■FC Barcelona 6 – 1 Atletico Madrid
バルサはあの消耗戦にも似たチャンピオンズリーグを戦ったあとなので、もう少しメンバーをいじってくるのかと思ったんですが、左サイドで相当な運動量を強いられたプジョルを右サイドバックで起用して、グジョンセンとセルジ・ブスケスが中盤に入りアンリを下げたぐらい。右に入ったプジョルはダニエウ・アウベスが怪我で急遽欠場になったために当てられたんでしょうが、ピケもサラゴサ時代に何度も右サイドバックをやっていましたし、カセレスだって右も出来る。やらせようと思えば彼らを回してもよかったんですが、バルサスタイルのサイドバックほど難しいものはないので、難しくなるはずだったこの試合はプジョルで行こうとしたんでしょうね。下位のクラブなら彼らを起用していたのかもしれませんけど。そのプジョルは前半は再三に渡り高い位置に陣取って、マークを一枚引きつける役割を担っていたんですが、それは主にメッシが右にいるときのみ。イニエスタが右に回ってきたときや、誰も右に張っていないときは後ろから追い越す動きをするだけで、前に張っていることは少ない。でもこのメッシが右にいるときに前に張っている行為が一番重要で、メッシにダブルチームでマークを付けられて止められる危険を減らし、中だけでなく縦のコースをも生み出す意味では非常に有効な囮。ピケやカセレスにはこの芸当は真似できませんし、ダニエウ・アウベスにもできませんから、本当ならこれが目立つはずだったんですが、まさかの結果により目立ちませんでしたね。
アトレチコはチャンピオンズリーグではそれなりに好調で、予備選からシャルケと当たる不幸もあったにしろエンジンの掛かりはよかったように思うんですが、チャンピオンズリーグと国内のリーグとカップを戦い抜くには選手層が薄い上にけが人も多い。それにチャンピオンズリーグとの兼ね合いにも慣れていないので、苦しいはずのバルサよりもコンディションの調整ができておらず、プレスが全く効かないとか、前にボールが収まったあとのフォローに誰も走らないとか、明らかに疲労によってからだが動いていませんでした。だからこそ前半3分という早いゴールが生まれてしまうわけで、コーナーキックを取られてしまった部分以前に一度、イニエスタに体を寄せながらもポストプレイを許してしまっていたり、実際にコーナーになった場面のように寄せが甘く、前を向かれて仕掛けられるなど、先制点以前にも動きに疑問を持つには十分なほど鈍かった。
恐らくその部分で自分たちのコンディションの悪さと、同じ日程でより厳しいはずのバルサとの違いに当てられたんだと思いますが、浮き足立ってしまって直後にメッシが倒されてPK。当たり方としては軽く、PKを取らなくても大丈夫で下手をすればダイブを取られてもおかしくないものでしたしどちらのファウルにならなくてもおかしくないものでしたが、ボールが遠く離れていて明確にボールにいっていないことが見て取れてしまったこと、そして最大の要因は審判がイトゥラルデ・ゴンザレスだということを忘れていたのがアトレチコの失敗の要因。バルサにとって成功した要因は、先制点のそれと同じように、各選手が常に前を狙っていたから。
チャンピオンズリーグのセルティック戦で後ろ向きの姿勢と、前を向こうとしない意識のことを書きましたが、この日のバルサにはプレッシャーの有無にかかわらず常に前を向く意識があり、マークに付かれていてもそれが緩いお陰で、ほんのちょっとでもスペースができてしまえば前を狙える。そして前を向きやすいパスが後ろから出てくるのも大きいんです。だからこそ勝負が出来て得点に繋がる。メッシへのパスは前を向けるものではなかったんですが、メッシが前への意識を持っていたからこそのファウルでしたからね。そのメッシが途中から前を狙わなくなったのは、アントニオ・ロペスにレッドカードを出されていてもおかしくないほどのファウルをされ、それ以外でもいくつもファウルを受け、怪我をしない方向に切り替えたから。点差も出来たし、それでいいと思ってますが、それでもフリーでボールを受けてしまうと何人も抜いてシュートにいってしまうのだから呆れるほどに凄いプレイヤーですヨ、本当に。
審判のジャッジの部分で行くとPKの判断以外にもフリーキックの部分もあると思いますが、あれはメッシがシュートを蹴る前に審判に確認を取っていますから何も問題が無く、その作業を見逃した壁の責任であって、あの早いリスタートには何も問題がないはず。アトレチコの壁の前に一人いたんですが、彼ならもしかすると審判に尋ねている声にも気付いていたでかもしれませんし、そうでなくてもイエローをもらってでも止めに行かなければならない。そのために壁よりも前のあの位置に立っているんだから。
4点目の部分もアトレチコのミスで、ヘイティンハが自分のポジションを放棄してしまったのが大きな要因でしょう。エトーのポジションに付いていた選手が、自分のマークをパサーがパスを出せる体勢の最中に放棄して前にフラフラ出て行ってしまうのが問題で、あれが失点の直接要因。ウイファルシはニアサイドをケアしなければならないのであの位置から動けませんし、ペレアにしてもあのタイミングで動かれてしまってはマークに行ったとしても前に入られてしまうのは確実で、何より予測不能のタイミングでいなくなっていますから他の選手にはどうしようもない。センターバックが一番ケアしなければならないのは裏のスペースで、それを放棄して何故前に行かなければならなかったのか。3バックでリベロをやっているとしてもより後ろをケアするために動くはずですし、何より4バックであれをやってしまうと、明確なアンカーでも置いているシステムでない限り無理な話です。
それと関連して、連続失点でディフェンスラインの動揺があったんでしょうが、アンカーを置かないフラットな中盤にしているせいで、ディフェンスと中盤の二つのラインの間に文字通りスペースができていて、そこにはいることで簡単に前に向けてしまう状況が出来ていました。イニエスタやシャビはそれを見つけるのが上手い選手ですから、徹底して突かれることが多いので、ヘイティンハはそこを気にして前につり出されてしまうのかもしれません。
あまりの得点差にアトレチコの攻撃にも思い切りがなくなってしまって、ゴール前やミドルシュートが打てる位置でもパスを選択するようになってしまっって、フォワードにボールが渡っても全くサポートに後ろからでなくなって、攻撃は散発。個人の力だけで打開するには無理がある得点差で、選手の質も違いますから当然のことながら、思い切りがあり、ミスに助けられた一点止まり。
そのミスをしたセルジ・ブスケスは出場した試合で特にバックパスのミスが多い選手なんですが、この日もバックパスや通常のパスであってもミスが多くプレイも軽い。自分のミスでボールを奪われても自分で取り返そうと全力で向かうことをほとんどしていない。得点差がある油断というよりも、彼自身問題によるの油断に見えるし、もしくは慢心か疲労か。アンカーを務めるにはそこのリスクマネージメントをしっかり出来るようにならないと、今後の大事な試合で重要なミスを犯してしまいかねず、試合を決めてしまうようなミスに繋がるポジションだから早めの修正を。
後半はバルサは余裕のスローペースで、アトレチコは混乱のまま、クペがバックパスをキャッチしてしまうとか、フォワードの孤立はそのまま改善されていなかったり、交代はアギーレの守備的な采配でどんどんと魅力を失っていって興味も薄れてしまっていました。疲労や次の試合に切り替えるためのものかもしれませんが――。いや、まぁ、あの点差だから仕方ないか。
バルサはエトーがいなくなるとグジョンセンがフォアチェックの役割を受け継いで追い回すようになって、それができない位置やタイミングの時はメッシとアンリが分散しながら追うことで状態の維持に務めてました。中盤のプレスも、バネガや孤立したフォワードにボールが入ったときには三枚で素早く囲い込んで、ボールを奪えないでも後方に下げさせ、遅らせて、さらに孤立させれてました。スローペースであってもそこはきっちりとしていて、余裕はあっても油断はしない。ただ、右サイドからクロスを上げられたときにファーが空いてしまうのは未だ治っていない。それくらいでしょうか。
無理をしなくなったことでゴールを決められそうなチャンスはそれほどなくなり、アンリのゴールとかグジョンセンへのシャビが出したスルーパスぐらい。あのアンリのゴールは見事で、後方に下がってアンリがいまいちだったところを上手くスピードに乗らせたままシュートまで持って行かせましたね。どこかでスローダウンしてしまうと、今日のアンリは、初っぱなのペレアから受けたファウルで相当にイライラしているようでしたから、ゴールを決められるところまで持って行けなかったでしょうね。そういう意味ではよくあの形を作りましたヨ。