2008 年 6 月 のアーカイブ

EURO2008の中休みにウイイレなんてどうでしょう

2008 年 6 月 24 日 火曜日

ユーロ2008が準決勝を前に二日間の休日に入ったお陰で書く記事がないんです。もちろん、サッカー関連のニュースは毎日のように新しい情報が出てきて、その中にはユーロに関連したものも多くあるんですが、このブログはニュースブログではないんでなんな情報は扱いません。ユーロに関係した記事を書く予定だったんですが間に合わなかったので、それは決勝前に書くとして、今回はユーロ記念で対戦したウイイレ動画でも。
この動画はEURO2008開幕日あたりにプレイしたものですが、メンバーその他はユーロ仕様に変更済み。日々活躍する選手たちの能力修正はしているんですが、それも反映する前の試合ですね。
断りを入れておくと、対人戦のブランクがとてつもなく、さらにウイイレ自体もエディット以外プレイしていませんから腕が鈍りまくり。本当に酷いのでその辺はご勘弁いただくとして、一試合目は大会前に決勝で戦うことになるかもしれないと予想していたドイツ対イタリアの試合、二つ目はクロアチア対ポルトガルの試合です。対戦相手はお馴染みのガキ氏。彼がイタリアとポルトガルでプレイしています。もう一つのチームはleia@管理人。

動画は<続きを読む>からどうぞ。

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EURO2008 スペイン対イタリア / 準々決勝4

2008 年 6 月 23 日 月曜日

■Spain 0 – 0 Italy(PK4-2)
イタリアにもスペインにも90分で勝たなければならないという強迫観念にも似たプレッシャーは微塵もなく、延長に入っても構わないという戦い方をしてましたね。お陰で試合が動いたのは後半30分を越えた当たりから、と超スローペースの試合だったんですが、退屈な試合ではありませんでしたね。ただPK戦にはいるのを嫌がったのはイタリア。スペインの方も勝つために色々と工夫をしていましたが、リスクをお冒して攻め続けることをせず、人数をそれまで以上にかけて攻めることもなく、交代人事もバランスを崩してまで攻めを意識させなかった。ルイス・アラゴネス監督はなんとしてもPK戦より前に勝負を決めたがっている印象でしたが、選手たちの方が落ち着いていてバックラインからフォワードに至るまでの覚悟が見て取れました。PKの名手を多く生み出している国ですから。
逆にこういった戦い方になれていて、一本のチャンスさえられれば何とか出来てしまうだろうと意識を持っているはずのイタリアが勝ちを焦っている部分があって、交代もポジションの違う選手を交代させて前がかりの意識を持たせ、延長に入ってからはバランスを崩した攻めもサイドバックを中心にやっていました。PK戦を嫌がり、今のうちに得点を入れて勝たなければならないと思って負けたのが前日のオランダ。失う物のなかったロシアにやられた彼らとは違い、スペインも失うものを抱えていたために同じ轍を踏むことはなかったんですが、PK戦では勝負のポイントを失っていた彼らが負けるのは道理。
意外だったのはスペインがあそこまで落ち着き、崩せなくても焦りがなかったことですね。

試合開始当初の中盤はイニエスタとシャビの二人だったんですが、あの二人はどちらもピボーテ、そしてアンカーを務めることが出来るほどのバランサーであり、イタリアと戦うときのリスクマネージメントを考えてプレイしている部分が強く出ていて、パスもカットされる可能性が高い部分を嫌がって安全なパスを選びがちで、イタリア守備陣の間を抜けていく、一本のパスを出すことを嫌ってました。崩しきることを考えた場合それでは不十分で、隙間の少ないところをパスで回し、飛び出し、突っかけ、得点をしていくのがスペインなんですが、この二人の意識ではそれが出来なかった。失敗しない試合の入り方をするにはこの二人でなければならず、もしセスク・ファブレガスが途中投入されてからやっていたような一本で勝負が決まるかもしれないパスを、試合開始から彼がスタメンで同じプレイをしていれば、いずれイタリア側にカウンターのチャンスを与えてしまっていたでしょう。崩すのはリスクと隣り合わせで、相手がどんな意図を持っているか理解しなければならない。セスクが投入されたタイミングは、イタリアがカモラネージを投入した直後でカウンターではなく能動的に動いて状況を変えようとしたタイミングで、そうなってしまうとイニエスタとシャビのようにリスクマネージメントをし続けなくても、相手の攻撃の意図が変わってきたのでセスクがしたタイプのパスであっても問題なくなったんですね。ただ他の選手たちの意識はあまり監督の意識とは別に変わりきらず、崩しきる方向に傾かなかったんですけど、結果オーライ。本当ならせっかくのスペインの試合なのでPK戦ではなく、得点を取って勝って欲しかったんですが、仕方ない。0-0のまま終えたのはイタリアがカテナチオだとか守備的だとか後ろ向きだとか、そんな無駄なものをしたからではなくて、スペインの選手が、開始直後のセルヒオ・ラモスの無思慮なプレイ以外で、常にリスクを考えていたからの引き分けで、実に現実的な、ノックアウトラウンドであるトーナメントを勝つための考え方をしているからです。
ま、カシージャス様々な部分とプジョルが引き締めているから出来る部分でもありますが、こういう戦い方が出来るのならトーナメントでも期待が出来ますね。次のロシアはそんなことはお構いなしのプレイをオランダ戦同様にしてくるはずなので、あまり役には立たないと思いますが。

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W杯3次予選 日本対バーレーン

2008 年 6 月 22 日 日曜日

■Japan 1 – 0 Bahrain
得点は内田のヘディングからバウンドを見誤ったバーレーンのキーパーが置かした凡ミスによるものなので省略しておきましょう。あんなものに戦術的価値はありませんから。

日本の守りの特徴であるフォアチェックは弱点がはっきりしていて、プレッシャーをものともしない技術を持った選手が多くいたり、プレッシャーの連動性が悪く共通理解が未熟であれば何の役にも立たない戦術なんです。バーレーンにはそのプレッシャーをかいくぐる選手もいなければ、日本の選手たちも合宿と試合を通じて連動性を高めているから効くはずだ、と思ったら大間違い。テクニックを相手が持っていなくとも、自分たちが上手くプレッシャーをかけていても簡単にそれは無効化できてしまうものなんです。この試合のバーレーンは上手くそれを実行し、自らのミスでピンチは多く招いていましたが、日本のプレッシャーが前線からかからないようにしていましたね。
例えば、日本のフォワードがボールを奪われた瞬間に連動してプレッシャーをかけに行く。ボールを持っている選手への速い寄せに対して、それよりも速くボールを蹴って日本のディフェンスラインの裏へ出せばいいだけで、そのプレッシャーから解放されるんです。一見すると意味のない行為で、それだけ焦ったようにボールを出していれば当然精度が落ちてチャンスになるはずもない。でもプレッシャーをかける選手たちにとっては、何度プレスに行っても簡単にボールを裏に出され奪うことが出来ないまま後ろへと一時的に下がらなければならない状況を作られてしまう。その繰り返しをすることで、プレスに行ってもボールを派も後ろに行く、無駄なんじゃないか、と一瞬でも思わせてしまえば、それはバーレーン側の戦術が勝ってしまうことになるんです。一歩の遅れが連動性を無くし、フリーの選手を作り、パスを繋げる状況を作ってしまう。ボールを奪えなくても最初から最後までやり続ける鉄の意志が必要な戦術ですから、日本のアタッカー陣を見て、その守備の意志を持ち続けられる人材だと思えたら、あなたは幸せな人だ。

他には闘莉王のオーバーラップは前線が停滞したときには有効でしょう。ユーロでもそうやって状況を打開選手もいましたから、程度の差こそあれ状況を変化させるプレイはいいことで、やっても構わない。しかし、闘莉王のそれが悪いのは、自分がボールを奪われた後処理を他の選手に任せてしまっているところでしょう。もちろん、センターバックがオーバーラップをするときにはサイドバックやボランチの選手がカバーに入っておくのが当たり前ですが、ドリブルをカットされてしまえば、一枚少なくなったところをカウンターで狙われてしまうのもまた当たり前。だからこそ、オーバーラップする選手たちは最低限奪われないようにファウルを貰ってフリーキックを獲得するとか、奪われたとしてもファウルで止めるというのが必要になってくるんですが、彼はそのどちらも出来ず、さらにカウンターを受けた後半11分でしたか、その場面では全力で走って戻ることすらしませんでした。本田が全力で戻ってカバーしましたが、カバーする選手が居たとしてもセンターバックは全力で戻らなくてはいけない。その上、この試合では両サイドバックに内田と安田という攻撃面はよしとしても守備力に難のある二人が担当しているのだから、より、奪われたときの切り替えを速くしなければいけないんですよ。前線の選手たちがしているようにね。

前線でのゲームの組み立ては、批判する以前の酷さだったので書く必要もないでしょうし、多くの人が見て「これでいい」と思った人は殆どいないはずです。だけど少しだけ書いてみる。いつものことだけど縦の連動性はないんです。特にサイドの部分においては縦関係でどうにか使用という意志は少なく、左が辛うじて本田のキープから安田が出て行ったり玉田が出たり、というのはありましたけど、本田が縦の関係を利用しようとしていると言うよりは自分のスペースを作ってくれと言っているようにしか見えないのが難点です。それで、パスをもっとくれ、とアピールしても駄目で、パスを出させるような動きをしなければならないんです。このチームが今しようとしているサッカーは王様がいては成り立たないサッカーをしているんですから。短い距離でパスをだし、動き出し、展開をしていく。岡田監督が自ら口にした「接近、展開、連続」。この試合でどれか実践できていたでしょうか。守備の接近はあるかもしれない。でも上記の通り奪えなかったから展開までは至らない。攻撃も近い間隔でパスを出すことはあってもそのあとの動き出しがないから展開も出来ていない。基本的な部分ではパスの距離が長いので前後が分離しがちなのも変わりませんね。もっと前でキープをして押し込むことを念頭に置いてプレイをし、その間にディフェンスラインを押し上げてハーフウェーラインまで最後尾が来れば、求めているプレッシングもパスワークも出来てくると思うんですけどね。
あとは代表合宿に呼んだ選手から追加招集をすることなく、佐藤寿人をいきなり招集するのは悪いことではない。他の国でも往々にしてあることですから批判の材料にはなりません。調子の良さそうな選手を積極的に招集して使うのはありで、例えそれが二部であってもパフォーマンスに問題がなければそれで構わないでしょう。もちろん先発させたことについても。
でもバーレーンが人数をかけて守ってくるのはある程度予想のつくことで、玉田と佐藤寿人の二人で人数のかかったところで点を取ることが出来るか、というのは難しいんじゃないかというのも想像できたところだと思います。ディフェンスラインがもし引いてしまえば裏へ抜けるために必要なスペースが出来ませんし、裏へ出すために必要な高い位置でのボールキープも出来なくなってしまうわけですからね。彼ら二人にポストプレイなんて酷なことを要求するわけにも行きませんし、サイドのクロスからヘディングをさせようとしても体を張ることも高さも足りない。なら何故両サイドバックを安田と内田にして深い位置までえぐらせようとしたのか。中村や本田も飛び込んでくれる選手ではありませんし、誰に中で合わせて欲しかったのか意図が不明です。もしユーロでのロシアのようにサイドを切り崩してマイナスのパスを中心としてペナルティエリア内でボールを繋ぐことを意図していたとしたら、バーレーンの人数をかけた守備でそれをやるのは自殺行為に等しい。スペースがないのにパスが出せるはずがないでしょう? いったい意図は何だったのか、理解に苦しむ布陣ですね。両サイドバックを上げるにはボランチの二人がボールを配球する選手で守備のスペシャリストではない。闘莉王も上がるのに、本田も中村俊輔も守備に労を惜しまない選手ではない。徹底した攻撃を展開するための布陣にしてはポゼッション時のボール回しが後ろ向きでオフ・ザ・ボールの動きも無いから効果的なパスでの崩しもありません。

ここまで書いておいてアレなんですが、本当はこの試合にそれほどの価値なんて無いんです。勝つ必要も本当はなかった。第3次予選を一位通過するか二位通過するかは重要なことではなく、もう最終予選の組み合わせ順は決まったも同然なんですよね。前回の2006年のワールドカップの成績によって優先順位は決められているわけで、三次予選の通過も決定していますから。マスコミの視聴率と観客動員数を稼ぎたいがための「大事な一戦」と煽り文句が飛び交っていただけで、本当なら負けてもいいから最終予選に向けて好材料になるような選手を発掘してもいいんです。バーレーンが主力を4人温存させてきたようにね。
だから、怪我から復帰したばかりで足に痛みが残るとか残っていないとか情報が正確に出てこないの中村俊輔を強行出場させる必要もないんです。彼が今後最終予選で日程の都合上帰国できないときや、怪我をしてしまって出場できないときのためのテストだって構わなかった。そこまで選手たちにプレッシャーをかけ続けて「勝たなければいけない」とか「叩きつぶす」とか言わせる必要もなかったんですよ。もっとマスコミは緩めてもよかったし、見ている自分たちも条件を緩めてもよかった。そうなっていないのはまだ監督に対する不信感があるからなのかもしれませんね。
この試合で払拭できたとは全く思いませんけど。

EURO2008 オランダ対ロシア / 準々決勝3

2008 年 6 月 22 日 日曜日

■Netherlands 1 – 3 Russia
ロシアの戦い方の大半は予想していたとおりでしたが、オランダの攻めは予想していたよりもずっと悪かった。これまでオランダが大量得点を挙げて勝ち上がって来られたのは鋭いカウンターから得点できたからで、崩しきった得点がほとんど無いといっていいのはグループリーグ三戦目のエントリで書いたとおり。この試合も結局フリーキックから決定的なチャンスを得ることが出来たけれど、崩してチャンスを作ったのはほとんど無く、いつものオランダ代表そのままに守備も脆くなっていた。
まず守備から書くと、不幸な出来事があったとはいえブーラルーズを先発させるのはやむを得なかった。彼が入っているからこそここまでの堅守があり、オランダの不安材料だった部分を見事に封じ込めてくれていたのだから、本人が嫌がったとしても出しておくしかなかったんです。精神的に辛い状況であっても、彼のこの試合でのパフォーマンスは素晴らしく、堅固な守備を構築することが出来ていたんですが、問題は彼にはなく、彼を交代させてヘイティンハを入れたことでしょう。彼はユーティリティプレイヤーですから右サイドバックを務めることも出来ますし、それなりに守備力のあるセンターバックですが、後ろへの動きは非常に悪いんです。彼をもし途中投入するのであれば、センターバックのオーイエルを右に出して、センターバックとして起用していた方が、三戦目でそれなりに結果を残せたポジションですし、よかったはず。そこはファン・バステンのミス。で、ブーラルーズも守備はよかったんですがそれ以外の部分ではこの試合完璧だったとは言えず、三戦目から多くやるようになってしまったオーバーラップを継続してやってしまっていましたよね。前にカイトが入っていましたからサイドからの攻撃力というところからすると上がらなければならなかったんですが、でも彼が上がることで出来るスペースを考えると積極的に上がるべきではなく、状況を見極めて前でキープできたときにだけサポートするだけでよかったはず。
あとは両センターバックの裏へ向かうスピードの無さ、ラインコントロールの稚拙さがグループリーグで出なかったのがここにきて出てしまいましたか。大会前にこの状況を見てグループリーグで負けるだろうと予想していたんですが、よくここまで持った方でしょう。本来ならエンヘラールとナイジェル・デ・ヨングの二人が中盤のスペースをカバーし、相手に前を向かせて裏を狙わせないことでこの弱点をカバーしていたんですが、この試合のエンヘラールには運動量が無くボールホルダーを抑えることもこぼれ球を拾いきることも出来ず、途中交代で離脱する事になりました。デ・ヨング一人でカバーできるほどロシアの攻撃は薄くなく、運動量も少なくない。あの交代がされたときは既に攻撃に出なければならなくなっていましたから仕方ないとはいえ、エンヘラールがそれまで同様の動きが出来てれば、それだけで少しはマシになっていたでしょうね。

ロシアの攻撃と守備のやり方は共通していて人数をかけてボールを追い越しながらパスを相手陣内で繋げる。それをやるとオランダのカウンターの餌食になってしまいそうなものですが、これまでそれにやられてきた相手と違っていたのは、ボールを奪われた瞬間に、というよりもボールを奪われる前から守備が始まっていて、オランダにカウンターの一歩目となるパスを出させないようにしていましたね。その一本目のパスを不正確にすることでカウンターの出足が徐々に鈍っていって、仕舞いには連続したロシアの攻撃になるわけです。ボールをファン・ニステルローイなりスナイデルが収めて、それを追い越す動きを左サイドバックのファン・ブロンクホルストがする。そのパターンをさせないようにロシアはまずボールを奪われた瞬間にボールを奪いに動き、正確なつなぎからオーバーラップをさせないようにした。ある程度繋がれたとしても、寄せる速さから裏を狙うタイミングを計ることが出来ないためポストプレイをしようとするオランダのつなぎのパスをインターセプト狙いで相手の前に入り込むようセンターバックの出足を早め、二段構えでカウンターを阻止していました。一度その戦い方でカウンターが使えないという意識をオランダにすり込んでしまえば、グループリーグで見せたような鋭さは出ませんから、その時点で術中に嵌ってしまっていたと言ってもいいでしょう。
オランダは相手を崩すために敵陣内でパスを回して、ドリブルをして、とやっていましたが、それが全く効果的でなかったのは、得点を焦るあまりディフェンダーが前に並んでコースが限定されているにもかかわらずミドルシュートを多く打ち、ドリブルで切り崩そうとしてもサイドの広大なスペースを利用するのではなく密集している中へ向かっていこうとするのだからファウルは貰えてもそれ以上の効果は得られません。パスにしても回している間に本来ならサイドに残ってクロスを上げたり、一時的なボールの収めどころとなり形を作り直すためにサイドバックがサイドに張っていなければならないんですが、左サイドバックのファン・ブロンクホルストは左サイドでボールを回している間にセンターフォワードと同じ位置にまで入り込んでしまって得点を狙う動きをしてしまってました。中に入って得点を狙う動きをファン・デル・ファールトやスナイデルがしてくれないから彼が飛び込んでいったんでしょうが、それをするのは逆サイドの選手の役目で、同サイドの選手がそれをやってしまうと手詰まりになったときにパスを預けて作り直すことが出来ず、バックパスをする位置すらなくなってボールを奪われてしまうんです。何故彼があそこまで中に入っていってしまったのか解りませんが、残念ですね。
彼以外にも多くの選手が中への意識を強く持ちすぎ、右サイドに左利きのファン・ペルシーを置いているから彼も中に入ってくる、左サイドに右利きのアフェライを置いているから彼も中へ、と、飛び出す選手もなく中へどんどんと入り込んでも大渋滞を引き起こすだけでミドルシュートのコースも自分たちで防いでしまうようなもの。ワンツーで抜け出すスペースも消してしまいますね。
上手くロシアがカウンターの可能性を早めに諦めさせ、オランダがそれに乗っかって焦りを強めた、ただそれだけのことなんですが、グループリーグとトーナメントでは勝負の質が違うんです。選手を休ませたチームがことごとく敗退しているのが何の影響なのかは知りません。ただ言えるのは、中二日のロシアの方が総じて運動量が多く見えたこと。実際のデータが出るところで書いてませんから何とも言えませんが、ともかく予想通り。

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EURO2008 クロアチア対トルコ / 準々決勝2

2008 年 6 月 21 日 土曜日

■Croatia 1 – 1 Turkey(PK1-3)
トルコは何度も書いてきたハミト・アルティントップの中盤起用をやっと実現してくれて個人的には嬉しい限りでした。彼の献身的な動きは走破距離にも現れているはずで、恐らく両チームを通じて一番になっていることでしょう。これまで右サイドバックで起用していたことで縦の動きのみに限定してしまっていたことがどれだけ無駄なことか解ってもらえたんじゃないかと思うんですが、今日はセンターハーフとして出場していたお陰でプレイエリアはかなり広かった。中央を中心としてカバーの仕事をしていたのでリスクを冒した攻めはあまり見られませんでしたが、効果的だったのは事実。延長後半まで失点せずに耐えられたのも、もしかしたら彼がここで踏ん張っていたからかもしれませんね。
ただ、両者共に得点できなかったのは暑さによるミスだけではなく、選手の守備が優れていたからもでないんです。どちらの選手もこれまでのグループリーグの戦い方とは大きく違う戦術をとっていたからに他ならず、それが意図したものかそうでないのかは別にして、試合をつまらなくした要因でもあります。例えばクロアチアのこれまでの戦い方はオリッチの運動量を起点とした前線からのフォアチェックでパスコースを限定し中盤でカットをすることを目指したもので、高い位置からのプレスが機能し、カウンターが機能することで得点してきた部分が大きかったんですが、この試合はオリッチの追い込みも見られず、中盤の選手たちの連動した動きも少なかった。ボールを奪う位置は自陣ペナルティエリア前になりがちで、カウンターも鋭さを失っていた。
トルコもその影響を受けてある程度高い位置でボールを回すことが出来ていましたが、クロアチアの守備が後ろになっただけで意識まで低下しているわけではありませんから、組織だった攻撃をしないトルコが崩せるはずもなく、パスは回せているがそれ以上ではないままでした。ニハトを1トップにしてその下に4枚というよりはニハト1枚の下に両サイドに二枚いて、その下にスリーセンターがいたような形で、トルコの布陣もメンバーはそうでなくとも守備的でしたからね。
これまでは失うものが何もなかったトルコにグループリーグを突破してトーナメントに進出してしまったが故に失うものが出来た。だからリスクを冒せなくなってしまって、攻撃をするチャンスが多くありながら攻撃が出来なかった。それはクロアチアも同じで3枚の司令塔を用意しながら誰一人ゲームを作ることなく走ることも追い越すこともなかった。ペトリッチ投入後も彼本来のポジションであるフォワードのファーサイドの位置を使わせてあげることなく、トップ下に置いて守備を重視させた。両者共に全くリスクを冒さずに攻めようとしていて、それが解消されるまでに80分を要していました。見ている側からするととんでもなくつまらない試合だったのはそのせいです。

リュシュトゥのミスは相変わらずで、延長に突入する前にも飛び出しの判断を誤りピンチになったのもありましたし、味方からのバックパスをコントロールミスして自陣ゴール方向に転がしてしまうなんていうのもありました。結局の所、彼は全く成長をしていないわけで、延長のところでも飛び出しの判断を誤ってモドリッチに先に拾われ失点。バルセロナに所属していたときの絶望的なまでの酷さを思い出すには十分だったんですが、彼が幸運だったのは味方が延長後半ロスタイムという状況で得点を取ってくれたことでしょう。ビリッチ監督からすると交代も認められずプレイを切るタイミングをいくらでも見いだせる中での失点でとんでもなく不運だったわけですが、延長に入る前にもっと攻撃的に行かせるようにし向けるとか、交代のタイミングをスルナが足をつったタイミングで交代しておくとか方法は色々ありましたし、それよりもまずトーナメントに入った途端に消極的になったチームに問題があるわけで、グループリーグ三戦目のBチームがした試合で前からのチェックを失ってしまっていたのをそのまま引き継いでしまったのが一番の問題でしょう。そのサッカーをするための構成になっていないんだからしてはいけない。あれは三戦目のメンバーだからこその戦い方で、一、二戦目のメンバーに近い形でするのであれば、その時にした戦い方にしておくべきでしょう。選手たちが悪いのかそれとも監督が悪いのか。少なくともトルコのやりたい形が見えないサッカーよりは上をいってくれるはずだと期待していたんですが、こんなくだらなくつまらないサッカーをするなんて…。
トルコが奇跡を起こしたのではなく、クロアチアが自滅したと取る方が自然です。

EURO2008 ポルトガル対ドイツ / 準々決勝1

2008 年 6 月 20 日 金曜日

■Portugal 2 – 3 Germany
ドイツが勝つためのサッカーをした、というのは身も蓋もない言い方なのでそれはしません。少なくとも、勝つためだけに引いて守りカウンターでのみ得点を挙げたわけではありませんし、得点の形も決して泥臭いものではない。最後の部分以外はいいサッカーだと思っています。

シュバインシュタイガーがクロアチア戦で犯した報復行為のレッドカードにはがっかりさせられ、彼の成長を疑いたくなったし、これからの出場も危うくなったんじゃないかと思っていたんですが、この試合で十二分に名誉挽回を果たして、全得点に絡む活躍はマン・オブ・ザ・マッチに相応しい活躍です。もとから正確なキックをもっていて、サイドから上げるクロスだけでなく、左サイドからの巻き込むミドルシュートも彼の得意技なんですが、左からのグラウンダーのクロスに飛び込んだ場面には驚かされましたね。体を張ることをいとわない選手ですが、左側でプレイしているときのボールを持ってドリブルを仕掛けるイメージが強くて、また、バイエルン・ミュンヘンでの右サイドでプレイしているときのバランサーとしての動きの印象が強くて、カウンターになったときに一枚であそこにいる、というのは今まではあまり見られなかったと思うんですヨ。あとは二点のアシストをしたフリーキックもよかったんですが、それよりもあの粘り強いディフェンスは大きくドイツを助けていましたね。ドイツは主に中のスペースを消す動きを中心としていて、サイドのケアはそれほど多くしていなかった。意図的にそうやっていたんですが、二失点目になった場面だけはサイドに多くの人数を吊り出されて失敗していました。
試合全体を通して言うと、中を固めてサイドのケアはサイドアタッカーの選手一枚に任せ、クロスを上げられることよりも中へのパスをケアする方を選んでいました。シモン、ボシングワの縦のラインが最も多かったんですが、そうやって縦へのパスは出させてもらっていたが、横に並ぶ選手たちへのパス成功数が低いのを見ても明らかなように横へのパスコースを切られていた証拠でもあります。その中でポルトガルのシモンやクリスチアーノ・ロナウドと両サイドバックが連携して攻めてくるわけですから、それだけでもサイドでドイツは数的不利を作られる。そこに状況を的確に読んでデコが流れて3対1の状況を作り出して攻めようとするのだから、大きな負担になりますよね。ドイツの左サイドはラームが粘り強く対応したとしてもポドルスキに守備の負担を求めるのは酷ですから何度も崩されていましたし、一失点目のプレイも彼の軽い守備から始まったことを考えればしかたがない行為。そのために中へ絞れるアルネ・フリードリッヒを右に置いていますから左からのクロスにはある程度対応できる。でもドイツの右側が左ほど簡単にやられることがなかったのはシュバインシュタイガーが中へのドリブルではなく、どんなフェイントをされても縦へのドリブルコースを消し続けたこととボールを奪うのではなく、マークし続ける粘り強さを持っていたことでしょう。

ポルトガルに本格的なストライカーがいないことをずっと弱点だと言い続けてきましたが、この試合のようにクロスでギャップを作り、ディフェンダーとキーパーの間にボールを入れ続けることが出来ればその必要はあまりない。でも得点できた場面や決定的なチャンスになってシュートまで持っていけた場面ではそうであっても、苦しいときにポルトガルは中へ向かってドリブルをしてパスで崩そうとする意識が働いてしまって、ドイツ人の密集している地域に特攻をかけているようなもので、そう簡単には崩れませんし、何より人数が多いから一本パスが通ってもシュートへ行く前に寄せられてしまう。そういったときに本格的なストライカーがいれば、サイドにあれだけのスペースを残してくれているのだからクロスを徹底的に放り込み、高さではなくタイミングの部分でドイツに真っ向勝負を仕掛けていってもいい。190cmを越える二枚のセンターバックに挟まれていても、180cmそこそこの選手がヘディングゴールを多々決めてしまうのがブンデスリーガ。クロスの質とストライカーの質が高ければ高いほど、身長の高さなんてものはそれほど有利な条件じゃなくなってくるんですヨ。ヌーノ・ゴメスもエウデル・ポスチガも勇気を持って何度も何度も挑戦できるストライカーではなかったのが原因かもしれません。もしくはドリブラーたちがより確実な崩し方を模索してクロスを上げようとしなかったのが原因か。
ドイツが、ポルトガルのように得点を出来る位置でファウルを犯し、フリーキックをあまり与えてくれなかったのも一つの要因でしょう。ドイツは二度のチャンスを逃さず決めてしまったのだから。

あと書くとすれば、ドイツはフリングスの負傷欠場でどうなるかと思った守備的ミッドフィールダーの位置ですが、ロルフェスがなかなかの働きをしていましたね。ドイツの守備の取り方は、中へ絞り気味の4バックの前に4人のセンターハーフを置いてバラック、クローゼ、という形だったでしょうか。味方によってはイングランド式の守り方で、ディフェンスラインとセンターハーフのラインの間にスペースが出来て、試合序盤に幾つか突かれたように危険なエリアが出来るんですが、ラインを低くし過ぎない、ラインが低くなったら前のラインも押し下げることでその部分を減らしてカバーしていました。だから終了間際のようなどん引きサッカーみたいになってしまったわけですが。
それはともかく、ロルフェスはフリングスのように一枚後ろに残ってアンカーの仕事をするのではなく、センターハーフとしての仕事に近かった。サイドバックやサイドアタッカーからのパスを中央で受けて配球する。状況に応じて前へも出るが基本は後ろ、というのはありましたが、彼とラームのパス交換が試合の中でもかなり多い部類だったのが、効果的にプレッシャーをかわせていたことを物語っていますね。
中二日のドイツが前の試合でスタメンの多くを休ませたポルトガルに勝った、といっても短期決戦の中では一試合休養を取ることが必ずしもプラスに働かないんで、どうだったんでしょうね。日程的にとてもドイツの方が厳しかったのは確かですが、それだけに肉体的にも精神的にも緊張を保ったまま挑めたのかもしれません。

EURO2008 ギリシャ対スペイン / グループD

2008 年 6 月 19 日 木曜日

■Greece 1 – 2 Spain
スペインは完全にリザーブメンバーでスタメンを休養させていましたね。やり方としてはポルトガル、クロアチア、オランダと同じく、突破を決めたチームだからこそ許される戦い方なんですが、その中でも一番大きくメンバーを変えてました。スターティングメンバーで出ていた中ではイニエスタだけがいつものメンバーで、あとはセスクと途中交代で入ったサンティ・カソルラぐらいでしょうか。対戦相手もポルトガル同様に敗退が決まっているギリシャ相手で、他の二カ国とは違いモチベーションを維持する上でも難しい試合だったのは事実でしょう。

スペインの攻撃手段は、これまで2トップだったところを1トップに変え、その下に四枚を並べた攻撃陣をポジションチェンジさせながら1トップのグイサがディフェンスラインを押し下げる役割を担ってました。ギリシャはそれにマンマーク気味に選手をつけて中盤でのポゼッションを抑えてディフェンスラインでボール回しをさせたかったようですが、序盤に何度かシャビ・アロンソがした大きなサイドチェンジと、あまりに頻繁なポジションチェンジにマークをずらされすぎて途中で諦めていたようにも見えましたが、基本は変わりません。スペインはその間に何度かマークをずらしてフリーになり裏へ、と効果的な動きをしているように見えますが、実際の所はグイサが孤立してしまってストライカーである彼をアシスト面で活用しなければならない苦しさが見えてます。もっとポストプレイに特化した選手がいればその選手に任せてもいいですし、スペースを空ける動きを得意とする選手がいるならその選手に任せてもいいシステムなんですが、スペインの中盤には飛び出していけるような選手が少なく、そういった戦い方をしても効果的ではないんでしかたないかなと、思うわけです。デ・ラ・レッドのシュートはそんな形でしたが、グイサは見事に相手ラインを押し下げてましたね。シュートももちろん見事でしたけど。

本来なら引き分けても関係なく、負けてすら構わない試合なんですが、それでも勝利できる強さはトーナメントに向けての好材料(毎回こんなのばっかりですがw)
特にスターティングメンバー以外を殆ど起用せずに、状況にある程度あわした戦い方ができたのを評価しておきたく、難しい試合になるだろうイタリア戦も途中交代で幾つか変化をつける際には、今日で他選手たちがどういった場面で出てくるかが鍵になるんですが、デ・ラ・レッドのように飛び出していける選手は貴重ですし、シャビ・アロンソの低い位置からサイドへ出される的確なロングパスも、イタリアがピルロ抜きでさらに堅いディフェンスになるかもしれないことを考えると十分に役に立つでしょう。意表を突いたハーフウェーラインからのロングシュートや、ペナルティエリア外からのミドルシュートも大きな武器になりますしね。マルコス・セナもそれは得意なんですが、イタリアが引けば考えてもいいかな。
セットプレイの弱さは相変わらずなので、そこさえ耐えられれば不安材料は小さい、はず。