■FC Bayern Munchen 1 – 1 FC Barcelona
バイエルンの形としては、直前のブンデスリーガの形をひとまず踏襲したもので、ファーストレグの形をそのまま持ち込みはしなかったので、ひとまず安心しました。詳細は、ラームが復帰して左のサイドバックに入り、ゼ・ロベルトが一枚上がって本来の役割をこなせる位置に入り、オットルをアンカーに据えたようなもの。ファーストレグ後半に、ある程度修正をしてバルサを抑えられた形の採用とでも言うべきかもしれませんが、鍵となるオットルのアンカーを明確化している点では、その試合の後半からブンデスリーガ、そしてこの試合と、クリンスマン監督としては珍しく継続しているようです。
バルサは、アンリとマルケスを休ませ、ケイタとピケがスタメン。左サイドバックとして、ようやくアビダルが復帰を果たし、全体的な印象はローテーションを取り入れているように見えますね。それだけのことができる点差ですから、仕方のないことだと思うしかありません。
バイエルンがシステムを変えたことによって、左がリベリー一枚でカウンター時のスピードを活かした攻撃しかできなかった一戦目とは違い、リベリーをある程度フリーに動かしつつ、ゼ・ロベルトがワイドに開いてサポートをしながら追い越していく動きもする。ラームのオーバーラップの回数は非常に少なく、メッシを抑えることを最優先にしているようでしたが、それでも、ゼ・ロベルトのバランス感覚のお陰で、左の攻撃力を十分に発揮できるようにはなっていました。
同時に攻撃の主軸になったのはトニで、ボールを左右に出て受けようとしていた一戦目とは違い、中央で体を張ってボールを収めることに集中し、ポストプレイで徹底して相手前で受け、体でディフェンダーを押さえ、左右に展開する。役割の明確化は十分に効果があり、そこから中央を突破することもありましたし、惜しいチャンスを迎えることが出来た。体格とパワーで劣るバルサ相手にはとても有効だったのは間違いないでしょう。
守備面も一通り改善してきており、ディフェンスラインとキーパーにプレスを積極的にかけ、中盤の所に人数を割き、スペースを与えずアンカーに余裕を持ってボールを展開させない。セオリー通りの守り方をするようになったお陰で、大きな崩壊をする気配もなく、多くの時間帯を、バイエルンとしてはオーバーペース気味でありながら続けられたのは、今後のブンデスリーガの行方を左右することにもなるのかもしれません。
肝心のアンカーに据えられたオットルは、常にボールを持つ選手に対してプレスに向かい、高い位置であればファーストチェックとして、サイドであればプレスの二枚目、カバーとして存在するなど、常にボールの近くにおり、バランスを取る役目に徹していて、後半に少しだけ見えた、ファン・ボメルに指示されて前に出た場面以外は徹底して役割をこなせていました。
あとはポストプレイ、メッシに入るところには、ラームがきっちりとついていき、一戦目のように、楽に振り向かせるような真似をせず、イニエスタは振り向ける受け方をしているけれど、振り向いたときには間合いが狭まっており、彼の間合いではなくなっている状態を作れていました。ドリブルもパスも選択できないように詰めておくことで、サイドの攻撃も防げて、とりあえずはバルサの守備を抑えることは出来ていた。これがファーストレグでもできていれば崩壊などしなかったのに。
ただ、忘れてはいけないのは、バルサは攻撃面に重点を置いていなかったことでしょう。中盤の運動量とボールを引き出す動きの少なさ、歩きながら受けに戻る場面と、ディフェンスラインから前へボールを出せないくらいの状況、縦へのスピードアップをできない状態を自ら作っていました。先のレクレアティボ戦といい、どうにも悪い癖が出始めているようで、これからの日程を考えれば一番集中しなければならないのに、これでは…。
少しだけ崩そうという意識は見え、イニエスタやメッシが中央にポジションを移すことで、密着していたサイドバックを引き剥がす試みをしていた部分がそれ。バイエルンのサイドバックはアビダルやダニエウ・アウベスの警戒もあって中央へ絞られても、自分がちがそのままついていくことは出来ず、マークをオットルやセンターバックの二人に受け渡さなければならない、そうなってくると後方のリスクやプレスの枚数と位置がずれ、二人が前を向いてプレイできるようになるんですが、この日のバルサにはそれをするぐらいしかありませんでした。
殆どの場面において誰もペナルティエリアに飛び込もうとしないのが象徴で、それどころか、誰もディフェンスラインと戦おうともしていませんでした。特に遅攻になった場合には、バイエルンのディフェンスラインと中盤のラインが引いて守り、二つのラインが出来ている前でしかボールを回さず、間に入り込もうとする選手も、第一戦であれだけ裏のスペースを利用していたのに、それすらする気配がありません。リードされていても相手を目の前に置いてボールを回すだけ。
何としても勝つ、何としても引き分ける、その意識を強く持てないくらいの点差だから仕方ないのかもしれませんし、バイエルンがひっくり返すだけの試合をしようとしていれば、点を取りに行かざるを得ない試合をしたんでしょうが、バイエルン自体も勝利であればスコアに拘らない、その姿勢しかありませんでしたから。もう一つの試合のように、派手な打ち合いを演じるぐらいの覚悟で挑んでいれば、見る側としては楽しいことになっていたんでしょうが、両者共に体面を保てるスコアで終われるだけで、若干の満足があったようです。
他に書くことがあるとすれば、バルサは守り、得点を取る意識をあれだけ出さずに戦うのなら無失点で終わらなければならず、バイエルンの失点がオットルが吊り出されてしまったことによるものなのが不満点。バイエルンには、オットルのアンカーをブンデスリーガでも是非継続して欲しい所。不必要なタイミングでレンジンクをスタメンから落としたのだから、それくらいはして貰わないと。