■Villareal 3 – 1 Valencia
どちらかがチャンピオンズリーグ圏内を獲得し、どちらかがヨーロッパリーグ出場権をも逃してしまう可能性が出てくる試合。そしてダービーで、既に優勝が決まったリーガの中で情熱を失っていない二つのクラブの直接対決で、面白みがある試合だったので見たわけですが、その前に見たブンデスリーガの試合と同じように、他会場の結果が結果だったので変動は得られず。
ビジャレアルは、ここのところと同じようにイバガサとピレスのセットで試合を開始し、彼らのセットを使うようになってから上手くいくようになってますね。マルコス・セナの欠場を守備面では埋めづらく、失点こそし続けてしまっていますが、攻撃面のスムーズさはかなり出てきた。二人の持つ抜群のキープ力と、視野の広さとパス、リズム、そしてサポートをする適切な間隔にってビジャレアルの解く問するショートパスを繋ぐスタイルを大きく助けているのは確かですね。二人が繋げて上手く中盤が構築できることで、フォワードの二人が余計な仕事をせずに済むのは非常によかった。
マルチェナは当然それを感じていて抑えなければならない役目を与えられていた。だからこそ激しく当たりに行き、そこを抑えようとしていました。が、開始早々にイエローが出されてしまっても当然であるべきファウルをしただけでなく、その周辺の選手対しても激しく行きすぎるほどやっているわけで、荒れてしまう可能性を考慮して、早めに納めておくべきだったのかもしれません。抑えなければならない部分だったとしても、マルチェナはやり過ぎ、気合いはいりすぎで、不必要なプレイも幾つかしていましたから、試合終了まででなかったのは奇蹟にも近いものでした。それでもまぁ、審判は上手くコントロールしたのかもしれません。マルチェナに出さなかったからこそ、ここまで必要以上に荒れなかったと言えるのかもしれませんし。
ビジャレアルはイバガサが負傷退場をして、少しバランスを崩してしまう時間帯がありましたが、修正するまでに思ったほど時間を必要としなかったのは非常によかったですね。
それまで上手く周囲との連携を取り、ピレスが上下動するスペースをイバガサが補間していたんですが、それもできなくなった。ピレスがサイドに出て行かなければならなくなり、低い位置から構築するのが難しくなるんですが、ピボーテの二人、ブルーノとエグレンが構築能力に優れてれば彼らに任せてもいいんですがオフ・ザ・ボールの動きにしても、パスの繋ぎに関しても高いものを求められず、展開は難しいままでした。結局、ピレスが戻らなければならず、中央に三枚になってしまう場面が増えてしまった。そうなると前で受けるべき選手がカニしかいなくなり抑えやすく、それを避けるとすればピレスがパスを出す相手はフォワードの二人を含めなければならなくなる。それまではフォワードの二人に避けない仕事を押しつけなかったからこそのスムーズさだったので不安だったんですが、上手く修正し流れを変えましたね。
戻って受けることが必要になり、一つの手間をかけなければならず、直接裏には出づらい環境になってしまい、ポストプレイからサイドへ流しての展開が多くなってました。戻る時間を相手に与えがちになってしまうものの、カウンターを主体として守りの人数を崩さないバレンシアにとってはそれをやっても大きな問題はなく、それどころか片側のサイドでボールを回すことで守備の陣形を寄せてバランスを崩してしまうことが可能になった。二点目はその形で左に寄せておいて右側へ流して得点。非常に綺麗な流れでした。
ビジャレアルが非常に手数をかける一方で、バレンシアは非常にシンプルに裏を狙うばかりが目につきました。シルバがいなくて変化はつけられないけれど、それでもビジャを中心とした飛び出しやスピードは大きな武器になりますし、リスクも減らしたまま攻撃が出来るのだから、別に違和感のあるものではなかった。しかしながらピボーテのラインからでも、一発のパスを裏へ出し、それからシュートを狙っていくのは単純すぎる嫌いがあり、単調になりがちなところを、それぞれの選手のアイデアで解消していくことはあったとしても、戦術として乏しいように感じられたわけです。
バレンシアが手数をかけられないのは、中央で納められる選手がいないのも一つの影響でしょう。ビジャは受けようとするよりも、裏を狙い、ディフェンスライン引っ張っていくことが中心であったり、サイドに流れて起点になろうとする動きがあったとしても、他のパブロ・エルナンデスやマタ、ホアキンのいずれも中央で受けて納められる選手ではない。ビジャレアルが手数をかけて押し込んできたときに、何か一つを納めて、そこから全体を押し上げていくことができない。常に前を向きながらではないと難しく、スピードや個人の技術を活かして進出していくことは可能だとしても全体が追いつかないから、ピンポイントで合わせなければ得点にはならず、可能性としては小さなものに留まってしまいました。
モリエンテス投入後も、バレンシアの攻撃の起点がサイドでしかできなかったのは、ビジャレアルが自陣に綺麗な二つのラインを構築して守りに集中していたからに他ならず、バラハのいるラインまではボールを自由に持ててもそこから先に躊躇していたのがそれを顕著に表していたでしょう。ディフェンスラインの前に、あと一つのラインがもう一つ前にあり、前後に動き、相当な負担のかかっているピレスでさえラインに参加して二つのラインを適切な間隔で構築している。その中央の部分はイバガサがいなくなった影響から守備の得意な二人であり、より中央では受けづらく、スペースも消されてしまってポストプレイのボールが収まらなくなっている。だからこそサイドに起点を求めようとしていましたが、それをしたところで、ビジャレアルのラインが適切に保たれていることで、どちらかのサイドに守備の人数を固めてしまうことをせずに守れ、逆サイドを利用しようとしても陣形が崩れない。本当に集中していていい守備だったと思います。
バレンシアもいいチームなんだけど、環境や監督の差かもしれませんね。できることなら、ビジャレアルにはもう一度チャンピオンズリーグの出場権を獲得して欲しい。アトレチコにも出場権を取って欲しいんですが、両方に望むことは難しく――。