EURO2008 ドイツ対スペイン / 決勝

■Germany 0 – 1 Spain
ドイツの立ち上がりはよく、スペインの立ち上がりには堅さがあった。その隙をドイツは積極的に狙い、特に攻撃に多くの特徴を持つ左サイドから攻める事が多く、ラームとポドルスキの部分へさらにヒツルスベルガーやバラック、右から流れてきたシュバインシュタイガーが使うなど、全体を左側へ寄せ、スペインのバランスを崩すことに成功していました。右サイドのスペースをカバーしなければならないセルヒオ・ラモスを前に吊り出して面のスペースを突いていたんですが、そのケアの多くをプジョルがしなければならず、中に人数をかけることが出来ていれば、そしてドイツがクロスを上げるところまで持っていけていれば多くのことが動いていたのかもしれません。ただプジョルのカバーが的確で、二度ほど周囲との連携からサイドからのクロスをケアしきれない場面がありましたが、それ以外に彼のプレイを否定すべき要素はありませんでした。それもドイツがサイドからの攻撃を成功させられなかったようその一つ。
それと立ち上がりの部分では、本来なら中盤でスペースを埋めながら特定の選手を抑えきるマルコス・セナが、入ってくる人数の多さと多用さに誰一人捕まえきれない状況を作らされていましたから、大きなチャンスだった。そこで勝負を決めにかかるほどドイツは焦っていませんでしたし、様子を見なければならない時間帯で勝負のタイミングが訪れてしまったことが大きな不幸でした。それ以後のドイツに明確な形が出来なかったのは、左のポドルスキが、もともと運動量が多くなく試合から消えがちな選手だとはいえ、今まで以上に完全に試合から消えてしまって役に立たなかったことが多少なりとも影響しています。その分左のシュバインシュタイガーが多くのポジションチェンジとチェイシングをしながら試合に絡み続けていたのが印象的であると同時に、後半になって運動量を落とす原因になってしまっていました。
ヨアヒム・レーブがこの大会で評価を落としていると何度か書いてますが、この辺のポドルスキへの固執というか、思考の硬直っぷりが駄目なんですね。もうちょっと思い切った采配を出来る監督だったはずが本大会になって状況の見極めを誤るようになったのはとても大きい。逆にスペインのアラゴネス監督の采配が予想の範疇にあったとしても、その外にあったとしても、重要な駒をいとも簡単に目的のために外せる、その決断力の差もまた勝負を分けた一つの要因でしょう。

スペインは押し込まれる時間を多く迎えながら主な戦い方をポゼッションではなくカウンターに絞ることで対処していました。特にカウンターの場面でフェルナンド・トーレスにポストプレイをさせて押し上げをさせるのではなく、裏へ抜け出すことに徹底させたお陰でドイツに裏の意識を植え付けることでディフェンスラインを押し下げることに成功し、前半の得点と合わせて間延びした状況を作り出し、徐々に自分たちのペースに持っていけていました。そのしたたかさと共にドイツを苦しめたのは、ドイツがポルトガル戦と似たように中央を固め、サイドに比較的スペースを多く空けているようにしたため、イニエスタを中心としてドリブルを仕掛けることが出来るようになっていたことですね。ポルトガルのそれと違うのは、ドリブルが常にゴールの方向を向いたもので、クロスではなくグラウンダーでの勝負を使用というもので、抜ききる必要もクロスを上げることもパスを通す必要もなかったこと。スペイン側の意図としてコーナーキックでも構わないという意識があったからこそ、ドイツは中央を固めた守備でパスをカットしてカウンターに移行するというプランを実行できず、スペインのカウンター時に多く見られた逆サイドへ展開するボールの多さに振られてしまうことも増えて、組織だった守備を持続するのが難しくなっていました。そういったことの積み重ねがリードしたあと、特に後半の残り時間が少なくってきたあとの焦りを生み出させる攻撃の布石になっていましたね。

一点目であり決勝点のあの場面に焦点を絞るとすれば、あの一点を決定づけたのはフェルナンド・トーレスのスピードであり決定力なんですが、彼よりも決定的だったのは、ドイツの守備が二つのラインで成り立っていることを熟知していたシャビが、ディフェンスラインと中盤のラインのちょうど真ん中に出来るスペースに飛び込んだことでしょう。あの一瞬は中盤はまだディフェンスラインに吸収されておらず、前への意識も持っている状態だった。ディフェンスラインは裏への意識があって、さらにそれまでスペインが後方でのボール回しに終始していたことから前への意識をそがれていた。その意識のずれのまっただ中へ飛び出して、そこにきっちりとパスが出てくる意識の統一が素晴らしく、そこからのパスも本当にドイツにとって致命的な位置へ送り出している凄さ。ああ、もう、本当に凄い。感嘆しかでてきませんヨ。

スペインに訪れた戴冠の日を喜びながら、またもシルバーメダルに留まった彼の姿に涙しそうになった。うん、まぁ、スペインもドイツも好きなんだけど、レバークーゼン時代からバラックはアイドルだったし、比較をするならドイツ代表の方がスペイン代表よりも好きなんだ。スペインは代表よりもバルセロナの方が好きで二の次なんて思っていたけど、代表選手たちにもあったその意識がこの大会ではまるで感じられないくらいに一体になっていて、それが優勝の原動力なのかもしれない。


それにしてもバラックは今季4つ目。レバークーゼンも3つ+W杯だったから実質的に再現されてしまったわけですが、何でバラックがこんな目に(つД`)
年齢的なことを考えると、大きな大会でカップを掲げる日が来るのかどうかすら――

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