■Real Madrid 1 – 0 Valencia
クラシコの試合では守備にはいるのかそれとも攻めるのか、または疲労した選手を下げるのかすら不可解な交代采配だったファンデ・ラモスですが、この日はある程度的確なものでしたね。ラウールが先発をしなかったのは体調上の理由であったとして、彼が出場していなかった間のドレンテとロッベンの二枚を同時に起用したスタイルは、シュスターが何度もその機会がありながらしなかったこと。シーズン前のウイングを放出したことからも解るとおり、それがシュスターの欠点でもあったんですが、ウイングを利用した縦への意識付けとワイドな展開から中央を活かすやり方をファンデ・ラモスは徹底させつつあるようです。ただ、その後のラウール、バランカの部分の投入の仕方は不自然で、バランカの持ち味を消すことに終始していましたし、ワイドに使えていた部分を辞めてシュスター時代に戻ったかのような守りと攻めに陥っていました。ミゲル・トーレスを投入したことは最も的確な交代でホアキンを抑えることは出来ていましたけど、的確だったけどまだまだ不自然さは見えますね。ウインターブレイク後、どれだけ選手を把握していい組み合わせと交代を出来るようになっているかが見物です。フンテラールが入ると起用するために他が混沌としそうだけれど。
マドリーのワイドに使うやり方は、大きくい開きディフェンスの前でボールを受け、仕掛けていくもの。ドレンテの場合はディフェンスラインと平行するか裏で受ける方が向いているようですが、ロッベンのこの良さはシュスターの時でも発揮できていたんですが、怪我もあってそれを継続できていなかったのと、監督自身が継続しようとしなかったのが大きかった。それをこの試合は終始徹底させることで、バレンシアの左サイド、守備の得意ではないデル・オルノだったこともあって切り裂き続けましたね。そしてディフェンスラインを押し上げたり、サイドバックの攻撃参加を送らせ、バレンシアの攻撃を単調にさせるのにも一役買っていて、ロッベン一人で十分な活躍をしていました。
試合開始直後にあった積極的なアプローチと前線からの守備がディフェンスラインの負担を減らしているのは事実なんですが、それを終始継続するにはシュスター時の悪癖から抜け出せない選手がいることと、スタミナ不足で難しいようでした。途中からフォアチェックの頻度が落ち、それを連動できないと知るとより奪いに行かないようになり、悪循環から引いて守るように戻ってしまっていました。先制点を取っていたのもありますけどね。守り奪って、足を止めていた選手たちがカウンターというのはバルサとやったときとあまり変わらず、面白いとは言い難い試合展開でしたね。ワンパターンというか、ポゼッションも低いのもそれを表しているようでしたし、リードして数的優位も作っていて相手も押し込めているのに、それを利用した攻撃もしようとしない。前へ向かうばかりでボールを回してビジャやマタ、ビセンテ、シルバ、ホアキンらをより守備に忙殺させてカウンターを受けないようにすることも出来るはずの選手たちなのに。
バレンシアは裏へのロングパスを多用しているんですが、ぺぺやセルヒオ・ラモスとは違い、メッツェルダーとカンナバーロのコンビならその対応、裏へ向かいながらのプレイは十分に高い精度を保ったまま出来るためにあまりチャンスを作る効果はありませんでした。カンナバーロのいくつかギャンブルなディフェンスがあったとしても、それをサポートするために人がいませんからね。
ロングボールで縦に急ぎ一気に勝負をしたくとも、マドリーが引いているためにチャンスにはならず、そこから組み立てる攻撃に入っても、サイドバックが守備から攻撃に移る際に距離があり、さらにはドレンテとロッベンに押し込まれていて警戒をしなければならないので上がれないというのもあってサポートが遅い、セカンドボールを拾えない、とフォワードがやっていることと後方がやっていることのバランスの悪さが出ていました。あのやり方をするのであれば、もっとウイングにボールを集めて切り崩しつつやらなければ、全体は間に合いませんヨ。
後半にマルチェナが退場してからはそれが顕著になり、縦の位置関係で相手を押し込むことが出来ずに、ロッベンの脅威を考えているがために、ロッベンを守備に戻させるほど押し込んでいけず、またロッベンが守備に戻らないこともあってカウンターを――と、振り回されまくっていました。この試合の主導権は最後まで握れなかったと見ていいかもしれませんね。
そのマルチェナへの二枚目のカードですが厳しすぎるように見えました。ロッベンが狙っていたのは事実だとしても上手いプレイだとは言えず、制止している相手に自ら当たりに行っていた印象が強かった。マルチェナの手が離れていたのは心証が悪くなった要因でしょうが、それでも退場させるような場面ではなく、試合を壊す行為そのもの。それが直後のバランカの流血に繋がるファウルにもなり、試合後半の妙な試合展開を作る要因にもなったんでしょう。
イグアインが外しまくっていたこともあって、あの退場さえなければ、見る側としてはもっと面白い展開になっていたかもしれないと思うだけに、余計にあの退場は否定したいものです。