルティボ側のスタミナが切れていたわけで、守備の課題を修正できたとは思ってませんし、これからもあの攻撃陣がいる限りは無理なんじゃないかと思ってます。そもそもあの攻撃陣が相手の攻撃を封じる役目もあり、守備で相手を引きつけてスペースを作る役割もあるわけで、攻撃が機能しさえすれば何も問題ないと言えるのかもしれませんが、色々と失点する要素がありましたねぇ。そうでなければ金で優勝が買えるなんていうことになってしまいそうなので、研究されて、負ける試合をつくって欲しいですね、たまには。
何はともあれ、バレロンが三点目を先に決めていればもっと面白い試合になっていただろうに。勿体ない。