2009 年 8 月 のアーカイブ

Liga Espanola Jornadas 1. バレンシア対セビリア

2009 年 8 月 31 日 月曜日

■Valencia CF 2 – 0 Sevilla FC
開幕までの間にバレンシアは財政面の問題から大きく戦力ダウンすると思われていたものの、現在まで大きな戦力低下はなく、痛手だったのはアルビオルぐらいなもので、ビジャもシルバもマタも残ったのは大きな財産でした。セビリアも主軸が抜けることなく補強も出来たのはいいことだったんですが、幾つか抜けた小粒な選手の存在が実は大きかったのかもしれません。
ちなみにバレンシアはヨーロッパリーグの予選を戦っているため仕上がりが早く、対するセビリアは公式戦は経験していないためその点が試合開始前から不安な部分でした。

セビリア序盤の主な攻めはロングボールを受けて落とし、サイドの選手まで回してスピードを活かして切り崩してクロスを狙っていくものでした。カヌーテが如何にボールを受けて味方を利用できるかが勝負で、サイドのペロッティもヘスス・ナバスもスピードとドリブルの技術に優れ、抜く意識を強く持っている選手ですし、二人のフォワードには高さがあり、昨季から継続し戦い方なので不安はありませんでしたが、アドリアーノを怪我で欠いていることで左サイドバックの攻撃力には不安。そして代わりとして守備はともかくある程度機能していたクレスポを放出してしまったことで右も攻撃力を保つことが出来ず、縦の連動はいまいちでしたね。
それに加え試合勘の部分で劣るセビリアは、荒れた芝もあってパスにも苦労をしていました。カヌーテらに預けるパスやサイドへ展開するパスも含めて精度が悪く、前へ向かうスピードを維持できずにボールを失ってしまうこともあり、支配することが難しい状況でしたし、守備に回っても一人目が寄せた後の連動が出来ておらず、それぞれの選手が相手との距離感を適切に保てておらず、チェックが遅れて当たる前にパスで逃げられてしまう。試合の中で徐々に修正されていきましたが、この試合の入り方を失敗したように見えました。
バレンシアはその辺の入り方は徹底されていて、サイドをドリブルで突破しようとしたり、サイドバックとの拙い連携で攻め上がろうとするところにも寄せる速度が速く、囲い込むこともできていて、相手の前へ向かう勢いを殺すことができていました。そういった寄せの早さは適切な距離感によるもので、それらがあるからこそ、セカンドボールも多く拾えてもいました。

バレンシアは序盤からサイドの攻撃を得意とする選手が多くおり、マタやパブロ・エルナンデス、そしてサイドバックの両名を含めて非常にワイドに展開しておくことで、セビリアも同様にサイドから攻めてくるその裏側を狙っている部分がありました。こちらが違ったのはサイドを支配する選手が中へも入り込めるということで、マタやパブロ・エルナンデスは中でプレイをし、サイドバックが最もワイドに展開することもあった。あるいは前に人数が足りない場合には、左右のウインガーが常に高い位置を取ってサイドバックを引きつけすぎないお陰で出来るスペースを、ビジャが左右に流れてボールを引き出すことで安定したフィードを前に送ることが出来ていました。その早いタイミングで展開してサイドを利用する中にあってバネガ一人だけがリズムが違い持ちすぎているように見えました。特にセビリアの対応が序盤よくなかっただけにもっとシンプルに早く出すべきでは。実際には芝の状況が悪く、彼の位置からグラウンダーでカウンターのパスを出したとしても安定しないわけで、多少持ち上がる必要があったのもありますが、個人的にはそんな感じで見てました。

バレンシアが攻撃の主導権を握る中で高い位置を保つようになったことで、セビリアは徐々にカヌーテにボールが収まらなくなっていく。カヌーテ自身にもピボーテとセンターバックがマークに付く機会が増えて余裕を持った落としが出来なくなったこともありますが、それ以上にセビリアのセンターバックからのボールが精度を落としたのが大きな要因でしょう。ビジャの献身的なプレスによってショートパスの精度すら落としてしまう状況にあり、その状況ではいいフィードが届くはずもなく、対応を易しくしてしまう。全体的にバレンシアはチェックを前からしており、奪えばすぐに前に出てくる。そのスピードは速く、セビリアの意識を後ろに向けさせるには十分で、中盤をも下げてフォワードのサポートを無くさせる。カヌーテは下がり目に位置して何とか繋がる位置に移動しているものの、ルイス・ファビアーノは相変わらず一発のパスで抜けられる位置にいるだけでフォワード同士の距離も遠く、よかった頃の近い関係を保てていませんでした。その位置にいたとしてもカヌーテの落としを拾えるわけでもなく、精度の高いパスも期待できない。台形の中盤では、この二人の近くに位置する選手が少なく、前後が分離をしてしまうと孤立を極めてしまうため攻撃ではほぼチャンスがありません。守備は、芝の状態が悪く、パスもドリブルもスピードが安定して出ないことがセビリアを助ける要因になり、徐々に選手の距離感も修正されてきて、プレスもある程度連動できるようになり、少ないタッチで展開できるだけの要素を減らしていて防ぐ目処が立っていただけに残念でした。

そういったフラストレーションもあるのかもしれない。スローインからの再開でロスタイムで、前半をそのまま終了して後半で修正していくのだって悪くなかったし、そもそもそこまでしなくても問題ないほど深い位置からのリスタートでしたから、カヌーテが不必要に激しく行って、不必要なファウルをしてしまい、退場になってしまったのが全てを壊してしまいました。それまで攻撃の起点として彼が体を張り、動き、ボールを受け、落とすことで何とか攻撃を成り立たせようとしていたのに、前後に分離しているところを繋いでいた彼がいなくなったことで、その後は望めなくなりました。
ルイス・ファビアーノが前半にそのカヌーテがやっていたポストプレイ、受ける動きをしなければならなくなり、実際に少しずつやっていましたが、したとしてもその近くに選手がいるわけではなく、バレンシアのピボーテとセンターバックの二つを一人で相手にしなければならず、ボールを奪われるのは目に見えていて、まったく効果的ではありません。
お陰で前でボールが収まらなくなり、キープするのもさらに難しくなったことで一気に中盤が間延びをした。これはセビリアの最後尾が後方に下がりきってしまったことで中盤も下がらざるを得なくなった。フォワードの人数がないことで、攻撃をしても押し上げが出来ず時間も稼げないない。全体が踏みとどまり、押し上げるだけの時間を取れないことが大きく、それがさらにバレンシアの中盤にフリーのスペースを与えてしまい、自由にコントロールし、パスを出せる環境を作っている。そうなるとディフェンスラインを上げようとするのはギャンブルになってしまうわけで、悪循環ですね。

ネグレドを投入したとしても、彼もルイス・ファビアーノと同じく得点間隔の優れたタイプであって、前後のつなぎが出来る選手ではない。体の強さを活かしてボールを納めることは出来るものの、今必要なのは前後を繋ぐ動きで、全体が押し上がるエネルギーを取り戻すだけの環境を作ること。それを中盤でゾコラはよくやっていました。スピードがあり、運動量もある。でも一人でそれをやったとしても難しく、選手交代から中央ではなくサイドになってしまったことで、活性化できたとしても左サイドだけ、という限定された効果しか無く、選手が一人少ない状態は厳しいですね。もしレナトが怪我でもマレスカのような選手がいれば、こういった試合に変化をもたらせたかもしれない。そう思うと抜けた穴は大きいのかなと思ってしまいますね。
アルナ・コネが入ってからは前へ向かう動きだとか、ボールを受ける動きをするようになったものの、それまでの中盤の疲弊が酷く可能性は薄いまま。

その後は両者共に縦へのフィードが中心になり、浮き球が増えて見ている方としては退屈になりつつありました。芝の状態があまりにも悪く、マタやパブロ・エルナンデスがなんとかドリブルで抜こうとしても、芝の状態でボールのスピードが死んでしまって抜けないのだから仕方がない。その酷い芝のお陰で幸運にもパブロ・エルナンデスの二点目が生まれたのだから結構なものです。バウンドがもたらした幸運なシュートになっただけでしたが、あれはクロス。

バネガはどうなんでしょうね。アシストをした部分は見事でしたし、こういうボールが行き来してしまう展開になると、彼のようにキープ力があって、この芝の状態でもドリブルが出来る、そして前へ運び、全体を押し上げられるのは向いているのかもしれません。でもバレンシアのリズムではなかったわけで、もっとスピードに乗れる環境であれば同じようにやっていたのではフィットせずにまたどこかへ、というのもあり得るわけで次節以降に期待、でしょうか。

■Athletic Bilbao 1 – 0 RCD Espanyol
あまりにも酷く眠たくなる試合でしたね。個別の記事を書こうとも思わなかったのでこれに付け足してみました。

ろくにパスでの構築も出来ず前に向かう意識も希薄。簡単にバックパスをし過ぎて、戦う意識を持った選手が少なく、中村俊輔もサイドに逃げているように見えるほど戦う位置、プレッシャーのかかる位置に積極的に入ってこない。安定した収め所となっていたかもしれませんが、他の選手が最初に見るターゲットではなく、前にパスコースがなくなった場合にようやく逃げのパスを出す場所として見てもらえる程度で、ポジション取りをまだ他の選手に理解してもらえていない様子。そして利用方法もまだ思いついてもらえていないよう。
ドリブルで前に持っていく姿勢も見られず、サイドバックの上がりを期待して待ちぼうけ、というのも見られている現状では難しいのかもしれない。もうちょっと戦える選手だ、というのを他の選手に見せておかなければならないでしょう。せめてペナルティエリアに入って自分が競り合いながらでも決めようとする姿勢が見られればいいんですが、そういったタイプでもありませんし、望み薄かな。
ビルバオは多くの公式戦を開幕前に経験していますし、エスパニョールが不幸なことからチームの仕上がりが他のクラブよりも遅れているのもありますが、それを踏まえてもエスパニョール全体が酷い。中村俊輔の評価の前にエスパニョール自体がコンディションを上げていかないと評価も何も――。

代表戦で時間に余裕が出来る分、多少改善できる可能性があるとはいえ、マドリー相手にこんなのでどこまでできるのやら。

Bundesliga 4. Spieltag バイエルン・ミュンヘン対ヴォルフスブルク

2009 年 8 月 30 日 日曜日

■FC Bayern Munchen 3 – 0 VfL Wolfsburg
最初の運とミスで溢れた得点がバイエルンに無ければ、どうなっていたか考えたくもない立ち上がり、そして試合内容でしたね。バイエルンだけに限らず、ヴォルフスブルクも酷いものです。

バイエルンの布陣の一部は変更されていて、左にオリッチ、右にミュラーを使った3トップに近い形にしていました。前節でも同じような形は流れの中から見られたので別に驚くことは何もありませんが、少なくとも4-4-2の中盤をダイアモンド型に近い形にしてフォワードと下の一枚だけで攻める状況の改善を目指した、あるいはファン・ハールが慣れたものに替えようとしているだけかもしれませんが、多少の効果があるだろうと見ていました。

実際の出足は非常に悪く、パスがディフェンスラインの右から左に移り続けているだけで、前へ殆どパスが出てこないのはこれまで同様。ただ、それが相手が守備的な布陣を取っているからというのでもなければ、激しいチェックを前線からしているからでもなく、サイドバックの前を軽く塞いでいるだけだというのに幻滅をしました。
バイエルンの攻撃が、ディフェンスラインから始まるのはここ数試合を見れば解ることで、そこから前へ運ぶのに苦労しているのも同じ。サイドバックを少し前に置くことでボールを前に動かし、中の中盤へと渡すことで少しずつ前進していくのがこれまでで、ヴォルフスブルクもそれに対応はしていた。でも徹底したものではなく、サイドバックが前にドリブルを出来ないようにコースを切っているだけでしかなく、奪いに来ているわけでもない。プレッシャーを感じるほど近くにポジションを取っていないのに、ボールを受けて前を向く素振りも、抜こうとする意志も、フィードで展開することもない。非常に消極的に後ろへただ戻すだけで、サイドチェンジのパス以外は、殆ど戻りながら受けて、戻りながら出すだけ。
前にパスが出るとすれば、左に流れて裏を狙うオリッチへスルーパスのみ。彼の動き出しのタイミングと運動量が他の選手とはまるで違うからこそ出せているだけで、他はドリブルでの勝負も極端に少なく、停滞しているのは明らかでした。オリッチへのパスもロングレンジになることが多く、それは精度をピタリと合わせるのが難しいためそれほど怖くない。シュバインシュタイガーに収まらなければ、その先に出てくることは難しいわけで、ヴォルフスブルクも何度かシュバインシュタイガーを使われてからは、修正して彼に渡らないようにしていました。

ヴォルフスブルクも前にボールを出すのには苦労していて、なかなか中盤を経由することすら難しいものでした。ただこちらは前を向こうとする意識を持っているだけマシで、フォワードへボールが渡りやすく、収まりやすい。ジェコやグラフィッチが持てば、全体を押し上げてくるためにバイエルンの守備は戻らざるを得なくなっていく。それでもグラフィッチにポストプレイをさせたり、ジェコを右サイドに出してドリブルをさせるぐらいしかさせなかったのはまだよかった方ですが、徐々に相手のミシモビッチ以外にもボールを持たれる場面が増え、前を向かれるだけにデヤガーが徐々にボールに絡んでいったのも事実。ただ、元々個人技が中心にあったクラブだとはいえ、バイエルン共々不安にさせてくれる内容でした。

バイエルンの先制点は相変わらず運。ヴォルフスブルクのミスもあっての得点で、デヤガー(だったかな)がオフサイドラインの押し上げに遅れたためで、そうでなければオフサイドでした。
全く形が作れず、オリッチ頼みの状況からまるで改善をされていないのに得点が出来たことで、改善されたというよりもヴォルフスブルクがそれまでやっていた、バイエルンのサイドバックのコースを切ることを一時的に辞めてしまったことでバイエルンの選手たちは前を向く努力をし始めてしまい、オリッチのサイドは、彼にサイドバックが付きっきりでいなればならないほど動かれてしまい、そこへシュバインシュタイガーも入ってくる。人が足りなくてプラニッチの前が押さえられなくなったのもありましたし、右も同じようになっていました。ヴォルフスブルクの徹底ミスからバイエルンが主導権を握るようになり、精神的に後ろ向きだった部分が出なくなり、前から来てくれるお陰で楽にパスが出せるようになった。

後半開始時からアルティントップからロッベンへと交代をし、思っていたよりも早くデビューしましたね。
最初はさすがに練習期間もほとんど無かっただけに右の守備面での不安が出てしまい、ただでさえ右に回ったラームのカバーは多く必要とされているのに、その前に位置取るのがロッベンではサポートが期待できるはずもなく、右の守備力が低下してラームのカバーをヴァン・ブイテンが積極的にしなければならなくなった。高い位置からの守備にも力を使えず、アルティントップの上下動を失ったのも多少の影響を感じましたし、引いて守るバイエルンに合わせてロッベンも下がことで、攻撃にかかる時間も多少遅くなり効果的ではなかった。
でも攻撃面ではさすがに相手を引きつける効果が大きく、後半になって再びサイドバックの前を押さえられ始め、前を向く意識を削がれかけたところを、右のロッベンが二枚を引きつけてドリブルをしてくれるお陰で、相手を押し下げてラームが前を向ける環境になり、オーバーラップの回数を増やした。左は継続してオリッチが引っ張おかげで相手中盤の中央まで下げてしまえたのだから、大きな効果といわざるを得ませんね。

63分辺りからリベリーとロッベンが同時出場で本格的に3トップの人材が揃ったものの、オリッチの動き出しに合わせてパスを出していた中盤は、彼が退いたことで一気にパスの出し所を失い、収める場所を見つけて渡せたとしても、スピードに乗っていないところへ出すしかなく、パスのテンポが一気に遅くなってました。
そこに至る前にバイエルンが相変わらず守備はペナルティエリアに簡単に入りすぎてピンチを作り、押し込めていることを利用しブラーフハイトが高い位置を取りすぎた裏を狙われてピンチになったものもあった。サイドバックの裏や抜かれた後をケアするのはやはりセンターバックで、そうなるとクロスを上げられれば、対応するのは残る一人だけ。そこに二人は入り込まれたのだから大きなピンチになるのは当たり前で、ブットが防がなければ、攻勢に出ていたバイエルンはひっくり返されていたかも、というのがあったわけで、不安視していたんですが杞憂だったようです。

ロッベンとリベリーの快足カウンターはさすがに切れ味が鋭く、二点目のゴールも上手く抜け出し、シュートが運良く相手に当たってコースが変わってゴールしたものでしたが、そこまでのカウンターは理想的な形で得点の匂いのするものでした。
三点目以降のロッベンとリベリーの快足カウンターは圧巻でしたね。守備をしなくとも、これを形にしてしまえば得点を取るのは難しくなく、リードしていて相手が出てきてくれるからこそとはいえ、ロッベンのゴール前での冷静さは武器で、ようやくリベリーと同じレベルでプレイできる選手がバイエルンの一員になった、というところでしょうか。この二人なら同じイメージを共有してプレイできるかもしれませんし、スピードとドリブルはブンデスリーガでは抜け出ているから対応もしづらいでしょう。活躍しているオリッチの扱いが難しくなるものの、少なくとも、彼一人に頼らなければならない状況からは改善され、三枚のスピードで勝負できるかもしれない。ゴメスに固執せず、二人のウインガーのコンディション次第ではあるけれど。

立ち上がりは酷かったものの、結果は非常によく、ロッベンが入ったことによる可能性も見えましたし、バイエルンのファンにとっては好材料。チームとしてはまだまだで、欧州の舞台で戦えるレベルにあるかどうかは疑問符が付きますが、なんとかなるのかもしれない。ラフィーニャが加入しても根本的な解決になりそうもないのが気にかかりますが。

それにしても、ヴォルフスブルクも駄目ですねぇ。ドイツ勢のチャンピオンズリーグが本気で心配です。

Liga Espanola Jornadas 1. レアル・マドリー対デポルティーボ・ラ・コルーニャ

2009 年 8 月 30 日 日曜日

■Real Madrid 3 – 2 Deportivo de La Coruna
マドリーの攻撃が公式戦でどれほどのものか、というのに注目が集まっていたと思うんですが、開始早々から機会はありました。いきなりのチャンスをラサナ・ディアラが演出したましたが、そこはギャンブルでもありましたね。ホイッスルが鳴ってしばらくの間のデポルティボは前からプレスにきていて、マドリーのセンターバックはプレスの勢いに負けてペナルティエリア前まで下がっていった。出所を抑えに来ている最中に安易にラサナ・ディアラにボールを出したものの、彼は囲まれていたわけで、一歩間違えばそこで奪われショートカウンターから大きなピンチを招いたかもしれない。ピンチの方が先に訪れていれば流れを掴むこと無くやられていたかもしれない、と思うほど危うい気がしました。辛うじてそこを個人技で前を向けたから良かったものの、状況としては詰まっていて危険でしたが、だからこそ裏がぽっかりと空いていたわけで、チャンスを作れたのもそのお陰。これを開始早々に見せられたため、デポルティボは受け身に回り、その後の流れが決定づけられてしまったんですが、デポルティボの出方としてはよかったんじゃないかと思ってます。

攻撃の面で最初から見せ場を作ったものの、マドリーの守備はいまいち。守備に回ったときに存在する人数が、センターバックの四人と中盤底の二人が戻ってきて守るのみで、それより前の選手が後方に下がってスペースを埋める場面は少なかった。その4+2の人数しかいない所にサイドへ入り込まれれば、きっちりと整えられたラインを崩して移動することは出来ず、サイドバックの所に人数がかかってくれば二人で守らなければならなくなる。となると前から下がってくる選手のカバーが期待できないだけに、中の人数を犠牲にしなければならない。センターバックが対応のために出てしまえば、中盤の二枚がバランスを取ろうとするもののの、それぐらいなもので、特に逆サイドへ展開されると、片側に寄せて対応する中盤が逆サイドへ移動するまでには時間がかかり、ディフェンスラインも片側に寄せなければ守れない人数なのでフリーになりやすくなる。
もし前線からのプレスがあれば後方が限定してカットを狙うことが出来るんでしょうが、それを行うのはラウールぐらいしか期待が出来ず、ラサナ・ディアラが高い位置を取ったときには彼と二人で行う程度。だから最後尾でボールを奪えても戻って守備をしないせいで距離が開きすぎてディフェンスラインからパスで繋ぐことは難しく、クリアになりがち。フィード能力に優れた選手がいますから、その選手に任せれば、というのもありますが、奪った瞬間に出し所が少ない、限定されるのは大きいですね。

マドリーの攻撃はワイドに使うものが中心で、中央もカカを中心に使っていましたが、主なエリアはサイド。サイドバックを高い位置に上げさせて最もワイドに開かせることができているのは、圧倒的な攻撃陣に釣られて守備陣が中に入っている影響もありますが、デポルティボがそれでいいとしているから、というのもあるでしょうね。中央に人数をかけて縦の突破をさせず、ドリブルでスピードに乗らせない。パスの展開をさせてスピードを落として深い位置にまで入り込ませてしまえば、クリスチアーノ・ロナウドの持ち味のドリブルも、止まった状態やゆっくりとしたものであれば二人でコースを切ってしまえばなんてこと無く防げるわけで、あのフェイントも効果はさっぱり無い。
仮にスピードに乗った状態でサイドへ出されたボールにクリスチアーノ・ロナウドが対応し、スピードに乗ったままドリブルできたとしても中に入り込む余地が無く、精度のないクロスを上げるばかりで封じ方としては上手いものでした。カカのドリブルにしてもスピードとスペースが必要ですし、ベンゼマにしても同じ。如何にそのスペースを消してしまうかと考えて、中央を潰し、サイドを開けておいたのはそういうことなんじゃないかと思ってます。

中央の高い位置を抑えられたことで、マドリーの後方には試合開始時にかかったようなプレスは一切かからなくなり、低い位置から上がってくるラサナ・ディアラが配球の役割を担うことが殆どでした。昨季もそのような形になる事が多かったので違和感はありませんが、そのころは一応弱点でした。よくボールを奪い、よくボールに絡むお陰で、そのポイントを抑えてしまえば奪われた瞬間にプレスをかけて奪い直してカウンターが出来た。だけどこの試合のこの状況では、そのポイントに人数をかけられないために自由にボールを出せる環境が出来上がっていました。パスセンスもあり、視野も広い。それでもキープ力に難があるというか、プレスへの対応力には難があったわけで、デポルティボはここを安全な選手として自由にさせすぎましたね。狙い所だったのに。
ラサナ・ディアラは得点も決めましたし、パスの面でも大きく貢献した。けれど彼のパスは、サイドバックなり何なりを動かすだけのパスを出しているわけではなく、動きに対応するパスや、フリーの選手へ出されるパスであって、彼がゲームをコントロールできるわけではない。前へ向かう選手の勢いを殺してしまうパスも何度かあったことですし、この位置で本来ならもっと攻撃に力のある選手が持てばいいんですが、それも難しい。途中交代でラサナ・ディアラが高い位置に上がったあとの攻撃のリズムが掴めずキープも出来づらくなったことでプレスのある位置に来ればラサナ・ディアラが安定した配球を出来ないことを示したようなもので、攻撃の選手、例えばグティがあの位置に入ってしまえば、相手も脅威に感じてフリーにしてくれないことで自由に扱えないわけで、出所の不安はまだまだありそうですね。

三点目を取ってようやくグラネロを入れ、4+3を基本とした守備に変換して、それまでの失点の原因を修正、守備固めをしようとしていましたが、その頃にはデポルティボ側のスタミナが切れていたわけで、守備の課題を修正できたとは思ってませんし、これからもあの攻撃陣がいる限りは無理なんじゃないかと思ってます。そもそもあの攻撃陣が相手の攻撃を封じる役目もあり、守備で相手を引きつけてスペースを作る役割もあるわけで、攻撃が機能しさえすれば何も問題ないと言えるのかもしれませんが、色々と失点する要素がありましたねぇ。そうでなければ金で優勝が買えるなんていうことになってしまいそうなので、研究されて、負ける試合をつくって欲しいですね、たまには。

何はともあれ、バレロンが三点目を先に決めていればもっと面白い試合になっていただろうに。勿体ない。

UEFA Super Cup バルセロナ対シャフタール・ドネツク

2009 年 8 月 29 日 土曜日

■FC Barcelona 1 – 0 FC Shakhtar Donetsk
バルサは序盤から相手陣内に攻め込めませんでした。こういった守備陣形の取り方は昨季から多く見られたもので、今季もプレシーズンから多くされていた対処法ですね。それでも、多くの場合はどこかでずれが生じ、シャビが前を向けるようになり、押し込めるようなるんですが、シャフタールは最後まで集中していてそうならなかった。ズレが生じた場面があったとすれば、前半始めの方にメッシがポジションチェンジを行い、変化を最初にもたらしたところでしょう。あれでバランスを崩し、シャビが前を向けるようになり、後方からボールが出るようにもなりました。だけどそこで崩しきることが出来ず、立ち直るチャンスを与えてしまった。シャフタールも慌てなかったからこその修正でしたし、バルサが悪かったというよりも、相手が素晴らしく変化に対応できる力を持っていたからこその苦しみだったように思えます。

相手は高い位置からプレスをかける、あるいはポジションを取っていつでもプレスをかけられるように、緩いプレッシャーをかけ続ける。そうなると、ディフェンスラインからパスを出せるコースはサイドバックへの位置かアンカーの位置に限られ、そこから先へはなかなか渡せなくなる。シャビが戻ってきてボールを受けたとしても全体を連動して下げさせることが序盤は出来ず、長い距離のパスをカットされるか、戻すしか方法がない状況が続いてました。だからといってプレシーズンやスーペルコパのように、センターバックが上がって相手のゾーンをずらすため、ギャップを作るための動きをするのが難しいほど、シャフタールはそれに釣られてマークを動かしたりはしませんでしたし、コンパクトに保っているお陰でセンターバックが上がっている隙間もない。その状態のままセンターバックが上がって詰まっていけば、テクニックで劣るピケやプジョルでは危険だと思えるわけで、バックパスが増えていく。
前を狙ったとしても、イブラヒモビッチとの距離が開きすぎていてポストプレイを望めないほどにサポートの距離が遠く、相手に背中を押さえられ、周囲にも人が多かった。だからこそメッシが中央に移動していくことで、シャビとケイタがボールを受けに下った後のスペースを利用し、イブラヒモビッチとの距離を縮め、全体を繋ぐ役割を担うようになった。そういった形をすることで、前を向きドリブルをして持ち上がることも出来ますし、前との距離も縮められる、そして相手を押し込むきっかけにもなり守備の開始位置を下げられる。もちろんポストプレイで前を向いた状態のシャビへ渡すことも出来るわけで、本来ならこのまま行けるはずでした。センターバックから前へのものにかかるプレスも緩くなり、センターバックの二人が上がって、前の選手にパスが出せるようになっていましたし、条件は揃っていたはず。

トゥーレ・ヤヤがポジションを下げてセンターバックのカバーをするのは、これまでと同じで、相手の裏を狙う攻撃への対処も危険な部分は見せつつもピケが始めはルイス。アドリアーノにぴったりとマークをし、カバーとコースの限定をプジョルが行うことである程度守れていた。ただ、後方を狙われることでディフェンスラインは下げざるを得ず、連動してシャビやケイタも下がるようになる。ただ、シャフタールの狙いはそこを中心としたもので、裏一本ではありませんでした。シャビやケイタらの役割は一列前である以上、戻り方は十分ではなく、トゥーレ・ヤヤがラインに入ってしまうこともある以上、ディフェンスラインの前には多少のスペースが出来てしまう。これを狙っているようで、裏を抜ける一人の下に、三人がポジションを取り、それらがディフェンスライン前のぽっかりとあいた部分を利用しようと位置取っていることが何度かありました。そうでない場合は、サイドバックの横側を二枚で崩しにかかり、ケアの甘いバルサの守備の部分を利用してクロスを上げる。サイドバックと中盤一枚を引き出されてしまえば、人数のいるシャフタールが中で合わせる可能性もあるわけで、高い位置からのプレスとゾーンを動かさない守り方、そして攻撃に回ったときに高い位置に人数を置いておく、多くの時間がバルサの攻撃だからこそ脅威になりそうな場面がありましたね。何とか防ぎはしましたが。

メッシのもたらした効果をシャフタールが修正するのにそれほど時間はかからず、中央に人数が再び配置されるようになった頃からバルサは苦しくなってました。センターバックが持ち上がれないポジションを相手のフォワードに作られ、持ち上がれる環境になったとしても中央を固められ、サイドへ逃げるボールしか出せなくされた。前からの守備が復活し、自分のポジションを重視しつつシャビに引っ付く。シャビは途中からサイドへ逃げてボールを受けることも多く、彼がゴール前に顔を出せない、飛び出して来られないことが全てを物語っているようでした。
それに加え、高い位置でボールをキープするのが難しく、積極的に体を寄せてくる。フォワードの所へきっちりとした形で収めるのは至難の業で、メッシが動いて変化をつけようとドリブルで中へカットインしても、中央に人数が多く存在して、ワンツーもできない。
もっと一対一の勝負を多く相手に挑んで、一人二人抜く間に後方からの押し上げでバルサが人数をかけた攻めを展開できればよかったんですが、勝負を仕掛ける場面は少なく、フィジカルコンタクトを避けているようにさえ見えました。どこかで無理をしなければならないほど、歪みを作るのは難しく、徹底されていました。アンリが右に回っても、中央へ入っても大きく変化は与えられず、ズラタンがサイドに流れたときは収まるけれど、そこから他へのコンビネーションには難があり、慣れていない展開に周囲の動きが鈍く、使いづらいものでした。

延長に入ってもシャフタールの守備陣形は崩れてこず、ディフェンスラインから前へというのは難しく、トゥーレ・ヤヤがラインに入ったままが続き、そしてシャビが受けるために下がり、メッシがそことフォワードの間を埋めるように下がる。前に二人を残すようにすることが多くなっていても厳しいのは確かで、プレスの緩めなディフェンスラインの前を使おうとしても、集中力の高いシャフタールに抑えられ、効果的に相手を引き出すことも押し込むことも適わず、攻め疲れからポジションの取り直しが遅くなり、パスの精度が落ち、テンポよく繋ぐことも難しかった。
そしてPKで十分、運良く一点取れれば、というシャフタール相手にこの攻め続けは、苦行に近いようでした。さすがにこの頃なるとスペースができはじめていましたが、選手の疲労の問題からバルサも利用するのは難しいわけで、そこへ時間稼ぎが加わる。焦りからも良い結果は出てこなくなり、過程も悪くなる。高い位置でキープできても後方から中へ入る選手はおらず、二人や三人でどうにかできるとも思えなかった。

でも、そんな中でペドロとメッシの二人の動きだけでゴールしてしまうんだから、バルサも勝負強くなったもので――。

確かにあの場面ではペドロへのマークは緩くなっていたし、フィジカルコンタクトもほとんど無かった。それでもメッシの所にはきっちりと寄せられていたし、他にパスのターゲットとなる選手もいなかった。見ていて唖然とするぐらいですね。

Supercopa de Espana 2ndLeg バルセロナ対アスレティック・ビルバオ

2009 年 8 月 25 日 火曜日

■FC Barcelona 3 – 0 Athletic Bilbao
ビルバオの狙いは試合開始直後の早いタイミングでこそはっきりとしていて、センターバックからメッシへ収められる長めのパスを複数人で囲い込み、ミスを誘い奪うというものでした。最低でも前を向かせないように後ろから密着したマークをして、奪うことが出来ればバルサの裏側へロングボールを出そうトスしているようにも見えました。
それらをバルセロナは最初に数分で知り、修正することが出来て大きな問題にはなりませんでした。右からの攻めで収めることが出来ないのであれば、と左のアンリを中心にケイタとマクスウェルを高い位置に絡ませて人数をかけた攻めを左から行い、マークをつききれなくさせ、加えてプジョルがドリブルで持ち上がることによってゾーンにギャップをさらに作り、崩すことにも成功していました。そして左に人を集めてからメッシに渡すことで、それまで瞬間的に囲い込まれていたメッシに、フリー、あるいは一対一の状況でボールを渡せるようになり、左右の攻撃のバランスもある程度保ちながら改善できたのはシーズンを前にして良い傾向でした。

この試合を通じて、プジョルやピケが同じように中盤にかかっているプレスを分散するように持ち上がり、フォワードとの距離を縮めてパスカットを狙いにくくさせてからパスを出すというのが多く見られましたが、そういった持ち上がりを出来るのは、トゥーレ・ヤヤがバランスを取ってセンターバックと同列にまで下がり、後ろのケアをしっかりとして安心して上がれる環境を作っているからでしょう。動き直してパスをもらおうとする動きとは違うけれど、中盤とフォワードに激しいマークが付きやすく前にボールが出なくなることのあるバルサの攻撃においては効果的。お陰でサイドバックを安心して高い位置に保たせることが出来、一時的に3バックのようにさえ見えました。これをすることで、現在怪我で出場できないマルケスが得意としていた、フィードから逆サイドのアンリまで一気に省略するパスが出せなくとも、距離を縮めることでそこまでの精度が必要のない環境にしていましたし、そうでなくてもグラウンダーで渡せるようにした。
唯一の難点があるとすれば、マクスウェルをウイングのように高い位置に保たせるこの攻撃の仕方では、相手からカウンターのようにサイドから攻められたときにセンターバックが対応しなければならなくなることが多く、この試合でいえばプジョルがカバーに左へでる回数も多かった。そのため、サイドからクロスを入れられた際に、フォワードとディフェンダーの枚数が同数になってしまい十分ではないことがある。それが難点でしょうか。
中央の部分でもディフェンスラインと中盤の間を埋める選手が後方に下がるのだから、スペースが出来て利用されてしまうのではないかという不安があったものの、ビルバオがそこを使う余裕はありませんでしたし、選手も殆どいなかった。たまに使う気配を見せたとしてもトゥーレ・ヤヤがカウンターをされそうになった瞬間にはポストプレイをしようとする選手に引っ付いており、きっちりと抑えられていて弱点になりそうにはなかった。全てがトゥーレ・ヤヤにかかるわけだけど、今の彼の状況判断はとてもいい。前へ収めようとするボールを押さえる力は増していて、ポジショニングと読みは明らかに向上している。そして攻撃にも出てくるのだから素晴らしい選手です。昨季終盤にセンターバックとしての経験を積んだのが大きかったんでしょうか。彼だけではなく、セルヒオ・ブスケツが入りトゥーレ・ヤヤがセンターバックに移った後も、ブスケツがセンターバックの間に入り、3バックに近い形を攻撃の時に構成することを継続していましたから、ディフェンスラインで回したりバックパスを増やさないための今季の方針なのかもしれませんね。

一つの問題は未だチームの中にとけ込むのに時間のかかっているイブラヒモビッチで、バルサの選手がパスを出せないタイミングで飛び出しのような動きをしたり、左に人数をかけているところに寄ってしまって渋滞を作ってしまったり、蓋になってしまったりもする。オフサイドになる動きは、相手の背後に回って効果的な位置を探している部分もあるんですが、その動きからオンサイドへ戻るスピードが遅く、パスを出すタイミングに被っているのが問題でして、飛び出し自体はバルサにとって必要な動きなんですが、問題はタイミング。
それ以外の部分では、この試合もシャビがボールを持ったときに、フォワードと中盤、サイドバックを含め、一列に並んでしまってシャビがボールを出す場所に困ってしまう場面がありました。後方からの追い越しを期待できない状況のままになると、受けに戻ってくるか後方の選手がサポートに来るまで動けなくなってしまうんですが、前から戻ってくることは序盤は稀でしたから、この辺はよくなかった。点を取りたい意識が強すぎて、前にたまってしまっているんじゃないかと思っているんですが、その中で動きがなければ悪いときのバルサそのもの。この試合では裏側を狙う動きが多少あったのでまだましで――と、思っていたら途中からバランスがよくなり、ラインに吸収されてしまうことは減り、ワイドに開き、ボールを受けて動き直して、そしてチャンスをうかがう、それを繰り返せるようになってました。

全体を通して攻め急ぎと思える部分は少ないものの、ディフェンスラインとフォワードの二つが分離している姿は見られました。それでもピンチにならなかったのはひとえにビルバオが人数をかけたカウンターやスピードのある展開が出来ないほど押し込められている時間が多かっただけであり、バルサの守備もマクスウェルやトゥーレ・ヤヤがボールを収める所を読み、フォワードはチェックを問題なく行っていたからでしょう。ちょっとバランスとしては危険な香りのする部分があったのは事実ですが、センターバックからボールを出すときは中盤が抑えられていて苦労することがあったものの、全選手の動き直しの早さは十分にあるため問題なく、前述の通り、持ち上がることでフォワードとの距離を縮め非常にコンパクトになるため、ディフェンスがそれほど役に立たない距離になる。攻撃に苦労している様子はないので問題は少ないでしょう。ただペースの切り替えがいまいちで、緩急を切り替えるのが難しい状況でしたね。特にスピードを出すための変化が少なく、コンディションの問題もありますから、仕方ないんですが、ボヤン投入後を見るとイブラヒモビッチのコンビネーションの問題も少なからずあるのかな、と思わざるを得ませんでしたが。

PKは恐らく無かったんだろうと思ってます。ダニエウ・アウベスの癖から考えて恐らく、というだけで明確に見えるアングルでのリプレイがなかった、人数が多く入り込んでいて審判からはっきりと見える状態になかったのも一つの要因だったのかもしれません。が、この日の審判のジャッジ不満は大きくあり、怪我をしてしまいそうなファウルに対してカードが出ることも少なく、ファウルの笛が吹かれることも、逆に取られることもあった。カンプ・ノウにいた観客の反応がそれを示しているわけで、選手を守るためにはああいったブーイングらは増えて、審判への圧力は強まっていくでしょうね。

Bundesliga 3. Spieltag 1.FSVマインツ05対バイエルン・ミュンヘン

2009 年 8 月 23 日 日曜日

■1.FSV Mainz 05 2 – 1 FC Bayern Munchen
これまでダイヤモンド型に近い形を取っていたバイエルンの中盤が、スタート時にこそその形を取るような仕草を見せていたものの、実際のプレイは中盤の底に二枚を入れた形に近いものでした。ティモシュチュクが底を担当するのはもちろんのこと、これまでから一列前に上がった表記になっていたシュバインシュタイガーが横に並ぶ形でした。もちろん攻守の役割はあり、シュバインシュタイガーがより前に出て行くので、厳密に同列だと言えるわけではありませんが、それに近いものでした。それ以外の変更点は、久しぶりにプラニッチが中盤に上がり、ブラーフハイトがサイドバックに入ったくらいでしょうか。

マインツの守り方は引いて中央を固めるものではなく、サイドに進出して守るものを中心としていました。ティモシュチュクが一枚で担当していた試合開始当初は、その部分を抑えてしまえばセンターバックからボールを引き出す役割をサイドバックと一部の中盤が担うわけですが、それがプラニッチであるためサイドに選手が偏りやすい。そこへ人数をかけて守ることで、サイドを経由するいつもの持ち出し方の一歩目を挫くようにし、シュバインシュタイガーが戻って同列に並んだ後も同じように囲い込むことでフォワードにボールが収まらず、サイドを高い位置に上げさせないようにしていました。
組織化されたいい守りで、ラーム、ティモシュチュク、シュバインシュタイガー、アルティントップ、この辺へのマークのスピードと激しさはかなりのもので前をなかなか向かせませんでした。
お陰でバイエルンの攻撃は中盤の低い位置で詰まり、バックパスを強いられるようになり、センターバックやキーパーへ戻されたパスの数はかなりのものだったはず。そのバックパスを出した後に動き直し、リターンパスを受けるためのバックパスならそれでも構わないんですが、苦しいから下げているだけで、その後の動き直してパスを受けて前を向こうとする意識が低かったのもマインツの守備を継続させる手助けになっていました。そしてフォワードが孤立しがちになり、クローゼが一枚下がった位置に就き、ボールを受ける役目を務めようとしていたものの、アルティントップもプラニッチもそれほど高い位置を保てませんから、パスコースは限定され、ディフェンダーが読むのは容易かった。
バイエルンは奪われた直後に切り替えの早さからプレスはかけられているが、マインツはクリアすることを中心としていてあまり影響は受けず、たまにロングボールがフォワードに通ればよし、というところだったでしょうか。それでもマインツにボールを持たれれば酷いもので、サイドから攻められることが多く、対応するために二人の選手で寄せて行けているのに、実際に役割分担が出来ておらず、二人共がコースを切りに立っているだけで奪いに行かないため、プレッシャーを感じさせることができずにパスを出される。それを辛うじてセンターバックが対応できているものの、一歩違えばフォワードがワンタッチで抜けてしまう場面が幾つかあり、危険な場面が失点をする前から何度かありました。

先制された場面はバンセがクリアからの浮き球をまったくプレッシャーを受けずに落とすことが出来たことが大きな要因で、この部分に全く寄せられなかったのが前半通じての大きな問題でした。クリアを受けることが中心だっただけに裏へのケアをそれほどしなくても構わないはずなのに何故か距離を取ってしまっていた。そのポストプレイからはたかれるのを散々繰り返してきたが、密着して防ごうとしなかった。落としたところを囲めたものの、前述のサイドの処理同様に、ただ囲んだだけで自由にパスを出させてしまい、あとはイヴァンシュイッツの見事な動きとゴールにやられただけ。本来ならバンセを抑えるためにヴァン・ブイテン密着しておかなければならなかったし、その後のラインを思いっきり下げてしまってスペースを作ったのもバンセを前に置いておきたいがために下げてしまっていて、入り込めるだけの自由を与えてしまった。

センターバックにチェックとカバーの役割があり、バドシュトゥバーがチェック、ヴァン・ブイテンがカバーの役割を担っているとしても、押し上げ、カバーを重視せずに当たりに行くことをしなければそうなってしまうのは当たり前で、この試合のバイエルンの守備は、人がいてもプレッシャーにならず、人がいてもスペースは十分にある。マインツが激しいほどに奪いに来ているのとは対照的で、その気持ちの半分でも前半のバイエルンがもっていれば、先の失点は防げていたでしょうし、その後もバンセのプレイも封じられたはず。ディフェンスラインの前で自由にボールを受けさせているのも変わらず、ポストプレイも余裕を持ってさせていた。前を向かせてから当たりに行くからファウルにもなるし、パスも出される。二失点目もバンセに自由にポストプレイさせたところから始まるわけで、自分たちで得点を取らせてあげたようなものだと思ってます。この失点の形は、前の二試合でも同じようなものがありましたよね。このままならお馴染みの失点パターンになりそうです。

前半の二失点目直後からプラニッチ下げてオリッチを入れたのは仕方のないところでしょう。彼が入り、ハーフタイムでようやく修正できたようで、後半開始からはそれまで封印していたかのように頑なにしようとしなかったロングボールを使うようになってました。もちろんそれができるようになったのは、それまで無かった前線の動きの活発化があるわけで、オリッチがサイドバックの裏へ積極的に飛び出して、運動量を活かして上下左右に動いてくれるからこそ、そうやってパスが出せる。途中出場のミュラーもオリッチとは反対側の高い位置でサイドバックの裏を狙うようになったお陰でバランスはとれるようになっていましたし、大きな効果をもたらしたのは確かです。戦術はオリッチというのはどうかと思いますが、効果が十二分にあったのは確かでした。ティモシュチュクやサイドバックを抑えても前へボールが出るようになったこととリードしたことで、マインツに前から抑えていく意識が減り、後ろへの意識が出てしまっていました。そうなってしまえば、ティモシュチュクとシュバインシュタイガーがボールを引き出してコントロールすることが容易になり、その後の展開は一方的なものになりましたね。オリッチ頼みや、それ以外の戦術的な修正は別として、ロングボールによってマインツの抑え所を無くさせたのはよかったものの、良い印象は特にありません。

守備の部分は大幅に改善されていました。とは言っても問題があったのはバンセの所へきっちりと当たる、それだけなんですが、後半開始直後からバンセへヴァン・ブイテンが密着マークからヘディングを自由にさせてませんでしたし、ティモシュチュクが前に入り込んで抑える場面も見られ、改善は十分に見られました。本来なら失点をするまでの間にそれらのうちどちらかの修正をして欲しかったんですが、後半の攻勢はこれがあったからこそかもしれませんね。
ただバイエルンの得点パターンが偏りすぎていて、ペナルティエリア内へ入ってそこから中へパス。クロスをするほど遠くなく、サイドをえぐっているわけではありませんが深い位置から横へパス。それをニアで合わせて触るだけ。その単調なパターンしか見ていない気がするくらいに最近は繰り返されているようです。だから相手のキーパーにも読まれてセーブされるわけで、今はリベリーがいないとはいえ、あまりの酷さに昨季からの不安がもう出てしまったかと思うしかなく、がっくり。

もちろんこの試合のマインツの勝利は、キーパーのミュラーの働きが勝利の大きな要因だったのは明記しておかなければならりませんね。勇敢さと読みと実行力を持ち合わせ、素晴らしい働きでした。途中から全員守備にしたのも、ぎりぎりのところで体を張った選手たちも素晴らしく、途中から繋ぐ意識を持ち、自陣深くでミスをしてピンチを作ってしまうことさえなければさらに高い評価をあげられたかもしれません。

まさかの敗戦ではなく、試合内容を見れば負けて当たり前なぐらいです。

Torneig Joan Gamper バルセロナ対マンチェスター・シティ

2009 年 8 月 20 日 木曜日

■FC Barcelona 0 – 1 Manchester City
イブラヒモビッチとメッシの状態がよくなったということで、二人が同時出場という話があり期待していましたが、結局はスタメンは大きく落としたものになり、出場は後半開始から。スーペルコパの第二戦ももうすぐありますから仕方のないことではありますが、プレミアリーグも始まってますからお互い様というか何というか。

中盤の構成では珍しくトゥーレ・ヤヤではなくセルヒオ・ブスケツが主にアンカーに入っていました。ブスケツが最後尾からサイドバックにパスを出すことで視線をサイドにずらすことが出来、戻ってきたトゥーレ・ヤヤがボールを扱うときは中央にパスが出やすい。その差異を出しながら二人が入れ替わり中央でプレイするのは面白いものでしたが、役割は徐々に明確化していき、主にヤヤが高い位置を保つことになりました。
そうなるとセルヒオ・ブスケツにはアンカーに入ったときの悪癖があるわけで、昨季の終盤こそ弱点ではなくなったものの、この日の途中までは自分の裏側を意識しないプレイをしてしまい、センターバックと中盤との間にスペースをつくってしまう悪い癖が出てました。トゥーレ・ヤヤとグジョンセンが前から戻ってくるのと合わせてフラットな中盤に近い形が構成され、二つのラインができてしまい、後ろのスペースがあり使われそうになる場面が幾つか見られました。距離が離れているため、それを埋めるためにセンターバックが前への意識を持たなければならないのは難点で、最後尾の裏を犠牲にする行為なのでいいものではなかった。失点の場面ではトゥーレ・ヤヤがアンカーでしたし、カウンターだったのもありますが、最後尾と中盤の位置が離れすぎていたのが原因でもあるわけで、ちょっと残念ですね。徐々にポジショニングを修正して、近い位置を保てるように戻っていったのは見事でした。
マルティン・ペトロフに右サイドを破られて失点する場面は、彼がリーガにいたときから見られた光景だから”また”という程度しかありません。彼ほどのスピードがあれば、バルサのサイドバックの裏は弱点でしかなく、中央もサイドバックも追いかける展開になれば、追いつけない。さらにペトロフはトップスピードに乗った状態でボールを受けてそのまま最後まで持っていくため、減速したところで追いつくのは期待できない。仕方ないというしかないかもしれない。

あとは、この試合は比較的ワイドに使うことが出来ていたんですが、それはジェフレンが左に入っていたときの方がより効果的で、マクスウェルとの関係も良好だったように見えた。ジェフレンが非常にクレバーな動きでサイドと中のポジショニングと縦と横の関係を保てていたように見え、ペドロが左に回るよりは、マクスウェルが上がってくる頻度も利用できる頻度も、使い方もよかったかもしれない。

ボヤンは他の選手たちと動きの関係から中央の少し低い位置で前を向いて受けることが多く、彼がやりたがるミドルシュートを多くやっていました。崩し切れておらず効果があるのかどうかは別として、前を向いてあの位置の選手がボールを受けられるのは良いことで、距離感も悪くなかった。他に選択肢が無く、ミドルシュートを狙っている部分があるのは残念だけど。

全体的に前半は若干ボールを前へ引き出す動きに苦労しているようですね。センターバックから前へボールを出す際に、ブスケツとの所に遠巻きに選手がおり、ブスケツはキープではなく、ダイレクトに叩こうとする姿勢がある。近くにサポートがないだけに仕方ないと見るべきか、それともまだ実際に当たられていないのだから余裕を持つべきか、見方によって違うんでしょうけど、個人的にはバックパスよりも前を向き可能性を探るべきだったと思ってます。他の選手も、シティの当たりの激しさと積極さに嫌がっている素振りがあり、実際に寄せられるよりも早くボールを離してしまっているて、バックパスも多い。タッチ数を少なく展開するのは悪くないんですが、タッチが少なすぎて単調になったり、消極的になるのは違うわけで、ポゼッションを高めたり、リズムを変化させたり、狙い所を探っているのとはちょっと違ってました。

後半から大幅にメンバーを入れ替えてようやくイブラヒモビッチとメッシが出場したわけですが、イブラヒモビッチは使ってなかなか使ってもらえませんでした。高い位置にいてディフェンスを背負う場面はあっても、メッシは低い位置から始まり、ボールを受けて変化をつけることを重視して、若い中盤のコントロール不足をサポートすることから始めてましたから、孤立していた状態に近かった。メッシがボールを持てば全体を押し下げる効果があり、後方の選手たちがオーバーラップできるようにする。そしてプレスの少ないフリーのエリアを使うことで自由に展開できるように、という感じでしょうか。
イブラヒモビッチと、それ以外の選手の距離が広すぎる事が多く、ズラタンは最前線。ポストプレイでの落としのボールも長く、中盤が上がってきていないことを示すものでもあり、もうちょっと近い関係を保たなければならなりませんね。インテルではこんな感じが普通だった気がしますが、バルサでこの調子では駄目で、これは他の選手の状態の方が大きく、メッシが彼の近くでプレイしたときにはチャンスを作れましたし、それ以外にもサポートの選手が近く、それが前を向いていればチャンスになってました。この距離感をどうやって詰めていくかが課題。
イブラヒモビッチはエトーとは違い(比較すべきでないけどどうしてもしたくなる)、ボールを追いかけ回すことはしないものの、しっかりとコースを切っている。チェイスはあまり多いとは言えないものの、それなりに流行っているわけで得周囲との連動がうまくいけば継続できるようになるかもしれませんね。

ガイ・アスリンはドリブルで仕掛けすぎ、というか固執しすぎですね。素早さとテクニックは十分にあるが、このレベルを相手にしたときに、体を寄せられないように逃げることも必要で、それに耐えられるだけの技術であったり体だったりを持っていればそれでもいいんですが、まだないわけで、逃げる方法もある程度必要かもしれません。サイドバックの外にポジションを取っているお陰でよく使ってもらえていますが、それだけに欠点が目立つ結果になりました。トップチームの判断の速さに慣れるにはあと一歩。それが出来るようになってから、判断すべきですかね。期待はしてますが、ジェフレンの方が、起用しやすそうですねぇ。

後半の守備全体には流れの関係上問題はないように見え、途中からムニエサが左サイドバックに入り、疑似3バックなったのも、サイドバックとして動いていたのもとりあえず問題はなさそう。ティアゴ・アルカンタラは面白い動きと狙いをしてますね。

ガンペール杯としては久しぶりの敗戦、ですよね、確か。
戦い方としては、プレシーズンの継続と修正のような形でしたから特に問題があったとは思えないわけで、負けたけど次のスーペルコパで良い形を見せて開幕に臨めればそれでいい。