■VfL Wolfsburg 5 – 1 FC Bayern Munchen
チャンピオンズリーグ圏内に両クラブとも順位を取っていて、優勝をも狙える位置にいる。どちらも優勝争いをするためにも、チャンピオンズリーグ圏内に踏みとどまる意味でも重要な試合でもあるんですが、スコアはまさかのものでした。日本人二人が所属していることもあって、注目していた人は多いかもしれませんが、大久保の出場時間は短く特に見せ場らしきものもなく――。
開始早々にファン・ボメルがイエローカードを出されたことから見ても、最初のファウルでルシオがボールを叩きつけたのを見ても、入れ込んで見えるのはバイエルンで、上手くヴォルフスブルク側はそれを利用して流れと審判のイメージを味方に付けることが出来ていたと言えるのかもしれません。勢いに任せた部分よりも、苛立っている部分が大きく、試合開始直後からのそれは、チームとしてのコンディションがよくないことも伺わせますし、選手個人もよくないのではないかとも思う。
立ち上がりだけでいえば、ヴォルフスブルクもうまくいっているとは言えず、ディフェンスラインからの展開がうまくいかず、サイドバックに持ち上がらせるリスクの高いプレイが目立っていました。ヴォルフスブルクの守備の姿勢からはコンパクトに保とうという意識がよく見えるんですが、バイエルンの中盤の構成との兼ね合いから、サイドに人が引っ張られてしまうことが多く、中央に人を置いても上手く抑えていくことが出来ない状態を作られていました。サイドをワイドに使う攻撃に引っ張り出された後中央への展開をされ、中盤とディフェンスラインとの間のスペースを利用され、センターバックが直接前に向かう守備をしなければならないリスクの見える守備が多かった。一歩間違えば裏を取られてしまうくらいに危険なもので、その守り方からセンターバックがボールに触れる機会が多かったものの、そこからパスで切り崩せるだけの中盤の動きが無く、展開をイメージできないのでは得点を取ことや、ゲームを支配することは辛いものがあるように見えました。明確に誰を経由して繋ぐかのイメージが無く、片側のサイドで展開を始めれば、最後までそのサイドで行こうとする。行き詰まるかと思ってました。
バイエルンのやり方に合わせてフォワードの所へ人数をかけて守らなければならず、中盤が空いていく。中盤のうち、中央にいるのはファン・ボメルくらいなもので、サイドへ展開してワイドに使おうという意識はバイエルンの方が強く、中央を開けているために、ヴォルフスブルクの守り方では、中盤の選手が守りに入ったときにマークに付く相手がおらず、サイドに人を割かなければならなくなる。相手に合わせるだけで自分たちの攻撃が立ち行かなくなるが、たまに中央から攻めてこられたときには、余った選手たちで一斉に囲めて数的有利から奪ってカウンターみたいなことも出来そうにもなるけれど、そこで抜けられるとサイドは圧倒的に不利になっている。そして高く保たれたラインの裏側をバイエルンの選手たちは意図を持って狙うようになり、高い位置を保てていたディフェンスラインも押し下げられ、間延びしたような状態を作られていた。バイエルンのボールの出所を抑えられるだけの守備が前方で出来ておらず、ボールを持たれるとペナルティエリア付近にまで一気に下がる。あまり裏を取ることにバイエルンが成功しなかったのは、迂闊だったお陰と、ポドルスキがポジションの取り直しをさぼる影響が強いかもしれない。紙一重だったとは思いますけどね。
センターバックが対応しなければならなかったのは序盤だけで、試合中盤以降からは前からのプレッシャーがかかるようになり、カウンターをファウルやそれらで止めることも出来るようになっていたし、前からの守備で奪える回数が増えれば不安定なディフェンスラインからスタートする攻撃も減り、十分な効果を挙げていました。それからジョズエとミシモビッチのボールの触る回数が増え、スムーズさからチャンスも増え、不安定な立ち上がりと組み立てを試合中に修正できたのは好材料でした。得点自体はコーナーキックですが、呼び込んだのは、それらの流れでしたからね。ただ、先制点直後に同点に追いつく当たりはバイエルンのさすがの勝負強さだったんですが、それ以外の部分で突き崩す、もしくはそれに近い状態を偶然ではなく作れたのかどうかになると、何もないかもしれません。
後半に入ってからも似たいような展開は続き、グラフィッチがボールをもっと多く触り、ミシモビッチらと近い距離で周囲が展開を出来ていれば、シュートまで持っている場面も増えるんでしょうが、ディフェンスラインが高い位置を保って居るにもかかわらず、攻撃のスピードを殺せずに深い位置までまで戻ってこなければならない場面が多く、前で人数をかけて連動したものはあまり望めませんでした。カウンターにも似たスタイルからサイドバックの上がった裏を狙うのが主なパターンで、センターバックのルシオやブレーノを引き出してカバーしなければならない状態を作っているのに、中央の人数が薄くなったところを利用できないのは今後の課題にもなりそうです。それもまた試合中に解消してしまったようですが。
得点に関しては5点目のものだけ書けば十分でしょう。グラフィッチのドリブルとシュートはとんでもなく、キーパーまで抜いてヒールでシュート。ズーパーなゴールでした。ええ、間違いなく。それ以外のものはバイエルンの不手際が目立つものばかりで、チャンピオンズリーグを考えるなら不安点ばかりでしょう。
先制点になったコーナーキックからのヘディングも、早いリスタートはバルサのお家芸で、ニアへ飛び込んでシュートを狙うのを得意としているマルケスらも多い。三点目のカウンターはあのスピードのないジェコにさえ振り切られてしまっていて、カウンターを送らせたりファウルで止める判断が相変わらずファン・ボメルに欠如しているのは痛手で、バルサであればもっとスピードのある選手が居ますから、センターバック二枚がセットプレイで上がってしまうとやられかねない。それとブレーノがそのまま出るのであれば、以前と比べ大きく改善されたとはいえ平面の動きと突然の裏へ動く対処の仕方はまだまだ不安の残る出来で。二点目と四点目はその部分がよく見えるかもしれない。
難敵を倒したバルサに比べ、難敵にやられたバイエルン。
チーム状態からすると雲泥の差があるわけですが、トーナメントではそれが素直に出てこず、それに特化した戦い方さえ出来ていれば勝ち抜けていくのだから、まだ何とも言えませんね。
ああそうだ。ヘルタがドルトムントにやられて、ヴォルフスブルクは首位浮上。優勝争いだけではなく、CLやUEFA杯の出場権とか荒れそうですね、ブンデスリーガは。