Liga Espanola Jornadas 1. バレンシア対セビリア

■Valencia CF 2 – 0 Sevilla FC
開幕までの間にバレンシアは財政面の問題から大きく戦力ダウンすると思われていたものの、現在まで大きな戦力低下はなく、痛手だったのはアルビオルぐらいなもので、ビジャもシルバもマタも残ったのは大きな財産でした。セビリアも主軸が抜けることなく補強も出来たのはいいことだったんですが、幾つか抜けた小粒な選手の存在が実は大きかったのかもしれません。
ちなみにバレンシアはヨーロッパリーグの予選を戦っているため仕上がりが早く、対するセビリアは公式戦は経験していないためその点が試合開始前から不安な部分でした。

セビリア序盤の主な攻めはロングボールを受けて落とし、サイドの選手まで回してスピードを活かして切り崩してクロスを狙っていくものでした。カヌーテが如何にボールを受けて味方を利用できるかが勝負で、サイドのペロッティもヘスス・ナバスもスピードとドリブルの技術に優れ、抜く意識を強く持っている選手ですし、二人のフォワードには高さがあり、昨季から継続し戦い方なので不安はありませんでしたが、アドリアーノを怪我で欠いていることで左サイドバックの攻撃力には不安。そして代わりとして守備はともかくある程度機能していたクレスポを放出してしまったことで右も攻撃力を保つことが出来ず、縦の連動はいまいちでしたね。
それに加え試合勘の部分で劣るセビリアは、荒れた芝もあってパスにも苦労をしていました。カヌーテらに預けるパスやサイドへ展開するパスも含めて精度が悪く、前へ向かうスピードを維持できずにボールを失ってしまうこともあり、支配することが難しい状況でしたし、守備に回っても一人目が寄せた後の連動が出来ておらず、それぞれの選手が相手との距離感を適切に保てておらず、チェックが遅れて当たる前にパスで逃げられてしまう。試合の中で徐々に修正されていきましたが、この試合の入り方を失敗したように見えました。
バレンシアはその辺の入り方は徹底されていて、サイドをドリブルで突破しようとしたり、サイドバックとの拙い連携で攻め上がろうとするところにも寄せる速度が速く、囲い込むこともできていて、相手の前へ向かう勢いを殺すことができていました。そういった寄せの早さは適切な距離感によるもので、それらがあるからこそ、セカンドボールも多く拾えてもいました。

バレンシアは序盤からサイドの攻撃を得意とする選手が多くおり、マタやパブロ・エルナンデス、そしてサイドバックの両名を含めて非常にワイドに展開しておくことで、セビリアも同様にサイドから攻めてくるその裏側を狙っている部分がありました。こちらが違ったのはサイドを支配する選手が中へも入り込めるということで、マタやパブロ・エルナンデスは中でプレイをし、サイドバックが最もワイドに展開することもあった。あるいは前に人数が足りない場合には、左右のウインガーが常に高い位置を取ってサイドバックを引きつけすぎないお陰で出来るスペースを、ビジャが左右に流れてボールを引き出すことで安定したフィードを前に送ることが出来ていました。その早いタイミングで展開してサイドを利用する中にあってバネガ一人だけがリズムが違い持ちすぎているように見えました。特にセビリアの対応が序盤よくなかっただけにもっとシンプルに早く出すべきでは。実際には芝の状況が悪く、彼の位置からグラウンダーでカウンターのパスを出したとしても安定しないわけで、多少持ち上がる必要があったのもありますが、個人的にはそんな感じで見てました。

バレンシアが攻撃の主導権を握る中で高い位置を保つようになったことで、セビリアは徐々にカヌーテにボールが収まらなくなっていく。カヌーテ自身にもピボーテとセンターバックがマークに付く機会が増えて余裕を持った落としが出来なくなったこともありますが、それ以上にセビリアのセンターバックからのボールが精度を落としたのが大きな要因でしょう。ビジャの献身的なプレスによってショートパスの精度すら落としてしまう状況にあり、その状況ではいいフィードが届くはずもなく、対応を易しくしてしまう。全体的にバレンシアはチェックを前からしており、奪えばすぐに前に出てくる。そのスピードは速く、セビリアの意識を後ろに向けさせるには十分で、中盤をも下げてフォワードのサポートを無くさせる。カヌーテは下がり目に位置して何とか繋がる位置に移動しているものの、ルイス・ファビアーノは相変わらず一発のパスで抜けられる位置にいるだけでフォワード同士の距離も遠く、よかった頃の近い関係を保てていませんでした。その位置にいたとしてもカヌーテの落としを拾えるわけでもなく、精度の高いパスも期待できない。台形の中盤では、この二人の近くに位置する選手が少なく、前後が分離をしてしまうと孤立を極めてしまうため攻撃ではほぼチャンスがありません。守備は、芝の状態が悪く、パスもドリブルもスピードが安定して出ないことがセビリアを助ける要因になり、徐々に選手の距離感も修正されてきて、プレスもある程度連動できるようになり、少ないタッチで展開できるだけの要素を減らしていて防ぐ目処が立っていただけに残念でした。

そういったフラストレーションもあるのかもしれない。スローインからの再開でロスタイムで、前半をそのまま終了して後半で修正していくのだって悪くなかったし、そもそもそこまでしなくても問題ないほど深い位置からのリスタートでしたから、カヌーテが不必要に激しく行って、不必要なファウルをしてしまい、退場になってしまったのが全てを壊してしまいました。それまで攻撃の起点として彼が体を張り、動き、ボールを受け、落とすことで何とか攻撃を成り立たせようとしていたのに、前後に分離しているところを繋いでいた彼がいなくなったことで、その後は望めなくなりました。
ルイス・ファビアーノが前半にそのカヌーテがやっていたポストプレイ、受ける動きをしなければならなくなり、実際に少しずつやっていましたが、したとしてもその近くに選手がいるわけではなく、バレンシアのピボーテとセンターバックの二つを一人で相手にしなければならず、ボールを奪われるのは目に見えていて、まったく効果的ではありません。
お陰で前でボールが収まらなくなり、キープするのもさらに難しくなったことで一気に中盤が間延びをした。これはセビリアの最後尾が後方に下がりきってしまったことで中盤も下がらざるを得なくなった。フォワードの人数がないことで、攻撃をしても押し上げが出来ず時間も稼げないない。全体が踏みとどまり、押し上げるだけの時間を取れないことが大きく、それがさらにバレンシアの中盤にフリーのスペースを与えてしまい、自由にコントロールし、パスを出せる環境を作っている。そうなるとディフェンスラインを上げようとするのはギャンブルになってしまうわけで、悪循環ですね。

ネグレドを投入したとしても、彼もルイス・ファビアーノと同じく得点間隔の優れたタイプであって、前後のつなぎが出来る選手ではない。体の強さを活かしてボールを納めることは出来るものの、今必要なのは前後を繋ぐ動きで、全体が押し上がるエネルギーを取り戻すだけの環境を作ること。それを中盤でゾコラはよくやっていました。スピードがあり、運動量もある。でも一人でそれをやったとしても難しく、選手交代から中央ではなくサイドになってしまったことで、活性化できたとしても左サイドだけ、という限定された効果しか無く、選手が一人少ない状態は厳しいですね。もしレナトが怪我でもマレスカのような選手がいれば、こういった試合に変化をもたらせたかもしれない。そう思うと抜けた穴は大きいのかなと思ってしまいますね。
アルナ・コネが入ってからは前へ向かう動きだとか、ボールを受ける動きをするようになったものの、それまでの中盤の疲弊が酷く可能性は薄いまま。

その後は両者共に縦へのフィードが中心になり、浮き球が増えて見ている方としては退屈になりつつありました。芝の状態があまりにも悪く、マタやパブロ・エルナンデスがなんとかドリブルで抜こうとしても、芝の状態でボールのスピードが死んでしまって抜けないのだから仕方がない。その酷い芝のお陰で幸運にもパブロ・エルナンデスの二点目が生まれたのだから結構なものです。バウンドがもたらした幸運なシュートになっただけでしたが、あれはクロス。

バネガはどうなんでしょうね。アシストをした部分は見事でしたし、こういうボールが行き来してしまう展開になると、彼のようにキープ力があって、この芝の状態でもドリブルが出来る、そして前へ運び、全体を押し上げられるのは向いているのかもしれません。でもバレンシアのリズムではなかったわけで、もっとスピードに乗れる環境であれば同じようにやっていたのではフィットせずにまたどこかへ、というのもあり得るわけで次節以降に期待、でしょうか。

■Athletic Bilbao 1 – 0 RCD Espanyol
あまりにも酷く眠たくなる試合でしたね。個別の記事を書こうとも思わなかったのでこれに付け足してみました。

ろくにパスでの構築も出来ず前に向かう意識も希薄。簡単にバックパスをし過ぎて、戦う意識を持った選手が少なく、中村俊輔もサイドに逃げているように見えるほど戦う位置、プレッシャーのかかる位置に積極的に入ってこない。安定した収め所となっていたかもしれませんが、他の選手が最初に見るターゲットではなく、前にパスコースがなくなった場合にようやく逃げのパスを出す場所として見てもらえる程度で、ポジション取りをまだ他の選手に理解してもらえていない様子。そして利用方法もまだ思いついてもらえていないよう。
ドリブルで前に持っていく姿勢も見られず、サイドバックの上がりを期待して待ちぼうけ、というのも見られている現状では難しいのかもしれない。もうちょっと戦える選手だ、というのを他の選手に見せておかなければならないでしょう。せめてペナルティエリアに入って自分が競り合いながらでも決めようとする姿勢が見られればいいんですが、そういったタイプでもありませんし、望み薄かな。
ビルバオは多くの公式戦を開幕前に経験していますし、エスパニョールが不幸なことからチームの仕上がりが他のクラブよりも遅れているのもありますが、それを踏まえてもエスパニョール全体が酷い。中村俊輔の評価の前にエスパニョール自体がコンディションを上げていかないと評価も何も――。

代表戦で時間に余裕が出来る分、多少改善できる可能性があるとはいえ、マドリー相手にこんなのでどこまでできるのやら。

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