■FC Barcelona 4 – 1 Numancia
正に鉄壁でした。ヌマンシアのリトリート・ディフェンスは各選手間のポジションを保ちながら、ディフェンスラインとその前のライン、二つのラインの全員が同じスピードと同じ間隔を保ちながらリトリートをしていました。ここまで全員が統一された動きで45分終始守備できるクラブはほとんど無く、その守備には余分なスペースが無く、特に中央に限っていえば、を利用しようとしたとしても受けようとした瞬間には数人で取り囲まれているのが関の山。前節のデポルティボも同じように人数をかけた守りをしていましたが、まるで別物と捉えてもいいくらいに、芸術的な守備でした。
守備ゾーンはペナルティエリア外よりも少し前、ハーフウェーラインからは大きく自陣に入ったところにあり、あまり早いチェックもせず、下がり過ぎもせず、一定の位置で、一定の間隔で、適切に守る。本当の意味での守備的なサッカーであり、組織的なものでしたね。
基本的にはヌマンシアは4バックの前にフォアスイーパーを置いた守り方をし、その選手がライン間のスペースを埋めつつ、深くまで入り込まれればディフェンスラインに吸収される典型的なもの。見方によれば5バックになるのかもしれませんが、基本位置としてはそれで、中央からの攻撃を防ぐのに特に効果的な働きをしていました。こういった守備を突き崩すには、パスワークでなんとかなるものではないので、低い位置から縦へ勢いをつけたドリブルで既に善戦に付いている選手へのマークを引き剥がしつつ、守備のバランスを変えさせたり、左右に大きくボールを振って全体の移動からズレを生じさせる必要があるんですが、特にヌマンシアにはドリブルが効果的なようで、イニエスタらが低い位置からドリブルで進入していくと、すっと寄っていく。囲んでいくために数人が連動して360度各方面から寄せるのは素晴らしいんですが、それまで芸術的なまでにそろっていたスペースを埋めている動きには一瞬ずれができてしまう。その瞬間にパスを出されてしまえば、凄まじい精度の囲み方とスペースの消し方であっても隙が出来てしまうのには変わりがないと。
ただ引いて守られてしまって点が取れないといっても、得点を焦るあまり中へ集中してしまうことはなく、きっちりとワイドに使い、相手の薄いところを利用しているあたりはとても冷静で、初戦の教訓を生かしている印象でしたね。
さらにハーフタイムでの修正から、ワイドに使うだけではなく裏を積極的に狙うようになった。一定の高さを保っている守備ですからそういうのも効果的で、前半最初とは違い、中央の裏を狙い一発でのゴールを狙うのではなく、サイドの空いたスペースを利用してその裏を狙い、そこからクロスなり何なり、一手間挟んでからそれを繰り返していくことで中を開けていこうという意識付けをされたんでしょうね。
実際のゴール自体は、ダニエウ・アウベスとメッシのアイデアによるもので、なんというか、そんなものもお構いなしな印象を受けましたが、全体の方針としては前述の通りな感じでしょう。二点目はそうで、外に開いておいたから中へ入ってきた。そしてオフサイドと常に戦っていなければならないゴール。
その後中央の攻撃に比重が移っていったのは、両サイドの攻撃を警戒するあまり、それまで中央にきっちりとポジションを取って防げていたヌマンシアが、得点を返せたこともあって、両サイドから攻められる攻撃も防ぎ得点を取り同点へともっていきたい、あるいはこれ以上の得点はさせたくないという意識を持ち始めて、守備エリアは変わらないものの、明確な相互の位置関係と連動したポジション取りではなく、かなりワイドに開いて守るようになった。そうすることによってあの密集して埋められていたスペースはなくなり、ボールを動かせるだけのスペースが出来てきて、中央からでも十分に崩せるようになった。
大量得点を奪って勝ちこそしましたが、先制点は本来ならばヌマンシアのものでした。あのイニエスタと競り合った部分に関してはファウルではなく、イニエスタとバルセロナの守り方(と強風)に問題がある部分であって、ジャンプもヘディングも正当なものでしょう。だからあれがゴールだと認められていたとしても自分は納得したんですが、バルサに運があった。というよりもバルサの選手が一斉にしたアピールの効果が大きかったのかもしれなませんが、あんなに簡単にヘディングをされてしまってはいけない。上手くマークに付けておらず、一人目をマークするのは出来ているが、その裏に抜けてきた後の対応は非常に難があるまま最後まで修正されていませんでした。目がボールにいってしまっていて人を捕まえなければならない部分で人を見ていないことが多いのが難点といえば難点。相変わらずその辺は駄目なままですが、返す返すもあれはヌマンシアのゴールだった。よくあれでヌマンシア側が相当な抗議と荒れるような試合にしなかったもので、他のクラブであればもう抗議を受けていたとしてもおかしくない気はしましたけれど。
ただこの試合の審判は、副審も含めてぶれが無く、終始その基準でファウルを取っていたのは評価できるところ。パラシオスの退場だけは大目に見てもよかったんじゃないかと思いますが、今日の判断基準ならあそこでイエローカードがでても仕方のないところ。エトーをファウルで止めたオルテガだけはレッドカードに相当するプレイだったので不満ですが、ヌマンシアのゴールを認めなかった以外は優秀な審判だと思いますヨ。
何よりも一番良かったのは、バルサが大量得点で勝利したことで、あのお陰”だけ”で勝利した、と言われないで済んだこと。あのゴールを決められていれば、ここまでのゴールを奪えていたかどうかも解りませんが、バルサの選手に焦りを全く感じなかったのはとてもよかった部分。
「たら」「れば」の可能性を考えたところで意味はないのでこの辺で。