■Hamburger SV 1 – 1 FC Bayern Munchen
バイエルンはこれまで右サイドバックにラフィーニャが出場をしていないときにはボアテングが同ポジションに入り、ヴァン・ブイテンがセンターバックとして出場していたものの、彼が怪我をして出場できないため、ティモシュチュクが代わりに出場をしている。ただこれまでと違うのは、ボアテングが右へスライドするのではなく、ティモシュチュクが右のサイドバックとして先発をしているという点。
ハンブルガーもバイエルンもセンターバックのポジションを低く設定し、スピードを警戒するように距離を取っている。前へと人数を残しながらチェックとカウンターへのスピードを維持しようとしている。ハンブルガーはアンカーとしてリンコンを後ろに残して4バックの前を埋めてカウンターに備え、バイエルンはボランチの二枚がそこを埋めるタイプではないためにスペースは出来てしまう。ただアンカーを置いたシステムでは、バイタルエリアの左右にケアできないスペースが出来、ロッベンやリベリーが駆け上がるチャンスはある。ただそれをハンブルガーはアオゴやディークマイアーが積極的にオーバーラップすることでバイエルンのサイドを守備へと引き戻して、高い位置へ張らせないようにしてい、カウンターで利用できないようにしている。ロッベンには早めにヤンゼンが下がって二枚で内側のコースを切ってカットインを許さず、フォワードへのフィードで逃れようとすれば、ライコビッチが体を寄せて自由にさせない。バイエルンはタッチライン際にリベリーとロッベンの二枚を張らせるのではなく、リベリーが自由に中と低めにポジションを移し、シュバインシュタイガーを外へ近づけてリベリーを孤立させず、サポートを得られるようにして中への展開を作る。ロッベンも中へボールのない中で動きつつ、ミュラーと連携してさらに中央へと進出をしていく。上手く片側に人を集めて距離を縮めることでパスを回せるようになり、横への変化を作れるようになっていった。ディフェンダーの前で動かし、視線をマーカーから外して足を止めさせた上で裏を取る動きに合わせたパスも出せるようになり、横と縦の変化が合わさるようになってきた。
HSVはボールサイドに人を集めて素早く繋いでいくスタイルを中心としている。最後尾からは無理をして繋ごうとはしておらず、大きく左のヤンゼンを使ったりフォワードへのフィードを入れる部分はあるものの、ボールホルダーの近くに多くの選手がいて、追い越しながらそれを使い、ダイレクトで動かし変化をつけていく。ただバイエルンのプレッシャーには苦しんでおり、前へなかなかボールを出せず、出す先を先にとあえられて前を向いてボールを扱える状態でパスを出せずにいた。ショートパスを繋ぎながら前へ運べず、外のヤンゼンへも安定しフィードを出せなくなっていったことで、ダイレクトで繋いで変化を作れなくなってきていたものの、前がかりになって、フォアチェックに加えて相手を掴まえておくことで、自分たちの前で止められるようになってきていたバイエルンの逆を突き、フィードでセンターバックと競争することで中盤との距離をさらに広げ、セカンドボールをHSVが拾う。そしてボールサイドに人の多いHSVに合わせてブロックを寄せたバイエルンは、毎試合弱点となっているファーサイドをこの試合も空けてしまい、ボレーをサラに決められて先制点を許してしまった。
HSVは先制点以後はバイエルンの攻撃を防ぐために中盤が引き、アンカーとの距離を縮めてプレイする時間を増やしている。そのためボールを奪ったとしてもその後に繋いでカウンターのために人数をかけてスピードアップすることはできておらず、ゲレーロにフィードを入れて収めてもらわなければならなくなっている。バイエルンは直接は以後へ出されるものだけを警戒すればよく、深く守ることで背後のスペースを消し、前からプレッシャーをかけることで裏まで出されるよう距離から蹴らせていない。バイエルンは守備をディフェンスラインに任せ、前へと出てチェイシングをする。ロッベンもタッチライン際に固執をせず、マリオ・ゴメスの下についてセカンドボールを拾い、直接ドリブルやシュートへと持ち込んでいく。それをシュバインシュタイガーやクロースが支え連続して攻撃を続けていく。ただ右サイドバックの攻撃力不足は如何ともしがたく、ティモシュチュクの攻撃参加のタイミングが遅く、ポジションも後ろを気にしすぎて他の選手が求めているポジションよりも低く、パスを出そうとしても一歩遅れてしまう。特にロッベンが中へとポジションを移してしまうと右に選択肢を失うほどで、大きく相手陣内に入ればバックパスすら選択できないほど。
バイタルエリアをしっかりと閉じる意識を持ったHSVに対して、バイエルンは前へと出たボランチの背後へゲレーロやペトリッチにポジションを取られており、フィード後の押し上げに関しても戻るよりも早くさらやヤロリームに入られてしまっている。フィードにバドシュトゥバーが無理に出て行ってしまうため、背後を埋めるのがボアテングと両サイドバックだけになってしまい、数的にぎりぎりで防いでいる場面も見られ、サイドにセンターバックが簡単に引っ張り出されて中を中盤が埋められていないなど、きちんと形を作れていないのではないかと思える。
後半の立ち上がり、HSVはフォワード二枚のチェックに合わせて中盤がシュバインシュタイガーとクロースへとプレッシャーを大きく与え、バイエルンに構築をさせないよう試合に入った。ロッベンも前半ほど外に開いておらず、中央に入ってボールを受けようとしていたため、プレッシャーの中で扱わなければならなくなり、前を向いてドリブルをするようなスペースを得られていない。すぐにタッチライン際に開いて相手のゾーンを広げるポジショニングへと切り替え、リベリーもスタート位置を外へ、そこから中へと変化をつけることでマークを引きつけ逆サイドをフリーにするべく狙い始めた。中へ動くウイングと合わせて左はラームが上がってくるため、中と外でボールを動かして相手陣内へと入って隙間を広げようとしているものの、右のティモシュチュクに関しては前半からの改善は見られない。ラームとリベリーがサポートの距離を縮め、シュバインシュタイガーがそれに加わる。中と外にスムーズにボールを動かし、縦へ仕掛けられる場面も増え、それぞれが中へボールを運べる選手でもあるため、ゴールへ迫っていく場面も見られるようになった。ただそこから先にミュラーやマリオ・ゴメスがダイアゴナルに走ったり、囮となってスペースを広げる動きと連動していないため、中央に集まったブロックを相手にしなければならず、シュートコースを空けるのも難しい。
ティモシュチュクが下がると、アラバが左サイドバックに、ラームが右に入り、左右両方のバランスをある程度保てる布陣になった。ミュラーも中央から左右に動いてそれぞれのウイングと近い距離を保ってボールを動かし、自身も動くようになり、ウイングの二人を左右片側に寄せてバランスを変えることもできるようになった。ようやくバランスが改善され、フォワードとそれぞれの関係が近づき過ぎず、動きとパスの両面で変化をつけられるようになったと思ったところに低い位置からパスを供給していたクロースを下げ、オリッチを投入したことで左はオリッチとリベリーのポジションかがぶって蓋をしてしまう場面が見られるようになったり、シュバインシュタイガーが上がって距離を縮めていたからこその変化も見られず、単純に縦へ走って引き出していく単調な攻撃になってしまった。守備も、結果としてチェイシングから相手にバックパスを選択させることができているものの、ボールの支配を中盤の構成が低下したことで失い、HSVに距離の伸びた部分を狙ってカットされたり、孤立したところへ寄せられて失い、支配率を落としてしまった。人が増加したペナルティエリアへクロスを入れることで無理矢理チャンスを作れていたものの、それだけだった。ただHSVがコーナーキックという重要なタイミングで選手交代を行ってくれ、さらに交代投入されたソンがミスを犯してチャンスを広げてくれてバイエルンは同点に追いつくことが出来た。
その後はHSVが中盤の選手交代を行い、前後が分離しているバイエルンの中盤のコースを塞ぎ、パスコースを限定して攻撃に繋げようと動くようになった。ただバイエルンは4枚以上をを前線に並べて、そこに後方からの押し上げを加えていくため、前から抑えにかかればバイタルエリアに入り込まれ、サイドバックの外をも使われるようになる。HSVはそれを嫌がって引いて守りを固めながら中央に人を揃えてクロスへの対応とし始めた。外から中へのカットインを最も警戒し、そこからのパスコースを与えないようにした。その分攻撃は単調になるものの、こちらもサイドアタッカーを一列前へ上げてフォワードと同列に置き、バイエルンの薄くなった守備を突くようにしている。ゲレーロが最前線で走って体を張り、キープをして左右のクロスから得点を狙う。体を張るプレイをもう一枚のフォワードがしてこない、しようとしても簡単に前へ入らせてくれることでバイエルンは人数をかけるポイントをゲレーロに絞ることが出来、シュートまで持っていかれなかった。
バイエルンは何とか変化をつけようとしているものの、多すぎる最前線の人数は自らのプレイエリアを限定してしまい、一人一人がダイナミックな動きが出来ずに小さな変化をもたらすのみでしかない。左右へ大きく振ることは出来ても、薄いラインが横に広がっているだけで厚みが無く、波状攻撃で混乱させることも出来ていない。ペナルティエリア横へ深くスピードに乗ったまま入り込み、相手に戻りながらの守備を強いることもないため、HSVは待ち構えて守れるため、ゴールへ向かいながらクリアをするような危険な処理をさせることすらべきなかった。